(16)号砲寸前!全員の力で箱根制覇へ
もう「3強」とは言わせない。駒大が優勝候補筆頭であり、それに次ぐ日体大、東洋大まで合わせて「3強」と数えられる。対する明大は、故障者も少なく例年以上に練習を積めており、メンバー争いも激しい。10月の出雲は7位、全日本3位とともに過去最高タイの順位に入った。前回7位の雪辱を果たし、65年ぶりの「総合優勝」へチーム一丸で挑む

充実の選手層
3大駅伝2戦目、11月の全日本で層の厚さを証明した。重要区間の2、4区で失速し、5区中継時で8位。それでも、5区松井智靖(営3=世羅)が区間2位の好走で3つ順位を上げると、7区木村慎(政経2=浜松日体)は区間賞の走り。1分半近くあった3位日体大との差を18秒まで縮め、最終8区で大六野秀畝(政経3=鹿児島城西)が2人を抜いた。つなぎ区間に3大駅伝出場経験者を置けたことが、4年ぶりの3位入賞につながった。
5000m13分台の選手が、史上最多の11人。昨年度出雲、全日本を走った山田速人(商3=西脇工)、同じく出雲出場の前野貴行(農3=須磨学園)、箱根10区の北魁道駅伝主将(商4=世羅)も今年はメンバーから漏れた。「誰も調子が悪くなかったが、今年はメンバー争いが激しい」と北。箱根経験者が9人、3大駅伝経験者が13人おり、他大と比べても経験値では抜けている。「全員がしっかり走ったら怖いチーム」(駒大・大八木弘明監督)「選手層は東洋大と明大が一番」(早大・渡辺康幸監督)と、各校の監督も怖れる。
主力陣が、順調に練習を積めている。昨季は前野、山田速が箱根前に故障。八木沢元樹(商3=那須拓陽)、横手健(政経2=作新学院)らも箱根ぎりぎりで間に合わせるなど、足並みがそろわなかった。今季は主力の選手が下級生から上級生になった。大学レベルの練習にも慣れ、ケガに注意しながら練習に取り組んでいる。箱根前最後の追い込みとなった12月の千葉・富津合宿も「過去最高の内容」と西弘美駅伝監督は納得の表情だった。
実力出し切る
箱根での悔しさが、成長の糧となっている。前回9区でブレーキした松井は「箱根でリベンジしたい」と1年間練習を積み、全日本では区間2位の快走を見せた。前回2区で終盤失速した大六野も、後半に粘るための練習を重ねてきた。それぞれ箱根への思いがある。だからこそ目標は「総合優勝」と選手は口をそろえる。西監督も「エントリー入りした16人以外も含めて、部員全員が一つの目標に向かっている」と選手の思いを買う。
今季は出雲、全日本を制し、三冠に王手をかけた駒大をはじめ、前回の箱根王者の日体大、3大駅伝5回連続2位の東洋大が「3強」と目される。それでも大学長距離界屈指の戦力に、豊富な経験と練習で培った自信があれば、優勝は射程圏内に入ってくる。「120%はいらない。100%の実力を出せばいい」と西監督。65年ぶりの箱根制覇が見えてきた。
[岡本幸大]

全員駅伝で3強崩し!65年ぶり箱根制覇狙う
全16回にわたってお送りしてきた「号砲―箱根駅伝90th―」は今回で最終回となります。今までご覧いただきありがとうございました。
いよいよ3時間後に号砲です。ぜひ沿道に足を運んで、明大の襷を胸に走る選手に声援を送ってください!
号砲―箱根駅伝90th―(2013年12月18日~2014年1月2日)
[取材・文 岡本幸大、片貝晋、関口詩織、奥村佑史、加藤拓哉、髙田悠太郎、本永雅敬、髙山舞]
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