春の関東王者・山梨学大に走り勝ち 6年ぶりの王座3位!/全日本大学王座決定戦

2014.07.03
 山梨学大に勝利し3位で王座を終えた。先に2点のリードを許す展開となるが暑さの中でも走り負けない強さで後半2回のPC(ペナルティコーナー)のチャンスをものにした。2―2で同点とし迎えた運命のSO(シュートアウト)戦。最後のターンを川村敬亮(政経1=今市)が沈めると3―2、6年ぶりに王座3位に輝いた。

 

 諦めない気持ちが勝利につながった。前半25分、1回の好機を確実に決めてくる山梨学大にPCを沈められ先制点を奪われた。後半20分にも松本(山梨学大)に素早いカウンターから追加点を許し、明大は後のない状況に立たされた。それでも選手たちは下を向くことはなかった。「いつもだったら『おい、顔あげろ』と叫ばなくちゃいけないところを誰一人弱気になってはいなかった」と宮田知監督。絶対に勝つという強い気持ちが最後に実った。後半残り9分と残り5分の2回のPCのチャンスを頼れるルーキー・谷光未有(法1=天理)が力強いシュートで決め同点。「PCのシュートはコースも完璧で練習の成果が出た」と谷光。自らのミスから追加点を許してしまったがここできっちり借りを返した。

 延長戦を終え2―2。勝負はSO戦にもつれ込んだ。1本目、3本目を決めた山梨学大に対し、明大は宮下大輔(法4=皆野)が2本目を、柏木圭介(法4=今市)が4本目を沈め2―2で最後のターンへ。山梨学大の長岡がこれを外すと勝負は1年生の川村に託された。「自分が外しても負けじゃないし気持ちとしては楽に打てた」と持ち前の冷静さでこれを沈めると勝負あり。勝利の瞬間、選手たちは幾層にも重なりあい喜びを分かち合った。

 守備の活躍が光った。今大会を通してPC、SO戦を除いたフィールドゴールとしての失点はわずか1点。王座から復帰を果たした岡崎慶二(理工4=石動)の功績が大きい。サークルインを許しても冷静にボールを弾き返しゴールを守った。そして明大の守護神・國友督仁(政経2=丹生)。今大会で一皮むけさらに成長を見せた。山梨学大とはSOの相性が悪いといいながらも今日も好セーブを連発した。

 「キャプテンのおかげ」。監督、コーチ、選手たちは口をそろえた。今日の試合は「完璧走り勝ち」(谷光)。4日間の連戦と炎天下の中でも走り負けることはなかった。それは安部雄貴主将(商4=横田)が去年の3倍以上に増やしたという走り込みの賜物だった。安部を中心とする4年生に対する首脳陣、そして後輩たちの信頼は大きい。誰よりも走り込み、背中で引っ張る主将の姿にチーム全員が付いていく。絶対に勝つという強い気持ちをチーム全員が持っているのも最上級生である彼らが前に立ち意識改革を行った結果。安部の強いキャプテンシーが勝利を呼び寄せた。

 まさに次につながる勝利となった。全国制覇とはならなかったが「古豪復活」(宮田監督)のテーマの下、明大の存在感を全国に見せつけた。「今日の勝ちはこれからの自信になった。これからは優勝しか見えない」(谷光)とチーム全員が優勝の二文字をこれからの目標に掲げる。もっと上へ。優勝への気持ちは強い。これまで以上に走り込み、今大会で課題となった得点力に磨きをかける。今回果たせなかった日本一の夢はインカレで果たす。

[吉川真澄]

試合後のコメント
宮田監督

「3位と4位じゃ全然違う。メダルはないけど銅メダルだから。2点差付けられても跳ね返して追い付いて。今日は本当にほめてやりたい。練習してきた結果が出た。一言、キャプテンの安部に尽きる。リーダーシップ、妥協しない。あいつ自身足がパンパンになりながらやっている。自分を追い込んでやっている。谷光はよくPC決めてくれた。ただもうちょっとフィールドゴールを決められるチャンスというのはあった。それを決められないと。この大会では昨日までで得点3で失点3。失点3は許してやろう、1試合1点はちょっと。点を決めようという気持ちが。ミスしたらどうしようとかじゃなくしぶとい気持ちがないと。負けたくない勝とうという気持ちは前面に出ていた。普通この暑さで2点リードされたらへたってしまう。いつもだったら『おい、顔あげろ』と叫ばなくちゃいけないところを誰一人弱気になってはいなかった。見ている人にはいい試合が見せられたと思う。いい形ができていたので絶対いけるぞと。谷光がひっかけられて1点取られちゃったけどあれはしょうがない。相手の決めた松本(山梨学大)っていうやつがうまかっただけ。大嶋(雄飛・文3=今市)は鎖骨にボルトいれたままやっている。先々週の日曜日に骨折した。その代わりにSOで誰出そうかなと思って誰かやる人いないかと言ったら柏木が行きますと言った。やりたくはなかったと思うけど。川村は落ち着いてやってくれる。古豪復活というテーマでやって久々に3位に入った。内容見てもらって明治の存在感というのは示せたのかなと思う。本当は今日決勝戦を戦っていなきゃいけないんだけど。立命には勝てたはずだから。インカレではまた準決勝で立命と当たる。その時に倒したい」

