
深澤が有終のベスト8 前田は1回戦敗退/全日本室内選手権
有終の美を飾った。今大会を最後に現役を引退する深澤は「いい終わりができた」と納得の表情を浮かべた。以前は社会人でも競技を続けることを考えていたが、昨年の王座、団体戦を終えて「チームのため」のアーチェリーが終わり「モチベーションが上がらなくなった」。引退は長年「チームのために」と動いてきた深澤だからこその決断だった。今大会も「後輩に何かを残したい」との思いから出場を決意した。
「最後なので気張らず楽しもう。後悔はしたくない」と挑んだ深澤だったが「本番で思うように射てなかった」と1、2回戦で苦戦した。しかし「正直勝てると思っていた」と堂々とした戦いを見せ、貫録の準々決勝進出。試合後は「ベスト8は良かった。ここ最近結果が出ていなかったので」と満足感を口にした。
「インカレや全日本は夢の舞台ではない」と言ってきた深澤は最後の全日本で結果を残し、諦めずに努力することの重要さを証明した。「これで弓を片付けるのも最後だと思うと寂しい。でも、チームに残すものができたので、すっきりしている」。涙をこらえながら話した深澤の表情は充実感に満ちていた。
エースの前田が苦悩中だ。今年初の大規模な大会に挑んだ前田だったが、決勝ラウンドで勝つことができなかった。
全日本の大会は3度目の挑戦。「(オリンピック形式の)戦い方は分かってきた」(前田)と自信を深めていたが、射形が固まらず結果を残すことができなかった。現在、昨年12月の韓国遠征で学んだフォームに挑戦中の前田だが「射形が当たるものではなかった」と、試行錯誤している。しかし、春のリーグ戦が迫っている中「(フォームを)変えるつもりはない」と韓流フォームの習得に意欲的だ。「点数でチームを引っ張っていけるよう、今の射形をものにしていきたい」。前田の言葉に力がこもった。
[本永雅敬]
深澤
「練習では調子が良かったが、本番は思うように射てなかった。でも、最後なので気張らず楽しもうと。後悔だけはしたくなかった。(ベスト8という結果に)いい終わりだったと思う。最近結果が残せていなかったので。これで弓を片付けるのも最後だと思うと寂しいけれど、終わったときはすっきりした気持ち、やりきったという思いだった。チームへの思いを形にできたと思う。(後輩に伝えたいことは)自分で限界を作ってインカレや全日本出場を諦めないでほしい。諦めるのはもったいないし、恥ずかしいこと。うちのチームは諦めずにできると思っている。私が辞めてもいいチームをつくってくれると思う」
前田
「調子が良くなかったというよりも、射形が当たるものではなかった。(オリンピック形式の)戦い方は分かってきたので、今は韓国で学んだ射形にいかに早く慣れるかというところ。これからはリーグ戦が始まる。点数でチームを引っ張っていけるよう、今の射形をものにしていきたい。リーグ戦は団体戦なので、自分一人の実力を上げるよりも、全体の力を伸ばした方がいい。学んだことを生かして、チームに還元していきたい」
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