男子舵手なしクォドルプル初優勝! 男女3種目で優勝果たす/全日本大学選手権大会
連覇を達成した。男子舵手なしフォアはスタートで腹切れし、最初の500mで2位立大に一艇身の差を付けられたものの700m付近では調子を取り戻し1000mでは首位に立つとその後もトップを守り切った。野原哲(法3=美方)が疲労骨折し一時期練習ができなくなるなど、困難を乗り越えつかんだ優勝だった。片岡勇太郎は「レース中に化けることができた。1日1日、常に成長することができた」(理工4=銀河学院)と笑顔を見せた。
明大初の優勝だ! 男子舵手なし舵手なしクォドルプルは、スタートこそ日大に出られたが、1500mで巻き返しに成功。「このチャンスを逃したらもったいないと、励まし合いながら必死でこいだ」(櫻井克茂・法2=加茂)。ゴール直前で追い上げを見せた日大とのデッドヒートを制し見事優勝を果たし、明大の歴史に名を刻んだ。狙い通りのレース展開だった。大会4日前には一番強いところと並べ実力を試そうと、申し込んだ練習試合で日大にスタートで大差を付けられ大敗を喫した。「スタート500mで一艇身も出られてしまった。決勝は持ち味のコンスタントを生かす作戦だった」(濱口稜・政経2=法政二)。作戦が見事にはまった。クルー中村裕喜(法3=宮津)、櫻井、濱口、森猛(商1=岐阜県立加茂)と下級生が多く「まだ確固たるこぎがないクルーだった。褒めるよりも、多少悪い言葉を使ってでも指摘することで変わる可能性に懸けた」。中村を中心に技術向上に努め下半身を力強く使ったこぎ、低いレートでの練習、長距離の強化が実を結んだ。
圧倒的なこぎで実力を見せつけた。スタートからの500mでトップに出ると、その後も順調にリードを広げそのままゴール。2位に約12秒もの大差を付け、圧巻の優勝を果たした。7月末には世界選手権に出場し、7月31日に帰国。インカレまでの練習期間こそ短かったものの、第2、3クォーターでペースを落とさないフィジカルの強さ、技術面では上体をリラックスさせ「ぶらさがって」こぐというU23日本代表での練習の成果が生きた。帰国翌日からは故郷の鳥取県米子での合宿で男子舵手付きペアとタイム差を付け、並べて練習。中盤の粘りの強化が決勝のレースに成果となって表れた。もともとスタートに苦手意識があり、予選、準決勝と満足のいくスタートを切ることができなかったが決勝では「今日はいいスタートが切れた」と成長を実感。タイムは7分55秒64で、目標としていた8分を大きく上回った。文句なしの優勝にも「優勝はしたけれど、上には上がいるし強い人はクォドに乗っていた。自分はまだまだ」と成長に貪欲な姿勢を見せる。来月に控える全日本選手権に向け「実業団や社会人に勝てるように優勝目指して頑張ります」とさらに大きな舞台での活躍を誓った。
目標に掲げていた男女総合優勝こそかなえることはできなかったが、昨年の2艇から3艇へと優勝艇を増やし、昨年度を上回る結果を残した。創部110周年の節目の年を男女総合優勝で飾ろうと奮起した今年、伝統をどのように各自が受け止め実践していくかが端艇部の今年のテーマだという。男子舵手なしクォドルプルは創部初の優勝を果たし、節目の年を彩る歴史として確かに刻み込まれた。9月には4年生の現役引退試合となる全日本選手権が控える。新たな歴史をつくるべく、最後まで全力で駆け抜ける。
[鈴木千明]
レース後のコメント
荒木祐介主将(政経4=熊本学園大附・男子舵手付きフォアクルーリーダー)
「(インカレを総括して)いろんなところと戦えるチームになったと思う。結果的に自分たちの代で総合優勝は果たせなかったが、次につながるいい大会だったと思う。(決勝のレースは)序盤にミスがあったが、その後も積極的に上を目指してやれた。自分を含め、メンタル面が強くなったことを感じた試合だった。諦めずにやれたのが良かった。(主将としてチーム引っ張ってきたが)楽しかった。チームが成長しているなと日々感じることができたので。次につなげてもらいたい。立派なチームになったなと言ってもらえたことは誇りに思う。(3艇が優勝を収めたが)男女であと1艇ずつほしい。それは来年に持ち越しということで。年々チーム力が上がっているという証だと思う。(全日本への意気込みを)全日本は新チームが主体となると思うが、次の時代に向けて新しい一歩を踏み出したい」
