
J3町田相手に快勝! 天皇杯出場に王手/東京都トーナメント
攻撃陣が奮闘した。前半2分にCKを獲得すると、差波の蹴ったボールがこぼれて混戦になったところを石原幸治(政経4=市立船橋)が押し込んだ。追加点は後半25分、石原の完璧なクロスに交代で入ったエース和泉がヘッドで合わせた。「うまくマークを外せた」(和泉)と和泉がさすがの復帰後2戦連続ゴールを挙げた。後半31分には左サイドを上がってきた矢島倫太郎(政経4=浦和レッズユース)のクロスを、中央にいた差波がドンピシャのボレーシュート。「点が欲しかった」(差波)とCKからアシストをマークすることが多かった差波の久々の得点で、勝利を大きく引き寄せた。
前線からの守備が徹底された。ここ数試合失点が続いていたが、「全員のイメージがあってきた」(三浦祐介ヘッドコーチ)。ツートップとして出場した土居柊太(政経1=浜松開誠館)は「序盤から良いペースで守備ができた」と前から積極的にプレスをかけた。「球際のところでしっかり潰しに行けた」(松藤正伸・文4=FC東京U-18)と選手一人一人の意識が無失点につながった。
FC町田ゼルビアを下し、東京都トーナメント決勝の相手は社会人代表の横河武蔵野FCだ。この大会で2年連続で優勝している強豪だが「今日みたいに実力で勝てれば良い」(三浦龍輝・商4=FC東京U-18)と選手に恐れる気持ちはない。天皇杯本戦出場まであと一勝。全国への切符を懸け、日曜の決勝に臨む。
[谷澤優佳]
試合後のコメント
栗田大輔助監督
「一番の勝因は集中力が切れなかったこと。早い時間で先制点が取れたが、そこでまたしっかりと守備から入ることができた。1点取られるのは覚悟くらいの気持ちでやって、選手たちが逆に気持ちが落ち着いたというか、集中力が切れなかった。(相手の)リーグ戦のビデオを見ていたが、少しメンバーが違っていた。そこでやることを変えるのではなく、取りどころをはっきりとさせた。(無失点で抑えた守備面について)今シーズン取り組んでいたのがまさにああいうこと。ずっと守備の練習をしているので、ようやく選手たちの自覚が出てきたのかなと。(苅部のボランチ起用について)元々ボランチの選手で、今シーズンはFWで起用していたが、練習の中で両方やらせてみていた。先日の慶大との試合で彼が後半からボランチで入って試合の流れを作ってくれた。その流れに乗って今日はボランチで起用した。(選手たちのモチベーションは)天皇杯だからというわけではない。ああいう形でアミノバイタル落として、リーグ最終戦も負けたが、そこで何かこれじゃまずいぞというものが出てきた。もう一度厳しさを追求しようと。一個一個のプレーの質だったり、基礎的な部分を練習の中で追求していて、それが切り替わった理由だと思う。日頃から練習が全てだと言っているので、そこの空気が変わったことと、この間の慶大戦がドラマチックに展開されたので、応援席も含めてチームの一体感が生まれたのかなと思う」
三浦コーチ
「前期から取り組んできた守備のところでやっと全員のイメージがあってきた。割り切るところは割り切れて、ハメるところはハメるっていう。いままで前線からの守備が目的になってきていたが、それはあくまでゴールを守るための手段だとやっと選手が理解してくれた。そこをキャプテンの三浦が中心になってだいぶ整理してくれた。得点シーンは本当に良かった。サッカーはゴール前がすべてなのでそこにこだわろうって話はしていて、そこを集中してやってくれた。守備に関しては、最近失点が多かったから、無失点で終われたのは選手も一番喜んでいるんじゃないか。ただ、ボールを奪った後のパスを奪われるシーンが多かった。そこは後期に向けての大きな課題でもある。リーグ終盤はチームの調子が良くない中で選手たち自身もブレてしまい、守備が崩れてしまっていた。それでもこの天皇杯予選ではしっかり勝ち切ってくれているし、選手の成長を感じる。もっともっと勝利にこだわってほしい。今日はプロとの試合だったが、逆にチャレンジャーという何も失うものがない立場で挑めたのがプラスに働いた。決勝は自分たちの力を信じて、最高の舞台を勝ち取ってほしい」
三浦
「前期は自分たちの納得した終わり方ではなかった。そういう中でまず守備からというところで結果で示せたということは、前向きに捉えられるし、次につながると思います。守備だけじゃなく得点も複数取れたということが、チームの状況がすごく良いということを表してるかなと思います。(相手は)最初のモチベーションの部分ではすごいプロという意識も見えたし、見習う部分もすごくあった。逆に学生らしいという部分で僕らが上に立ったというか、したたかさがあったかなと思います。審判が変なジャッジをしてもやり切るだったりとか、変なところで反応しないというところでは僕らの方が割り切ってできたと思う。相手のがうまいっていうのは事実だし、そういう中で僕らのやり方として前からの守備を切らさなかった。ズレがないように必ず話し合うようにしてました。