
女子なしペアとエイトが日本一 創部以来初女子部全日本2種目V達成!/全日本選手権
全クルーの先陣を切って登場した女子舵手なしペア。インカレを制し、予選でも圧倒的な強さを見せ2冠の期待が大きく懸っていた。今井智子(商4=美方)も「勝たないといけないクルー」と前日から自信を見せていた。決勝でもその実力を発揮し、スタートから飛び出るとそのまま他の艇を寄せ付けない圧巻のレース運びを見せた。インカレ前に自ら、なしペアに乗ることを志願し、相方に選んだ大久保早紀(営1=熊本学園大付)とともに二人三脚で臨んだ4ヶ月間。明大のお家芸であるなしペアの伝統を引き継いでいくために今井は「後輩に自分が教わってきたことを伝えることが責任だと思っていた。それができたレースだった」。表彰台の上では2人でカップを掲げ喜びを爆発させた。
そして明大として最終種目となった女子エイト。チーム結成時に「1年の集大成。そして来年へとつなぐために最後に全日本でエイト優勝」(今井)を目標に掲げていた。大会前は、アジア遠征、国体などの影響で「3回しか練習はできなかった」(赤津杏奈・政経4=小松川)こともあり不安要素もあった。
迎えた決勝レース。スタート直後は一橋大にリードを許すも500m地点ではトップに。その後は「レースプラン通り」(赤津)の盤石のレースを見せ日本一をつかみとった。「この優勝は部員全員で勝ち取ったもの。仲間を信じてこげた」と、エイトでもクルーリーダーを務めた今井は笑顔で答えた。「みんなが4年生のためにとやってくれてつかんだ最高の優勝。私たちが1年間作ってきたチームがこんなにいいものだって証明できたレースだった」と女子主将、主務としてチームを引っ張った赤津は誇らしげな表情を見せた。
王者にはあと一歩届かず
「大学入って日大に負け続けてきた。今回こそ絶対に勝つ」(栗山卓也主将・法4=浜松湖南)と意気込んで決勝に臨んだ男子舵手なしクォドルプルクルー。4年生3人が乗るこのクルーは予選、準決勝で安定したレース運びを見せ決勝進出を決めた。決勝は、序盤から日大と首位を争う展開に。「こっちが上げれば、向こうも上げてきて離せなかった」と振り返る好レースに。終盤の日大のスパートにはついていけず最終的には2位。それでも「きつかったけど本当に楽しいレースだった。負けて悔しいけど出し切ったし今はすっきりした気持ち」(栗山)と笑顔を見せた。
クルーのベストタイムも出すも王者・早大の壁は厚かった。インカレのリベンジを懸けて臨んだ女子舵手付きクォドルプル。インカレ後にアジア選手権出場やシートの位置を変更して、インカレからのさらなるレベルアップに努めてきた。しかし大会前半は調子が全く上がらず厳しいレースが続いた。それでも2日目の夜に角監督が「大会期間中に異例の喝」を入れたことで奮起。準決勝で強豪社会人を撃破し決勝に駒を進めた。「4年間クォドで早稲田に勝つためにやってきた。その思いを全部ぶつける」(赤津)と意気込んで臨んだ決勝レース。序盤で早大に抜け出され、途中社会人チームにも捉えられ3位。しかし「こいでいる4人の気持ちがすごく伝わってきたスパートだった」とコックスの大竹結(情コミ4=明大中野八王子)が振り返るように猛追を見せ2位をとなった。打倒早大を目標に掲げていただけにメンバーは「2位は悔しい」(小澤実央・法4=浜松湖南)と口をそろえた。それでも「ずっとやってきたこのメンバーの最後のレースでベストタイムが出て、やり切ったかなという感じはある。一緒に乗ってくれた4人に感謝したい」(赤津)とすがすがしい表情で語った。
チームを1年間引っ張ってきた頼もしい4年生も引退を迎える。1年間主将としてチームを引っ張ってきた栗山は「日大との差はほとんどないところまできた。インカレで勝ったクルーもいるし、技術的な差はほとんどないと思う。そういうチームになれた主将をやれて誇りに思う」と満足した表情を見せた。
「明日からは僕らがやらなくてはいけない。先輩たちが作ってきた以上のチームを3年生、そして部全体で目指す」(梶谷嶺・法3=諏訪青陵)。3年生以下の目は新人戦、そして来年のインカレに向いている。今年のチームでも果たせなかったインカレ総合優勝に向けさらなる端艇部の飛躍に期待だ。
[真島一郎]
試合後のコメント
角監督
「優勝2艇。これが明治の実力。本当は3種目欲しかったから残念な部分もある。女子のクォドは大会に入ってからは異例の喝を2日目の夜に入れた。実際準決勝の前は負けると思ったいた。それでもあそこで決勝に勝ち上がって2位になったのは大したものだと思う。なしペアに関しては今井が本当によく引っ張ってくれて、大久保もよくついていったと思う。来年はまた原点に返って、インカレ総合優勝に向けてまたやっていく。来年は寮の改築や110周年記念式典などもあるので大変な部分はあるがそういう試練を乗り越えることも必要だと思う」
栗山主将
「今はすごいすっきりした気持ち。今日のレースは途中までずっと日大と競っていた。こっちが勝負をかけたら相手も上げてきてを繰り返してきつかったけど、楽しいレースだった。最後は離されて悔しかったけど、いいレースができたと思う。そして日大との差はもうほとんどないって感じれた。今年は日大に勝てる艇も出てきたし、力や技術の差はもうないと言ってもいいレベルまでは来たと思う。あと残りの差はチャンピオンと挑戦者の意識の差だと思う。そこら辺の意識の差や経験だと思う。後輩たちにはこれで満足せず上を目指してほしい。自分が主将のチームでこのようなチームを作れたのは誇りに思う。(主将としての役目を終えて)まずは支えてくれた赤津と河野に感謝。もちろん自分たちについてきてくれたみんなにも。いい組織を作ることができたと思う。それが実感できた今日が4年間の一番の思い出になった。(これからは)まずは中部電力でエイトに乗って優勝すること。そして代表に入って世界と戦い、最終的には東京オリンピックでメダルを取りたいです」
