
2度リードされるも駒大と3―3のドローに持ち込む/関東大学1部リーグ戦
終始追いかける苦しい展開の中、勝ち点1を手にした。前半29分、32分と立て続けに失点。それでも前半45+1分に差波優人(商3=青森山田)が直接FKを決め1点差で折り返した。後半13分に矢島倫太郎(政経4=浦和レッズユース)のゴールで追いつくも、後半26分に再度失点。後半30分に室屋成(政経2=青森山田)のリーグ戦初ゴールでまたも試合を振り出しに戻すが追加点は奪えず。後期リーグ戦開幕6連勝とはならなかった。
相手の強みをつぶすことができなかった。前半29分に駒大が得意とする空中戦を制すことができず、左サイドからクロスを上げられヘディングシュートで先制点を献上。後半26分の3失点目もクロスへの対応、マークの付き方が甘く、浮き球から相手にシュートを許してしまった。クロスを上げさせないというチームの意識はあったが、相手のストロングポイントから2失点。髙橋諒(文3=国見)、室屋と全日本大学選抜に招集される実力者がそろうサイドだったが、突破を許すなど相手に攻略された。上げられたクロスへの対応も「自分と山越(康平・法3=矢板中央)がヘディングであまり勝てず相手が勢いづいてしまった」(松藤正伸・文4=FC東京U―18)とCBも相手の得意とする部分を消し切ることができなかった。「始めからあのサッカーをやってくるのが分かっていたし、それに対する対策をこの一週間ずっと取っていた」(栗田大輔助監督)が相手の形に対応し切れなかった。
明大のサッカーを90分間見せることができなかった。「球際などでしっかり競り勝っていれば、失点はなくて勝てたと思う」(神川明彦監督)と相手の強みを消すためには明大の良さを出す必要があったが出し切れず。攻撃面でも前半の間は相手に合わせてしまい蹴る場面が多かった。明大らしいサッカーができるようになったのは前半最後になってからと攻守両面で相手のサッカーに引きずられた。「分かり切っていることをやられるところに、今の明治にまだまだ足りないものがある」と神川監督は淡々と語った。
ビハインドを背負っても追いつく強さを見せた。2―1で迎えた後半13分。中盤から差波が浮いたボールを渡すと土居柊太(政経1=浜松開誠館)が落ち着いてトラップしてタメをつくり、矢島にワンツー。相手DFを背負いながらも「後はワンタッチして流し込むだけだった」(矢島)と相手GKが前に出てきて見えていたと言うコースにループシュートを蹴り込み、ボールはゴールに吸い込まれ同点ゴールとなった。公式戦では7月5日の天皇杯全日本選手権1回戦で決めたPK以来と3か月ぶりの得点。最近の試合ではシュートを打つ意識を高く持っており、今節も後半開始早々にシュートを放ち相手ゴールを脅かしていた。ようやくもたらされた結果に「すごく嬉しかった」と普段はクールな矢島も顔をほころばせた。栗田助監督も「一言で言うと信頼している選手なので、技術も高いですしサッカーを良く知ってる。点が取れてほっとしている」と信頼を寄せ起用を続けた矢島の久々の得点に安堵の表情を見
3点目を決められたが、またしても追いついた。追い上げムードの後半26分に再度リードを奪われ2―3と苦しい展開に。それでも後半30分に髙橋が左サイドを突破してシュートを放った。相手GKに弾かれたが、右サイドに流れたボールを室屋が詰めて蹴り込みゴールネットを揺らした。守備面で苦しんでいたSB二人が、3―4―3へのシステム変更で増えた攻撃参加での活躍で再び同点に持ち込んだ。今期リーグ戦初ゴールとなった室屋は「この試合で唯一チームに貢献できたところ」と得点を振り返った。
後期全勝を掲げていただけに悔しいドローとなった。攻め込みながらも決め切ることのできないシーンも見られ「引き分けになった事実が力不足を物語っている」(神川監督)と追加点を奪えなかったことが結果に直結した。次節は10位の東国大との対戦となる。今節見えた課題をしっかりと修正し、再び勝利を挙げたいところだ。今節、首位・順大が勝利し勝ち点差が3に開いた。上位の専大、早大も共に勝利を挙げたため同勝ち点となり、得失点差で専大に2位の座を明け渡し明大は現在3位。勝ち点3差の中に4大学がひしめく混戦となっている。後期リーグ戦も11試合中6試合を消化し折り返し地点となったが「自分たちのちょっとしたミスや気の緩みで勝ち点3を落としてしまう」(藤本)と負けられない戦いが続く。次節勝利を挙げ連勝街道に戻れるか。優勝に向け踏ん張りどころだ。
