3強崩した! 成長の3位/全日本大学駅伝

2013.11.04
 各地区大会を勝ち上がってきた大学と前年のシード権獲得校のみが出場できる全日本大学駅伝で、明大は3位と健闘した。前半は苦戦を強いられたが、後半盛り返して3位に食い込み、結果以上に次の箱根へつながるレース内容だった。

 ついに3強を崩した!3強といわれる駒大、東洋大、日体大に割って入り、明大は3位に食い込んだ。

 レースは序盤からハイペース。1区の文元慧(政経3=洛南)は駒大、東洋大、第一工大とともに先頭集団を形成。中盤この3校に遅れをとり、第2集団にも吸収される展開となったが「後半取り返そうと思った」(文元)と、そこから粘りを見せ、4位で襷リレーした。課題の1区で流れをつかみ、乗っていくと思われた。しかし2区の八木沢元樹(商3=那須拓陽)が区間11位と精彩を欠く。出雲でも好走を見せ大きく期待された八木沢だが、文元のつかんだ流れを維持できなかった。「アップから少し(体が)重かった」(八木沢)と本調子ではなく、ずるずると後退。8位で3区の横手健(政経2=作新学院)に襷を渡した。

 襷を受けた横手、4区の有村優樹(商3=鹿児島実)も流れを変えられず、このままずるずるいくと思われた。しかしこの日の明大はここからが違った。

 5区の松井智靖(営3=世羅)が「調子は良かった」と、会心の走りを見せる。前を行く山梨学大、大東大を抜き、スタート時には1分18秒も差がついていた青学大もかわした。「チームの流れを変える走りをする」意気込んでいた松井はチームを5位に押し上げた。6区の廣瀬大貴(営4=洛南)も区間4位の走りで流れを切らさず、7区の木村慎(商2=浜松日体)へ。木村は序盤から「いいペースで走れた」と、前を行く早大にぐんぐんと接近。区間賞の走りで27秒あった差を追いつき、最高の形でエースの大六野秀畝(政経3=鹿児島城西)へとつないだ。最終区は早大、日体大との3位争い。3位集団になった後「ペースが遅いと感じたので自分で走ろうと思った」(大六野)と抜け出し、3位でゴールテープを切った。レース後は「やっと西(弘美駅伝)監督の期待に応えられた」(大六野)と喜んだ。

 出雲では出遅れが響き悔しい結果に終わったが、全日本では後半に盛り返す力を見せた。駒大、東洋大との差はまだまだ大きいが、その背中は確実に近づいている。長らく叶っていない箱根での優勝へ。明大に一筋の光が見えた。

【本永雅敬】

西駅伝監督
「今日の結果については70点。自信を持っていた八木沢、有村が良くなかった。八木沢が調子が良すぎて、体が軽かったかな。有村は伸びきれなかった。本来ならきっちり走らなければいけない2人。それを、松井が5区でいい流れに戻して、木村も区間賞の走り。つなぎがしっかり走った。文元も、あの速いレース展開の中で50秒差は順当。大六野は、最後よく走った。駒澤、東洋は駅伝の流れをしっかり作っていた。そこがうちの今後の課題。区間ごとに順位がでこぼこしていていた。今回は特に2、4区。エース級がしっかり走らねば。どの区間も、5位以内に抑えなければ。同じ3位でも、4年前の3位とは違う。今回は追い上げての3位。課題、収穫共にあった。真価は箱根で出るだろう」

文元
「(区間4位という結果については、駒澤の)中村に負けた。同学年には勝ちたいから、悔しい。ただ、現状力の差があるなと感じた。予想以上にペースが速くて、このままでは後半ばてて、チームにも悪影響だから、途中で抑えた。(大東大の)市田、(青学大の)一色がいる第2集団も速いから、あえて吸収されて後半取り返そうと思った。いけるペースで、後半につなげようと思っていった。(中村との差を改善するために)今年中に解消するのは無理。冬、春と合宿でしっかり地力をつけねば。(箱根に向けて)今日は速い入りで、びっくりしたし、あれに対応できるようにしていかなければ。2ヶ月あるから、1ヶ月でロングの力をつけて、残り1ヶ月でしっかり調整していきたい。チームではミスなく走れるようにして、優勝を狙っていく」

八木沢
「今日はアップから少し重かった。調整ミス。現地入り前の練習はそれなりにこなせていたが、焦りがあったのかもしれない。エース区間に配置されて、その期待に答えようと思ったがうまく流れを維持できなくて悔しい。疲れも出ていた。言い訳はできない結果。チームとしてはまだまだの結果。駒大と東洋大はやはり一枚上手だった。箱根で縮められるようにしないと。そのためにも、個人の考える力を深めていかないと。一人一人走るための要素を詰めて考えることが大切。遅れてしまった自分が言えることでもないかもしれないが、自らも含めてツメがまだ甘いと思う。本番までのプロセスを明確に、苦手は潰してよいところは拾ってという練習を積んでいかないと」

