エース和泉の決勝弾 1点守り切り筑波大との熱戦制す/関東大学1部リーグ戦

2014.10.05
 激闘を制した。前半立ち上がりは、両チームともに集中した守備で決定機をつくらせない。均衡したゲームが動いたのは前半32分、左サイドを破った髙橋諒(文3=国見)のクロスを中央の和泉竜司(政経3=市立船橋)がヘディングで合わせて先制。後半は筑波大の猛攻が続くが、GK三浦龍輝主将(商4=FC東京U-18)を中心とした守備で1点を守り切った。今節の勝利で後期開幕からの連勝を5に伸ばした。

 均衡を破ったのはエースの一撃だった。左サイドを突破した髙橋の正確なクロスに、ペナルティエリア中央付近にポジションを取った和泉が頭で合わせた。「相手が被って見えなかった」という和泉だが、緩く曲がったボールにタイミングよく反応。前半32分、値千金の決勝点となった。「諒(高橋)は一対一が強くて上がってきてくれるので、お互いにイメージができている」(和泉)と強い信頼関係が生んだゴールとなった。
 精度の高さを見せつけた。前節でも左サイドからのクロスで藤本佳希(文3=済美)の得点をアシストした髙橋。2試合連続でのアシストに「もっと攻撃に絡んでいきたい」(髙橋)と得意のオーバーラップに手応えを感じていた。

 後期リーグ全勝のチーム状態を象徴する試合となった。粘り強い守備で貴重な1点を守り切った。1点をリードして迎えた後半、現在最下位に沈んではいるものの、高い技術でポゼッションし猛攻を仕掛ける筑波大。それに対し「龍輝君(三浦)を中心に声を掛け合った」というCBの山越康平(法3=矢板中央)らは集中を保ち続けた。チーム全員の体を張った守備で最後まで同点を許さなかった。栗田大輔助監督は「チーム状態が悪かったら今日みたいなゲームは落としていたかもしれない」とにこやかに勢いに乗るチームへの賛辞を送った。

 チームを活性化した。両チームの運動量が落ちてきた後半15分に途中出場となった三苫元太(政経3=福岡U-18)。「誰よりも走ってチームに貢献しようと思った」(三苫)という言葉通り、前線から幾度となく激しいプレスを掛け続けた。マイボールになると裏へ抜けてボールキープ。攻撃の起点となった。また、右サイド室屋成(政経2=青森山田)のクロスに頭で合わせたシュートが惜しくもクロスバーをたたくなど、守備だけでなくしっかりとFWとしての見せ場を作った。後期は切り札的存在として出場を重ねる三苫。「得点にこだわっていきたい」とし烈なFW争いでの生き残りを誓う。

 後期開幕から明大の勢いは衰えず、今節の勝利で破竹の5連勝となった。勝ち点も33まで伸ばし、明日の試合で首位順大が敗れると勝ち点が並ぶ。「逆転優勝」。後期開幕時に掲げた目標は確実に現実味を帯びてきた。次節の相手駒大は筑波大とは違って、ロングボールを多用し前で勝負してくるスタイルだ。次節に向けて「一週間しっかりと準備をして、明治のサッカーを出して勝ちたい」と苅部隆太郎(商4=川崎フロンターレU-18)。5連勝に慢心することなく、最高の状態で次の一戦へと臨む。

[鈴木拓也]

試合後のコメント
栗田助監督

「(今日の試合を振り返って)筑波大は先週も順位以上に、いいゲームをしていて今日もこういう試合になることは分かっていた。だが、予想以上に苦しくなってしまった。(ゲームプランは)筑波大はつないでくるチームなので、前線からプレスを掛けて高い位置でボールを奪うことを心掛けた。(三苫について)三苫は非常に調子が良くて、チームに勢いを与えてくれる。彼が入るとチームのギアが一つ上がる。後期は特に貴重な選手となっている。(後期から負けなしの5連勝となったが)チーム状態が悪かったら、今日みたいなゲームは落としていたかもしれない。内容よりも勝ち切れているので、それによって修正点も見えてくる」

