明早戦で敗れ、悲願の「日本一」達成ならず/日本学生氷上競技選手権

 あと一歩届かなかった。「日本一」を懸けて行われた決勝戦の相手は、早大。明早戦にふさわしい、白熱した戦いが繰り広げられたが、明大がGWS(ゲームウィニングショット)の末、0対1で惜敗。準優勝に終わり、タイトル獲得とはならなかった。それでも試合後、選手たちには明大応援席から温かい拍手が送られた。

 最後に力尽きた。選手たちはリンクで喜びを爆発している早大を横目に、静かにロッカールームへ戻って行った。60分、延長戦では決着がつかず、試合はGWSへ。明大が1対2と絶体絶命の状況から、シューターを任されたのはFW大津晃介(法2=日光明峰)だった。「本当に緊張した。でも、決めなければいけないと強い気持ちを持って挑んだ」。だが、気持ちのこもったシュートが、ゴールネットを揺らすことはなかった。「もう4年生と試合ができなくなるのか」。試合終了の笛とともに、大津は呆然とベンチへ戻って行った。だが、そのとき大津を責めるような選手はいなかった。大津がベンチに戻ると、4年生は「ありがとう」と声を掛け「最後は運なので、しょうがない。相手の方が上でした」とDF佐藤光主将(文4=白樺学園)。チームに、余力は残っていなかった。

 先制点を奪われた10秒後、「何としてもゴールを決めたかった。ゴールシーンは綺麗ではなかったけど、貪欲にゴールを狙ったことが結果につながって良かった」と大津。自身のキルプレーにより失点してしまった悔しさをぶつけたシュートは、同点ゴールにつながった。だが、その後は早大の約2倍のシュートを放ちながらも、決勝点を奪えなかった。

 4年生にとっては、この試合が学生生活最後の試合となる。今シーズン、主将を務めた佐藤光は「最後はひとつにまとまってプレー出来た」。共にチームを引っ張ってきたFW上野滉太(政経4=北海)も「みんなが同じ方向に向けたインカレだった。そこに価値があると思う」と振り返った。後輩として、来年、エースとしての活躍が期待される大津は「来年こそは笑ってシーズンを終えたい」。最上級生が成し遂げられなかった「日本一」の夢は、後輩たちへと託された。

[加藤拓哉]

試合後のコメント
佐藤光

「優勝しか考えていなかったので悔しいの一言です。PS(ペナルティーショット)までいったら最後は運なのでお互いナイスプレーだったということです。試合の最初は、得点よりも失点をしないことから守りをしっかり固めて、そこから攻めはゴールに積極的に向かってパックをゴールに集めることを考えていました。各セット長いシフトなくショートシフトで入っていったので、いい流れでホッケーができたと思います。(途中でセットを変えていました)FWを3つのDF2つで接戦になってきたら回したりしました。 (1年間振り返って)生意気な後輩がたくさんいたので、うざいと思われていたと思うし、滉太(上野)は自分以上に細かく言っていました。言い続けることはいい気分にはならないですし、キャプテンに任命された時から滉太と話し合っていたし、そこを1年間言い続けて最後にベストゲームができたので報われたかなとは思います。(4年生の存在は)全員が高い意識を持って協力してくれたので助かりました」

上野滉
「(試合を終えて)意外とスッキリしています。悔しさはあったけど、自分でもびっくりするけど、冷静でした。ある程度、どっちに転んでも覚悟出来ていたのかもしれないです。(試合は)いいゲームでした。明治のやりたいホッケーが出来たし、足も動けていた。(GWS戦の)サドンデスは1本決めれば勝てる時に決め切れないのは詰めの甘さが出ました。努力が結果につながってないです。チームを勝たせられなかったのは、Aマークを着けている身としても恥ずかしいです。そんなに強くなくて、ここまでいけて、こんな試合ができました。4年生だからかもしれないけど、このインカレが一番印象的かもしれないです。選手である限り、満足や納得することはありません。いいインカレとは言いたくないけど、みんながまとまって同じ方向を向けたインカレでした。そこに価値があると思います」

大津
「全ての力を出し切ったです。でも、4年生を優勝させてやれなかったのはとても悔しいです。この悔しさは忘れてはいけません。自分の反則のせいで失点してしまい、そのときは決めなければという思いになったし、死に物狂いで貪欲にゴールを狙いました。その気持ちがゴールにつながったのだと思います。最後のゴールウィニングショットは、自分の1本で勝負が決まるのかと思い、とても苦しかったです。すごく緊張もしました。頭の中で、どのような攻め方をするのかは決めていました。それがうまくいき、ゴールを奪えたときはうれしかったです。でも、その後、サドンデスに持ち込まれ、またも自分の1本で勝負が決まる場面になったが、結局外してしまいました。そのときは、悔しさもあったし、自分に対しての怒りもありました。ベンチに戻ったときには、4年生が『ありがとう』と声を掛けてくれました。これからは、このようなプレッシャーのかかる場面でも決められる選手になっていかないと駄目だと思いました。来シーズンは、上級生としてチームのことを考えながらプレーしていきたいし、チームに貢献するようなプレーを心掛けていきたいです。そして、来年こそは最後の試合を笑って終えられるようにしたいです」