小林剛大(商3=岡谷南・男子舵手付きフォアクルー)
「(決勝のレースは)予選、準決勝と僕らの一番の強みを確認をしながらのレースだった。500から1000まではどのチームにも負けていなかったから、500までをトップで通過できるようにという話をしていた。でもスタートで出ることができなかった。序盤でのミスをうまく立て直せなかったのが反省点だと思う。(期待の懸かるクルーだったと思うが)荒木さんと菅さんを優勝させるのが後輩の仕事だと思っていて、僕も菅さんも昨年は僅差で2位だったので、今年はリベンジしてやろうと思っていた。4年生と1位の表彰台に上がれなくて残念だった。(インカレを総括して)先輩も後輩もいるこのクルーはとても楽しかったが、クルーを勝たせるのが3年生の役割だと思う。この悔しさをばねに来年に向けてもう一回頑張りたい。(インカレで見つかった課題は)レース中に悪い部分をどうやって立て直すかということと、自分がクルーを盛り上げられなかったこと。(全日本への意気込み)社会人もいてレベルの高いレースになると思うが、表彰台目指して頑張りたい」
大竹崇寛(商2=東濃実・男子舵手付きフォアクルー)
「(決勝のレースは)序盤でミスがあってそのミスをどう立て直すかというのが今回のレースだった。誰も予想していなかったミスが本番で起こって、それをクルーで立て直せなかったことが3位につながったと思う。それでも全員が攻める意識を常に持ち続けられたことは、全日本につながるレースだったと思う。出走クルーが多い中で全国3位は誇れる結果だと思う。(期待の大きいクルーだったと思うが)昨年も主将と乗って、今年も主将と乗って負けてしまった。主将を笑顔にさせてあげたいが、それは一人ではできない。全日本でも同じクルーに乗ると思うので、勝ちにいきたい。(インカレを総括して)徐々に良くなっていったと思う。予選、準決勝と修正をしながらできた。(全日本への意気込み)社会人チームがいる中で日本一を取りたい」
川野陽平(政経1=熊本学園大附・男子舵手付きフォアクルー)
「(初のインカレを振り返って)荒木主将と乗って、先輩方から学ぶことも多くて、優勝したかった。決勝ではスタートでミスがあって、日大と東海大に出られてしまった。結果としてはすごく悔しい。対抗クルーに乗って驕っていた部分もあったので、負けたことによって気持ちの甘さを見直すことができた。(期待の懸かるクルーだったが)プレッシャーが無かったといえばうそになるが、そんなことは言っていられないのでクルーを勝たせることしか考えていなかった。(インカレを総括して)予選、準決勝とだんだんと良くなっていった。決勝前の練習でも調子が良かったので、いけるかなという気持ちはあったが、甘くなかった。(全日本への意気込み)ミスってしまったので乗れるかは分からないが、乗ったらベストなパフォーマンスをしたい」
菅康行(法4=熊本学園大附・男子舵手付きフォアコックス)
「(決勝のレースを振り返って)攻めきることができた。レース前から攻めようと言っていたので、それができて良かった。(決勝ではどんなことを意識したか)予選も準決勝も1000でほとんど勝負を決められていたので、そういうレースをしようっていうのがあった。そのためには、スタートでもっと突っ込んでいこうと話していた。(期待が大きかったと思うが)どちらかというと荒木を勝たせたいという思いが強かった。プレッシャーにもなるが、そこを力にみんな頑張っていた。(クルーの雰囲気は)練習の段階からどうやって優勝するかを考え続けていて、そういう面ではすごく良かった。ラストの決勝で一番いいこぎをするために、予選、準決勝と試合を通していい雰囲気が作れたと思う。