[谷澤優佳]
試合後のコメント
神川監督
「気持ちや気迫で押される場面が目立っていたので、それは大いに反省すべき。負けなくてよかった。勝ち点3を取れる試合だったけど、気迫や出足で駒澤のほうが上回っていた。そういうところはもう一回やり直しじゃないか。(失点は)分かり切っていることをやられるところに、今の明治にまだまだ足りないものがある。また見つめ直したい。2度追い付く力はあると思うので、最初からその力を出して、球際などでしっかり競り勝っていれば、失点はなくて勝てたと思う。引き分けになった事実が力不足を物語っていると思うので、またやり直したい。(連勝の重荷は)たしかにプレッシャーはあったかもしれない。うちは追いかけることしかできないので。勝ち点0よりはよかった。ただ大いに反省すべき試合だった」
栗田助監督
「常に先手を取られて2―0からのビハインドのゲームだったので、それを常にリードされながらも追いついたところは非常に選手が頑張ったかなと思うと同時に、反省するべき点、課題も見つかったのでそこは来週に向けてまた反省しなければならないと思う。勝つために試合をやっているので引き分けというのは悔しい結果ではあるけれど、流れから言えばよく負けなかったかなと捉えている。(見えてきた課題というのは)1対1のところだったり出足のところだったりというのを負けている部分があった。始めからあのサッカーをやってくるのが分かっていたし、それに対する対策をこの一週間ずっと取っていたのでそこに対してやられちゃったっていうのは、もう一回謙虚になって練習やらないとなと思っている。(駒澤に対する守備の対応)まずファーストの競り合いのところのヘディング、そのセカンドボールのところの落下地点のところは徹底して同じサッカーをしてくるので、そこに対して拾うというか前に入られないようにとはこの一週間ずっとやっていた。それとサイドから上げられたところが上げられちゃいけない、負けてはいけない選手が揃っている。室屋にしても髙橋にしても、そこで負けてFKを与えたりとか1対1で抜かれてセンタリング上げられたとか、もう一度彼ら自身も謙虚になって取り組まないといけないのかなと思っている。(HTに話したことは)ファーストの競り合いのところで、前半は苅部が落下地点に入っているんだけども山越も後ろから入ってきていたので、そこは苅部が競りなさいと。きちっと山越が後ろから相手、要は駒澤の選手は落下地点に入るのが上手なので、落下地点に先に入っている選手がまず競る、その後ろに下がったりした時に次の選手が割り切って待ってればそこでカバーができるので、そういう辺りの修正はした。あとは一点一点をきちっと。特に足元。縦には強いから自分たちのボールをよく動かして幅を使って確実に1点を取りに行こうという指示をした。(今まで点取れない中で矢島を起用していたのは)矢島は一言で言うと信頼している選手なので、技術も高いですしサッカーを良く知ってますから。チームのアクセントになるので、あとは点を決めるというところが彼の課題であって、そういう意味では点が取れてほっとしている。(3―4―3の意図)勝ちにこだわっていたので、3点目が余計だったけれど2―2の状態で3―4―3にして1点取りに行きたかった」
三浦佑介ヘッドコーチ
「(今日の試合を振り返って)残念なゲームだったの一言に尽きる。(勝てたゲームだったか)負けなくて良かったとも思うし、もちろん勝ちたかったという気持ちもあった。やはり優勝を目指していく上では勝ちたかった。(失点シーンは)1点目と3点目は修正をしなくてはいけない。クロスの対応のところなので。クロスを上げさせないという部分はチームとしてやっているが、もちろん上げられることがある。上げられたときに正しいポジションを取ってしっかりと対応するということは来週に向けての課題かなと思う。2点目に関しては相手のFKが良かったし、あれは仕方ないかなと思う。やることをやっての失点だった。(駒大のサッカーへの対応は)やはり相手のサッカーに付き合わないこと。前半20分くらいからだいぶボールをつなげるようになってきて(2点差を追い付けたことについては)しっかりとボールを回せば追い付けると思っていたので、2―2になったときの3点目が欲しかったかな。それが今日のドローの要因かなと思う。(システムチェンジの意図は)真ん中の人数を増やしてこぼれ球を拾いたいというのもあるし、サイドも高い位置を取って相手の両サイドハーフを下げさせたいという狙いもあった。選手には3―4―3行くかもしれないという話もしていたので、より攻撃的に勝つためのシステムチェンジだった。(次節に向けて)目の前の試合を一試合一試合勝つしか優勝はないので、選手と一緒になって頭も体もいい状態で次節を迎えたい」
