リーグ開幕 慶大に勝利し白星発進/関東大学リーグ戦

 リーグ開幕を白星で飾った。昨年3位の明大は、昨年6位の慶大と対戦。第2ピリオドで2点リードから同点に追い付かれるが、第3ピリオドにFW桂川涼(政経1=白樺学園)の初ゴールで勝ち越しに成功。試合終盤には2点を追加し、勝利を決定づけた。しかし「動き悪く、集中できていない選手も多かった」(藤井匡智監督)と内容には課題を残した。2か月以上に及ぶ長丁場のリーグ戦で、関東学生選手権に続く2冠目の獲得を狙う。

終盤に得点重ね勝利
 ルーキーの初ゴールがチームを救った。第2ピリオドで2点差を追い付かれ、同点で迎えた第3ピリオド。反撃ムードの慶大に押し込まれる厳しい展開にも、続いたピンチを耐えると迎えた11分。FW大津晃介(法3=日光明峰)からパスを受けた桂川が左サイドから中央へ侵入しスティックを一閃。パックはゴール左へと突き刺さり、これが値千金の勝ち越しゴールとなった。「初ゴールというのもあって非常にうれしかったが、その前の動きが全く駄目だった」と桂川。プレーに対する不満が口をついたが、チームを勝利に導く活躍を見せた。
 勝ち越しゴール後もピンチは続いた。第3ピリオド12分、15分と2度のパワープレーで追加点を奪えなかったことが痛かった。1人多い状況の16分にはパス回しからDF梶原聡人主将(政経4=北海道清水)が最終ラインでパックを奪われ1対1のピンチを迎えるも、GK佐藤永和(文4=軽井沢)がファインプレーでゴールを死守。試合終了間際にもキルプレーから6人攻撃を仕掛けられ、同点のチャンスを作られる。しかし、フィールドプレーヤーが2人少ない状況からFW大椋舞人が慶大DFからパックを奪うと、ニュートラルゾーンから無人のゴールへ流し込む待望の追加点。このゴールで集中力を切らした慶大のスキを突いた大津が個人技からダメ押しの5点目を奪うと、ともにブザーが鳴り響き試合終了。苦しみながらも、しぶとく勝利を奪い取った。

2冠獲得へ課題残す
 白星発進にも不安は残る。藤井監督は「一つ一つ結果を残すという意味では、負けるより勝ったことは良かった」と勝利へ一定の評価は下したものの、勝利を手放しで喜ぶことはしなかった。DF松金健太(法2=釧路江南)は「昨年も今日の試合と同じように、開幕戦は勝ったものの、良い勝ち方は出来なかった」と厳しい表情で振り返る。昨年のリーグ開幕戦は法大に3-2で勝利したものの波に乗り切れず、第3戦の対中大戦に6失点で敗れるなど序盤で苦戦した経験がある。この日も「内容から言えば、だらしない試合だった」(梶原主将)と実績で上回りながら思わぬ苦戦を強いられた形ではある。優勝を狙うチームにあって、開幕戦の1勝は楽観できる勝利ではない。
 それでもこの日の勝利は、今年の明大の真骨頂ものぞかせた。関東学生選手権では準決勝の対早大戦で逆転勝ちを果たし、決勝の対中大戦でもGWS戦の死闘を制した。リーグ戦直前に行われた大学アイスホッケー交流苫小牧大会(サマーカップ)でも2年連続の優勝を果たすなど、ここまで勝負強さが際立つ。圧倒的な内容でなくとも、確実に勝利を手に出来るチームに成長を遂げつつある。梶原主将は「みんなの動きが悪くても勝ち切れるチームになっていて、それが強みにもなっている」とチームの完成度に自信を見せる。この日先制点を決めた永井遼(営3=白樺学園)が「必ず獲ると気持ちは固まっている」と言うように、リーグ優勝への執着は際立って強い。今年ここまで2大会を制してきた経験を生かしたホッケーが、リーグ優勝へ向けた強みとなる。

 中1日で第2戦を迎える。相手の法大は開幕戦で東洋大に敗れ黒星スタート。関東学生選手権、サマーカップと2度とも勝っている相手ではあるが「秋リーグどんなことがあっても絶対負けは許されない」(大津)と選手には緊張感が漂っている。「一戦一戦、みんなが全力で戦えば絶対秋リーグは優勝できる」と梶原主将。開幕2連勝でリーグ優勝へ弾みをつけたい。

[高田悠太郎]

試合後のコメント
藤井監督

「動きが悪く、集中できていない選手が多かったです。軽いプレーも見られました。ですが、一つ一つ結果を残すという意味では、負けるより勝ったことは良かったと思います。(サマーカップ優勝については)合宿で追い込んだ疲労があった中で、よく頑張ったと思います。ただ、ペナルティーなどプレー以外の部分で課題がありました。(次戦は)まず自分たちの力を出すこと。自分たちのスピードでやれば、法大だろうとどこであろうと勝てると思います。逆にそれが出来ずに60分を終えてしまうと、相手がどこであろうと勝てるほど甘くないと思います。1日空くので仕切り直して、やることをしっかり確認して今日より良いプレーをして欲しいと思います」

