大石が全日本ベスト4/全日本学生個人選手権

2013.10.28
 最高成績は大石健作主将(文4=初芝立命館)のベスト4、以下は入賞者なしという結果に終わった。「大事なところで勝てない」(大石)。メンタル面での課題が挙がったが、一方で「今の時点の力は東日本のときよりも上がっている」と高村潤監督は高評価。個人タイトルからは長らく遠ざかっている明大拳法部だが、課題の克服で更なる進化を遂げたい。

 「勝てる試合を落とした」(高村監督)。準決勝で先制したのは優勝候補筆頭の大石だった。開始53秒で面に蹴りを入れて一本。しかしその1分後、タックルを狙いにいったところを読まれてしまい、続けざまに二本を献上してしまった。「心技体の心の部分が足りなかった」(大石)。最後の個人インカレだけに優勝への思いが強かった。決勝に意識が向いてしまい、集中力を欠いてしまったのが敗因だった。
 優勝する力を持っていたことはそこまでの戦いぶりが証明している。1回戦から全ての試合を二本先取で消化。相手に拳法をするスキすら与えず、1分もかけない試合がほとんどであった。「技術体力は7年間拳法をやって付いてきた」と大石自身も胸を張る。今年は得意とする立ち技に加えて組み技も積極的に取り入れ、安定した強さを手に入れた。数々の有力選手も寄せ付けず勝ち進み、個人日本一も目前に見えていただけに、準決勝は悔しい敗戦となった。「気持ちの部分。それが自分の最後の課題かな」(大石)。

 入賞こそならなかったが「いい試合をした」と高村監督からは次々と多くの選手の名前が挙がった。上位入賞が期待されていた大貫洋平(文3=東海大相模)は3回戦で第1シードの選手と激突。試合展開は拮抗(きっこう)した。互いに攻めの姿勢を見せるも決め手に欠き、勝敗は判定にもつれ込んだ。副審の判定は1―1。主審の判定で惜しくも敗れた。同じく判定で敗北を喫したのは片山一騎(法2=大阪桐蔭)と原田優介(法1=朝倉)。判定を意識した「個人戦の戦い方が整理できていなかった」と高村監督は振り返った。
 石田圭吾(文2=大商大堺)もまた期待を背負っていた。2回戦では、6月の東日本個人選手権で優勝を果たした中村(中大)をわずか15秒で撃破。キレのある動きで危なげなく勝ち進んだ。3回戦でも上級生を相手に一歩も引かない展開を見せたが、試合終了のブザーと同時に一本を取られ悔しい敗戦となった。
 「興味深い試合だった」(高村監督)。下克上と言って良いであろう試合を見せたのは神野丈二(政経3=多治見北)だ。2回戦で西日本王者・関西学大のレギュラーと対戦し、見事白星を奪った。一本を取られ後がない状況で、得意の組み技を使って二本を奪取した。神野は一般入部の選手で、団体戦では多くの出場機会に恵まれていなかったが、今後のメンバー争いに名乗りを挙げることになりそうだ。

 最終決戦である府立までは1カ月を切っている。連覇の偉業を達成するためには「勝とうとみんなが思ってひとつにまとまること」が必要だと高村監督。昨年度は学生王者に輝き、終われる立場で始まった大石メイジは5月のリーグ戦、10月の東日本選手権と7人制の団体戦では涙をのんできた。このままでは終われない。有終の美を飾るべく、最終決戦に臨む。まずは2週間後に控えた新人戦で連覇を果たし、勢いをつけたい。

[関本紗希]

試合後のコメント
高村潤監督

「大石がベスト4に入って最低限のキャプテンの仕事を果たした。ただ、勝てる試合を落としたという点では悔いは残ると思う。優勝を目指してやってきたでしょうから。大貫と石田はいい試合をした。判定があるなど個人戦は個人戦の戦い方があるので整理が必要だったというのが反省。ポイントでは興味深い試合があった。神野が関西学大のレギュラーに勝ったり、原田も判定で負けたがいい試合をした。1年生が頑張っている。勢いがついた試合かなと思う。今の時点の力は東日本のときよりも上がっている。(府立で勝つのに必要なのは)内面的に勝とうとみんなが思ってひとつにまとまること。やはり格闘技ですから。あとはそれぞれ自分の拳法というのがあるので、これに徹すること。自分のスタイルを貫き通す。強い気持ちを持って一直線に前に進むだけ。新人戦は1年2年で勝ちにいく。石田、片山、玉置、原田を軸に、もちろん優勝して勢いをつけて府立に向かいます」

大石健作主将
「武道の心技体の部分で心が足りなかった。最近は東日本でも個人インカレでも大事なところで勝てない。大舞台になって舞い上がってしまう。技術的な部分では、やってきたことが間違えではなかったという手応えは大きかった。あとはメンタルの部分を府立までに上げていって、勝って最優秀選手賞を取って終わりたい。そこまでにまだまだやることはある。先のことを考えてしまって、1個1個に集中できていない。その試合の相手に向き合えていない。試合をしてて「あれ入ってたよ」とか言ってもらったけど、取ってもらえないというのはもうひとつ気持ちの問題だと思う。そこが自分の最後の課題かな。技術体力は7年間で付いてきた。最後は気持ちの部分もつくって心技体を完成させたい。今回周りも強かったけどそこで勝ち切れるかがうちの課題。長いこと明治は個人で上位入賞できていない。だからみんなで勝ちたかった。まだまだ課題もあるし、もっともっと追い込んで最後に今年の明治を完成させたい」