強豪復活、六郷、寺崎が優勝/全日本学生体重別選手権大会

2013.10.02
 2日間にわたって行われた個人戦である全日本学生体重別で、男子66㎏級の六郷雄平(政経4=愛知県私立大成)、100㎏超級の寺崎達也(政経4=崇徳)がそれぞれ優勝、100㎏級の高橋良介(政経4=愛知県私立大成)は準優勝した。6年ぶりに明大から優勝者を出した。

 強豪明治復活だ。男子66㎏級六郷と100㎏超級寺崎がそろって優勝を飾った。先に優勝を決めたのは六郷だ。初戦の相手は2011年世界ジュニア選手権優勝の竪山(鹿屋体大)だったが不戦勝。「運がついてきていると思った」(六郷)と勢いに乗り、決勝まで進んだ。決勝は昨年同階級覇者の本間(東海大)だったが、自分の柔道をすることを考えて果敢に攻めていった。すると開始早々「監督に言われた」という大内刈で有効を奪う。その後焦って攻めてくる相手にも冷静に対応し、逆に技ありを奪い試合を優位に進めた。終盤猛攻にあったが何とか逃げ切りこの大会初優勝、思わずガッツポーズも出た。チームは団体戦の全国大会である全日本学生優勝大会で4年ぶりにベスト8に終わるなど低迷しており、六郷の優勝は久々の明るいニュースだ。試合後「これがいいきっかけになれば」(六郷)とチームに奮起を促した。

 大会2日目、六郷の勢いに乗っていくように寺崎、高橋も快進撃を続け、決勝に進んだ。寺崎は「早く試合がしたくてしょうがなかった」(寺崎)と意気込んで決勝に臨んだが、相手の田中(国士大)は東京地区の優勝者。それまでの試合と違ってなかなかポイントを奪えない状態が続き、指導を2つとられてしまう。しかし、残り1分20秒で一瞬のスキを突いて技ありを奪い、そのまま優勢勝ち。「優勝は最高」と喜んだ。

 また同じく決勝に臨んだ高橋は日大のレイズと対戦した。序盤は勢いそのままに積極的に攻めていったが、試合が進んで体力が無くなってくるにつれて力の強いレイズに組手で制される。そして指導を3つとられそのまま優勢負け。「パワーが違いすぎた」と悔しがった。
 
 この大会、明大から優勝者が出るのは実に6年ぶり。そして六郷、寺崎、高橋が講道館杯の出場権を獲得し、チームにも明るい兆しが見えてきた。個人戦の勢いそのままに、今度は11月の団体戦、講道館杯での優勝を狙う。

[本永雅敬]

試合後のコメント
猿渡琢海監督

「今日の六郷は組み合わせ自体は厳しかった。ただ強いところが2人も欠場して六郷が優勝する流れだった。こういうチャンスは滅多にないことだから、チャンスで勝つためには六郷自体に力がなければ。練習でやっていることが全部出た。(今年前半は調子が悪かったが)そこは六郷が上手くアジャストして次のステップに行けるようによく取り組んでいた。六郷には今年キャプテンなのでかなり厳しいことも言ってきた。そして一番変わったところは視野が広くなったこと。俺がやる、俺が勝つだけではなく後輩のこととか練習中も自ら積極的に声を出したりとかそういう部分で成長してきた。後輩に教えることで自身も再確認できたこともあると思う。そういうことができるようになって柔道がどんどん進化してきた。(優勝して)これで少し海老沼に近づけたのだから講道館杯ではこのまま勢いに乗って、六郷の力なら優勝できるから結果を出して福岡で世界と戦うチャンスをつかんで欲しい。また六郷自身も下に橋口という同じ階級の強い後輩がいるから、足元をすくわれないように精進して追い越し追い越されしていけばいい。寺崎の優勝はびっくりした。とは言っても本人はこの1カ月間自分で口に出して言っていたしこの4年間で初めてだと思うし寺崎から優勝するという言葉が出たのは。ケガとかそういうつらいこともあっての優勝なので。(いつごろから優勝したいと言うようになったのか)やっぱり手術終わったときぐらいから『監督、僕が自分でメニュー考えました。こういうことをやっていくので合宿の参加はできません』と言ってきた。去年までであればなんにも言わずに合宿に参加して『何をすればいいですか』という感じだったと思うが合宿にいっても思うような練習ができないならば負担にならないトレーニングをこっちでやると自分で考えてやっていた。これが寺崎の初タイトル。この自信を持って尼崎をまず目標にしてあいつと六郷が全部一本取れば自ずと優勝も見えてくる。他の部員もその2人に触発されて奮起してくれると思う。高橋も今日の悔しさを尼崎で晴らしてくれると思う。次につながるためにはいい大会だった。高橋は力もついてきたしあいつ自身いろいろなものを自分のものにしてその成果が決勝まで現れた。決勝は力の差があった。その差がなければ投げられていると思う。チャンスは何回もあったが投げられなかったのは相手との力の差があったから。今度はあの相手を想定しながらどうやったら投げられるか自分なりに考えて取り組むことが次につながると思う。(今大会は明大の活躍が目立ったが)要因はみんなが俺の練習についてきてくれているから。去年と変わったことはないがそれぞれに足りない部分を補強しながら練習には取り組んでいる。(4年生は今大会で成果を残したが)去年と比べると全く違う。優勝まで行った3人は。最上級生としての自覚を持ったのかな。俺らがやんなきゃ優勝できないと感じたのかな。それがきっかけでいろいろなことを考えられるようになったのでは」

