日体大に価値ある引き分け/関東学生春季1部リーグ戦

2014.04.21
 優勝候補ナンバーワンの日体大をあと一歩のところまで追い詰めた。前日の敗戦から切り替えて挑んだこの日は、日体大のホームである日体大健志台体育館で試合が行われた。劣勢も予想されたが序盤から流れをつかむと、日体大の得意とする速攻を封じリードした時間が続く。後半に入って逆転を許すも、残り30秒を切ったところでなんとか追い付き同点のまま26―26で試合終了。勝利こそ手にすることはできなかったが、価値ある結果をつかみ取った。

 勝利にはわずかに届かなかった。試合終了間際、何としても決勝ゴールを狙う日体大の激しい攻撃を抑え速攻につなげる。素早い走りだしを見せた岩上義之(政経3=氷見)のシュートはゴールネットを揺らしたが、すでにタイムアップ。無情にも幻の決勝ゴールとなり、優勝候補の日体大からの金星とはならなかった。とはいえ、ここまで3戦全勝で優勝街道をひた走っていた日体大相手の引き分けには大きな意義がある。エースの堤由貴主将(営4=洛北)に対して後半開始直後からマンツーマンマークするなど勝利への執念を見せていた日体大相手のドローに、松本勇監督も「負けなかったということは引き分けだとしても大きい」と確かな手応えを口にした。それだけに終盤に何度もあったシュートミスが悔やまれるが、ディフェンスが大きく乱れた前日の東海大戦からの修正が見られ、前日とは別のチームであるかのような試合を見せたことは監督も高く評価した。日体大最大の武器である速攻をほぼ完璧に封じ、セットでのディフェンスでは高い位置で当たった。日体大のキーマンに対して厳しいディフェンスを見せ、何度も日体大の強力攻撃陣を封じた。それでも「もっと厳しく守れた」とディフェンスの要である東謙佑(法3=法政二)と勝ち切れなかったことに満足せず次を見据えた。

 序盤からキーパーの藤本寛史(営3=法政二)が好セーブで流れをつくった。試合開始直後に相手に速攻のチャンスを与えてしまうが、これを藤本が完璧なポジションを取りシュートを決めさせない。その後も相手の難しいシュートを何本もセーブ。前半20分の堤のゴールから始まった5連続得点のときには糸泰裕(営2=氷見)、吉野樹(政経2=市川)の勢いのあるシュートがあった一方で、何度もゴールを脅かされていたがことごとくセーブ。「今日はチームに貢献できるように挑んだ」(藤本)と前日の反省を生かし流れを呼び込んだ。

 課題の修正も見られた。この日も前半だけで7得点と大暴れしていた堤由貴主将(営4=洛北)だったが、後半に入るとすぐにマンツーマンマークに遭う。堤がマークされたときのオフェンスを課題としてきたが、この日もこれまで通り一度はリズムを失いかける。それでも東が豊富な運動量と積極的な攻めの姿勢を見せ盛り上げると、吉野や岩上なども流動的に大きく動き、堤不在であっても十分なセットでの攻めができることを示した。

 次の相手は桐蔭横浜大となる。格下ではあるがどの選手も「油断はできない」(東)と気は抜かない。今日の引き分けを生かすためにも桐蔭横浜大に確実に勝利し、上位争いをリードしたい。

[松井嚴一郎]

試合後のコメント
松本勇監督

「昨日はディフェンスが全然駄目で東海ペースになってしまった。開幕からの2試合がそうだったが守って速攻ができればセットの力はあるのでそれなりにやれる。ディフェンスっていうのは気持ちの問題。心しかない。全員が強い気持ちを持ってやれれば今日のようにできる。戻りも早かったし、上で止めてもいた。今日は気持ちが出ていた。ディフェンスができているときというのはうちのペース、できないと東海との試合のときのように相手のペースとになってしまう。春はマンツーとかはあんまりつかないけど、日体大もどうしても勝とうとしてついてきた。その中で東がいいところで決めてたり、岩上も打ったりしていて良かった。(1年生の工藤は)田中と違って上から打てるので練習でも使うように言ってるしこれからも使っていく。層が薄いので使わざるを得ない。監督になって日体大に勝ったことは一度もないし今日の引き分けは大きい。(桐蔭横浜大は)油断したらすぐやられるし甘くはない」

堤主将
「(今日の試合は)日体大は速攻が速いので、相手のペースにさせないようにと試合に臨んだ。それがうまくはまったのだと思う。セットオフェンスもしっかりできた。昨日の東海大戦はディフェンスが守れていなかったので、足を動かしてやることをやろうとチームで話した。昨日負けたのはおごりがあったから。それに対しての注意と修正もした。今日の試合は最低ライン。勝てる試合を勝ち切れなかった。ノーマークシュートミスやパスミスなどの大事なところでミスが出てしまった。桐蔭横浜大戦では、自分たちのディフェンス、オフェンスをやれば結果は付いてくる。自分たちのプレーができるように1週間練習していく。桐蔭横浜大戦は絶対に落とせない試合なので、確実に勝ちに行きたい」


「勝ちたいというのが正直だったのでうれしくはない。昨日の修正はできたがまだまだ改善できる。相手のエースがやってくることはわかってたからもっと止めることもできた。途中でミスがあったことで引き分けになってしまった。前半からうちのペースでやれていたので3点離されても粘ることができた。堤さんにマンツーでつかれたときが課題だけどうまく攻められた部分もあって、そういうときの気持ちが大事。(最後の同点ゴールは)くることがわかってたから入って良かった。次も油断せずに引き締めていきたい」

藤本
「昨日は調子が悪くて、今日はチームに貢献できるようにと挑んだ。もっと勝負どころで取れるようにしなければいけない。(引き分けという結果に対して)勝てた試合だった。チーム状態としてはそこまで良くなかったけど、日本一、ニを争うチーム相手にこれだけの点数を取ることができたのは収穫だった。(次の試合は)調子に乗ると駄目になるので、謙虚にやりたい。今日の良いプレーはなかったことにして、一からやりたい。まだまだ取れるシュートはあったので、そういうところを練習していく。桐蔭横浜大戦はとにかく謙虚にやる。そして後輩が楽に試合に出られるようにしたい」