横手
「今年では一番調子が良かった。さらに、うまく調整もできていたと思う。出雲は悔しい結果に終わってしまったが、終わったことはしょうがないと割り切って、全日本で3位以内という目標のもと練習してきた。全体的に個人としては主要区間で結果が残せずにとても悔しさが残った。また、今回の3位は自分以外の力で勝ち取った順位だと感じている。他の人に感謝したい。7区で区間賞を獲得した木村についてはロードが強い。この区間で区間賞を取れる力はあったと思う。木村は同学年なので、練習のときから意識している部分はある。今回の区間賞は素直におめでとうと言いたい」

有村
「自分の区間までは、周りを心配にさせる順位だった。過去最高タイの3位だが、実力からすれば当たり前の結果で満足はしていない。5kmまでは余裕を持って走っていたが、それ以降は足が動かなくなった。走り込みが足りなかったのが原因だと思うし、今の実力だと感じた。(区間6位だが)区間賞から2分半離されているし、良くはない。自分の走りを評価することはできないし、期待に応えられなかったと思う。チームとしてもスピードは出せているので、距離に対応するスタミナが必要だと感じる。自身もスピードの力はついてきたと感じている。走り込んで20kmの距離に対応し、箱根で優勝できるように力をつけたい」

松井
「箱根でチームに迷惑をかけてしまったので、こういうところで少しずつチームに返して行けたらいいと思って走った。今日の結果について、3強の一角を崩したというのは良かった。満足ではないけど、1区で出遅れた割には良かったんじゃないかな。自分自身は、タイムも良くなくて、区間賞を狙っていた。だけどチームの流れを変える走りができたと思う。襷を受けた時に流れを変える走りをしてやると思ったし、前に山梨学院大がいて、後ろには留学生もいるのでなんとか交わしてやろうという気持ちだった。出雲後、ロードの練習にそんなに大きな変化はなかった。普段通りだったと思う。今日の調子は良かったけど、入りの1kmが遅くてスピードに乗り切れなかった。もっと早いペースで行けるように力をつけていかないといけないというのが今後の課題」

廣瀬
「前を追わないといけない状況で後半粘れなかった。早大に追いついてからきつくなってなんとか3位をキープしたかったがペースが上がらず、早大のペースアップに対応出来なかった。区間賞を目指していたし、この区間ならもっといかなければいけなかった。直前には西監督から2つ前の日体を追うように指示されていた。みんながよくやってくれた結果として3位に入れた。後輩たち、特に5区松井、7区木村に助けられた。最後の箱根こそは4年生として活躍したい」

木村
「入りの5kmはスムーズに行けた。いいペースで走れていたと思う。でも後半粘れずにペースダウンしたのが悔しい。区間賞は取れてよかった。この区間はメンバー的に取らないといけないと思っていたので。でもまだ行けたという思いはある。また早大の選手を抜けなかったので、勝負強さをつけたい。3強を崩せたのは良かったが、向こうが本調子ではない中でなので、満足はしていない。実力で3位に入れるような力をつけていきたい」

大六野
「今日は不安がだいぶ大きかったが、しっかり自分の走りができてよかった。出雲終わってから走るのが怖かったが、気持ちを切り替えてしっかり走れたのは良かった。3位集団になったあと、ペースが遅いと感じたので自分で走ろうと思って抜け出した。後ろの山梨は意識はしていたが、追いつかれてもついていこうと思っていたので、あまり気にせず焦らず走った。チームとしては良かったり悪かったり順位変動が激しかったが、その中で後半区間しっかり走って総合で3位とれたのでよかった。自分の走りは、出雲は全然ダメだったが今日は最低限の走りはできた。ゴールして、過去最高タイの順位だったので嬉しかった。区間順位は満足はしていない。まだまだ反省すべき点が多くあるので、それを箱根までに改善していきたい。今までエース区間を任されてもそれらしい仕事をしたことはなかったので、今日はやっと少しは西さんの期待に答えられたかな、と思う。今のチームのエースは自分だと思ってる。他の3年生も強くてみんなエースと呼ばれるだけの力はあると思う。だからこそその中でも自分がエースになりたいし、箱根で走るなら2区がいい。今年は故障者が少ないので、全員で練習ができている。いい雰囲気に繋がっていると思う。今回3位だったが、良い人と悪い人がいたので、反省すべきところは反省して箱根につなげていきたい」