上位の早大に2得点も、課題残る勝利に/関東大学1部リーグ戦

2014.05.04
 ほぼ完ぺきな内容だった。昨年度のリーグ戦では勝利していない早大相手に内容で圧倒。前半終了間際には室屋成(政経2=青森山田)の突破から得たPKを山越康平(法3=矢板中央)が冷静に決め先制。後半に入っても早大の攻撃陣を抑え続け15分には室屋のクロスを瀬川祐輔(政経3=日大二)が頭で合わせ追加点を奪う。このまま0で抑えたかったがロスタイムに一瞬のスキを突かれ失点。課題の残る勝利となった。

 相手を圧倒した。序盤から明大が優位に試合を進める。ボランチを封じられパスを回せなかった前節の反省から今節は幅を意識したパス回しを見せ、何度もチャンスを演出する。守備も常に先回りして相手FWに仕事をさせない。そして44分、PA内に侵入した室屋が相手に倒されPKを獲得。これを「PKを外したことがない」という山越が決め良い時間帯に先制する。後半になっても流れは変わらず。15分には室屋が敵陣内深くまで侵入。「感覚で上げた」というクロスに待ち構えていた瀬川が合わせ2点目を奪った。その後も反撃を狙う早大を抑え再びゴールまで迫ったが、ロスタイムにセンターライン付近から相手の独走を許し失点。「まだまだ練習が足りないということ」(栗田大輔助監督)と最後に課題も見えた。

 独壇場だった。室屋は「中盤でボールが回ったから高い位置で仕事がしやすかった」と積極的な突破で相手を圧倒。前半と後半に1回ずつPKを獲得し、2点目もアシストをするなど勝利に貢献。文句なしのベストヒーロー賞だった。
 昨年はルーキーながら定位置を確保。関東リーグの新人王に選ばれ、全日本大学選抜にも名を連ねる。すでに大学サッカー界でも屈指のSBだが、「これくらいはできる選手。もっと上を目指してほしい」(三浦佑介コーチ)と周囲も本人も満足はしない。

 次節は中2日で東国大戦。今節は上位の早大に勝利したが「まずは今日の反省をしっかりしたい」(三浦龍騎・商4=FC東京U―18)と気を緩める様子はない。ハードスケジュールだがチーム一丸となって連勝を目指す。

[髙山舞]

試合後のコメント
神川明彦監督

「本当にここで勝たないと上位に離されてしまうというゲームだったので、内容よりも勝ちたいという栗田助監督の勝ちたいという強い気持ちが選手に伝わって、良いゲームになった。選手も手応えを得られたと思う。最後に1点取られたのは、余計だった。何も起こさせないという盤石のゲームが出来れば良かった。もう1点重ねられなかったのと最後に1失点してしまったことは課題。(そこが専修とかとの違いか?)まだまだこれからということ。最後は走れなくなってしまっていたし。最後まで走るという最後の頑張りが欠けていた。早稲田の方が残りの力を振り絞って最後の10分は来ていたので、最後の10分の戦い方は課題。(パス回しは)良かった。でもあれぐらいやれるのに、今まで何でやれないのって感じで。今日のがベースです。あくまで。あそこからどれだけ積み上げられるか。まあ、選手がどれだけ手応えを感じてくれるのかが1番重要だから、手応えは得たと思うのでこれをベースにやってほしい。流れとしては今日の勝利は大きい。早稲田ってこともあるし、去年は一回も勝たせてもらっていないので、勝てて良かった。次節は中2日で厳しいスケジュールで、相手の東京国際さんもそうなんで、今節はお互い勝って登り調子なんで厳しい試合になると思うので頑張ってほしい。次も勝つだけ。東京国際はしっかり守備してくるチームなので順大に分けて、早稲田に勝って、次勝てば守備的なチームに対してどう自分たちのサッカーを展開できるかという最後の3戦目だともう。3戦連続の3戦目。同じ様なスタイルの相手。勝ってほしい」

