悪い流れを断ち切り慶大に快勝/春季関東大学男子1部リーグ戦

2014.05.21
悪い流れを断ち切り慶大に快勝/春季関東大学男子1部リーグ戦
 春季リーグ戦も残すところあと2試合となった慶大戦。ミスも少なく攻守ともに充実した一戦で慶大から勝利を収めた。序盤は相手のエース・柳田のスパイクを浴び、苦しい状況となる。しかし「2セット目以降では出て立て直せた」(有田賢史・政経4=福大大濠)と途中出場の有田と杉本匠(政経4=聖隷クリストファー)の活躍により、先週の日体大戦からの悪い雰囲気を断ち切り上位入賞に一歩近づいた。

 両チームとも流れを支配できずにいた。第1セットは下級生のみで構成されたメンバーで始まった。スパイクが思うように決まらず3ポイント連取されリードを許すも、原潤一(文3=習志野)がAクイックで相手の流れを止めた。與崎風人(政経3=鹿児島商)の緩急を付けた攻撃と、途中出場の杉本匠(政経4=聖隷クリストファー)を中心に得点を狙う。しかし慶大のエース・柳田の強烈なスパイクに押され、一歩及ばず18-25で第1セットを落とした。

 第2セットで流れが変わった。「スタメンから外れて気合いをかき立てられた」(杉本)と杉本と有田が加わったことでチームの雰囲気が一変。序盤より杉本のバックアタックで勢い付くと、徐々にポイント差を広げた。相手の時間差攻撃にポイントを合わせ2回連続ブロックで15―10に。打つ手が無くなった慶大はここでタイムアウト。流れを変えるべく、慶大は柳田のスパイクサーブで決める。しかしキープは許さず與崎のブロックで優位な展開で終盤を迎えた。拾ってつなぐバレーに徹底し、セットを取り返した。

 第3セットも勢いは続いた。序盤より力強いスパイクで慶大のブロックを破り、得点を重ねる。長いラリーも杉本のフェイントで制し追従を許さなかった。「ブロックは形とタイミングを練習から意識した」(小野寺徹・営3=東洋)と、ブロックでも調子の良さを見せた。持ち前のコンビバレーで慶大を圧倒し、25-14でこのセットを収めた。

 4年生のスパイクがさえた第4セット。先制点を取られるも有田が繰り出す強烈なスパイクでレシーブミスを誘い、すぐさまリードを奪う。「慶大にはAクイックをマークされていたので、時間差を上げたらノーマークだった」(原)と相手の裏を突き、緩急を付けた攻撃で翻弄(ほんろう)した。慶大のスパイクにブロックを抜かれることもあったが、瀧野頼太(政経3=創造学園)のレシーブで得点を許さない。さらに杉本のブロックアウトなどで点差を広げた。慶大の3回連続サーブミスにより試合を優位に進め、25―20で貴重な白星で飾った。

 フェイントを増やした多彩な攻撃と、形とタイミングの合ったブロックで攻守ともに良好だった。「早稲田には去年の東日本やリーグ戦で借りがある。絶対負けられない」(杉本)と最終戦を目前にチームも盛り上がりを見せる。因縁の早大戦に向けて良い流れを作り、上位入賞を狙う。

[西尾健三郎・荒井希和子]

試合後のコメント
有田

「1セット目に4年が誰も出ていなくて、2セット目以降では出て立て直せたと思います。昨日よりチーム全体で勝ちにいこうという気持ちが強かったです。いつもは自分と頼太(瀧野)が声を出しているけれど、今日はみんなで声を出すことができていました。いつもより雰囲気も盛り上がっていて、負担があまりありませんでした。試合内容としては、柳田に対応ができていたと思います。昨日は杉本が練習の時も試合の時も自分だけの世界での勝負になってしまっていると言われ、4年生全員で引っ張ることができていないという話になりました。4年がふがいないから試合に出さないということになり、今日の1セット目は下級生が出ました。慶大対策としては、柳田に対応することを第一にしていました。しかし望みが薄いかもしれないということで、第二の策として柳田は放置してほかのスパイカーに対応し、徐々にこちらも点を稼いでいくというものがありました。今日やってみて柳田が崩れて立て直せなかったおかげで、理想の第一の策でやっていき勝つことができました。向こうがマイナスの方向へ行ってくれただけで、自分はいつも通りのプレーだったと思います。気持ちの部分で、昨日は思いきり打って決めてやろうと思っていましたが、今日はフェイントを入れたりして、落ち着いて選択肢を増やそうと心掛けてプレーができたと思います。今日の勝利で首の皮が一枚つながったという感じです。次の日曜へ向けて調整をしていきます。速い平行トスが合っていないのでコンビで合わせていきたいです。次戦で春リーグは最後なので、みんなで勝っても負けてもやり切ろうと声を掛けていきます」

