
堅守・東国大を下し今季初連勝/関東大学1部リーグ戦
値千金の決勝弾だった。相手DF陣を崩せずにスコアレスドローかと思われた後半25分、右サイドでCKを獲得するとキッカーは差波優人(政経3=青森山田)。鋭いクロスボールは藤本の頭でそらされゴール中央の混戦の中へ。すると次の瞬間にゴールネットは揺れた。歓喜の輪の中心にいるのは今季初スタメンの水町だった。「差波くんがいいボール蹴ってくれて。今までの試合でもそういったときに藤本くんが触って何か起こるってことが多かったので走ったら」と計算に裏打ちされたプレーでのゴール。「点を決めたのは見たことがない」(三浦龍輝・商4=FC東京U-18)と周囲は驚き。「得点できるとは思っていなかった。正直痛かったけど左のインサイドで決めた」と直前のシーンで左ひざを負傷した水町は、得点後に途中交代を余儀なくされたものも満足げな表情だった。水町は入学直後に腰のヘルニアを患い、昨年の9月にようやくサッカーを再開し今期は途中出場を重ねて試合勘を取り戻している最中。「今日はスタメンだったけどこんなプレーじゃポジション奪うのは無理。次節ベンチ入れるかも分からない。明日からまたアピールしていきたい」(水町)とゴールに酔いしれながらも気持ちはもう次節に向いていた。
勝利の陰にはチーム内での戦いがあった。中2日の今節は3名、スタメンを入れ替えた。ケガから復帰した松藤正伸(文4=FC東京U-18)と前節途中出場で得点した瀬川祐輔(政経3=日大二高)。そして決勝点を決めた水町だ。栗田大輔助監督は「明治の総合力、選手を信じて使おうというのが大きかった。選手は期待に応えてくれた」と選手が変わろうと一定したパフォーマンスを残せるチームを評価。選手も「そういう争いがないと成長できないと思う。練習で手を抜いたら試合も出られない」(瀬川)といい刺激に。チーム内でのポジション争いが好循環となっている。
次節は第8節筑波大戦。明大は昨年前期の勝ち点を上回ったが、優勝を目指した開幕当初の目標である勝ち点25まであと12点。目標達成のためには勝ち点を落とすことはできない。相手はリーグ唯一未勝利の筑波大だがJ内定の車屋紳太郎が所属し侮れないチームだ。「チャレンジャー精神で 勝ち点を取りにいきたい」(栗田助監督)と次節も虎視眈々と勝ち点3を奪いにいく。
[西田理人]
試合後のコメント
神川明彦監督
「セットプレーで点取って勝つのは最高の勝ち方ではないかと思う。コーナーは差波がやっと前節くらいから狙ったところに蹴れるようになってきて、それまで僕もだいぶ厳しく彼に要求していた。助監督の方からも、差波のキックがかなり安定してるから、コーナーはチャンスになるぞってことで、試合前にちゃんとそれはポイントとして確認してたから、もうまんまとと言うかね、助監督の指示通りやれたので良かったと思う。失点がここにきて減っているし、まあ、今日の相手は失点の匂いがあまりなかったけど、良いんじゃないかと思う。1-0で勝てるっていうのは。去年の前期の勝ち点をすでに上回ったから。うまくチームがいい方向に向かっていることは、手に取るように分かるので。この調子でみんな頑張ってほしい。守備的なチームとの3連戦でなんとかね、順大には引き分けちゃったけど、得点も与えなかったので、そういう意味では早稲田戦での1点だけ。与えたのは。良かったと思う。2勝1分で、負けなしで勝ち点獲れたので、これが早い段階から出来ていれば。これが慶大とやるまえに分かっていれば、慶大戦も乗り切れたと思うので残念だが、仕方ない。このあと筑波大戦に向けて、中3日なので、選手たちにはしっかりコンディションを整えてほしい。(水町について)本当に栗田助監督の采配ズバリで、連戦になるということでコンディションの良い選手。早稲田戦の翌日にテストマッチを組んでいて、そこで調子の良かった選手を思い切って起用した。木戸だとか。みんな交代して出た選手も良かったし、瀬川とかも90分しっかり戦ってくれたので、栗田助監督の目利きというか、チームマネジメントが今非常にうまく回転し始めたと思う。今、FWも苅部(隆太郎・商4=川崎フロンターレU-18)がサブにも入れない、追いやられた状態で、競争は激しいから、今本当にチームがうまくいき始めた。僕としては黙って見てればいいという状況になってきた。(松藤について)長くケガで苦しんでいたが、もともと今日の2CBがレギュラーでないといけない。番号通りだから。小出が一度大きなミスを犯したことが、仇となって彼はまだ苦しんでいるが、そういう競争があって良いと思う。小池ができるのに今日は温存だから。本当に栗田助監督のチームマネジメントがまさに。客観的に見て、僕も相談は受けるが、彼が考えてやってくれているので。それが今ぴたっとはまり始めて良いと思う。(去年、一昨年と前期で苦しんだが)栗田助監督は(勝ち点を)25獲ると言っているので、もう落とせない状況になっているが、栗田助監督の設定した勝ち点を選手たちがしっかり理解して、一戦一戦が大事ということを理解してやっているので、本当に良くなっていると思う。僕自身すごい手応えを感じている。本当に頑張ってほしい」
