ルーキー特集(2)
川野陽平(政経1=熊本学園大付)
偶然の出会いだった。川野がボートを始めたのは高校から。中学までサッカーをやっていた川野は、高校でもサッカーを続けるつもりだった。しかし、入部届を出し忘れ、サッカー部に入部することができなかった。そこで、友達に誘われボート部の見学へ。見学で魅せられた川野はボート部への入部を決める。これが川野とボートとの出会いだった。
入部当初はボート部の厳しい練習に驚き「サッカーよりもきつかった」と振り返ったが、高い身体能力はすぐさま頭角を現す。1年生大会で校内一のタイムをたたき出し、ボートでの自信を得ると、その後も著しい成長を遂げ続けた。高校時代の輝かしい成績の中でも、ダブルスカルで逆転優勝を果たした3年次のインターハイが一番の財産だと語った。
他大学からの誘いの声もあったという川野が明大を選んだ理由は、明大の指導スタイルにあった。明大の練習は学生主体で行われる。監督によるミーティングは週に1回、コーチ陣が指導するのも土、日だけで、自主的に考えることが要求される。「人からいろいろと言われるのがあまり好きじゃない」という川野は、自分に合ったスタイルを求めて明大に進学した。
明大進学後は、求めていた自主的な練習スタイルの下「限られた時間の中で効率の良い練習をするにはどうすればいいかをより考えるようになった」という。また、同期との競争意識も川野を大きく成長させている。「ライバルが部内にいるのは大きい」と、改めてハイレベルな環境に飛び込んだことが間違っていなかったと確信の意を覗かせた。
インカレには男子舵手付きフォアで出場する。5月に行われた全日本軽量級選手権ではエイトで出場するも、緊張からか思うようなこぎができなかった。年に1度の大舞台に向けて「特別なことはしないでいつも通り、平常心でこぎたい」と抱負を口にした。冷静な口ぶりの中にも「自分の種目では絶対に優勝して、男女総合優勝の力になりたい」と、何が何でもチームに貢献するという強い決意を見せた。
大学での目標を「最終的には花形種目のエイトでインカレ、全日本選手権に出場して優勝したい」と力強く言い放った。挑戦はまだまだ始まったばかりだ。ルーキー川野のこれからの活躍に注目したい。
小学校では水泳、中学校ではバドミントンをしていたスポーツ少女の北村。幼少期から知っていて、ボートで活躍していたという近所のお姉さんに憧れて、自身も高校からボートを始めた。「休みがあまり無くて大変だったけど、日本一という目標があったから頑張れた」と振り返る高校時代。最も心に残る大会となったのが、高校3年次のインターハイだ。
共に日本一を追い続けてきた相方とダブルスカルに出場し、見事に悲願の日本一を達成した。ずっと掲げ続けていた日本一を達成した嬉しさに加えて、指導を受けてきた先生方への恩返しができたことが、その大会をより思い出深いものにした。
高校卒業後の北村を明大端艇部へと引き付けたのは、女子のレベルの高さだった。「この環境に入って強くなりたい」という決意を胸に明大への進学を決めた。入部当初は練習についていくのがやっとだった。それでも今は「先輩たちに追い付いて、そして追い越せるように頑張っている」と、ハイレベルな環境を楽しんでいる。
そんな北村が自らのストロングポイントに挙げたのが、パワフルなこぎ。小学校時代の水泳で鍛えた筋肉が生きているとか、いないとか。今は、持ち味であるパワフルなこぎを1レース通して出すための体力アップを課題として意欲的に練習に取り組んでいる。
同期の存在も大きい。1年生の女子は3人。練習の時はお互い刺激し合い高め合うライバル関係だが、オフの時は3人で買い物や食事に出かける。ふざけ合ったり、部について真面目に語り合ったり、そういったことがリフレッシュにもつながっている。
北村は昨年明大が優勝を果たした女子舵手なしペアでインカレに出場する。昨年優勝の種目ということで大きな期待が懸かる上に、1本オールでこぐスイープに悪戦苦闘。2人でのバランスを保つのが難しく、先輩から教わったことを実践するために必死に練習に取り組んでいる。それでも「自分たちらしさを出してこぎ切れれば、結果はついてくると思う」と初のインカレに気合十分の北村。インカレでの活躍に注目が集まる。
とことん負けず嫌いだという北村の大学での目標は、「大きな大会全てで優勝すること」。やるからには勝つ。負けず嫌いの北村らしい発言でありながら、この先の彼女への期待を大きく膨らませる。ルーキー北村の今後の成長に目が離せない。
[鈴木拓也]
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