(今までのインカレは)勝ち切れない。ここまでクルーに連れてきてもらった部分もあるし、漕手には感謝している。コックスとしてもっとできたことがあったなと思う。(今回のインカレは)全体としてインカレへの雰囲気がすごい良くて、全ての艇が勝負できていたと思う。荒木を中心に作った雰囲気だと思う。なしクォ、なしフォアは本当によくやったと思うし、付きフォアも調子が良かったので優勝できなかったのは悔しい。全体として雰囲気を作って、総合優勝も見えたインカレだと思う。来年は取ってほしい。(全日本に向けて)悔しい反面、全日本への期待も大きい。全日本では表彰台に乗ったことがないので、最後絶対に表彰台に乗って有終の美を飾りたい」
梶谷嶺(法4=諏訪清陵・男子舵手なしフォアクルーリーダー)
「ほっとした。昨年以上に総合優所を狙える位置にいたが、シングルと付きペアが4位だったのでチームを盛り上げなければと思っていた。バウの自分が状況を見て声を掛けて、みんなも切り替えて反応してくれた。崩れても1本で立て直す練習をしてきたので、そのスタイルを貫いた。自信はあった。今日はスタイル通りにならなかったが勝つことができた。レースの度に変わろう、変化しようということを話していた。敗者復活戦は化けるための過程としては必要だった。敗者復活戦から準決勝という流れが良かった。予選で負けても落ち込むことはなかった。片岡が盛り上げてくれて、2人でバランスを取りながらやってきた。明治の男子は急成長をしている。それでもまだ練習量が足りない。もっと練習しなければならない。真面目にやるということを貫いてきて、今日のように全日本でも勝って真面目にやれば結果が出るということを証明したい」
片岡勇太朗(理工4=銀河学院・男子舵手なしフォアクルー)
「スタートで大きなミスをしてしまった。腹切れして船が傾いてしまった。出だしは最悪で1挺身出られたと思う。それでも700mぐらいから落ち着いてこぐことができた。レース中に化けることができたと思う。日頃できないことができた。1日1日、常に成長することができた。予選はオーバーペースで入ってバテてしまい反省が多かった。立大が強いのは分かっていたが、正直焦りはあった。それでも切り替えて敗者復活戦で持ち直した。クルーの強みは個性が強いところ。性格はばらばらだが、合わせてきた。1週間前に思い切ってシートを変更したのが案外良かった。功を奏したと思う。楽しむことを第一に、ミスオールをしても立て直そうということを話していた。それから元気良くずっとやってきた」
野原啓(法3=美方・男子舵手なしフォアクルー)
「大学に入ってから初めて1番で、高校時代を含めても初めての日本一。ミスで出遅れて、自分のせいで負けたくなかった。梶谷さんの声掛けが支えになった。500mで出られても全員が焦らずクルーを信じてこげた。疲労骨折をしていて、歩くだけでも痛かった。痛み止めを飲んでいたが、不安と言えば不安だった。それでも出るしかないという感じだった。練習できなくて申し訳ない思いだった。レースで成長できたと思う。昨年は付きフォアに乗って2位だった。今年は絶対に4年生を勝たせたいと思っていた。不安な空気もあったが、やるしかないという感じだった。来年はみんながキャプテンというつもりで高い意識を持ってやっていきたい」
河井京介(法1=関西・男子舵手なしフォアクルー)
「信じられない。スタートで出遅れて焦りがあったが切り替えることができた。すぐ出ずについていった。梶谷さんの正確な声掛けに支えられた。4年生を勝たせて送り出したいと思っていた。心配はあったが、実力があれば勝てると思っていた。4年生の2人からは『河井が乗ってくれて良かった』と言われた」
冨田千愛(政経3=米子東・女子シングルスカルクルーリーダー)
