上田が全日本制覇! 悲願の大学初優勝/全日本学生体重別選手権大会

2014.09.29
 体重別の学生日本一を決める全日本学生体重別選手権で、100kg超級の上田轄麻(政経3=愛知県私立大成)が大学初優勝を果たした。6年ぶりとなった昨年に続き、2年連続で明大から優勝者を出した。同じく優勝を期待されていた橋口祐葵(政経2=延岡学園)は実力を出し切れずにベスト8。明大からの出場は7選手。各選手健闘するも、上位入賞は上田、橋口の2選手にとどまった。

 3年目での悲願達成となった。100kg超級で優勝を果たした上田。ここまで各大会で上位に食い込みながらも、頂点にまでは至らずにいた。個人戦での全日本制覇は実に小学5年生以来となる。久しぶりの全日本制覇、そして大学での初優勝に上田は「素直に嬉しい」と口数少なに喜びを語った。
 やられたらやり返す。決勝の相手となった佐藤(日大)には東京学生体重別選手権の決勝で一本負けを喫していた。因縁の相手ともいえる佐藤に対して「同じ相手に二度も負けるつもりはなかった」という上田。「気持ちの勝負だった」(上田)と振り返る決勝は、指導1つの差で優勢勝ちとなった。見事にリベンジを果たした上田だが「きっちりと投げなければいけなかった」と一本が奪えなかったことを課題に挙げた。課題の克服に努め、講道館杯での上位入賞を狙う。

 まさかのベスト8となった。5月の東アジア選手権で頂点に立ち、66kg級の優勝候補と評されていた橋口は準々決勝で西山(日体大)と対戦。「完全に研究されていた」(猿渡琢海監督)と得意の担ぎ技が出せず、相手を捕え切れないままゴールデンスコアにもつれ込む。ポイント奪取へ攻め続けた橋口だったが、最後は指導を一つ取られての優勢負け。不完全燃焼での敗戦に「何にしても甘かった」(橋口)と悔しさをにじませた。
 上田の優勝はチームに追い風をもたらすだろう。重量級の選手として期待が懸かる上田は「自分がしっかりと勝ってチームを引っ張りたい」と10月末の団体戦に向けて頼もしい一言。また、上田と共に今大会ベスト8以上の選手に与えられる講道館杯への出場権を手にした橋口も「何としても勝ちたい。こんなところで負けるわけにはいかない」と次の戦いでの雪辱を誓う。団体戦、続く講道館杯で明大旋風を巻き起こせるか。今こそ真価が問われる。

[鈴木拓也]

試合後のコメント
猿渡監督

「(上田について)内容的には褒められるところは少なかったけど、意地を出して気持ちの面で戦い抜いた結果が優勝ということになったと思う。今日の試合は70点ぐらいかな。投げて勝った試合は1試合だけだし、自分の持ち味を出し切れていなかった。どうしても勝ちたい気持ちが強すぎて慎重になってしまって、技ができていなかった。もっともっと練習通りの技が出せるように、これからやっていかないといけないのかなと思う。(橋口について)橋口は昨年の世界ジュニアで優勝して、誰もが強いと認める選手。だからこそ他大は研究してくる。準々決勝も完全に研究されていた。(橋口の課題は)一番は足技が少ないこと。負けて当たり前だと思っている相手との戦い方を身に付けていかないとさらに上には進めない。(赤迫について)大会前2週間は練習できていなくて、準備不足だった。体の動きもイマイチだったし、東京学生に比べたら自分の柔道ができていなかった(尼崎のポイント)尼崎は3本柱、4本柱といった団体戦を組むにあたっては4人が取れば勝てるし、3人取って2人引き分ければ勝てる。その辺のポイントゲッター、上田はもちろん、優勝できなかった橋口、キャプテンの赤迫、重松、その辺が1カ月でレベルを上げてもらって、全員が挑戦者の気持ちで向かっていければいい。一つ一つの試合でしっかり自分の力を出し切れれば、優勝も見えてくるので、最初から優勝ではなくて、一戦一戦足元すくわれないようにやらせたいと思う」

赤迫弘幸主将(政経4=延岡学園)
「1回戦は完璧なアップ不足だった。アップ不足と相手への油断があった。普通にやれば勝てる相手に、余裕を見せて試合をしてしまった。2回戦の丸山との試合は、思い切ってやろうと思っていた。でも、自分のしっかりとした形ではないまま組んでしまったから、負けてしまった。来月の体重別で最後なので頑張ってやって次は勝ちたい。1カ月間組手の面などを見直しながらやっていきたい。(橋口について)橋口も気持ちが切れていた部分があった。あいつはどう気持ちを切り替えていけるかというところ。優勝する力はあるし、講道館杯にも出られるので頑張ってほしい。減量が辛そうでしたし、思うように体が動けていなかったと思う」

上田
「(優勝した率直な気持ちは)素直に嬉しい。優勝は久しぶりだったので。(優勝はいつ以来になるか)小学校以来になる。(決勝の試合を振り返って)気持ちで負けないように前に出て、圧力を掛けることを意識した。気持ちの勝負だったと思う。(自分のやりたい柔道ができたか)完璧ではなかったが、やっていることは出せたかなと思う。(今大会を総括して)出だしがあまり良くなかった。決勝も指導の差だったので、きっちりと投げなければいけなかった。(決勝の相手佐藤は東京学生で敗れた相手だったが対策は)特に対策はしなかったが、二回同じ負け方はしないようにと思っていた。同じ相手に二度も負けるつもりは無かった。(最近の練習で取り組んでいることは)普段からたくさんOBが来てくれるので、本番に近い練習ができている。自分からお願いして実践的な練習に取り組んでいて、胸を借りるつもりでやっている。(今大会で見つかった課題は)しっかりと一本が取れるように、崩しとかをイメージしながら普段の練習を大事にしたい。(体重別団体ではキーマンになってくると思うが)自分がしっかりと勝ってチームを引っ張りたい。学年も上になってくるので、自分が後輩たちを引っ張っていきたい。(講道館杯での目標は)優勝と言いたいが、現時点では力不足。まずは上位、3位以上を狙っていきたい」

橋口
「相手の動きに合わせてしまって、全然自分の柔道ができなかった。(準々決勝の相手西山について)中学校が一緒だった。それで技が全部ばれていて、そこら辺で苦手意識があって、出遅れてしまった。(技出しについて)何にしても甘かった。キレもないし崩しもできてないし、全然自分の柔道が出せなかった。(ベスト8という結果)情けない。(尼崎の団体戦へ向けて)来週も試合になる。グランプリっていう。それが終わって、一週間後に尼崎、その後講道館杯なので、まだ3個残っている。(グランプリは)カザフスタンでやる大会。今日いろいろ反省点が見つかったので、日本人と外国人は違うが、今日負けて良かったかなと。個人的に狙っているのは海外なので。今大会初めてポイントが付く大会になる。ポイントは正直どうでもいいが勝ちたい。(今後について)講道杯はなんとしも勝ちたい。こんなところで負けているわけにはいかないし、そろそろ上がらないとまずいので。団体は自分が取って他を楽にさせてあげられたらと思う」