
風に苦しみ、スナイプ級7位に終わる/全日本学生選手権
弱風に苦しめられた。第1レースは横田貴大主将(商4=藤沢西)・森雄馬(営4=高松商高)ペアが1着でフィニッシュ。他の2艇も7着、17着という「理想的なスタート」(成田有沙・法4=捜真女学校)を切ると、2日目の1レース目を終えた時点で2位、優勝を目前にした。しかし続く第5レース、右海面を使うというリスクの高い作戦を取っていた明大の艇は風が止まったことにより3艇ともがフィニッシュすることができず、そこで大きく順位を落とすことになってしまった。そして最終日、スタートはしたものの風がなくなりノーレースに。今年度も7位とあと一歩のところで入賞を逃した。この結果に上井智大(農4=小山台)は「もし最終日がノーレースになっていなければ入賞できた」と悔しがった。
しかし課題は着実に克服してきている。春の関東インカレを終えてから、3艇でまとまって走ることを課題にしていた明大。今大会で落とし穴となった第5レースで3艇が完走できなかったことは「3艇がまとまっている証拠でもある」と成田は言う。今回はプラスにこそならなかったが3艇でまとまるというチーム力は各段に上がってきている。
今年1年結果にこだわってきた明大だったが、スナイプ級7位と今回も結果を残すには至らなかった。しかし今大会を通じて、技術だけでなく作戦を立てることの重要性を学んだ。来年は最上級生としてチームをけん引する鈴木将平(商3=逗子開成)も「今年このような結果になってしまった反省点もいかして戦い方を変えたい」と前を向いている。今年度春からチーム力を向上させたようにまたこの新たな課題を克服し、来年こそ結果を残していきたい。
[吉川真澄]
試合後のコメント
横田主将
「1日目の1レース目はすごいいい形で入れました。でも3レース目でケースを落としてしまい流れが切れ、悪い形で終わることになってしまいました。2日目は1レース目で取り戻すことが出来て2番につけることができました。でも2レース目で風が落ちはじめてノーレースになった時、右海面を使うというリスクのある作戦を取っていたのでフィニッシュできずに一気に219点という点数を叩いてしまいました。昨日の1レースは何とか踏ん張ることができましたが、今日はノーレースで悔いの残る形になってしまいました。スナイプの優勝校を見ても、明治は技術的には上位に入ります。ただレース展開の作戦というのが劣っていると感じたので、来年は作戦というのを立ててやれるように支えていきたいです。作戦をしっかり立てていけば強くなれると思う。まだまだ甘かったです。ただ悔いが残らないようにやることはできました。秋の関東インカレからの時間は、470のスキッパー(艇に乗る2人のうち、舵を持つ方)をコンバートする練習をメインにやりました。3艇がまとまって走る練習もしましたが、今回はリスクのある作戦だけに良くなかったが3艇でまとまれたという面では良かったです。あとは気持ちを固めました。成田や森の470のコンバートはうまくいったと思います。コースを外したときの修正力があったら良かったですね。自分がチームをまとめたのは4年生の1年間だけでしたが、1年の時から仕切れていたらもっと変わっていたのかなとは思います。自分の出るレースは終わりましたが、明治のレースは終わってないので勝つために今度は後ろ手に回って教えていきたいと思います。同期には申し訳ないともありがとうとも言えない。もっといい形で終わりたかったです。でも1年生の時に体制が変わり、それを乗り越えてきた仲間として誇りに思うしこれからも一緒にいたいです。来年は下級生中心のチームになると思います。葉山に合宿所もできたので、次の関東インカレではいい結果が残せると思います。技術ではなくて頭で勝たなくてはいけないことが分かったので、作戦を立てて自分もコーチとして注力して、来年こそ結果を残します。とにかくやりたいことをやりつつ、メリハリのあるチームをつくってほしいですね。自分のやりたいことをやった方が悔いは残らないはずです。柱を持ったブレないチームになってほしいです。団体戦で優勝の経験がないまま終わるというのはすごく悔しいです。でも4年間やってきて自分自身人間として成長することができました。団体はもう終わりですが、個人はまだ続くのでそこにつなげたいです。団体戦としても次は後輩につなげていければと思います」
上井
「関東インカレで片方のクラス(スナイプ)しか出られないことになってお通夜状態でした。これは明治としてはあまり今までにないことです。でも決まってしまったことなので、あとはもうスナイプで優勝しよう意気込んでやってきました。結果としては7位でしたが、おとといの2レース目にDNF(「did not finish」の略記号で、完走しなかったことを指す)を出す前まではいい戦いができていました。結果的には入賞もできなかったので、そこは悔いが残ります。もし最終日がノーレースになっていなければ、入賞できた自信はあります。レースをやればやるほど、上にいける自信はありました。ただ、風が振れてしまってレースができる状況じゃなくなってしまいました。いくら自分たちのコンディションが良くても、天候によってできなかったりする。サッカーとか野球とかとはそこが違います。