「予選、準決勝とスタートがうまくいかなくて遅くて、納得のいかないレースになってしまったけど、前半で頭とって後半につなげるということをもう一度意識して今日はいいスタートが切れたと思います。8分きるという目標を達成できたので良かったです。スタート500をとれたことも良かったと思います。優勝はしたけれど、上には上がいるし、強い人はクォドに乗っていたので、自分はまだまだだと思います。世界選手権では2000mをたるむことなく、第2クォーター、第3クォーターでペースを落とさないフィジカルの強さをつける練習をしてきました。技術的なことでは、こぎの矯正を重ねました。上体をリラックスさせて、専門的なことで言うとぶらさがるようにこぐといった感じです。今日はそのこぎができたと思います。決勝が始まる前は、周りから「優勝確定だね」「期待してる」などと言った声を掛けられて、勝って当たり前のような雰囲気があったので、プレッシャーがあって緊張しました。それでも直前には開き直って、前半とれればこっちのもんだというくらいの気持ちで臨みました。レース中は伴チャの声援が聞こえてきてとても励みになりました。合宿ではつきペアとタイム差をつけて並べてこぐ練習をしました。1500mで、だんだん追いつかれる中での中盤の粘りを強化することを目標としていました。来月の全日本では何の艇に乗るのかわかりませんが、実業団や社会人を倒せるように優勝目指して頑張ります」
中尾真琳(農2=熊本学園大附・女子舵手付きクォドルプルクルー)
「今日のレースはスタートが一番よかった。足りなかった訳ではないが、他の大学の方が勢いがあった。それが敗因かなと思った。プレッシャーというより男子が2つ優勝して続こうと思って、雰囲気はとてもよかった。何も守るものはない。攻めるだけだという強い気持ちで臨めた。今までは第2、3、4クォーターは同じペースくらいだったが、今日は最後上げれてよかった。全日本ではリベンジを。トップボール一つ分でも出れば勝ちなので、勝ちにこだわってやっていきたい」
有山裕美子(文2=浦和一女・女子舵手付きクォドルプルクルー)
「前半500mは自分たちの思うようにできたが、後半が思うようにいかず自分の力不足を感じた。ただただ結果残せなくて悔しい。プレッシャーは普通だともっとあるはずなんですけど、このクルーはプレッシャーを感じるよりもレースを楽しもうという気持ちが強くて、変な緊張やプレッシャーなく試合に臨めました。ここで下ばかり見ても仕方ないし今日の負けをしっかり生かして意味があったと振り返られるような自分になれるようしっかり努力していきたい」
里村杏香(農2=青森・女子舵手付きクォドルプルコックス)
「まず楽しかったです。でも悔しい。ラストスパートが課題だったで東日本の時よりも練習を重ねる事が出来たが、ラストで置いていかれてしまった。コールを早くかけすぎて、それが逆に自分自身が焦ってしまう事になり、それがクルーにも伝わっちゃったのかなというのが私自身の課題でもある。プレッシャーというより男子が優勝を取ってきて、私は流れに続くぞと楽しみでした。全日本で必ず優勝します。4年生がその大会で引退なので明治魂を見せたいです。今回のインカレで私自身たくさんの課題を見つける事ができたので、それらを生かし優勝に導けるようなコールをできたらなと思います」
植松香穂(文1=岐阜県立加茂)
「前半は攻める事はできた。あとに残るものは何もないから全部出し切って終わってやろうと思って臨んだ。ラストのあと、ひとふんばりが足りなかった。ラストのスパートというの課題がすごく明確になった。体力が足りないなと思った。発艇前、沢山の人に声かけをしてもらって改めて本当に沢山の人に支えられているんだなと思った。絶対勝ちたいと思った。インカレではなんとしても勝とうとしか考えてなかった。個々の力も大切だが、クォドはまとまった所が一番強いと思う。やり切った感はあるけど、本当に悔しい。クルーやチームのために結果を残せなくて本当に悔しいから何がなんでも全日本までに出来る事やって、次は表彰式のてっぺんにのぼりたい」
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