小池文彦コーチ
「よく追い付いたなと。ただ今本当にキャプテンの安部が普段練習で走りこんで練習させていたので後半追い付けた。走り勝った。よくやったと思う。この状況の中で追い付くというのは本当に大変。うちは4試合目、山梨学院は3試合目。うちの方が体力を消耗している。その中でも走り切れたから最終的にSOにつながって勝てた。絶対3位でいい形で終わろうと決めて一生懸命集中してやってくれた。ずっと前で前で戦った。引かずに前で点を取りに行った。この炎天下の中。ただ最初にリードされてしまった。でも後半は相手の足が止まってきていたのでペースはずっとうちが握っていた。サークルインしてからの精度がうちはまだまだ低い。ただセットプレーはきっちり決めてくれた。谷光の存在はかなり大きい。あとは川村と最近出てきた植村(彰斗・商1=伊吹)。1年生は本当によくやってくれていると思う。キャプテンがしっかり引っ張ってくれているので体もできて大学生のプレーができるようになってきた。王座で試合をやるにつれて経験も増えて当たり負けしないようになってきた。本当に秋につながるいい終わり方ができた。負けない気持ちが大きい。そして前で点を取りに行こうという姿勢。最後まで諦めずに。でも本当は優勝したかった。もう一段階ステップアップして秋のリーグ戦、それとインカレ、絶対優勝したい。そしてその上にある全日本選手権に出場して優勝したい。それくらいのチームになってきている。もっともっとステップアップする。この大会がレベルアップの土台となってまた一歩上に技術的にも体力的にもしていきたい」

安部主将
「やっぱり目標は全国制覇だったのでそれは悔しいですけど今日勝ち切れたのは大きなこと。2点取られて体力的にきついものもあったんですけど、みんなこれまで一生懸命走ってきたのでその気持ちが同点までつながった。去年の3倍以上は走っている。それくらいフィジカル面は強化して全国でも明治が一番じゃないのかなと思う。後輩に信頼されるキャプテンになろうと心がけていたので弱音をはくわけにはいかない。だからラントレだったり筋トレだったり厳しい練習に取り組んだ。一番頑張って自分の背中で見せようと。走れたのが勝因。1年生は先輩に負けじと先輩以上の働きをしてくれた。昨日のミーティングから決勝はいけなかったけど3位で終わろうと。そこは上級生が声出してチームの士気を上げようと話し合った。誰一人負けることは考えなかった。今の練習では全国制覇できなかったので今まで以上に厳しい練習をして秋、インカレへつなげて日本一を目指したい」

岡崎
「とりあえず結果を出せて安心した。決定的なところっていうのが何回もあって、そこを取れればもっと余裕でできたと思う。失点しても引きずることなく切り替えられたのが良かった。最後の方は相手がめっちゃ疲れていて自分は楽だなと思いながらやっていた。朝練でやってきた走る練習の成果が出た。後半は追い上げの流れがすごいあったので、その流れに乗れば延長でいけるとは思っていたけど決めきれなかった。一昨年、延長で決められて負ける、という悔しい思いをしていたので今日取り返せてよかった。山梨に勝ったのはみんな自信になったと思うけど僕からしたら当たり前。8月からの練習でもいい感じでやれると思う。SOのときは願っているだけだったけどみんな笑顔だったので大丈夫なんだなと思った。チームでの一体感というのが今年はある。自分たちの代がすごい仲いいのもあるし、何よりキャプテンの安部がしっかり引っ張ってくれている。そこを僕と柏木の2人の副キャプテンが支えるという感じ。とにかくキャプテンに感謝。応援も助かる。相手の応援はすごい人数がいた中でもやってくれて力になった。保護者の声も聞こえていてほんとにありがたかった。今日の結果で少しは恩返しになったら。春リーグの早稲田戦の前日に靭帯(じんたい)をやってしまって、1ヶ月半ぶりの実戦だったけどなじめてよかった。ずっとできなかったフラストレーションもすごかった。練習に復帰したのが6月だったけど、調子が良くても悪くてもこんくらいはできるだろ、というタイプなので気にすることはなかったし、不安もなかった。自分が入って失点の少なさで結果が残せているのはよかった。谷光も2失点目のときのようなプレーを修正できればもっとすごいプレーヤーになる。まだ大学入って3ヶ月、4ヶ月なのでもっとチームになじんでくればもっと良くなる。明治はカウンターのチームでフィールドゴールはほとんどカウンター。それは昔からのところでめっちゃ入る。だからそこをもっと徹底して秋に臨みたい。個人的には春全然だったので秋は暴れたい」

