朝日新聞 GLOBE×明スポ~1年生記者の声~⑲
おにぎり、寿司、カレー、パエリア、ジャンバラヤに生春巻き。お米には多種多様な種類があり、料理がある。
だが、日本人にとってお米とは単なる食べ物という訳ではない。お米がたくさん獲れることを祈願し、お米が食べられることに感謝する。その精神は古代から受け継がれてきた。
たとえば、毎年11月23日に収穫した穀物を備えて神様を祭る新嘗祭。田植えの前に豊作を祈願して行う田楽。私たちにとって身近なもので言えば、夏祭りや秋祭りも豊作祈願や収穫感謝のために行われてきた。さらに誕生祝いや結婚式、葬式などの大切な儀式の際には、米の神秘的な力にあやかるために白いご飯を高く盛って供える習慣も残っている。このように、お米はいまでも私たちの生活文化に根づいているのだ。
「米」という言葉の語源については諸説があるが、その一つに「籠める」という意味に由来するという説がある。お米とは何か神聖なもの・神秘的な力が「こめられた」存在であるという説だ。「お米を一粒でも残せば目が潰れる」。お米には神様が宿っていると考えるがゆえの迷信である。
また「米」という字を分解すると「八」と「十」と「八」になる。つまり「八十八」。お米を作るためには八十八もの手順や手間がかかるのだ。技術の進歩によって農家の負担は古代に比べ大きく減ったが、そうはいってもまだまだ大変な作業は多い。品種改良をとってもそうだ。よりおいしいお米を、と様々な工夫や手間がかけられている。そんな手間があるから美味しいお米を食べられている、という事実は今も昔も変わらない。
「いただきます」「ごちそうさま」。感謝の気持ちを忘れずに、お米一粒一粒をかみしめたい。
[吉川真澄]
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