
開幕2連勝 立て直しに苦しむも慶大から勝利を収める/秋季関東大学1部リーグ
濱中俊生(商2=弥栄)のライン際に落ちたスパイクで試合は始まった。明大が得意とするコンビバレーが研究され思うようにはいかなかったが「サイドで勝負した」(濱中)と臨機応変に対応した。杉本のフェイントを交えた緩急を付けた攻撃で相手を翻弄(ほんろう)し、逆サイドの濱中も相手を散らす力強いスパイクで得点を重ねていった。慶大の堅いレシーブに苦戦し、サービスエースを誘発されるなど明大はリードを保つことはできず、一進一退の攻防が続くも最後は原潤一(文3=習志野)のブロックで第1セットを制した。流れをつかんだ第2セットでは杉本の相手の頭上をいくスパイクとセンター陣のブロックがさえ渡り危なげなく勝ち取った。
このまま第3セットも連取すると思われたが「勝てると思っていた自分たちもいたし、勝ったと思っていた自分たちもいた」(與崎風人・政経3=鹿児島商)。第2セットで生まれた余裕があだとなり目に見えて調子を落としていく。決まっていた2枚ブロックも抜かれ、エース杉本の攻撃も慶大のブロックに阻まれ苦しんだ。第1セットと同様に1点を争う接戦となり29―29の同点にもつれこむ。しかし次につなげたい慶大のサイドからの攻撃に押され30―32でこのセットを落とす。第4セットも流れを変えることができなかった。引き続きサイドからの攻撃で連続失点をし、一度もリードを奪うことができないまま大差をつけられ慶大に連取を許した。
後がなくなった第5セット。「セットを落とすことでしか切り替えができなかった」(濱中)とチームも引き締まった。杉本がレフトからの攻撃を決めチームの雰囲気を盛り上げると、原、小野寺徹(営3=東洋)、濱中ら下級生を中心に慶大の守りを崩していく。13―8の場面から4連続失点で追い上げを許したものの最後はエース杉本が決めた。スパイクが一度ブロックに阻まれたがそのボールに政井拓歩(営2=尼崎)が即座に反応。もう一度杉本にトスを上げ攻撃に転じ、ネット真下に落ちるスパイクで開幕2連勝を飾った。
取れたはずの第3セットを落とし、悪い雰囲気の切り替えに2セットかかり、チームの立て直しという点に課題の見つかる試合だった。3戦目の対戦相手である専大は東日本インカレで優勝しており、秋季リーグ戦も2連勝中と今最も勢いのあるチーム。いかにモチベーションを保つかがカギとなる。
[荒井希和子]
試合後のコメント
杉本
「慶大は柳田がいない分、ライトやレフトに散らしてくるだろうと思ったので、一つずつブロックをして封じていこうと考えていた。けれど思ったほどうまく機能しなかった。ボールが自分に集まってきたが、自分が引っ張るべきだと思っていたし、ボールを持ってきてもらえれば打つという心構えで、決め切る気持ちを持ってやっていた。最近スパイクを満足に打つことができなくて、ふかしてしまったり思ったコースに打てなかったりして引きずっていた。なぜかということを考えたときに、決め切るという気持ちを持って打てていなかったのだと思った。なので今日はそのような気持ちでできて結果が出た。サーブでは自分か瀧野かと考えたら自分が狙われるのは分かっていて、1セット目は良かったけれど3セット目あたりからセッターのところにうまく返らなくなってしまった。そこはちゃんと政井に返さなければいけないと思った。3セット目競り負けてしまったが、今考えても技術や戦術が劣っていたというよりも、勝とうという気持ちが負けていた。3セット目を取れば3―0で勝てたけれど、手を伸ばして勝ちを取るという姿勢が足りなかった。慶應も負けたくないという気持ちがあって、それに負けて取られてしまった。3セット目を競って取られたことが精神的ショックで、頭の回転などが止まってあのような第4セットになってしまった。5セット目が始まる前に中村や有田が鼓舞してくれてある程度切り替えることはできた。個人として、序盤の5点分をスパイクで決めようと思って、政井にもトスをくれと伝えた。ブロックの上から打つこともできて、相手の心も折れたと思うし、チームに火を付けることもできて、自分の仕事は行動で示して果たせたと思う。最後5点分も決めたかったけれど、レシーブがうまく返らなくてできなかったというのが反省としてある。専大戦へ向けて分析をして対策を立てていく。明治の攻撃は杉本、と言われることが多いけれど自分だけではない。自分一人が目立っても仕方がないし、自分の裏を突いて濱中だったり、小野寺、原、與崎といった攻撃陣もいるぞということを見せたい」
與崎
「エースが決まらなくなってきた第3セットのような場面でどれだけ頑張れるかが自分の仕事だと思っている。今日は良かったと思うが全試合で平均的にできるようにしたい。慶大はレシーブの固いチームだった。空いている場所があってもそこにフェイントをすればレシーバーが飛んできた。なのでブロックに来た相手をふっとばしてワンタッチで外にはじき出して点を取ろうと意識していた。ブロックは1枚で勝負することはよくあったが2枚でいくということが少なかった。センターと話してどこに絞るかを決めて場面場面で変えていった。でも2枚そろったときにも抜かれたりとまだうまくいっていない。確実にブロックできる形を作っていきたい。第3セットは気持ちの問題だった。勝てると思っていた自分たちもいたし、勝ったと思っていた自分たちもいた。そこでモチベーションが切れてしまってそのまま次のセットでも引きずった。まだコンビが合わないのがこれからに向けての課題。ライトバックの攻撃が決まってくれば全体的に楽になると思う。1週間詰めてまた来週やってきたことができればと思う」
濱中
「サーブキャッチから最初の得点を決めて流れをつくりかけたが、その後自分のサーブミスで流れを断ち切ってしまった。慶大も研究してきたようでコンビの攻撃が効かなかった。そのためなるべくサイドで勝負した。点数が競っている第1セットでは自分の持ち味のバックアタックが使えなかった。その結果杉本さんにボールが集まり、ブロックも単調になってしまった。やはりバックアタックをもっと使っていかなければいけないと思った。第2セットが比較的楽に取れたので心にゆとりができてしまった。それを全員が分かっていながらも気持ちを切り替えることができず、締まらないままプレー続けてしまった。セットを落とすことでしか切り替えができず結局第5セットまでもつれた。お互いに疲れて体が動かなくなっていて、気持ちの強い方がこの試合で勝てると思った。今回よく立て直せたと思う」
関連記事
RELATED ENTRIES