杉本
「一通り満足できる内容の試合でした。4年生が1セット目に出ていなかったのは、昨日の結果があまりにもひどかったので、スタメンから外れていました。出だしで濱中なんかはそうですけど、力が入っちゃってミスが続いていたので監督からもキャプテンからも杉本出るぞとは言われていました。だからある意味では気合いをかき立てられた部分もありますけど、勢いづけられたこともあります。やっぱり出られないとなるともどかしい気持ちがあります。試合に出て僕と有田が決めてチームを勢い付けることが原動力になると思います。今後も続けていかなければいけないと改めて実感しました。コンビバレーに関しては、その前のキャッチとレシーブがしっかりしていたのが大きいです。政井も余裕を持ってトスの選択肢が広がったと思います。ちゃんとレシーブが返っていろんな攻撃もできましたし、政井も政井で1カ所にトスが固まらないようにゲームメイクしていたので良かったです。今日の試合は出だしでこけてしまったので取り返すのは難しいと思っていたのですが、2セット目以降は自分と有田でやってやるぞって気持ちで切り替えられたと思います。柳田は僕らより頭一個分飛び抜けてうまいですが、僕たちはチームの総合力で勝っていけたらいいなとは思っています。僕はサーブレシーブが一番うまくいきました。特にたくさんレシーブするのでしっかり足が動いて普段通りできたと思います。チームとしての収穫は4年生がしっかり引っ張れたことです。タイムアウトやセット間で4年生が多く発言して言葉としてチームに伝えられました。今までは頼りない部分ばかり見せてしまっていたので、今日は良かったと思います。最終戦の早稲田には去年の東日本やリーグ戦で借りがあるので、それを返したいです。因縁があるので絶対負けられないです」

小野寺
「今日は2セット目から流れが来ていたと思います。相手のエースの柳田さんは自分の高校の先輩だったので、止めたいという思いはありました。向こうは勝負所でエースを使ってくるので、そこで止められたことでチームに勢いが出たと思います。ブロックは形とタイミングを練習から意識して実践でも出せました。バックアタックをなくすことができるのでサーブは柳田さんを狙っていました。昨日負けてしまって雰囲気が悪くなっていましたが、しっかり切り替えて今日勝つことができて良かったです。早大は昨年の秋リーグで負けて優勝を逃しているので、勝って終わりたいです」

瀧野
「昨日が情けない試合だったので、試合に挑むときから一人一人がいい形で臨めました。一人一人がそれぞれの役割を果たせたので、いいバレーができたのかなと思います。5セットマッチなので1セット取れても2、3、4と取ればいいという考えがあるので、1セット取られた段階では焦りとかはなかったです。(1セット目のメンバー変更は)昨日の試合の中で、勝っている中で逆転されて流れを崩したのは4年生だったので、そういう自覚がないのなら外すという方向になって外しました。けれど昨日の負けから4年生が感じたものがあったと思いますし、今日は切り替えて杉本さんや有田さんが違った姿を見せてくれたので良かったと思います。今までチームの雰囲気に気付きながらも自分が声を掛けずにいた部分がありました。昨日の試合を通して自分の中でチームの中心になって声を出したり、引っ張っていくという実感が湧いたので、今日は『打て』だとか声が出てきたのかなと思います。(スパイクに対しては)来たボールは必ず上げるというのと、ブロックも結構機能してくれたので、すごく拾いやすくて守りやすかったのが結果につながったのかなと思います。今日は全員の脚が動いていて、気持ちが乗っていました。いつもより倍いいバレーができていたと思います。今4位ということで、残り一試合勝つと負けるとでは順位も変わってきてしまうと思います。今日のようなバレーをしてしっかり早稲田を倒します。昨日みたいにチームが一回死んでしまったらあとは這い上がるということで、一人一人自覚があると思うので来週は勝てると思います。(早大の印象は)身長は低いですが、上手い選手がたくさんそろっています。戦い方としては小さい分相手の攻撃に対してワンタッチを取っていって、一つ一つミスのないバレーを展開していきたいです。あとは気持ちをつくって挑んでいきたいです」


