エース和泉復活の逆転弾! 天皇杯出場へ一歩前進/東京都トーナメント

2014.06.23
 慶大相手に劇的な逆転勝利を収めた。1回戦で山梨学大に2-1で勝利し、迎えた東京都学生系の部Bブロック決勝の相手は前期リーグ開幕戦で0-2と完敗した慶大。前半に2点を奪われ苦しい展開となるも、後半に松藤正伸(文4=FC東京U-18)と、苅部隆太郎(商4=川崎フロンターレU-18)が共にセットプレーから得点を挙げ同点に追い付く。2-2のまま延長戦へと突入し、迎えた延長前半6分、今季初出場となった和泉竜司(政経3=市立船橋)が逆転ゴールを決め、激闘に終止符を打った。明大は学生代表として、J3、社会人チームが待ち受ける東京都代表決定トーナメントへと駒を進めた。

 ピッチに戻ってきた明大の背番号10は、逆転ゴールを決め、チームを勝利へと導いた。ケガの影響で長らく戦列を離れていた和泉は2点ビハインドとなった後半から出場。高いボールキープ力で前線での起点となり、単調になりかけていた攻撃に幅と厚みをもたらした。そして同点のまま迎えた延長前半6分、中央を突破した土居柊太(政経1=浜松開誠館)からパスを受けると、左足で冷静にゴールへと流し込んだ。「自分が決めてやるという気持ちだった」(和泉)と得点後は大きなガッツポーズを見せた。3年生ながらエースナンバー10を背負う和泉は「10番を背負うことはそれなりの責任がある」と語る。まだまだ本調子ではないが、復帰戦でいきなり結果を残すその勝負強さ。エースの復活がチームにもたらす影響は計り知れない。

 栗田大輔助監督の采配がズバリ的中した。逆転ゴールの和泉に加え、後半20分から出場し同点ゴールを決めた苅部、後半29分からピッチに立ち2アシストの土居。途中出場の3人がゴールに絡む活躍を見せた。
 今シーズンはFWでの起用となっていた苅部がボランチで輝きを放った。「ゲームを落ち着かせようと思った」(苅部)と高い技術と鋭い読みで、攻守においてチームをけん引。後半34分には同点ゴールを決め、本職のボランチで存在感を見せた。
 また、土居は得意のドリブルで相手を翻弄(ほんろう)した。「2点目をアシストできて気持ち的にも落ち着いた」という土居は、延長前半6分に切れ味のあるドリブルで相手DFを引き付けると、最後は絶妙なラストパスで和泉の逆転ゴールを演出。2アシストの活躍で逆転勝利に大きく貢献した。

 今回の勝利で学生系の部代表となった明大は、天皇杯の東京都代表決定トーナメントへの出場が決定。初戦の相手はJ3のFC町田ゼルビアとなる。ボランチとしてここまで明大の攻撃の核を担ってきた差波優人(商3=青森山田)は「相手どうこうではなくて、自分たちが勝ちにこだわることが大事」と強い決意を見せた。天皇杯出場まであと2勝。チーム一丸となって貪欲に勝利を目指す。

〔鈴木拓也〕

試合後のコメント
神川明彦監督

「栗田助監督や三浦ヘッドコーチを中心となって良く準備してきたことを、選手自身が真剣に取り組んで今日は後から振り返って今日が分岐点だったと言えるようなゲームになるんじゃないかと思う。こんな試合は一年に何回もあるものじゃないので。自分たちの内側から沸き起こる情熱を感じ取ることができて、変化を感じ取ることができた。次の相手もいい相手なので、自分たちの実力を発揮してほしいと思います。和泉もやっと体調がと共のって、練習でも良くやっていたので、試合に出てももうやっていけるとは思っていたんですが、想像以上ですね。ゲームそのものを変えてしまって。和泉が前期いなかったことは大きかったなって、居たらもうちょっと違ったのかなと思っちゃうこともありますが、彼の復活は相当心強いですね。今回は小池の切り札として起用したが、次は先発で使うかは分からない。栗田助監督が戦略を立てると思いますが、また切り札的に使うのかなと。苅部はある意味今日のMVPじゃなかったかなと。ボランチで最近起用され始めて、これははまったんじゃないかなという印象ですね。後期に向けて、後期に向けて光がさしたんじゃないかなという印象ですね。今日は山越も室谷もいないわけだから、その中でこれだけできたということは彼らが帰って来てからがさらに楽しみです。交代出場した選手は今日は本当に良かった。応援もすごく良くて、そういう気持ちも移ったのかなと。チームが一体となって素晴らしかったです。久しぶりにぐっときました。一週間でこれだけできたことは良かったんじゃないかなと思います」