三浦主将
「(今日の試合を振り返って)この一戦に懸ける思いはみんな強かったので、まず内容というよりも結果として勝てたことが大きい。(後期開幕戦以来の無失点勝利となったが)明治は前線から守備をして、守備からの攻撃を目指しているチームなので、(後期)5試合やって、2試合しか完封できなかったってことは僕を含めDF陣に問題があるということ。まだ上位のチームとの対戦も残っているので、そこはもっと詰めていかなくてはいけない。(次節駒大戦に向けて)駒大のサッカーは筑波大と真逆なので、まずは基本的なところで相手を上回れば負けることはないと思う。まずは1対1や球際の部分でしっかりと一週間準備していきたい」

苅部
「内容は良くなかったが、こういう試合で勝ち切る力が明治にはある。苦しい試合でも勝てるのが、チームが成長しているということだと思う。(個人としては)試合前からボランチがカギになるという話があった。相手が回してくるチームなので、どこでボールを奪いにいくかというのをボランチ発信でやっていた。それがうまくいくシーンがよくあった。(いつもより前に出ているシーンが多かったが)相手のボランチが引いてボールを受けるというのを話していたので、僕か差波のどっちかが出ていくというのは決め事としてやっていた。(次節駒大戦に向けて)駒大は筑波大とは違うサッカーで、順位も高いチーム。一週間しっかり準備して、明治のサッカーを出して勝ちたい」

矢島倫太郎(政経4=浦和レッズユース)
「相手が回してくるチームで、前半プレスに行けていた時は良かった。後半の途中から引いてカウンターというサッカーに変えて、守り切れたのは良かった。(個人の出来は)守備は良かったが、攻撃の部分でもう少しきつい時間に起点になれるようなりたいと思った。この筑波大相手に無失点で勝てたのは大きい」

和泉
「いいボールがきたけど、正直相手がかぶって見えなかった。いい感じに当たって入ったので良かった。諒(髙橋)は1対1が強くて、上がってきてくれるので動き出せば、お互いにイメージができている。(筑波大について)パス回しがうまいので、縦パスを入れさせないことと、ゴール前でワンツーやフリックをしてくるのでそれをさせないようにした。されてもついていくことをチームとして心掛けた。(次節は)勝ち続けるしかない。今日の筑波大
とも違った蹴ってくるサッカーをしてくるので、最初しっかり競って、セカンドをしっかり拾うというのが大事になってくる。そこは来週にいい準備していい形で試合に臨みたい」

髙橋
「(アシストのシーンを振り返って)自分の得意な形というか、一対一で相手を抜いてクロスを上げられた。前節も同じような形でアシストできて、今日もアシストができたことは良かったと思う。(オーバーラップが目立っていたが)オーバーラップができてはいたが、まだまだ回数が少ないのでもっと攻撃に絡んでいきたい。(無失点勝利となったが)ここ3試合失点していて、チームとしても失点を課題に感じていたので、今日の無失点は大きな意味を持つと思う。(次節駒大戦に向けて)優勝するために絶対に負けられないので、チーム一丸となって勝ちにいきたい」

三苫
「(今日の試合を振り返って)相手が回してくるチームだったので、自分が入るときは誰よりも走ってチームに貢献できればなと思った。助監督から裏に抜けてくれという指示があり、それはできたと思う。(課題は)今日はずっと1ー0のままだったので苦しくなってしまった。もう1点取れたらもっと落ち着けたと思うので、ただ走るだけでなく、次は得点を狙っていきたい。(し烈なFW争いで必要になってくることは)FWは一番得点が求められる。自分はその部分で佳樹(藤本)にも竜司(和泉)にも負けているので、ただ走るだけではなくて得点にこだわっていきたい」

山越
「今4連勝していて、相手が(順位)下だけど自分たちがチャレンジャーの気持ちで臨もうとチームで話していた。パスを回されることは予想できたので、それでも最後のところでやらせないということを大事にした。(後期開幕戦以来)1失点だけどずっと失点していたので、そこは0で抑えようと気持ちがあった。後半はやっぱり苦しかったけど、龍輝君(三浦)を中心に声を掛け合った。苦しかったけど、踏ん張れた。そういった時間帯にははっきりしたプレーというのが大事になってくる。そういう割り切ったプレーができていた」