最速チームで挑むも無念の7位/出雲駅伝

2013.10.15
 全日本大学駅伝と箱根駅伝に比べて距離の短い出雲駅伝では、少しの出遅れが致命的な差になりやすい。明大は昨年1区で最下位に沈み流れをつかむことができなかった。そのため今年は安定感のある廣瀬大貴(営4=洛南)が起用されたが、「調子は良かったが体が動かなくなった」とペースアップに対応することができず、1分07秒差の12位で襷をつないだ。

 2区に起用された八木沢元樹(商3=那須拓陽)は先月行われた日体大記録会の5000mで、明大記録となる13分28秒79をマークした。トップとの差を少しでも詰めようと速いペースで突っ込むものの「オーバーペースになりすぎた」と中盤以降失速してしまう。それでも区間賞を獲得しチームを6位に押し上げる走りを見せた。

 3区には関東インカレで2種目入賞を果たした大六野秀畝(政経3=鹿児島城西)を配置した。近くには有力ランナーを起用した早大と東洋大がおり、この2校を利用して上位に少しでも近づきたかったがペースが上がらない。区間12位とエース候補としての期待に応えることができなかった。

 4区牟田祐樹(農2=西武文理)はこれが3大駅伝のデビュー戦。前を追う難しい展開の中でのレースとなったが、本来の力を出すことができず区間11位。悔しい結果となった。

 5区を任されたのは2年生の注目選手である横手健(政経2=作新学院)。これまでに明大が予想以上に遅れてしまったため遅れを挽回しようとしたことで走りに焦りが表れてしまう。前との差のつまりが確認できない状況で懸命に走り区間3位の成績だったが、東洋大と駒大の下級生に区間記録で及ばなかったことに悔しさをにじませた。

 最終6区を任されたのは普段のレースでは1区を走ることの多い文元慧(政経3=洛南)だ。6.5km付近で前を行く法大を捉えるとそのまま併走。ゴール直前の数百メートルでのラスト勝負を制し7位でレースを終えた。
 
 今年は主力選手にケガ人がおらずベストメンバーを組んで挑んだかのように見えたが、結果は1区での出遅れが響き完敗。同じく出遅れた東洋大は最終成績で2位に入っており、トラックのタイムでは測れない強豪校との地力の差を見せつけられた。全日本までの時間は少ない。悔しさをバネにさらなる飛躍に期待だ。

[髙山舞]

試合後のコメント
山本豪コーチ

 「惨敗。戦力的に考えたらね。その中でも八木沢が頑張って、横手が頑張ったのは去年との違いかな。(八木沢の走りは)挽回するきっかけになるかなと思えたけど、大六野がいい流れでつなげなかったね。早稲田、東洋についていけると思ったけど、ペースダウンしてしまった、今日の1番のポイントは、あそこだったかな。(牟田は)襷をもらった位置が前とも距離があり、走りにくい状況。前半速く行き過ぎて、後半がくっと落ちるという駅伝では最悪のパターン。(廣瀬の1区起用は)毎年一区で上手くいっていない。廣瀬は冷静なタイプで、今回も冷静にしっかり走ってくれるだろう、大丈夫だろうと思っていた。そう思ってしまったところに、落とし穴があった。1区の鬼門を今年本当に実感した。出雲に関しては、来年からは今まで以上に慎重に考えなければいけないところだろう。(全日本に向けて)有村優樹(商3=鹿児島実業)、松井智靖(営3=世羅)とか出られなった選手がどう感じるか。俺が走った方がよかった、と思ってほしい。全日本で最低シード、といいつつ、本当は優勝を狙っていかねば箱根で優勝はできない。ポテンシャルはあるはず。あえて優勝という文字は使いたくないけど、そういうレベルのチームだとは選手には言っている。選手自身が、それは一番わかっているはず」

1区 廣瀬
「1区として役割を果たせなかったのが悔しい。上位でつないでチームに勢いをつけたかったが、途中のペースアップに対応できなかった。調子は良かったが体が動かなくなった。1週間くらい前に西監督から『スタートはいけるか』と聞かれ『はい、大丈夫です』と答えた。大学で初めての1区だが、準備はできていた。4年生として結果は残せなかったし、持ちタイムから見てもまだまだの結果。全日本、箱根に向けてはとにかく前を向いて修正していくしかない」