栗田助監督
「まず勝てたことが良かったです。早稲田が上位を走っている中で、この一勝は大きいんじゃないかなと思います。まあ、早稲田がどうとか相手がどうとかというよりも、自分たちがきっちりと一戦一戦結果を出していくといとが今年の目標です。そういう自分たちの置いてる目標に対して追い詰められている部分があるから、そういう意味では一勝取れたというのが大きい。そういう位置付けですね。やっぱり早稲田とか専修とか外的な要因でぶれちゃうんで、自分たちがやっていることをいつも通りだせるかどうか。それが大きなポイントだったので、そういう意味ではいい入りもしたし、ゲームも支配しながら自分たちらしいサッカーができてたと思う。もちろん反省点はあるが。反省点は最後に一点を取られたところが、うちの弱さなのかなと。あそこが0で終わっていれば、それはもう一つの結果だと思うけれど、一点取られちゃったというのはまだまだ練習が足りないんじゃないかなと思う。(ここまでの試合で良かった試合は)駒沢の縦に強いチームとの試合で、0に抑えて勝ちにつなげられたというのがひとつのきっかけになっていると思う。まだまだ走り足らないところはあるが。(攻撃面は)ボールが良く動いていたと思うし、差波あたりが今までで一番良くやってくれていたと思う。全員が連動してくるサッカーだったので、今までのゲームよりは単発というよりは絡みがあったんじゃないかなと思います。やっているプレイヤーがまず面白いと思うサッカーを目指している。プレイヤーが面白ければ、見ている人も面白いと思うので。自分たちが納得するサッカーを追求している。(瀬川選手の投入について)瀬川は守備がうまいので投入した。前半左サイドのところのずれが生じていたので、まず守備面のことを考えて瀬川をいれた。まず守備面を安定させること。もちろん攻撃面は彼の感性があるので、自由にやって欲しくて、点を取ってくれて良かった。室屋は良かったと思います。ぶれない心とか運動量、そこは彼の特徴だと思う。(今のチームの状態は)雰囲気は悪くないし、僕自身も今年はもう選手が苦労しようが成功しようが自分たちで救い出すというテーマをおいているので、どんどんもがけばいいと思う。そういう意味ではいろいろな流れがある中での1年になるんじゃないかなと思っている。(次節に向けて)もう負けられないと思っているので、メンバーがどうなるかは分からないけども一回整理して、きちっといい守備から入っていい攻撃に入っていきたいなと思います」

三浦コーチ
「よかった。いいゲームだったと思う。(早大戦に向けては)先週の試合では攻撃が単調だったので、そこを変えようかなと。選手が意欲的に取り組んでくれた。選手がこの状態をつくった。(攻撃は)幅を意識させた。縦方向の攻撃が多かったので幅を意識させたがそれを選手が忠実にやってくれた。(失点)あれは食い付いてしまった。食い付かなければ問題なかった。そういう場面では課題も残るゲームだった。守備には今年こだわってるのでやっぱ0で抑えるのがテーマなのでいいゲームだったけど、もっと向上心を持って取り組まなきゃダメなんだよってことを教えてくれる失点でした。勝ったからこそうまく反省できる。守備はだいぶ安定してきたがひとつの失点で流れは変わる。相手を生き返らせてしまう。(守備の安定)試合をやりながら選手の中でコミュニケーションを取りながらやってくれている。(得点)あれは選手がアイデアを持ちながらやってくれた。幅を使いながらうまくペナルティエリア内に入ってくれた最高の攻撃だった。(キッカーについて)基本的にPKは山越が蹴るってことになってる。今まで外したことがないので。(2点目)あそこまで深く侵入できればいろいろなことが起こる。あそこまでボールを運べたことが要因。(藤本のFW起用は)相手の左SBに付いていけていなかった。オーバーラップのタイミング良くて 苅部でボールが収まっていなかったので藤本の良さをだそうかな、と。瀬川は守備がうまいので中盤の守備の安定をさせるためにああいう形にした。早坂も同じく守備の安定を狙った。賢いので守備もしながら攻撃に行ける選手。(室屋は)本来あれくらいできる選手。まだまだキックの精度は低い。彼はそういうところをしっかり磨いていかないと。ある程度やれるのは分かっているが、目指しているのはそんなレベルじゃないと思うので。(東国大戦に向けて)やれることはないのでみんなのコンディションをそろえて次につなげられるような準備を選手がやってほしい」

三浦
「全体的につなぐ意識を前の試合に比べて持つようになって、全体としてはやりたいサッカーは見えたかなと思う。けど最後の失点とかまだまだ攻めてる時のリスク管理だったりとか細かいところは修正していかなければいけないなと思う。(やりたいサッカーというのは)今まではわりかし個人技だったが、みんなでつなぐというかみんなでサッカーするという意味でもう少しテンポ良くやりました。(早稲田戦に向けてやったことは)特にないが、縦に強いということで、前の順大戦で見えた課題を修正した。縦に急いでしまうと相手の良さも出てしまうので、そこでいかに横とかななめにずらすかというのを意識してやりました。(早稲田戦はどれぐらい重要か)特に意識することはない。僕らが自分たちのサッカーをすれば、勝てるというのは分かっている。いかに自分たちのサッカーができるかという部分を意識しました。(守備の部分はどうか)相手が単純な攻撃しかしてこなかったので、そういう中で一点取られたのは反省しなきゃいけないかなと思います。(自分たちのサッカーが一番出せた試合は)まだないですね。去年のインカレの専大戦を思い出すと、まだまだ足りない部分がある。強い相手に蹴るサッカーだけではなく、つないで攻撃をするというのは明治のサッカー部が求めているサッカーなので、そういう意味では去年のインカレの専大戦はやるだけのことはやったかなと思います。とにかく前期はやりたいサッカーができるとは思わないので、そういう中でいかに自分たちのサッカーを見つけていくかが大事だし、勝ち切るというのが大事になっている。(次節に向けて)まず相手よりも今日の反省をしっかりして、自分たちの良さをどうやったら出せるかというのを決めて、それで相手の良さを消せるよう采配だったりをできればいいかなと思います」