栗田助監督
「(今日の試合を振り返って)相手の戦術がどうこうというより自分たちの失点の仕方がよくなかった。全体としては、2点のビハインドをひっくり返して勝てたというのは、何かのきっかけとなる試合だった。(和泉について)ケガの状態も良くなってきたので今シーズン初めて使ったが、彼が入って完全にリズムが変わった。タレントだなと思った。(ボランチで起用した苅部について)本来彼はボランチの選手なので、収まりもあるし、スケールもあるし、逆にパワープレーになったときの高さもある。状況によってはFWに上げることも考えていた。(次の町田ゼルビア戦について)J3なので胸を借りるつもりで、チャレンジャー精神で、一戦一戦を一生懸命やりたい」

三浦コーチ
「選手がよくやってくれた。0ー2になって逆に開き直れたというかバカになれた。勝つしかないとこで選手の気持ちにスイッチが入った。和泉が入っていいアクセントになった。真ん中でボールを受けて、周りの動きだしが早くなった。中の外も使えるようになった。相手のラインも下がった。そして彼の存在自体が相手にとっては脅威だった」

三浦龍輝主将(商4=FC東京ユース)
「前半で2点を入れられてチームの雰囲気は良くなかったが、やるしかないと前向きにいきました。ハーフタイムの会議では、動きが決まってたので、動きを大きく変えるということをポイントに会議しました。中盤の差波、小谷が裏に抜けて来て、点につながったと思います。相手はブロックをつくってリードしてくるサッカーなので、そこに僕らの持ち味である前からのプレスを掛けてしまうと相手の思うつぼなので、そこは相手を研究して、どこから行くのかだったり、行き所をみんなで合わせて行けるときに取りに行くということを心掛けました。(今日は和泉は今年初めて一緒に試合に出たが)彼が入ることでリズムができますし、彼のチームと言っても過言ではないし、彼が入ったことで安心感が出るというか、形が生まれるということは、やっぱりかなりのプラスになったと思います。(自分としては)マイボールの時間を増やして、点を取れると思うし、ゴールに持っていけると思うので、そういう面では、クリアだったり、フィフティフィフティになるボールを減らして、僕からつなげていい形になるかなと思っていつもやるようにしています。みんなが、やっと本気になったかなと思います。(今日の試合は)いろんなところから、ポテンシャルの大きい選手が集まる中で、チームとしてなのができるか考えた時に、まだまだ個人だけになっていたり、チームのことを考えずにプレーしている人がまだまだいたので、今日やっと内から秘める気持ちが出て、一つになれたかなと思います。先週から確認したことはペナルティーエリアの中での役割、本質をみんなで意識したことで、守備はもちろん、攻撃の部分ではかなりゴールに執着心が出てきたと思います。(応援に対しては)ああいう応援が無くては勝てなかったと思うし、ありがとうと言う意味を込めて試合終了後に飛び込んでいきました。この勝ちを分岐点にしなくてはいけないし、それが自分たち4年生、僕としては主将の仕事だと感じます。次節の相手はチャレンジャー。自分たちがチャレンジャーと挑んでいける相手と試合できることはなかなかないし、思いっきりぶつかっていきたいです」

苅部
「 (今日の試合を振り返って)公式戦2試合連続で負けていて、2点差をひっくり返して勝てたのはチームが一丸になれたからだと思う。(ボランチでの出場となったが)最近はボランチをやっていて、僕は元々ボランチの選手なので、個人的にはFWよりやりやすさがある。チームが落ち着いていなかったので、ゲームを落ち着かせようと思って入った。僕が守備をやって、他の選手が前にという形がうまくハマったと思う。(今日の試合での収穫は)後半になって、僕たちが日頃からやってるトレーニングの成果が出た。きつい練習を信じてやってきて良かったなと思う。(次の町田ゼルビア戦に向けて)チャレンジャーとして、開始1分から勝てるように全力でやっていきたい」

