松藤が値千金の勝ち越しヘッド! 連覇へ向け初戦突破/関東大学トーナメント

2014.06.01
 8月に開かれる大学日本一を決める大会、総理大臣杯の予選を兼ねたアミノバイタルカップが始まった。今大会の上位6チームだけが全国への切符を手にすることができる。昨年度王者として臨む明大は1回戦で明海大と対戦。先制を許す苦しい展開となるも、矢島倫太郎(政経4=浦和レッズユース)のPKと、松藤正伸(文4=FC東京U-18)のヘディングでの得点で逆転勝ち。勢いのある明海大に苦戦を強いられたが、地力で上回り難しい初戦を突破した。

 松藤のヘディングがチームを救った。CBで先発フル出場を果たした松藤は同点で迎えた後半34分に、差波優人(政経3=青森山田)のCKに完璧なタイミングで合わせた。昨年度はケガに苦しみ出場機会に恵まれなかった松藤だが「久しぶりだった」(松藤)という豪快なヘディングでの得点は、チームを救う値千金の逆転ゴールとなった。また、CBでコンビを組んだ山越康平(法3=矢板中央)は「4年生なので松さん(松藤)が入ると締まる」と守備面での貢献度の大きさも語った。169㎝とCBとしては体格に恵まれているとは言えない松藤だが、闘志あふれるプレーでチームを奮い立たせ続けた。持ち味の対人の強さで力のある相手FWに自由にポストプレーをさせず、「タイミングを大切にしている」(松藤)という競り合いの場面でも高い技術と強さを見せつけた。

 チームの重苦しい雰囲気を一掃した。途中出場となった矢島はキレのある動きで攻撃の起点となり、1点ビハインドのプレッシャーのかかる場面で、見事に同点となるPKを決めた。ここまで先発での出場が少なかった選手の起用もあり、前半は「前線からのプレスがうまくハマらなかった」(栗田大輔助監督)となかなかペースがつかめなかった。流れを変えるために後半開始から投入された矢島は見事期待に応えた。「守備の部分でチームを活性化させることを意識した」(矢島)と狙い通りの高い位置からのプレスで相手の選択肢を奪い、試合の流れを一転させる。攻守のバランスが良くなると、徐々にサイドを有効に使えるようになった。後半24分、右サイドを崩した室屋成(政経2=青森山田)の絶妙なクロスがエリア内での相手のファウルを誘いPKを獲得。これを「PKは外したことがない」という矢島が強気にゴール中央へと蹴り込んだ。失点直後の貴重な同点ゴールとなり、明海大に傾きかけていた流れを完全に引き戻した。

 明大にとっては総理大臣杯への出場権獲得、そしてアミノバイタルカップ連覇のために負けられない戦いが続く。2回戦の相手は青学大。昨年度のこの大会で、関東リーグ3連覇中の王者専大を破るジャイアントキリングをやってのけたチームだ。改めてトーナメントの難しさを思い知らされた1回戦となったが、逆転での勝利はチームに追い風をもたらした。一戦必勝。まずは目の前の相手を倒すことだけに集中し、チーム一丸となって2回戦に臨む。

[鈴木拓也]

◆集中応援日のお知らせ◆
6/14(土)明大VS国士大 13:50 kickoff
場所:味の素フィールド西が丘(都営地下鉄三田線「本蓮沼」駅より徒歩10分)
※当日は各種イベント有
☆先着240名様には大塚製薬様よりご提供いただいたポカリスウェットを差し上げます!

試合後のコメント
栗田助監督

「(今日の試合を振り返って)トーナメントの初戦ということで、難しい試合になることは想定していた。そういうなかでどう適応していくのか、どう勝ち切るのかは意識していた。前半は悪かった。前線からのプレスがうまくハマらず、いい守備からいい攻撃という形が作れなかった。(新しい選手の起用の意図は)練習を見ていて調子が良かった。三苫(元太・政経3=福岡U-18)に関しては、練習試合ではかなり点を取っていたし、裏に抜けるスピードもある。ここのところ、なかなか点が取れていなかったので、得点を期待して三苫を使った。トーナメントで一週間に最大五試合をやらなければならないので、チームの総合力を見極める起用でもあった。(失点後について)あのオウンゴールは事故。後半に矢島を入れて、前線からの守備を確認してからはリズムが出てきた。サッカーなので、ああいうことは起こってしまう。そのあとに選手たちが点を取り返せたっていうのは良かったと思う。(二回戦に向けて)厳しいゲームになると思うが、しっかりとスカウティングして臨みたい」