松藤
「相手が単純に蹴ってくるというのが分かっていたので、自分たちは下でつなごうというのを意識していた。相手のストロングポイントのヘディングを消せればなと話していたが、自分と山越がヘディングであまり勝てなかった。そこで相手が勢いづいてしまったのが反省です。相手の2トップのFWが一人が競って逸らして、もう一人の方がひろったり、ボランチがセカンドボールを拾うというのが徹底されていた。そこのところの球際が強かった。もちろん勝ち点3を取りにいきたかったが、前半に2失点してしまった。前半の途中から下でつないでチャンスの時間帯をつくれていたので、そこからもう一回つないで一つずつ取って逆転しようと話をしていた。(次に向けての意気込みは)全勝を目指していたが、もう一つ落としてしまったので、来週は勝ち点3を絶対取りにいきたいと思っている。」
矢島
「こういう厳しいところで負けなかったのは収穫だったと思う。(リーグ戦後期初ゴールだったが)すごく嬉しかった。コースが見えていた。キーパーが出て来ていたのでシュートを打つだけだった。これからしっかり決めてチームに貢献できればいい。ずっと決めてなかったので。練習もしてたけどいつか入るだろうと思って、最近は試合の中でシュートを打つことを意識していて、それが今日結果につながったので良かった。点取れない間はずっといじられていた。そろそろ決めないとやばいと思ってたので決められて良かった。大事な試合で決められたのでそこは良かったと思う。(得点シーン)浮いたボールが来て、後ろの土居が見えてたのでヘディングで逸らした。土居が良い感じにキープしてくれてタメを作ってくれたところを、ワンツーみたいな感じで良いボール渡してくれた。後はワンタッチして流し込むだけだった。(HTに話したことは)絶対自分たちのサッカーをやっていれば点入ると思ってたので、前半も最後の辺りはつないでつないでチャンスはつくれていた。だからこのまましっかりやっていけば勝てるだろうという話をした。(次節に向けて)今日は1対1の部分とか甘いところがあった。クロス寄せ切れていないとか、1対1で負けたり、球際の部分で負けたり。そういう細かいところで今日みたいに勝敗に響いてくるので、そこはもう一回引き締めないといけないとこだと思う。個人的には点を決めていきたい。チームとしてはこの引き分けで落ちないで、勝ちをつかんでもう一回波に乗れたらいいかなと思う」
小谷光毅(政経3=ガンバ大阪ユース)
「(今日の試合を振り返って)3失点してしまうと、厳しい試合になってしまうなというのが一番の感想。失点の場面も一対一の甘さとかが出てしまったと思うので、練習からそういったところを突き詰めてやっていかないといけないなと思った。(途中出場時の指示などは)勝つというのを目指していたので、攻撃の面でいっぱいボールを触ってリズムをつくるよう指示があった。あとはシャドウで入ったので、藤本と倫太郎君(矢島)と3人で関係性というのを特に言われた。スルーだったり、フリックだったり、距離感を縮めて崩すことを意識した。(引き分けという結果については)負けてないので、前を向いて次の試合に勝つために、また集中して取り組んでいきたい」
高橋
「今日の試合、2失点最初にしてしまって苦しい展開だったけど、後半早い時間に追い付いて。でも次の一点っていうのが取れないのは課題かなと思う。駒澤はセットプレーとか身長が高い選手が多いので、クロスだったりセットプレーを注意してやったけど、自分が失点に絡んで、マークはずしてしまって。失点して逆に引きずるのではなく、切り替えてっていうのを意識してやった。まずは一対一でとられず、守備から入って自分の特徴である攻撃参加を増やしていけば得点に繋がると思った。点をとって追い付いたあとにもっと相手を追い込むというか攻撃して相手を引かせるというかそういうところがまだ甘いと感じた。(次節)負けは許されないし、優勝するためにも絶対勝たないといけないので今日の反省をしっかりして次に絶対勝てるよう頑張りたい。」