自然相手のスポーツであるヨットの難しいところを最後に痛感しました。西宮は自分たちが普段練習しているところとは特性が異なります。もともとすごく風が振れる。そのため1週間前から現地入りして、海面調査をやってきました。その海面調査でやったことがレースで出せた部分はあります。勝利に沸いている他校を見ると悔しいですね。関東インカレを終えてからこの大会までは苦手なことを中心に練習、特にスタートの成功率を少しでも上げようと練習してきました。その成果が出たレースはありました。そこは良かったです。自分たちだけではなく、来年にもつながると思います。来年のチームは大学からヨットを始めた子が多いチームになります。どうなるかは今の時点ではまだ分からないです。今年は、スキッパーの6人のうち4人が4年生でした。その穴をどう埋めるか。そこに懸かっていると思います。大学4年間を振り返ると、体育会に入って良かったですね。小学生の頃から野球を12年間、水泳も9年間やってきました。でも、自然相手のマリンスポーツはやったことがありませんでした。その中で得られることは多かったです。また、20人という中規模の人数のチームをまとめる中で副将をやらせていただいたこと、1年から3年まで統制という学年のリーダーをやってきた経験というのは、サークルとかではできなかったと思います。本当は最後にいい思いをして終わりたかったですが、これも僕らが3年半やってきた結果なので。結果はどうであれ同期のこのメンバーで3年半やってこれたことはうれしいです。上の代でもなく下の代でもなく、この代で良かったなと思います」
成田
「スナイプに乗ってからレースをするまでの期間が1週間しかなくて、今までほとんど乗ったことがなかったので技術的に乗りこなせるのかが1番不安でした。レース当日の風は微風、軽風が吹いたのでさぐりさぐり走らせて、さらにコースを考えたりだとかが大変でした。1番気にしていたのは、明治でまとまることで3艇一緒に前で回るためにチームを見ながらレースをしたことです。練習が足りないなとは思わなくて、やるしかないと思っていました。海面の傾向が、風が上がったり落ちたりと強弱が激しかったり、振れ幅も広くてどっち使うのかというのが大事だったんですけど、3艇みんなそろってDNFを取ってしまったのは3艇がまとまっている証拠でもあります。でもそこで1艇でも気付いていい方にいけたら良かったんじゃないかと思います。出だしの1レース目で3艇が25点と、まとまっていて理想的なスタートが切れました。初日が4位で、あとは2日目3日目で上げて1位になるだけといういい出だしでした。やっぱり5レース目がなければ、と思います。優勝も絶対いけました。もともと470チームでずっとやってきて、最後ももちろん470、スナイプで総合優勝目指してやっていくんだと思っていて、片クラスの出場になるなんて思っていませんでした。最後に片クラになってしまったというのが一番悔しいです。それまでは両クラスで出るっていうのが当たり前だと思っていたのが片クラになって、初めての体験だったのでそこからの気持ちの切り替えが大変でした。4年生の同期は6人いて、みんな6人全員一人一人が個性が強くてみんなでカバーし合ってフォローしてやってきた。いつも明るくて、どの学年よりも一番楽しい学年に見えたと思います。全日本に出場するというのは目標じゃないので、来年は絶対に両方出て今年よりもいい順位で終わってほしいなと思います。全日本インカレまでのレガッタでいろいろチャレンジしてみて、インカレに向けて調整していい成績を取ってほしいです」
鈴木
「順位を上げる自信はありました。今日、ノーレースになってしまったことは残念です。関東インカレでは、470級がこういう結果(全日本インカレ出場を逃した)になってしまったので、スナイプではその分も頑張って、前を走ってこなければ来年にもつながらないと思ました。勝ちたかったですね。いつも練習している葉山は、ある程度風は安定しています。それに比べて陸に近い場所だったので、風が不安定で読みづらい、不慣れな海面でした。大会を通じて海のコンディションは、風が無いレースもあって、自分らもDNFという英語がついてしまいましたが、全体的にはいいコンディションでした。この結果は自分たちの実力だったのかなと思います。自分はもともとスナイプのクルーをやっていたわけではありませんでした。だから、関東インカレ後は動作についてなどの基本からやってきました。また4年生の先輩方がいなくなるので、できるだけ技術を盗むことも意識しました。横田さんが主将になってからチームは明るくなりましたね。横田さんから勝ちたいという気持ちも伝わってきました。チーム自体も勝ちたい、となっていったと思います。来年は今までとは違い、スポーツ推薦だけではなく一般も試合に多く出ることになると思います。今年とは違った戦い方をしていかなければいけません。今年このような結果になってしまった反省点も生かして戦い方を変えたいです。具体的には当たり前のことを当たり前にするということ意識づける。また、みんなが自信を持ってレースに臨めるようなコンディションをつくっていきたいです」
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