2区 八木沢
「2区を任されたからには、区間賞は最低限の結果。前との差をもっと詰めて、大六野にもっと楽な走りをさせたかった。満足はしていない。自分としては優勝を目指して出雲入りしたので、悔しい思いが大きい。自分の走りとしては、オーバーペースになりすぎた。流れ的に早く入るのは仕方がなかったが、中盤でリズム良く走ることができずに詰められてしまい、前の差もなかなか縮まらなかった。出雲は短いレースであるし、流れが一番大事。だからこそ2区に自分が起用されたと思っているし、前を追いきれなかったのには悔いが残る。今回の結果から変に落ち込むのではなく、それぞれ見えてきた課題を修正して次に臨みたい。今回は故障者も少ない中、全員が万全の調子で臨んだはずだったが、優勝するには気持ちや自覚がまだ足りないのかもしれないと感じた。生活や練習などすべての面で、より自分に厳しく取りこぼしのないように詰めていかないといけない」

3区 大六野
「全然ダメ。後半体がついてこなくて、自分の走りができなかった。全日本に向けて気持ちを切り替えていきたい。失速の原因は自分でもわからない。自分の中では出雲に合わせていたつもりだし、調子もいいと思っていたけど、実際走ってみるとそうでもなかった。1年の時に走った3区も、その経験は全く役に立たなかった。全日本に向けて、ここから力をつけるのは無理なので、体調の管理をしっかりやりたいと思う」

4区 牟田
「全然ダメだった。前半早稲田の背中に追いつこうと思って突っ込んだけど、上手く走れなかった。アップの時点から体がフワフワしていた。走りだしたら大丈夫だと思っていたが、スタートしてからも、体が浮いているような感じだった。走り出してすぐ息切れしていたし、体がきつくなったのはすぐだった。トラックで意識していた走りができなかった。これが実力なのかな。(チームとしては)優勝していいチーム。自分がいい走りをできなかったことが、チームのみんなに申し訳ない。明治大学の代表として貢献できなかった。(全日本の目標は)今日の結果的に全日本は走れないと思う。自分なりに、ロード、特に駅伝で何が足りないかを考えて、一からコツコツ積み上げていきたい」

5区 横手
「日体大記録会から出雲駅伝までは追い込む練習がなかったので調子を落とすことなく、調子を維持した状態で調整できた。レースプランとしては、山本コーチから区間賞を狙えと言われていたので、前半からスピードを上げて行こうと考えていたが、自分の考えていたレース展開とは違って、自分のところに襷が渡ったときには順位が厳しい状況にあったので、走りに焦りが出てしまいまった。前半の2キロを5分30秒で入ったが、前と距離が離れていたこともあって自分が前との差を縮められているのかをはっきりと確認できなかったのも焦りを生む原因になったと思う。結果的に区間3位だったが、服部勇(東洋大)にはタイム差で大きく離されたことやルーキーの西山(駒大)にも負けているので、悔しさが残った。チームとしても、アンカーの文元さんが法大を抜かしていなかったら、順大にも負けて入賞すら出来ていなかった可能性もあったので、悔しい。こんな記録ですが、優勝した駒大と比べて明治に足りていないのは本番で力を発揮出来るかどうかだと思う。一概に言えることではないが、戦力では明治は駒大に劣っていないと思う。次の全日本では、優勝を狙って行きたい。個人としては任された区間をしっかりと走り、勝ちに貢献したい」

6区 文元
「課題が残る結果だった。法大を捕らえたのは6.5kmくらい。襷を受け取ってから、直線で早大は前に見えていたが、終始離されてしまったという感じだったが、法大は遠目から見ても足が動いていないと感じたので、そこは捉えられるだろうという感じだった。青学大と中学大は中間地点で厳しいと思ったので、とりあえず法大に勝つことを第一に考えて走った。そのためにラスト2kmくらいから法大の後ろについてラストのために足をためていた。(すぐ後ろの順大は)秒差がわからなかったし、あの順位だと前を追うしかなかったので、気にはなったが全く見なかった。東洋大は1区で出遅れても結局2位になっているので、そこと比べても地力が足りないのが明大の問題だと思う。(周囲は強い選手ばかりだったが)最初にオーダーを聞いたときは驚いたけど、走るからには勝たなきゃいけないし、明大は5000mのチーム平均が1位なので先頭で来る場合にはちゃんと走って勝たなきゃという思いはあった。(全日本に向けて)夏にしっかり走り込んだことを信じて、しっかり調整していきたい。1区を走って『やっぱり文元が1区だな』と思ってもらえるような走りをしたい」