山越
「勝てたことが一番。ただ最後の失点は甘さが出た。早大戦は山場だと聞いていたのでしっかり準備してきた。PKのキッカーは自分って決まってて自信はあった。最後の失点はラインで止めてしまったこと。そういったところをしっかりビデオとか見て修正したい。あそこ以外はほとんどやられていなかったのでそういったところを自信にしたい。ただ最後ワンチャンスでやられてしまうところが甘い。攻撃は前節の順大戦で全然ボールが回せなくて、チームでどうやったらいいか話し合って斜めのパスを多用しようということになった。それで今日よく回せていたのでよかったと思う。(守備について)前は攻撃に力を入れていて点数を取らなきゃっていう焦りから前がかりになっていたが、それよりもまず0で抑えることを意識して入ったら失点が減ったのでそういうところだと思う。中2日なので過ごし方をしっかり考えて、ミーティングなどでちゃんと話しあって準備して臨みたい」

差波優人(商3=青森山田)
「勝てたという点では良かったが、やっぱり0で抑えないと後味が悪いというか。勝てたことはうれしいが、そこまでうれしいという感覚ではなくて、もっとやんなきゃなという感覚です。(攻撃面で意識したことはあるか)練習からやっているみんながやろうとしているサッカーを6試合終わって今日初めて出せたというか練習通りにやれた。それをもっとやることが大事だと思う。(みんながやろうとしているサッカーとは)今日やったようなサッカーだったり、それだけではなく背後だったり、ミドルシュートだったりを増やすサッカーをやっています。(幅を使った攻撃で意識していることは)明治には3つのゾーンがあって、今日は真ん中のゾーンでシンプルにやれていた。やっている僕らテンポが良く感じていて、スムーズに前にいってる感じがあった。その感覚を忘れないでやっていけたらいいのかなと思います。0で終われたら良かったんですけど、そこが一番悔しいですね。(守備面は)後ろが頑張っているというのが一番だと思う。CBは関東リーグでもトップレベルだと思う。両SBだって全日本選抜だし、GKは主将。後ろはメンツ的にはすごいので、それ以外の選手の意識というか守備に対する考え方を突き詰めていけたら0は続くかなと思う。(個人としては)まだまだいいプレーという感覚はない。次出れるかも分からないので、いい準備をしてやる必要があると思う。(早稲田に対して考えていたことはあるか)早稲田は伝統的に縦に速いサッカーをしてくるというのは戦って分かっていた。それをどう攻略するかをチーム全体が考えた結果が今日の戦い方だと思う。早稲田だけじゃなくて、他のチームでも戦い方を考えてやっていけたらいいかなと思います。上位とかはあんまり関係ないですね。もっと自分たちのサッカーに自信を持って、今日みたいなサッカーをやるべきだと思ったし、6節過ぎた時点でこのサッカーに気付いたのは遅い感じがあるので。残りは自分たちのサッカー、プラス個人個人の良さを出していけたらなと思う。(中盤、トップの選手はどういう守備をすればいいのか)基本的には前から守備をかけて、それに中盤が連動してっていうのがうちのコンセプト。それはポゼッションしてくるチームにははまるが、蹴ってくるチームだとあまり意味がないというか。逆に中盤からしたらセカンドボールとかを拾わなきゃいけないので、そこでもプレッシャーをやるのかというのはまだチームとしては完成していない。そういう時に一回ひくのかとか、それでも前からプレッシャーをかけるのかとか、そういうところがまだ曖昧なところがある。そんなにそういうチームは多くないと思うから難しい。前から行くのは明治の特徴だと思うんですけど、ひいて守るだったり、そういったところで失点しなければいいという割り切りが大事だと思う。話し合ってはいるがまだ固まっていないのが今の課題ですね。(次節に向けて)2勝2敗1分できていて、今日勝てたというのはでかいと思うし、その流れにのって次も勝たなければ意味はないと思う。せっかくこうやっていいサッカーをして、勝ったというのはみんなの自信にもなると思う。かといって、自分たちに自信を持ちすぎず一回早大戦のことは忘れて自分たちのサッカーが出せるかといわれたら分からないので。それを出せたらどんな相手でもいけると思うので、東京国際大を倒したいですね」

