決定力欠き、3年連続ベスト8/全日本学生選手権

2013.10.23
 秋季リーグ戦予選全敗と苦しい状況の中迎えた今大会。結果は去年と同じベスト8、3年ぶりの全日本選手権出場とはならなかった。しかし、6月の全日本大学王座決定戦以来の白星を挙げ、これまでの悪い空気を断ち切った。インカレを通して成長を遂げたディフェンスとセットプレーを武器にリーグ戦後半での巻き返しを期待したい。

・中京大戦
 中京勢との試合がカギとなるインカレ、初戦の中京大戦を5―0と圧勝。PC(ペナルティコーナー)から4得点と高い精度を見せた。試合開始早々は間延びしたボールからパスがうまくつながらず、サークルインに苦戦した。しかし、後方からペースを立て直すと徐々にFW陣にボールが回り始める。相手がたまらずペナルティーを犯すと、前半11分を皮切りにPCを連取。後半23分に密集からフィールドゴールを決めた柏木圭介(法3=今市)は「秋季リーグ戦で一度も勝っていないのでもっと苦戦するかと思ったが、戦えた」と自信を深めた。次戦に向けて宮田知監督は「4年生には最後のインカレで『5試合全部やるぞ』と言ってあるので、できるだけ長い間インカレを楽しみたい」と意気込んだ。

・東海学大戦
 悪天候のため、グラウンドの状況が良くない状態で行われた。序盤に東海学大に2度のPCを許すと、17分にオウンゴールで失点。しかし32分、大嶋雄飛(文2=今市)が右サイドからのシュートを沈め、点差を戻す。後半は毛利康平主将(法4=飯能南)が「今日は本当にDFに支えられた部分が大きい」と言うように固い守りでサークルインを許さない。対するFW陣も何度もチャンスをつくる。しかしこれをものにできない。「決められるときに決めないとこういった結果になる」(松尾賢治・政経4=岐阜総合学園)と決定力を欠き1―1、SO戦へともつれ込んだ。
 一番手の安部雄貴(商3=横田)がはずすが、続く松尾、大嶋、柏木が決め東海学大の最後の1回の攻撃を残し3―2。合図とともに前に出たGK國友督仁(政経1=丹生)が東海学大の攻撃を抑えると、見守っていた選手が駆け寄り喜びを分かち合った。

・朝日大戦
 「前半に2点取れていないからこういう結果になってしまった」(小池文彦コーチ)。前半は明大が優勢だった。徹底したディフェンスと積極的な攻めの姿勢で何度も好機を呼び寄せたが決めきれない。やっとのところで24分、ゴール前ががら空きになったところを山本圭祐(法2=名古屋国際)が狙い先制点を決めるとそのまま後半に折り返す。しかし後半開始直後PCから立て続けに失点し1―2。流れが悪くなり明大のサークルインの回数が減る。だが残り1分土壇場で獲得したPCを岡崎慶二(理工3=石動)が決めた。2―2の引き分けとし、前日に引き続きまたもやSO戦に望みを託すこととなった。
 SO戦両チーム5回ずつを終え、3―3。サドンデスとなった。まずは安部が巧みなスティックさばきで1順目に続き相手のGKのスキをつき得点。しかし続く朝日大もシュートを決める。2番手の松尾もシュートを沈めるが朝日大も食らいついてくる。そして3番手の大嶋。勝負どころに強くこれまで何度もピンチでチームを救ってきた大嶋だったが今回は惜しくもボールが右にそれて失敗。そして後がなくなった状況で朝日大が得点。5―6で敗退と悔しい結果に選手は涙を浮かべた。

 惜しくもベスト4とはならなかった。同時に3年ぶりの全日本選手権出場の夢も途絶えた。しかし、インカレを通してチームはディフェンス力を向上させた。簡単には相手にサークルインを許さず、1回戦は全日本大学王座の北海道大戦以来の完封勝ち。またセットプレーにも磨きがかかりいままで課題として挙げていたPCの精度も上がった。秋季リーグ戦予選を全敗としながら1週間で気持ちを切り替え臨んだ今大会。シュートの決定力を欠き結果こそ残せなかったものの確実に飛躍した。勢いこのままリーグ戦後半を戦い抜き、なんとしても5位を死守したい。

[和田孟・吉川真澄]