三浦龍騎主将(商4=FC東京U-18)
「(今日の試合を振り返って)相手が格下ということで、難しい試合になることは分かっていた。メンバーも何人か変わっていたので、まず自分たちのサッカーをしようということで試合に入ったが、なかなかいつものようにはできなかった。これから夏を戦っていく上で、11人だけでは戦えない場面が絶対出てくると思うので、今日みたいな試合をしているようじゃ、チームが良い方向に向かっていかないと感じた。(今大会の目標とは)僕らのゴールはここではない。まずは総理大臣杯の出場権獲得を第一の目標に置いている。最終的な目標は連覇だが、その後のリーグ戦だったり天皇杯を全部勝てるように、まずは自分たちのレベルアップを図りたい。(話し合うべきことは)悲観すべきこともあるし、良かったところもある。それを全員で確認するのがすごく大事だと思う。出た選手だけでなく、出てない選手、今日は補助に回ってくれた人も含め全員で共有することが、チームの底上げに繋がると思う。(2回戦に向けて)相手どうこうよりも、今日みたいなサッカーをしていたら勝てない。いかに自分たちのサッカーをやれるかがカギを握るというか、勝敗を分けると思う」

松藤
「(今日の試合を振り返って)自分たちがチャンピオンだったり、前期で調子が良いということは忘れて、やりたいことをやろうという意識があった。前線からのプレスがうまく掛からなくて、そこで自分が声を掛ければ、もっとゲームが落ち着いたのかなと思う。(得点シーンについて)右サイドからのコーナーキックは得意だったので、チャンスがあれば蹴ってと言っていた。後半の始めに1本あったが、それはうまく合わなくて、2本目は差波がいいボールを蹴ってくれた。合わせるだけだった。昨年はケガが多くて試合にも出られなかったので、久しぶりの得点だった。試合の内容が内容だけにそこまで喜べる得点でもない。(後半は)矢島が入って、前線からのプレスができるようになって、だいぶ後ろも狙いやすくなった。個人的にはファウルが多くなってしまったので、ファウルを少なくできればもうちょっとチームも落ち着くのかなと思う。(個人のディフェンスで意識していること)今日の相手のFWはそんなに大きくなかったが、身長がない分、べったりくっついてしまったらヘディングは勝てない。タイミングを大切にしている。一対一は自信があるので、相手の足元に入ったら潰しにいく、やらせないということを心掛けている」

矢島
「前半の流れが悪くて、そういった中で後半自分が入って流れを変えることが出来たらないいという思いで入った。点を決めることができ、流れを変えられたので良かった。守備もあまりハマっていなかったので、守備の部分でチームを活性化させるということを意識した。攻撃ではためをもたらしたり、ドリブルもできるのでそういったところは意識してやった。(PKのシーンについて)PKは外したことがないので、いつも真ん中に蹴っている。いつも通りにやった。(助走をつかなかったが)あれが1番入る。次は相手がどちらになっても自分たちのサッカーをすれば勝てると思うので、絶対に勝つ」

差波
「トーナメントの初戦だったので、内容が悪くても良くても勝てたというのが大きい。スタメンが少し変わって、いつもと同じサッカーをやろうと思ったが上手くいかなかった。前半はあまりいいプレーがなかった。後半は9番の矢島倫太郎君が入って来て、いつもの明治になった。そこは矢島君に感謝したいというか、助けられたなと。前線で起点になってくれて、そこを中心にサポートだったり、室屋の飛び出しだったりが相手が嫌がっていたと思う。いいアクセントになった。(2点目のCKについて)とりあえず、うちはヘディングが強い選手が多いので良いボールを蹴れば、中の選手が合わせてくれるというのは分かっているので、良いボールを蹴るということに集中している。誰を狙っていこうとかはないが、入り方は中で工夫してるし、最後まで人を見てスピードを持ってきて入って来る選手を狙っている。セットプレーはキッカーの問題だと思うし、中がいくら良い入りをしても良いキックをしないと無駄になる。僕次第だと思う。こういう硬い試合になった時にセットプレーから点を取れるチームというのは強いと思うので。今はまだまだだと思うので磨きをかけていきたい。次はどっちも強いと思うし、今日勝ったからといって次勝てるわけではないので、今日の気持ちを忘れずに1日しか空かないけど良い準備をして戦えるようにしたい」

山越
「トーナメントの初戦が難しいということを改めて感じた試合。後半自分のオウンゴールで失点してしまって、そこから逆転できたというのは前の選手に感謝したい。逆転ができたというのは大きなことだと思う。守備では、相手には前に力のある選手がいたので、カウンターのところで、裏をしっかりケアしようということは意識していた。久しぶりに松さんと組んだので、良く声を掛け合ってチャレンジアンドカバーを意識した。4年なので松さんが入ると締まる。(CKで意識していることについて)今年は結構練習をしているので、そういったところで成果が出ているのかなと。一人がニアにいて、自分はファーでフリーになる形というのもやっているので、リーグ戦でも成果は出ていたので、このトーナメントではセットプレーが大事になってくると思うので、生かしていきたい。どこと当たっても厳しいと思うので、しっかり守備から入って、チーム一丸となって勝てるようにしたい」