栗田助監督
「勝てたことが良かったです。駒沢の試合で0で抑えられて、そこから守備からもう一度見直そうとして順天堂と引き分けた。早稲田、東京国際と続いたが、守備からきちっとやった。今日も東京国際は引いて守るチームだったので、そこにじれず、焦らずに自分たちのサッカーをやると。1点勝負だというのは思っていたので、いい形で1点が取れて勝つことができたので非常に大きかったと思います。(連戦が続きメンバーを大きく入れ替えたが)やっぱりこの後、10日にも連戦が続くのでそういう中で明治の総合力、選手を信じて使おうというのが大きかったですね。その期待に選手たちは応えてくれた。大きかったのは小谷が連戦で疲れていたので水町をボランチに使って、アンカーに置いてその前で差波を使ったこと。後は藤本を前に持っていって、瀬川は前節でも点を取って調子も上がっていたし、守備がいい選手なのでそこのバランスをしっかり取るという狙いがはまった。まさか水町が点取るとは思わなかったので、それは想定外だったんですけど。藤本がここ数試合安定して力を発揮してくれているので、得点シーンもコーナーに対して藤本がいいヘディングをして飛び込んだので、藤本の存在は大きいのかなと思う。元々、FWの選手なのでサイドをやらせたことによって見える視野というか、プレーできる範囲が広がってくるので、見え方が変わってきている。そういう意味ではサイドをやったことがFWに生きてるんじゃないかなと思う。やっぱりパスサッカー、ポゼッションのサッカーを目指している中で、どうしても攻撃に重点が置かれると切り替えのところだったり、イージーなミスで守備バランスが崩れてしまうので、まずは守備のラインをつくりながらビルドアップしていくということを整えている。うちのチームの中でよくリスク管理という言葉を使って表現しているんですけど、下がって守るかといわれたら明治のスタイルではない。当然相手によって状況を変えながらサッカーをやっていきますけどきちっとDFラインと中盤のラインを整えて、裏に蹴らせる時でもラインバック、いわゆる蹴る瞬間にラインを下げながら対応するというのを徹底している。(木戸の投入の意図は)木戸はデビュー戦になるが、裏に抜ける力であったり、得点を取る力のある選手だと思っている。中盤の水町、瀬川、差波、石原の4人が後半になって機能しだしたので、あえてFW2枚、木戸と藤本で点を取りにいった。(筑波大戦は)もう一回気を引き締めて、チャレンジャー精神で勝ち点を取りにいきたいなと思います」
三浦佑介ヘッドコーチ
「勝ち点3取れたのはすごく大きい。スタメンをかなり変更したのは誰を使ってもいいという今のチーム状況から。中2日を考慮した部分もある。特に良かったのは松藤。途中交代で1年生を2人入れたが単にそれだけの力があるということ。木戸は点を取ることを期待した。土居は相手がかなり引いてきていたのでドリブルで崩してほしいという思いで入れた。前半は引いた相手に対し苦戦した。距離感が良くなかった。そこの部分を変えるように指示した。選手がちゃんと理解して実行してくれた。点を流れの中で取れなかったのは反省すべき。得点シーンはまず差波が素晴らしかった。水町のゴールはチームの雰囲気がいいことを表している。(失点0だが)守備は今年に入ってからずっと意識してきた。良いんじゃないですかね。ただまだ細かいところの修正は必要。(今期初の連勝だが)早大戦の勝利が自信になった。チームの雰囲気が本当に良い。(筑波大戦に向けて)まだビデオを見ていないので何とも言えないがいろいろなタイプの相手がいる。どう攻略していくのか対応力を持ちながら臨みたい」
三浦主将
「相手がブロックをつくってきて、カウンター狙いというのはある程度想定できた。その中でまずは失点しないということをみんなで徹底した。回すという意味で狙いを持ちながら、回すだけにならないようにというのを意識しました。前期、勝ち点を25というのを目標にしてやっているのであとは勝つしかない。カウンターの一発だけしかなかったので、そこだけを意識しながら後ろの選手とボランチ、サイドハーフはうまく連携を取ることができました。(無失点の試合が多いが)明治というチームは攻撃のチームではなく守備のチームなので、まず守備が安定しないと上にはいけないかなという部分で最低ラインというかやっとチームづくりできてきたかなと思います。(メンバーが大きく変わったが)誰が出ても同じサッカーができるというのが理想のサッカーなので、そういう面では今日の何人か変わって出た選手が適応できたというのはチームとしても大きいかなと思います。(連戦の疲れは)確かに多少の疲れはあるんですけど、無失点で勝ててるというところで前向きな疲れというか、変な疲れではないと思います。(水町について)すごい堅実なプレーをしてくれて、点を決めたのは見たことないが決めてくれたのは本当にチームに貢献してくれたなと思います。誰でも点が取れるというのはチーム状態がいいということだと思うので、他にもいろんな選手が点を取ってくれると助かります。(筑波大戦に向けて)これまでの相手とまるっきりタイプの違う相手なので、しっかり準備をして自分たちの良さを出しつつ、相手の良さを消せるようにしっかり準備していきたい」