松藤
「コーナーは自分はニアの方に入り込むのが得意なんですが、今日は小出とかニアに入り込む選手がいて、相手も埋まってたというか、入りづらかったので、何本かニア入ってたんですが、あの時だけファーいったら逸らしてくれてたまたま入ったっていう感じです。同じ相手に2回負けないということで、慶大はセットプレーだったり、後ろから守ってブロックつくって、カウンター一発仕掛けてくるようなプレーの研究をしました。前に高い選手や早い選手がいたので、そこのカウンターを気を付けるというのと、ブロックを強いてくる選手に対して、シュートだったり、サイドから崩そうという話をしていました。(久しぶりに和泉とプレーしたが)技術があって、足元に落ちてきて受けることができるので、DFとしてボール持った時に当てやすいですし、今日も本当にやってくれたなという感じです。苅部は去年はFWだったが、2年はCBやったり、高校の時はボランチやってたので、どこでもできるというのは分かってたので、相手のカウンター潰すところだったり、しっかり対応してくれたし、背も高くて競ってくれたので、すごく助かりました。アミノバイタルだったり流れが悪い中で、ここでチームが上向いて、もう一回流れを取り戻すためにはここしかないという状況だったので、大きな一勝というか、前を向ける試合だったと思います。前からのプレスのかけ方と、連動って部分で、練習の部分で、言われてやるんじゃなくて、選手同士が、今のところもっとこっち切るととか、戦術のことを話しながらやれているっていうのが、トップチームの中でできているので、入ってきた苅部だったり和泉でも、難なくチームに取り込んでいけるのかなと思う。Jリーグ、社会人のチームとやれるのは天皇杯しかないですし、自分たちが良くなるためにまとまって、戦って結果を出すっていうことが自分たちが上に行ける唯一の手段ですし、町田ゼルビアでも負けられないです。絶対勝つという気持ちでもう一回準備したいと思います」

和泉
「とりあえず嬉しい。ずっと点は狙ってたし、仲間が応援をしてくれてみんなから勝ちたいという気持ちが伝わってきて自分が決めてやるという気持ちだった。逆転できた要因は気持ちが相手より強かった。後半始まってから誰も諦めてなかったし、絶対に1点取って、もう1点取って追いつくという気持ちがあった。途中交代で自分の役目は上手くボールを受けてバス出して走る、そしてゴール前で仕事することだと思うので。シュートはあまり打てなかったのでどうやって打つところまで持っていくかが課題。前期リーグは例年よりはチームの調子が良かった。それでも勝ち切れない部分があった。その部分を自分はスタンドで見ていてもどかしさはあったし、自分が出て決めてやるっていう気持ちは持ってた。それを復帰戦で生かせた。10番を背負うことはそれなりに責任があるし、3年生でつけさせてももらっているので、結果という部分にこだわっていきたい。それだけ期待はされているということ。今日みたいに決めるとこだったり、ゴールに関わるプレーは自分がすべきこと。今年は去年以上に怖い選手になりたい。貪欲になって結果や数字にこだわりたい。次の相手は個人的に見たことがないのでどんなチームかわからないけどチームとしてしっかり準備したい。個人としてはやっぱりゴールに関わるプレーのために準備したい。個人的にはプロで出来る自信があるのでそれを見せつけたい」

差波
「あまり喜びというよりは次に対する気持ちか強いけどほっとした。みんな諦めない姿勢を前面に出してたし、勝利に対するこだわりという部分で出来上がってきている、今日初めて出た。勝ちたかったので、とにかく前にいって絡んで。勝ちたかったので前に出た。竜司と苅部くんと足元がある二人が入ったことによって、ボールが中盤に収まって、そこからのバイタルに入ったところでアイデアがすごい多かった。やっているこっちも楽しかった。楽しめた結果、逆転につながった。あの2人には感謝したい。次の相手はJ3だが、いつも通りのプレーをしたい。J3でびびってたら本大会でJ1とかもいるし、相手どうこうではなくて、自分たちが勝ちにこだわることが大事だと思う」

土居
「(今日の試合を振り返って)前半2点取られて、その中でハーフタイムに全員でやるしかないぞとなった。自分が出るとしたら点数を追う状況になると思っていたので、ベンチにいるときから相手をよく見て、どこから攻めればいいかとかを分析していた。2点目をアシストできて気持ち的にも落ち着いた。延長戦に入って、前でボールを持つことが増えた。得点後は、前線でボールを持って時間を稼ぎながら、後ろの選手を休ませたいというのも自分では考えていて、振り返ってみるとそこはできたと思う。(ドリブルが目立っていたが)交代するときも、助監督からどんどん仕掛けろと言われていたし、試合中にお前のドリブルは活きるからと言われていたので、そういった意味では自分の良さが出せたのかなと思う」