柏木
「優勝を目標にしていたので3位というのは納得できない。決めるところで決め切れないのが原因。PCは得点源。勢いもあったので一丸となっていけるという感じはあった。SOは嫌だったけど最後の王座ということもあって自分がやった。自分にはあれ(ループ)しかない。相手にばれていても根性でやるしかない。さすがに打つ前は緊張したが技術も何もないのでやるだけだった。山梨に勝つのは1年生のとき以来なので素直にうれしい。決めるところで決め切れないのはチームの課題。秋はキャプテン中心に全部優勝を狙う」

宮下
「結構厳しい戦いだった。フィールドでは活躍できなかったが、最後に練習の成果を出せて良かった」

大嶋
「チームにすごい迷惑を掛けた。いままでずっと遼(佐々木・法2=石動)と組んでたのでFWのセットが変わってフォーメーションが大規模に変わってしまったり今までの積み重ねが試合に生かせなかったのが申し訳なかった。僕が入って昨日負けちゃってやっぱ結果残さないとと思っていたので何でもいいから勝とうと。守備から勝つための守備をやって前線からプレスかけてFW、DF関係なく全員でやった。流れは悪くなかったが先に失点して難しい戦いになった。最後までチャンスはあると信じてやった。チームでコーナー取れてそれを谷光が決めてくれて。みんな試合前から大会通してポジティブに声を出していこうという風にやってきたので下向かないでチーム全員で戦えた。ケガをしたままだったけどチームのために自分のできることを全部したい。それが3位ですけどとりあえず一区切り結果を出せた。本当は優勝して4年生含め監督を胴上げしたかった。でもまだインカレがあるのでその時にできる。絶対今回の経験はみんな自信になったと思う。4ゲームしてある程度みんな練習してきた結果が出せた。でもそれで満足するんじゃなくてそれより上に向けてみんなでまた一から練習したい。本当にキャプテンが引っ張ってくれている。4年生が引っ張ってくれてみんなそれに付いていっている。去年とはみんなの意識が全然違うと思う。全員が勝とうという気持ちでやっている。先輩たちが頑張っている姿を見るとそう思う。秋、インカレは本当に優勝するしかない。このチームなら絶対優勝できる」

國友
「2失点目のときは今大会初めてのフィールドゴールでの失点ということもあって焦りはあった。ただ雰囲気はよかったので、しっかり抑えてPCをとれば谷光が決めてくれると思っていた。先制されたときは、リスクを背負って攻めていけばいけると思っていたが、攻め切れなかった。ディフェンスがすごくよかったので、フィールドゴールを決められるわけにはいかないと思っていた。練習試合で(山梨学大と)やったときに、自分のSOの相性がよくなかったので、SOにいく前に決めたかった。SOの時は、今日の試合で2失点してしまいチームを追い込んでしまったのでなんとかしたかった。朝日大とやったときとは順番が逆だったけど流れは同じだったのでいけると思っていた。あの場面であのシュートを決めた柏木さんの技術とメンタルはさすが。今回3位になったということで自信を付けつつ謙虚にやっていきたい。山梨には春リーグで1―4で負けていたのでそのリベンジにもなった。春と今のチームではレベルが違う。春はディフェンスが安定しなくてもったいない失点が多かった。今は谷光が1年生と思えない存在感をスイーパーとして発揮してくれている。岡崎さんもほんとに頼りになるので復帰は大きいし安心感がある」

川村
「2-0で負けていても勢いに乗っていたので負ける気はしなかった。谷光が決めたのはうれしかった。同じ学年としてライバルでもあるけど決めてくれると信じていた。決定力不足が今後の課題。1回戦から全部接戦で2点目が入らないことに苦しんだ。接戦を何度もものにできたのは良かった。チームの気持ちが一体になっていた。ずっと走ってきたのも生きた。辛いくらい走ってきたしその辛さが自信になった。走り勝った。SOは朝日大のときにこなかったので打ちたい気持ちはあった。自分が外しても負けじゃないし気持ちとしては楽に打てた。3位という結果に気が緩んではいけない。課題を克服してリーグ、インカレの優勝を狙う。今回インカレシードを取って優勝にも近づいたと思う」

谷光
「完璧走り勝ち。2日に1回は絶対にやったラントレが生きた。相手が疲れているけど自分たちはまだいけるという感じだった。今日は3位になる、山梨に勝つということでやってきた。点を取られても諦めなかったのが結果につながった。2失点目は完璧に自分のせいだったのでPCをとったときはやってやろうという感じだった。自分のせいの失点なので決めて当然。失点が自分のせいだったから結構きてたけど大輔さん(福田・理工3=横田)とか慶二さん(岡崎)が声をかけてくれた。PCのシュートはコースも完璧で練習の成果がでた。今まで公式戦では入らなかったので決められてよかった。ディフェンスが良かったのはディフェンスでしっかり声掛けができたのと、FWや中盤の選手がしっかり帰ってきたのが大きい。暑さにも走り勝てた。SOは落ち着いた感じだったが外してしまってきてた。ただキーパーが止めてくれたり、他の選手が決めてくれたりで周りに助けられたのはチームスポーツのいいところだと思った。今日の勝ちはこれからの自信になった。これからは優勝しか見えない。もっとディフェンスからの攻撃の組み立てを増やして秋に臨みたい」