朝日新聞 GLOBE×明スポ~1年生記者の声~⑭

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「お米に託した夢」(『多様な米の世界』GLOBE12号、G-8)

 日本の主食「お米」。お米は日本人にとって大切な食材。縄文時代に日本に渡って以来、弥生時代から何千年と日本人の主食になってきた。しかし、今の日本では食の洋風化による主食の多様化と並行して少子高齢化による後継者不足などで米作、そして農業自体が厳しい状況下に置かれている。そのため米作を断念する農家も少なくない。それでも米作を愛し、続ける人もいる。毎日の作業はもちろん、1年かけて大切に育てても台風が来てしまったら全てが台無しになってしまうケースも少なくない。一体なぜ続けられるのか。

 今年4月、新しいお米が誕生した。名前は「たかたのゆめ」。東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市の農家が出した新種米だ。震災後、何もかもを失った農家の人々が頭を寄せ合って高田の復興へ向けて話し合った結果、生まれたお米。十何年間、ずっと育ててきたお米は彼らにとって生きがいだった。だからこそ全てを失い途方に暮れた時、農家の人々はまた一からお米を作ることを決めた。「高田の夢」。町の夢を自分達のお米に託した。今では東京でも栽培され、陸前高田の夢は東京でも確実に膨らんでいる。米作の衰退が進む今、なぜ農業を続けることができるのか。その理由が少し分かった気がした。

[西谷侑紀]

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