藤本佳希(文3=済美)
「こないだは0-0だったので、もう2勝2敗1分というで、絶対に勝って勝ち点3を取らなければならないというプレッシャーを感じながら。前の試合も蹴り合いになっている、相手に合わせてしまうというか、今日の試合はつなぐことをチャレンジして、つないでつないで上でつなぐのではなくて下でつないでということをみんなで今週1週間心掛けてやっていて、そのままそれを試合に出そうと思っていたので、できたことは良かった。短いパスをしながら背後を狙うという意識はみんなあるんで、バランスも良かった。こっちが攻守において主導権を握れた。(いい守備からいい攻撃へはできたか)取った後のボールを蹴ってしまうということが多くて、それで相手が跳ね返してというのがあったので、それをうまく収めて下げてもいいし、つないでもいいし。蹴らずにつなごうとしてやった。徐々にはできてきているし、そこからまたつないで攻撃へというのができていてよかった。個人の能力という意味では出れる選手を見ていたら全然やれるし、もっともっとやれる。それでも戦うのはチームとしてなので。個の能力を出すサッカーをしながらも、みんなでつないでゴールに向かっていくという、明治らしいサッカー。すごく充実感はあった。(今節が1番良かったか)間違いないと思います。中2日なのですごい難しいとは思うけど総力戦だと思うので、誰が出ても同じ共通認識でやれているので次の試合も何としても勝ちたい。(久しぶりにトップだったが)本当にトップやるのが久しぶりで、栗田助監督に今週の練習でトップで使うかもしれないということは言われていたので、準備はしていた。いきいきできて楽しかった。景色が違うので。やっぱこれが慣れてるポジションだなと。あとはゴール取りたかったですけどね。(失点のシーンは)自分が点取りたくて仕掛けてしまって、そこで失ってのカウンターだったので僕も反省している。あそこのリスクマネジメントもそうですけど、あの失点は反省しないといけない。この早稲田での勝利の大きさはみんな分かっている。今日、勝つのと負けるじゃ全然違う。みんな危機感というのを感じながらやってたし、毎試合そうだけど、目の前の試合に勝たないといけないという気持ちが今日は特別強いというのはあった」

室屋
「チームとして勝ったり負けたり、不安定な試合が続いてたので、ここで絶対勝たないといけないという話はしてた。そういう意味では結果を残すことができたのはすごい良かった。栗田さんが試合前のミーティングで「この試合は気持ちが大事」と言っていたので、みんなも気持ちが入っていたと思う。すごくいいゲームができた。この試合を一つのターニングポイントにしていたので、ここで勝つということはとても大きいし、中2日で試合があるので、この勝ちに満足せずに次も勝てるようにしっかりやっていきたい。抜け出しの部分は結構自分の得意なところだと思うので、今年のリーグ戦はまだそういう場面がなかったので、この試合では裏に抜け出すプレーができた。自分としても感触は良くなってきている。そこは自分の持ち味。差波とは高校からやっているんで、1番やりやすくて、お互いタイミングとかもわかるので。やっぱり優人さんがボールを持ったら常に裏を狙っている。といのも練習からやっていたので、そういうのが試合に出たのでうまくできた。前の順大戦は蹴り合いになってしまって、その試合が終わった後に、ずっとポゼッションの練習をやってきて、それを今日の試合も意識してやっていたので、SBとしても中盤が回せれたら高い位置に入れて、攻撃参加もやりやすい。こういうサッカーを続けて行ったら個人としてももっといいパフォーマンスを出せると感じました。(アシストの場面は)その前のシーンで裏に抜け出していて、シュートを打つ場面があったので、そこのプレーをもっと追求しないと。あの場面で、ずっとクロスの練習を今年はやってきたので、それが試合に出てよかった。あれは感覚。一瞬ぼわっと味方が見えたような気がしたので、クロス入れた。適当じゃないけど、直感でやった。前半とかはいいプレーだったけど、後半とかは失点もして苦しい時間帯もあったので、もっとどこが相手でも圧倒できるサッカーをしないといけない。まだまだあかんなって。しんどい時に運動量を増やして、前からプレスをかけ続けること。そして早稲田が前からプレスをかけてきた状態でも、マークを外せるようにポゼッションだったりとか、そういったところはまだまだ追求していかないといけない。もっと良くなると思うので、ポゼッションだけじゃないですけど、質のところを大切にしていきたい。中2日なのでコンディションを整えて試合に臨むのと、早稲田という強い相手に勝てたというのを自信に持って、波に乗ってしっかり勝っていけるようにしたい。絶対勝ちたい」