始まる前から、0-0で問題ないし、1点取れたらラッキーぐらいの気持ちだった。そういう部分で最初すぐに取れたというのは気持ち的にも楽になった。一番大きいのはそこで守りに入らなかったことだと思います。今年、前期は攻撃的なことは全然練習してない。そういった中で単純な裏への抜け出しとかをやってきた。なかなか多く点を取るということはできなかったんですけど、やっと竜司が復帰して、0ー0で折り返せば竜司がやってくれるだろうという期待が僕らにもあった。実際に決めてくれることによって、特に前半の闘い方がはっきりしてくるかなと思います。次も社会人ということで、僕らよりも格上。格上と対戦することはなかなかないことなので、それをある意味力に変えて、今日みたいにしっかりと実力で勝てればいいかなと思います。今年は栗田さんが天皇杯というのを一つポイントにしている。そこに関しては必ず取らなければいけないし、取るだけの力は持ってる。後はいかにそこを無駄にせずに、自分たちの実力を出せるかだと思います」
石原
「まず無失点で勝てたことが何よりも嬉しい。最近失点が続いていたし点が取れていなかったので。守備で練習してきたことをしっかり出せた。それに今まではボールをロストした後の対応が慌ててしまっていたけれど、落ち着いて対応できた。危ないシーンはあったけど、失点はしてないんで。そこがしっかりできていた。得点シーンは目の前にボールがこぼれてきたから、あとは押し込むだけだった。とは言え、久しぶりの得点だったからすごく嬉しい。2点目のアシストは、悠太(小出・政経2=市立船橋)が上がってきてマークを引き付けてくれたので自分がフリーになってある程度狙ってクロスを上げられた。あとは竜司です。今日はシンプルに裏を狙いすぎてボールを奪われることも多かった。けどそのぶんラインを上げられたので特に問題ないかな、と。プロは楔のボールの速さ、体の強さなんかが学生とは全然違うけど、かなわないって程じゃなかったし、逆にやれるっていう自信にもなった。
大臣杯の出場を逃したことで自分たちには夏は天皇杯しかなくなった。今日の勝ちを無駄にしないためにもしっかり準備していきたい」
苅部隆太郎(商4=川崎フロンターレU-18)
「(今日の試合を振り返って)前半早々に点が入って、全員落ち着いてできたと思う。(ボランチでフル出場した自身のプレーについて)久しぶりだったのでどうなるか分からなかったが、僕だけじゃなくて、全員が与えられたポジションの役割を果たしていたから勝てたと思う。(相手の印象は)本当にうまくて、J3でも首位で、実力差があるのは分かっていたが、向こうになくてこっちにあるものがあった。運動量だったり、チーム一丸でっていうのを試合前に確認していたので勝てたと思う。(3得点、無失点について)流れが良いときに点が入るし、無失点で終えられたのは、守備陣にもチーム全体にとっても自信になったと思う。(決勝への意気込み)横河さんもすごく良いチームで、僕たちが持っている力を最大限出して、またチーム一丸で望みたい」
松藤
「慶應戦を逆転してチームの雰囲気がよくなってきている中で、相手がJ3という中で、自分たちが今やっていることを貫こう、チャレンジャーでいこうという気持ちでやった。最近失点が多かったので無失点にするためにというところで、良い守備から良いオフェンスへと掲げている中で、前線からの守備で連動して動くというところで、今日は本当にFWの選手がしっかり追ってくれてディフェンスがしっかり潰した。そういう良い守備ができたから無失点に押さえたと思う。失点をしないためにまず相手のFW、キーマンを抑えないとダメなので、その球際のところでしっかり潰しに行けた。今日良い勝ち方ができたので、もう一回しっかり準備して、横河戦に向けてトレーニングしていきたい」
和泉
「(得点について)ニアに行くふりをして、うまくマークを外せた。ドンピシャだった。クロスが良かった。前半に得点できて、みんな頑張っていたので、自分が出たら点を取って楽にさせようと思っていて、監督からも追加点を取れと言われていたので、そこは結果を出せてよかった。(試合全体の感想)前半は運動量も多くて、サポートも早くて、前から守備もできていた。自分が入ってから、間延びもしていたし、みんな疲れているのが分かっていたので、攻撃では点を取ったシーンは良かったがボールの保持ができなかった。個人として前でもっとボールキープできればよかった。(コンディションは)まだ90分出ていないし、個人的に動きがキレてるというわけではないが、結果として出ている。早く良い状態に戻したいけど、そんなに早く戻るものでもない。試合してって徐々に戻していければ。(あと1勝で天皇杯出場となるが)1年生の頃から天皇杯には出たいと思っていた。僕が入る前はいいところまでいったが、そういう良い舞台でできるためにも、環境をつくれるのは自分たちなので、次の決勝をしっかり勝って、東京代表として天皇杯に出たい。本気でプロと対戦できることが、個人としてもチームとしてもプラスになると思うので、それがリーグ戦、インカレにつながると思うので、行けるところまで行きたい」