藤本
「前半で2点もよくない形で失点してしまったけど、前半のうちに1点を返せたのは大きかった。相手は単純にロングボールを入れてきて、分かっていたことだけど、個人のところだったりをもっと意識していかないと失点して厳しくなる。逆に攻撃面はどうだったかというと、3点は取ったけど4点目は取れなかった。それに2-2で追いついたときの3点目が取れなかったり、そこは課題。追いつけたことはリーグ戦を通して見たときにポジティブに考えていいけど、勝ち切れなかったので、とにかく残念。いつもの明治なら3点目を取られたあそこで終わると思うけど、もう一回3―3に追いついたのは、前向きにとらえたい。結果的に勝ち点1だったので、勝ち点3と比べて2ポイント落としている。でかいけど、また次から一つずつ勝っていくしかない。リーグ戦はどの大学にも特徴があって、自分たちのちょっとしたミスや気の緩みで勝ち点3を落としてしまう相手ばかりなので、一戦一戦戦っていきたい。相手のストロングポイントをつぶすくらい戦わないといけない」
山越
「相手のストロングポイントっていうのは分かっていたけれど、そこで2失点してしまった。そういったところでやらせない、相手のストロングポイントを消さなくてはいけないというのを改めて感じた。(1失点目と3失点目はクロスへの対応が甘かったが)上げさせたところがまず駄目だけれど中のマークとかもずれていた。そういったところの甘さがあったので、ああいう失点になったと思う。(失点シーンが同じような形だったが)上げさせないということがチームで言われているので、カウンターで1対1とかそういうところで負けていたので、球際とかもう一回1からやっていかなくてはいけないと感じた。(連勝に対しての思いはあったか)全勝目指していてそれはなくなったけれど、目の前の一戦一戦が大事になってくる。先を見ないで一つ一つ勝っていけば必ず優勝というのは見えてくるので、次の一戦に向けてしっかりこの1週間準備したいと思う。(修正点について)一人一人対人というか1対1の球際などで駒澤に負けていてそこは反省点だったので、そういった基本的なことから一からこの1週間準備してやっていきたいなと思う。今日引き分けで反省点もいっぱい出たので、次は失点0でしっかり勝ち切りたい」
室屋
「難しい試合だったけど、失点してから引き分けまで持ちこれたのはよかった。ただ勝つチャンスがあったのはたしか。(得点シーン)こぼれ球をつめただけ。とにかく同点に持ち込めたのは大きかったと思うので、この試合で唯一チームに貢献できたところだと思う。(アジア大会を経て意識は変化したか)自信にはなったけど、もっともっと攻撃の部分で違いを出せるはずだし、出さなきゃいけない。今日の試合もそうだけど、まだまだ足りない部分ばかり。(守備について)1対1というよりも、早めにクロスを上げてきていたので個人というよりもチームで対応したかった。どうしても上げられてしまうので。そういったとこをこの1週間で修正できたらいい。(過密日程で体調は)疲れないといえば嘘になるけど、成長できるし、サッカーやってること自体が幸せなので」
土居
「(スタメン起用だったが何を意識したか)竜司君(和泉)がケガしていての自分のスタメン起用だった。そういう中で竜司君(和泉)が居ないから、明治が勝てなかったとか思われないよう、自分らしさを出してチームに貢献しようと思っていた。(2点目の得点シーンは)ゴール前で浮いてるボールが来て、それをプレッシャーを感じずに落ち着いてトラップできた。そこから倫太郎君(矢島)にあまりいい形ではなかったが、なんとか落とすことができて得点につながった。(後半は明大らしさが出せたか)結構いい形はつくれたと思う。後半の立ち上がりのチャンスだったりを決め切らないと、こういう試合を落としてしまう。レベルが高くなるほど決定機は少なくなってしまうと思うので、もっとこだわっていかなくてはいけない。(次節に向けて)次節はスタートかベンチか分からないが、上位争いが激しいので、自分のやれることをやって勝ち点3を取りにいきたい」
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