「今日は盛り上がって良かったです。昨日の試合の雰囲気が悪かったので、ミーティングをして切り替えられた結果だと思います。シャットも多かったです。昨日はサイドの杉本さんが乗っていなかったが、今日は盛り上げつつ、サイドとしての仕事もしていて、チームとしても上手く回っていました。慶大にはAクイックをマークされていたので、時間差を上げたらノーマークだったので決まりました。キャッチも良かったので、連続で点数を取られるようなこともなかったです。自分と小野寺の間で、サーブミスは絶対にしないようにしようと言っていたが、2人とも一回ずつミスしてしまいました。次の試合ではないようにしたいです」

與崎
「昨日の反省で1セット目は下のチームでやったのですが、やはりまだまだ試合慣れしていない部分がありました。最初から雰囲気が良かったので、それが勝因だったのかなと思います。(1セット目は)監督の方針というのもあったのですが、それによって外から見られたのが一つあってチーム状況が見られたのかなと思います。序盤は結構肩に力が入っていて、そこは反省です。(攻撃は)絞れてはいなかったと思います。ブロックは柳田さんを意識しました。今日はブロックに関しては徹(小野寺)がやってくれました。エースを止められればうちのペースにもっていけるというのも今回で分かったので、それを早く仕留められれば自分たちのペースでいけると思います。柳田さんが攻撃しないとなるとライト側もバックアタックや左利きもいて、そこが少しでもつながれば切り返しで早い攻撃ができたので、そういう面では良かったと思います。ただ速攻に対してのブロックがまだまだかなと。相手が早い攻撃になってくると、当て上げというか、うちのペースにならないのでそこは練習でやらないといけない部分だと思います。(サーブに対しては)柳田さんを狙っていました。バックアタックを打ってくるので、そういう面では結構狙って、ちょっとでも崩せればバックの確率も減っていくと思いました。そこは戦法として昨日のミーティングで話し合った内容で、そこはできたので良かったです。今日は声を出してやっていた部分はありました。前回までは成り行きでやっていたというか、流れに合わせてやっていた部分がありました。やはり今日のような感じで4年生がやってくれればチームもいい感じで回っていくので、そこは意識してやってもらいたいです。(早大の印象は)やはりつなぎがあります。つないで相手のミスなり、エースの専田さんが決まってくると向こうのペースになってくるので、早く専田さんがつぶれればこっちのペースになると思うので、エースをどれだけつぶせるかが来週はいい勝負になるか、それともけちょんけちょんにされるかを左右すると思います。あと一週間詰められるところまで、しっかり詰めたいです。4位で終わるのと5位で終わるのとでは、次の東日本にもつながってくるので、あと一勝して東日本につなげたいと思います」

政井拓歩(営2=尼崎)
「2セット目からいつものメンバーに戻って、チームとしても立て直せました。慶大に対しては時間差を有効に使っていこうと思っていたので決め切れて良かったです。2、3セット目はセンター攻撃を多くしたのですが、減らそうという話をして最後はサイドで攻めました。日体大戦から良くない流れで昨日も負けてしまって、ミーティングで切り替えようと話し合えたことで気持ちの面で負けなかったと思います。早大戦はセッターが高校時代からのライバルで、明大としても勝てばさらに強くなれる相手だと思うので何としても勝ちたいです。チャレンジできることはしていって、チームとして一段上に上がりたいです」