差波
「最近アシストしかできてなかったから個人的にも点が欲しかった。点数が入ったのでそれはよかった。トラップは考えてなくて、諒(高橋・文3=国見)が良いボールをくれたので、軽く開いていたけど振り切ったら入った。(試合全体について)攻撃だったり守備のところで、相手がJの選手ということもあったので最初は少し固かったけど、徐々に慣れてきて自分たちのペースになった。先制点を取れてそこから流れを持ってこれたっていうのはすごいよかったけど、2点目を取るのにすごく時間がかかった。そこでもっと早く2点目を取れてたらもっと楽な試合というか、優位に運べたと思う。天皇杯は学生の決勝勝った時点で上はもう全部JとかJFLとかなので戦う準備はできていた。相手がどうこうじゃなくて、自分たちがどう戦っていくかっていうのを決められてきている。本戦にできれば行ってもっとレベルの高いチームとやって、少しでもスカウト陣にアピールだったり、そういうところにつなげていけたら良いと思う。天皇杯へのイメージは持ちたいけれど、目の前の試合に勝たないといけない。先を見ちゃうと怖いというか。一戦一戦、目の前にある試合を全力で戦って、終わったらまた次っていう考えがあれば全国が近づいてくると思う。それが今チーム全体でできていることが勝っている要因だと思う。ボールをさばくことは誰にもできるし、自分に求められているのはそこじゃない。どれだけ前で仕事ができるかってことは求められていると思うし、今日はそれに応えられた。満足はしていないけれど一つ階段を登れた。やりたかったことができた。(守備意識について)リーグ戦でもよかった時は無失点でいけていたし、その時の感覚っていうのをみんなで取り戻そうと話していた。その結果無失点につながったというのは一番守備陣の活躍に感謝したいんですけど、前線からの守備であったりといった部分で手を抜くことなくやれたのがよかった。あと一個勝てば全国だけどまだ決まったわけではない。しっかり足元を見つめながら今日の勝ちを無駄にしないように、次しっかり勝って全国にいけたら良いと思う」
山越康平(法3=矢板中央)
「前2試合は自分はケガで出場できなくて、その中で仲間が連れてきてくれた舞台。なので、今日は自分がやってやるという気持ちだった。今日は相手の裏のスペースをケアすることを特に意識していた。最後のところでうまくブロックを作れてシュートを打たせなかった。ある程度手ごたえはあったが、その中でも何度か危険なシーンがあった。上のレベルでは絶対に決めてくる。そういった厳しさを追求したい。今チームがすごく良い雰囲気にあるので、決勝もチーム一丸となって本選出場を目指したい」
木戸皓貴(文1=東福岡)
「みんなで勝ち取った勝利なので、素直にうれしいけど、日曜にも試合があるので切り替えていきたい。監督から、頭を使え、集中しろということを言われていた。前半良い形で点が取れて、チーム全体でボールの奪い方であったり、守備の部分が集中できたんじゃないかなと思います。それが0に抑えられたという結果にもつながったので、継続していきたいと思います。やっぱり点取ることを意識したんですけど、今日は守備を頑張ろと思った。0で抑えられたことは自信につながったと思う。前半は1-0という形で終われて、後半は切り替えて0-0という思考から入ろうとしていた。そういった中で竜司くんが点を取ってくれたし、追加点取れたことが一番勝ちにつながったんじゃないかなと思います。竜司くんが持ったら動き出せるし、点取ってくれる信頼感がある。(相手は格上だったが)ちょっとしたところの部分はうまいですし、パワーというのもあった。だけど全然やれないわけではないし、点を取ったシーンも崩せたと思う。全然負けてないとは思う。次は自分らでつかんだ決勝戦。勝てばもっと大きな舞台に立てる。チーム全体で切り替えて、慶大戦と今日のゲームを思い出したい。勝ち癖もついてきたと思うので、チーム全体で、応援してくれる人の分まで頑張りたいなと思います」
土居
「(今日の試合を振り返って)スタメンでの出場は2試合目だったが、チームとしてやることは決まっている。自分は攻撃の選手だとは思っているが、まずチームのやるべきことである前線からの守備を意識した。ツートップを組んだ木戸と二人でうまく声を掛け合いながら、序盤から良いペースで守備ができたと思う。(相手の印象は)フィジカルだったり、球際だったりはやっぱり厳しかった。その中でも自分たちの通用する部分もあった。見習うべきところは見習って、通用する部分には自信を持ってやれば全然やれるなという風に思った。(決勝に向けて)チームの代表として戦っている以上、全力でやらなければいけない。次の試合もやることは変えずに、チーム一丸で勝ちにいきたい」
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