赤津
「クォドはこれまでの4年間の思い、仲間のために全てを懸けて臨んだレースだった。2位で最後も早稲田に勝てなくて悔しかったけど、途中で3位に落ちた時にみんなを信じて追い上げられて差せたのは本当にうれしかった。出し切るものを出し切ったと思います。自分たちのベストタイムも出たし、レース中はずっとやってきたメンバーでこういうレースができたので気持ちよかった。(エイトは)スタートでちょっと出られたけど、すぐ巻き返して自分たちのレースプラン通りに進められて勝つことができた。レース中は本当に楽しくて、みんなの声が聞こえてきてこの楽しい時間が続けばいいのにって思えた。私たち4年生が1年間作り上げてきたチームが、こんなにいいものなんだって証明できたと思う。みんなが4年生のためにってやってくれてつかんだ最高の思い出になった。ここでの4年間の辛かったことも忘れるくらいうれしかった。(4年間を振り返って)ここに来て一年間こげない時期があって、ボートをこげることが当たり前だと思わないように強く思ってやっていた。私はずっとクォドに乗っていて、一人の力じゃ駄目で、みんなで強くならないと意味がないし勝てないということを強く思った。自分がこの部に何を残せたかはわからない。でも、自分が感じてきたことを後輩に伝えるつもりで今年はこいでたし、それが伝えられたならそれは本当によかったと思う。(後輩に向けて)私たちは4年間インカレ総合優勝はできなかった。その大きな夢を叶えるために4年間という時間は、何となくすごしたらあっという間にすぎて目標も達成できないと思う。やっぱり勝たなくてはわからないものはあるし、そのためには最後まで自分や仲間を信じきれるクルーにならなくてはいけない。常に勝負を意識して、一日一日を大切にしていってほしい」
今井
「今日はペアもエイトもこぐのが楽しくて仕方なかった。みんなの思いの詰まったボートで、その思いをこぼさないように、こぼさないようにと思いながらこいでいた。いつもはスパートでつらいと思うのだけど今日はとにかく楽しくて、このままずっとこいでいたいと思った。スパートを入れるごとにまとまっていく感じがして、2位の艇の追い上げもあったが「いける!いける!」と思った。優勝した瞬間はうれしくて仕方なかった。4年間で最高のメンバーたちに出会えたことを嬉しく感じたし、女子部全体のまとまりが出せたからこその優勝だった。スイープリーダーのプレッシャーを感じてはいたが、それに潰されるのはもったいないし、それを越すくらい楽しんでやろうという気持ちでいた。だから、今日はレースが楽しみで仕方なかった。4年間がこれで終ると思うと、すべてを出し切りたかった。メンバーは、今のメンバーで、一番早いスピードの出せるメンバーや相性を考慮して決めた。だから、この艇にはいろんな人の思いが詰まっている。スイープリーダーとして、みんなに特に言っていたのは、とにかくシンプルに、合わせてこぐということ。メンバーを信じなくては、こぎも合わないし、速さも出ない。自分が100%でこぐから、相手も100%を出してくれる。初めてスイープを経験したメンバーにはスイープのこぎ方を指導したりもしたが、一番言っていたのはクルーを信頼するということだった。なかなか時間が無くて、練習できる回数が限られた中でもそれを大切にした。きちんと切り替えていける、信頼できるメンバーばかりだったので、練習であまりうまくいかなくても焦るということはなかった。メンバーも、スイープに乗ったことのないメンバーは菅に相談していたりしていた。今回は部員75人全員で勝ち取れた優勝だと思う。私が2年生の時にも、全日本で優勝したエイトに乗せてもらって先輩にいろんなことを教えてもらった。今回は後輩にそれを伝えていくことの責任を感じていたレースだったが、それができたかなと思う。
ペアでは、第2~第4がネックだったが、メニューを加えて、さらに加速すべく、スピードが出るようにという練習をした。全日本のメンバーは4年で話し合って決めた。最終的なゴールである全日本で、もう一回優勝したいと思ってまた大久保を選んだ。惚れ込んだ相方を最強にしたかった。私が一番大事だと思っている、クルーを信じると言うのは、高木さんとペアをこいだ時に教えてもらったこと。私が2年生の時にも、全日本で優勝したエイトに乗せてもらって先輩にいろんなことを教えてもらった。今回は後輩にそれを伝えていくことの責任を感じていたレースだったが、それができたかなと思う。今回は本当に、しんどい練習メニューばかり出した。でもそれはついてきてくれると思ったからこそ。立てたメニューに対して、真剣に取り組んでくれた。私は楽しくこぎたいタイプだが、勝ちたいからやっている訳で、きつい言葉も言った。大久保は良くやってくれたと思う。
後輩には、日常は同じことの繰り返しかもしれないが、頑張って大きい大会で勝てたら、頑張ってて良かったと思える日が来る。日常を大切にしてほしい。明治はこぎたいという気持ちをくみ取ってくれる場だった。こんなに懐が深い所はない。明治だったからこそ、続けてこられた。明治で良かった。この同期で良かった。この先輩、後輩で良かった」
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