
原がインカレ制覇! 団体は6位/全日本大学対抗選手権
トップバッターの原亮太(法3=須磨友が丘)がインカレ制覇だ! しかしその後、波に乗ることができずに獲得したタイトルは原の優勝と三原真吾(政経4=淡路)の3位のみ。「全体の点数としては残念な結果」(本多達雄監督)と、総合6位で1部残留。目標としていた3位以内には届かなかった。
出場選手
1日目
「今日の試合は上出来」。優勝しても滅多に自分を褒めない原が、今試合は満足な表情を見せた。3月の全日本ジュニアで優勝を果たしたが、世界ジュニアの選手に選ばれなかったのがずっと心残りだった。「あそこから半年経って、粘り強さを得た」。スナッチでは危なげなく正確に試技を終え、ジャークの2本目で141kgを挙げて優勝を決めた。最後の3本目、自身の記録更新を懸け147kgに挑戦。「(優勝が決まっているから)油断したなと思われるのが嫌だったし、できると思ったからいった」。見事6本取りに成功し、プラットを降りて控えめにガッツポーズ。「こんなポーズしようとか考えてたけど、実際に優勝したら頭真っ白。あまり目立ちたくないねん」と笑った。原にとって1部インカレは初だったため、緊張に押しつぶされそうにもなった。「先輩、監督のためというのが一番のモチベーション」。自らに勝ってチームのために獲得した優勝。新体制では主将として、エースとしてチームをけん引する。
一方中田は記録なし。残念な結果となった。調子も良く、試合前の調整でも軽く感じていた。しかし「冷静じゃなかった」と中田は言う。スナッチでは100kgを2本目に挙げた。続く得意のジャークでは127kgに連続で挑むもまさかの失敗。3本目も128kgを落とし、プラット上でしばらく首をかしげた。「4年間はすごく短かった。時間は価値があるもの。長い人生この気持ちを持って努力したい」。大きな教訓を胸に、4年間の大学競技生活を終えた。
2日目
2日目は77kg級で高原康幸主将(政経4=天草高天草西)、吉川琢磨(政経2=明石南)が、85kg級で西岡翔吾(政経2=洲本実)が出場した。
「部員全員の気持ちを背負ってプラットに立った」。明大の為に勝ちたいんだと、4年生になって気づいたという高原。試技一つ一つで吼え、自らとチームを鼓舞した。結果は4位と、表彰台にあと一歩届かなかった。1年間主将としてチームをけん引した高原。「横と縦が繋がって、角も取れて球体のような、丸いチーム」を目標に日々努力した。しかし「一番手を抜いた主将だと思う。同期が本当によくやってくれた。自分は恵まれている」と自らを評する。同期やチームに感謝する気持ちが、チームをより進化させた。「新チームには、温度差のないチームを作っていってほしい」。次世代に思いを引き継ぎ、自らのチーム改革を締めくくった。
同階級に出場した吉川は得意のスナッチで魅せるも、ジャークで3本失敗。「何とも言えない」。その言葉に、悔しさがにじみ出た。「自分の試技をすることに重きを置かず、4年生が最後だから団体得点を上げられるように臨んだ」と言う吉川。スナッチでは他を寄せ付けず1位に付けるも、ジャークは振るわず。「最後落としてしまったときは何も考えられなかった」と、プラットにしゃがみこんだ。今季優勝を何度も経験。得意なスナッチに加え、苦手意識のあったジャークも克服に近づけ、地力を蓄えてきた。「来年また頑張りたい」。今度こそ優勝を、チームの飛躍へ捧げる。
85kg級では西岡がプラットへ上がった。「1部インカレはいつもと違う。緊張してしまって、それが試技に表れた」というが、腰を痛めながらの全力の試技。チーム内での予想よりも低い結果だったが、合計で5点の団体ポイントを獲得。1点でも多くチームに貢献した。「今年通して納得できると思える大会がなかった」。来年こそは納得できるよう「頭を使って練習に取り組んでいきたい」と決意を新たにした。
85kg級が終わった時点で明大は7位。9、10位が2部に落ちるため、ギリギリの戦いが続いた。
3日目
「自分が点取らなかったら危ないなって思っていて、すごく不安だった」。高まる緊張や不安の中、総合5位に食い込んだ。ジャークの1本目では、プラットを後にした直後に審判員の協議で判定が覆り失敗。連続試技となったが同じく160kgを挙げてみせた。3本目は失敗に終わったが、チームに向かって深々と一礼。「(競技生活では)最後の7年目が一番楽しかった」と、思わず涙がこぼれた。「続けられるだけ続けて全日本選手権とか国体とかに挑戦できたら」。今後は新たなステージで、更なる進化を目指す。
明大勢最後の階級は105kg級。「4年間の最後に表彰台に上がれたのは良かった」。以前のインカレでは表彰台に上がれていなかった三原。最後は後悔なく試合を終えた。試合の3日前に腰を痛めたというが、痛み止めを飲んで試技に臨んだ。スナッチの1、2本目は少しバランスを崩しながらも耐えた。3本目は触ったことがなかったという142kg。「気持ち的に強く持てればよかった」と落としてしまう。この流れでジャークの1本目も落とすが、2、3本目はじっくりと確実に決めた。「大学での競技生活が終わったというのはまだ実感が無い」。1年次からエースとしてチームを支えてきた三原。表彰台の真ん中には上がれなかったが「ここぞというところで3位に入れて、やってきたことが間違いじゃなかったんだと思えた」。
同じく105kg級に出場した畠山。ジャークでは3本全てを丁寧に成功させた。「5本取りだったから満足はしているが記録的にはまだまだ」。引退する4年生に対し「普段はやさしく、練習中は厳しい良い先輩たちだった」と感謝の気持ちを述べた畠山。来季は副将として原とともにチームを引っ張る。
+105kg級を残して明大勢は大会を終えた。結果は105kg級終了時点の順位を落とさず総合6位。2部降格は免れた。しかし狙っていたのは3位以上。本多監督は「本番の精神面にまだ課題が残る。来季も体力だけではなく精神面も強い選手を育てていきたい」と総括。試合後の納会で新体制も発表され、新主将に原が就任した。「厳しい状況は続くと思うが、諦めたらそこで終わり。全員がウエイトに興味を持って、意識高く取り組んでほしい」と高原が次世代のチームにエールを送った。
[関口詩織]
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