梶原
「内容から言えば、だらしない試合でした。気持ちが入っていた割にはいい動きができていなかったです。ただその中でも、夏の試合も含めですが、今の明治はちょっとみんなの動きが悪くても勝ち切れるチームになっていて、それが強みにもなっています。今日は負け試合ですが、この勝ちをもったいなくせずに、今後反省して生かしていきたいですね。FWに関しては、そこまで悪い動きはしていませんでしたが、点数を決めるべきところで決められなかったり、最後のほうは苦しい動きになってしまいました。DFはパックを持ちすぎたりと、直すべき部分がたくさんあります。FWの攻撃につながる、起点となるパスを全員が出すことが課題だと思います。(チームの雰囲気は)いい状態だと思います。今日幸い勝つことができ、チームのモチベーションは下がっていません。(夏は)ずっといい状態であったわけではありませんでしたが、疲れている中悪いプレーもありながらも、勝てることできたことが今の明治の強さだと感じました。勝ち切れるチームが出来上がりつつあります。夏のいいところは秋リーグに持ち越していきたいと思います。もちろん三冠は最大の目標です。秋リーグは期間が長く、一戦一戦に標準を合わせていくことができます。今までの明治はもったいない試合が多かったですが、一戦一戦みんなが全力で戦えば絶対秋リーグは優勝できると思っています。その意識を忘れずに、キャプテンとしてみんなに声を掛けていけばいいです。(法大戦に向けて)相手はどこであろうと同じです。法政もいいチームになっているので、それに負けないように一人ひとり力を発揮して、チームプレーに徹して戦いたいと思います」

大津
「サマーカップで勝って、必ず一人ひとりが秋リーグ一戦一戦を大事に戦っていこう、という中でのこの試合だったので、やはり気の緩みというか、一人一人の考えがバラバラだったと思います。そこを見直して次戦いたいと思います。(試合を振り返って)自分が絶対条件として思ったのは、チームに徹するプレーを全員ができていなかったです。逆に慶応はチームに徹して、一人一人がチームのためにプレーができていました。それが今日の結果だと思います。そういうところは明治も見習うべきというか、もっと駄目なところを改善すべきだと思います。自分はできるだけどの試合も調子をフラットにするという目標があって、この秋リーグ中は特に、波をつけない。いい時も悪い時もあるのではなくて、いつでも調子を上げた状態でホッケーができるようにするために私生活を組もうと思っていて。今日は全体として一番、チームに徹するプレーというのと、もう一つは全体としてスピード感がないホッケーだった。もっともっと自分を出せると思うので、それを出すためにどうすべきかだと思います。秋リーグどんなことがあっても絶対負けは許されない、その中で今日勝てたのは良かったですし、どんなことがあっても踏ん張って、初戦はあんなことだったけど最終的には明治が粘り勝つんだという強さ、どんな時でも負けないという所に強い意識を持っているのが明治だと思っているので、そこを今後もしっかり出せるように、一つ一つのプレーであったり、練習に取り組んでいきたいと思います。(二冠は)絶対取ります。それ以外に考えていないです。明治は秋リーグをここ7年間くらいとれていないらしいので、いつとるのとなったら、自分たちの今この状況でしかない。とれるチャンスがあって、とらないなんて自分は考えられないので、絶対とりたいと思います。(法大戦に向けて)今日駄目だったところをしっかりみんなで見直して、もう一つステップアップしたいです。自分たちはスピードだったりで相手に打ち勝つチームなので、そういう長所をもっと出してミスを少なくするホッケーをしたいと思います。個人としては必ず2点決めようと思っていて、セットとしても必ず失点をゼロにするというところに重点を置きながらホッケーをしたいと思います」

永井
「苦しい試合で勝ち切れたのは良かったですが、勝てたことが幸いというか、次につなげることができて良かったです。(得点に関しては)それは自分たちFW陣の責任で、厚みのある攻撃ができなかった。チーム、FW陣全体でもっと貪欲にゴールに向かっていかないとこれから苦しい試合が続くと思うので、決め切らないといけないと思います。(1点目のゴールシーンについて)絶対初戦で決めて勢いに乗ろうと決めていたので、決められて良かったですが、今日に限っては1点にとどまらずもう1点、苦しい場面で取りたかったというのが正直な気持ちです。今日は個人としても、チームとしても30点くらいですかね。(法大戦に向けて)この勢いを保ちながら、悪いところは改善していくのと、個人的には必ず一点は決めたいと思います。自分が入学してからもそうですし、明治はしばらく秋リーグで優勝できていないので、必ずとると気持ちは固まっているので、絶対とりたいと思います」

松金
「サマーカップでは、明治の得点力はどこにも負けないことが証明できたと思います。ただ、その得点力に頼って守りをおろそかにしている印象があります。攻めたら1点も取れないチームは無いと思うので、まず守りから、一人一人が危機感を持って欲しいと思います。そういったプレーではいつ負けてもおかしくないですし、ロースコアで勝てるようになれば強くなれると思います。ミスが多かったのは氷の影響もありますが、それは相手も一緒で言い訳にはできない。昨年も今日の試合と同じように、開幕戦は勝ったものの、良い勝ち方はできませんでした。春もサマーカップでも勝っていますが、あまり深く考えずに平常心で。ミスなく、味方のサポートが出来る運動量は確保したいと思います」

桂川
「自分の状態はあまりよくなかったです。チーム全体的としても最初ということもあり、あまり動きがよくなかったと思うのですが、結果的に勝ててよかったです。合宿からみんな真剣にやっていて、大会でも非常にみんな動けていて良い結果が出たのでよかったです。初ゴールというのもあって非常にうれしかったのもありますが、その前の動きが全く駄目だったので、最初から力を出せるよう頑張っていきます」