試合(朝日大戦)後のコメント
宮田監督

「残念という悔しいというか。勝てた試合だった。前半はうちが構成を維持していたので、もう1点取っておかないと。後半相手を生き返らせてしまったので。逆に向こうがリードして、うちの悪いところで失点を立て続けにしてしまうと声が出なくなるというか、気持ちの弱さが。チーム全体のしぼんでしまう感じがある。それはなんとか打破したかったんだけど、出てしまった。けど、そのまま押し切られて負けたわけではないので、それはそれで評価できると思う。うちはどこと当たっても対等に勝負ができるチーム。王座では天理大にリードされながらも一度は追い越した。インカレの東海学大にしても朝日大にしても同点で延長戦に持ち込んだ。善戦はできるんだけど、押さえつけるほどの力はまだない。攻めの部分でいうとギリギリのところで相手のディフェンスに絡まれてちょっとルーズボールになった時に浮いてしまう。強い選手はそこでも執念を持ってボールを追いかける。そうやって構えていればチャンスだってものにできる。ルーズボールを無駄にするとそこで自分の仕事が終わった気になるケースが多い。絶対に勝ってまずはベスト4、それが実現できなくて悔しい気持ちでいっぱい。ただ、残念とばかり言っていられない。リーグ戦の後半もある。上位にはいけないけど、負けると入替戦に回ってしまうので、必ず次の順位決定戦2戦勝ってシーズンを終わりたい。今年は4年生が少ないし、試合に出ているメンバー今日だと2人。2、3年生が中心のチームなので、そういう意味では期待ができる。だからこそ3年生には全日を経験させて、来年のシード権を取ると常々言ってきたんだけど、SO戦で敗れたことは運不運があるのでしょうがない。結果を残せなかったのは監督として反省。4年生をこれで最後だしリーグ戦を気持ち良く勝たせてやりたい」

小池コーチ
「前半もう1点取れるチャンスが何回もあった。そこを取りきれなかったからこういうゲームになってしまった。今まで一番課題にしてきた得点力が問題。プラン通りに良いゲーム展開はしていたけど、点が取れないというのが良くない。だから引き分けという結果になってしまった。後半1点失点したあとたたみかけられてまた失点してしまった。相手の強打にディフェンスは崩れていないのにもかかわらずやられてしまった。やはり前半に2点取れていないからこういう結果になってしまった。でも今日の前半の折り返しが1―0で出来たのは成長かな。いつもだったらここで1点返されて同点に追い付かれるところを今日はしっかり守りきっていた。ただ後半の立ち上がりに失点してしまい、我慢できなかった。SOは流れは良かった。でもこれは本当にどっちに転ぶかわからない。ただ今後もこういうトーナメントでは重要なことなので練習するしかない。レベルアップして確実に決められるようにする。あとはリーグ戦、5位はものにしたいので、今のチームで勝ち切りたい。今後の課題は3年生以下、特に1、2年生の強化。今日のゲームでは最後まで諦めずに戦えた。1点リードされても気持ちを切らさずにギリギリで追い付いた。そういった気持ちの面ではだいぶ強くなってきた。リーグは確実に5位を狙って、もう負けられない」

毛利主将
「前半に関してはうちのやりたいようなゲームが組み立てられていた。後半相手に押し込まれる時間もあるだろうと話はしていたが、そこで立て続けに2点をやられたのは自分たちの弱さであり、最後に追いつけたことは1年間自分たちが追い求めてきた成長した部分。リーグ戦がまだあるが、集大成的なゲームになった。1年生は國友を始め初めてのインカレだったのに、自信を持ってプレーしてくれた。2、3年生もしっかり力を発揮してくれたので、大会慣れしてくれて、こういった大きい大会でも日和らないでくれるようになったのは成長してくれた部分だと思う。残りのリーグ戦は自分たちがしっかりまとめていかなければいけない部分もあるし、来年につなげなければいけない部分もある。結果次第で来年のリーグ戦を決める試合なので、2、3年生の力を発揮してもらいながら、支えられるようなゲームでしっかり2戦勝ちにいきたい。今日は試合前の円陣で『全日に連れて行ってやる』と大きな口を叩いて結果が出せなかった。1年間主将としてやってきて結果が出せなかったことは悔しい。みんなにはついてきてくれてありがとうという気待ち。 今年のチームの土台がしっかり残ったまま来年に移れると思うので、大切になってくるのは底上げ。ベンチに入れていない試合に出れていない者が力をつけてくれれば、選手層が厚くなっていいチームになると思う。今年は悔しい経験しかさせてやることができなかった。それでもそういう経験をバネにすることができればいいチームになる。自分の中でプレッシャーを感じながら1年間やってこなければいけなかったので、ラスト2試合は1選手として楽しみながら、みんなと最後の時間を共有したい」