差波
「今日のセットプレーは、ニアに藤本が走り込んでくるシーンが多かったので、そこに合わせるように意識した。その結果うまく絡んだプレーができたのは予想通りというか、積み上げてきたプレーが点数につながったのは良かったと思う。今日の相手は表立って攻めてこない相手だったが、相手のプレーによって自分たちのサッカーを変えるということはしない。しっかりつないでサイド攻撃をしていくことは変えないし、その中でしっかり、引いてくる相手に対する対策であるロングボールだったり、セットプレーだったりっていうのをみんなでやろうというのを話していた。自分たちのサッカーを重視しながら、練習でもそういうロングボールやセットプレ―というところは意識してやっていた。パスだけにならず、中央突破だったり、ドリブルとパスをうまく使い分けるというのも意識した。攻撃にアクセントを加えられたというのは良かったと思うが、もっと精度の高いプレーをしなければならないなと感じる。スルーパスやロングパスは自分の特徴でもあるし、意識はしている。普段から、というかは高校からずっとやっているプレーなので、それに磨きをかけていけたら。自分のプレーを仲間も理解してくれているので、そこに合わせるっていうのは日頃からやっている。自分のプレーにはまだまだミスが多いし、ミドルシュートだったり、単純なミスが多い。もっと得点に絡んでいかないとと思うので、反省ばかり。リーグ2連勝で1失点というのはいいと思うが、だからといって次は勝てるというわけではないし、また次の試合にフラットな気持ちで臨むことが大切かなと思う。次節まで3日しかないが、チーム一丸となっていきたい」
瀬川
「個人としてはあんまりボールに関われなくて、もっと前で仕掛けてクロスとシュートに持っていきたかった。差波からスルーパスを受けて、あんまり当たらなくてシュートを外してしまったが、ワンチャンスをものにできるかどうかで変わってくる。あのシーンも前半の中盤ぐらいであそこで決めていれば、もうちょい相手が前がかりになってスムーズに試合運びができたかなと思います。(スタメンで起用されて)前回の試合で1点決めたので多少自信になっていた。でも個人的には今日も結果が欲しくて、最後までカウンターで走っててボールが欲しかったが味方と合っていなかった。自分としては不完全燃焼だったが、チームが1ー0といういいスコアだったので次につながると思う。(レギュラー争いが激しいが)そういう争いがなかったら、自分としても成長できないと思う。年下にもいい選手がいっぱいいるので、そういう選手に刺激をもらっている。練習がポジション争いで大事になってくるので、練習で手を抜いていたら試合も出られないので、毎日充実はしている。あとは結果を出す。レギュラー争いも嫌ではない。 (筑波大戦に向けて)疲労とか中2日で東京国際大さんと試合だったので、疲労を考えてスタメンの人がメンバーを外れたりした。だからこそ結果が欲しかったが、また練習でアピールできる期間が3日間あるのでしっかりアピールしてどん欲にいきたいなと思います」
藤本
「前節勝って、連勝というのが今シーズン無くて。ここからがすごく大事になる。試合自体は悪くはなかったが、難しい試合になってしまった。セットプレーで1点取れて、無失点で勝てたというのは、本当に成長というものを見せられたと思う。(引いた相手にどういう攻撃を意識したか)あまり攻撃のところでどうこうという風には練習とかではやっていないが、個人のイメージだった。今日は人数絡んでの攻撃が少なかったので、3人目とかそういう動きも無かったし、引いた相手だから難しいというのはあるが、ミドルシュート打ったり、何人かで絡んで崩していかないとシュートまで持っていけなくてこういう展開になってしまう。これからもこういう試合になることがあると思うので、練習から意識してやっていかないと。今日は勝てたけど次がどうなるかは分からないので、意識してやっていかないと。(コーナーキックでのアシストについて)あれは、優人(差波)が今日の試合もそうだが、前の試合も結構良いボールをコーナーキックで蹴っていたので、ニアのところでずらしたら何かあるかなと思って自分が飛び込んで、自分が決められれば良かったが、角度的にもとりあえず中にずらしたっていう感じで、政哉(水町)が入ってきてくれたので、セットプレーで取れたっていうのは大きかった。 (FWとして出場したが)もっと背後を狙っても良かったと思うが、あまりスペースが無かった分、難しかったが、それでも背後狙ったりだとか、自分が一回キープして起点になって周り活かして出ていったりとか、もっとシュートを打つようなプレーをしないといけないと思うが、久しぶりの感覚としては、最後まで走り切ることができたし、良かった。(SHからFWへ戻ったが)SHやっているとき、相手のSBと駆け引きしながらというのがあるが、FWやっていてもそれは同じで、相手DF,CBだったりSBとの駆け引きなので、その中で相手が前狙っているようだったら、裏を取ったり、そういう動きはより意識するようになった。栗田助監督も多分そこを意識してほしかったというのもあったと思うし、自分もこれからそういうところを意識してやっていけたら良いと思う。これからまたSHするか、FWするか分からないが、試合に出たら、それぞれの役割があると思うので、ゴール目指すところは変わらないので、自分に与えられた役割を全うしたいと思う。(今季初の連勝となったが)本当に大きいと思うが、中3日で筑波戦があるので、そこ勝ったらまたちょっと違う風になってくると思うので、チーム全員でしっかりいい準備をして勝てればいいと思う」
水町
「今日初めてスタメンで出場して、まず自分が出たことで負けたくないと思った。失点だけはしたくなかった。セカンドボールとバランスを意識してプレーした。初スタメンは緊張した。求められていた役割はある程度できたと思う。点を取るつもりは全然なかった。今年になってからトップで出させてもらってて下のチームとはやってるサッカーが全然違う。途中出場をしていく中で徐々に慣れてきたという感じ。自分の今日の役割はアンカーとしてバランスをとりながら失点しないこと。相手が引いてるので守備はあまり苦労しなかったけど、その分カウンターに注意しろと言われた。今日の自分の出来は60点。守備だけなら70点。ただ攻撃だけなら30点。バランスを意識しすぎた。もっと前にボールをさばいて攻撃に参加できればよかった。満足はしていない。得点シーンは100点です。(ケガは)ゴール決めるちょっと前に膝入って。正直痛かったけど左のインサイドで決めました。得点シーンは差波くんがいいボール蹴ってくれて。今までの試合でもそういったときに藤本くんが触って何か起こるってことが多かったので走ったら、という感じ。得点できるとは思ってなかった。
ユースでの活動は12月で終わって大学での練習は2月から。その空白の2か月間自主トレしてたけどほとんど何もしていなかった。それで明大の練習に合流して急に激しいプレーが増えたりプレースピードが上がったりで追いつけなくて2週間でケガした。腰のヘルニア。ユースの時はあまりケガなくて大きいケガは初めてだった。トレーナーから筋肉が付いてないって言われてて、体幹とか尻の筋肉とか特に。今でもそこは意識してトレーニングしてる。昨年の9月から試合でれるようになったけど試合勘が全然戻らないしスピードも出ない。今はその時よりは動けてる。けどもっとできるようになりたい。
今日はスタメンだったけどこんなプレーじゃポジション奪うのは無理。次節ベンチ入れるかもわからない。明日からまたアピールしていきたい」
木戸皓貴(文1=東福岡)
「緊張はせずに、楽しんでできた。(途中出場の際、何か指示はあったのか)何も言われてないが、自分的には0-0だったので、チームに勢いをつけることと、得点をすることを考えてピッチに入った。(どういうプレーを意識したか)貪欲にシュートを狙うことと、裏を突いたり、守備だったら前線からプレスというのを意識した。(周りとのコンビネーションはどうか)ケガもあったが、徐々にみんなともコミュニケーション取りながらやれているんで、そういうところはプラスになっていると思う。(どんなプレーがしたいか)自分の特長が出せればいいと思うので、そこは変えずにやりたい。(特長とは)具体的に言うと、背後を取ること、それと守備だったりを徹底してやっていけたら、普通にいつも通りのプレーができると思うので、そこは徹底して常にやっていきたい。(自分のプレーに満足しているか)まだ得点も取れていないので、スタメンで出れるように次は結果を出していきたい。 (大学サッカーと高校サッカーの違いは)速さとかパワーとか、勢いとかも全然違うので、早く溶け込んで結果を出していきたい。得点することを考えながらプレーするしかないので、それをやっていきたい。(次節に向けての抱負)もう負けられないので、チーム全員で勝つしかないので、そこの一員として個人の質も上げていきたい」
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