六郷
「優勝は率直にうれしい。今日は自分の柔道をしようと考えていて、それができたんじゃないかなと思う。返されることを恐れずにどんどん自分から攻めていく柔道をしようと思っていた。(不戦勝については)自分に運が向いてきているなと。調子は良かったと思う。決勝戦の相手はリーチが長いので、頭を下げられないようにしようと思っていた。最初のポイントは監督に言われた技を掛けたらポイントを取ることができた。相手も焦ってがつがつきたが、逆にスキができると思ってやっていった。2年の時から練習の時は調子はいいけど、試合では勝てないというのが続いた。どうしたのかなと思っていたが、練習していればいつかチャンスはくるかなと思っていたので頑張っていて良かった。(久しぶりのタイトルだが)1年生の時のジュニアで勝ってから1回も勝ってなかったので、本当にうれしくてガッツポーズも出た。気持ち的には落ち着いてできていた。入れる技は全部出していこうと思っていた。ホッとしている。緊張は相当していた。けど、試合が始まったら緊張はなくなっていた。始まったら試合のことだけを考えていた。この優勝でみんながやる気になってくれれば尼崎でも優勝狙えると思えるので、いいきっかけになればいいかなと思う。尼崎では絶対優勝する」

寺崎
「今日も痛み止めを打たないと試合はできなかった。優勝は最高。今年は最後だから吹っ切れた。調子はよかった。組み手は試合中にたまたま右から左、左から左右という風に変わった。左の技は相手がよくひっかかる。右利きなのに左かよみたいな。組み手を変えることにあまり躊躇はない。決勝の前は楽しかった。はやく試合したいという気持ち。緊張はしなかった。気分的にも乗っていた。講道館杯は勝つ。尼崎は高橋、六郷、おれの3人は絶対に取る。あと1つは誰かが取ってみんなでやっていきたい」

高橋
「(2位という結果について)しょうがない。実力不足。今の実力は出し切ったので、単純に弱かったということ。悔しい気持ちはもちろんある。調子はまあまあ。最後の全日本体重別でだし、結果を出したかった。本当は、ずっとお世話になっていた監督に優勝をプレゼントしたかったけど、最後2位になれたのはよかった。(決勝の)レイズは組み手の自力が違った。組んだ瞬間のパワーがすごくて、どうしようもなかった。組む技術だけだったら、勝っている可能性はあったけど、パワーが違いすぎた。(レイズについては)東京でも負けているので、借りを返してやろうと思ってやった。(六郷が昨日優勝して)やってやろうという気になった。中学から一緒に柔道をやってきて、あいつが苦労していた時期を知っているので、優勝したのはすごくうれしかった。大学入ってからはケガも多かったし、そういうのを間近で見ていたから。(寺崎の優勝については)ケガで3カ月くらい練習していなかったのに。あいつは天才。同期が優勝した分、悔しい気持ちもある。(今後の目標は)ベイコムで優勝。これは明大みんなの目標なので。自力を上げて、日大のレイズとか、もっと強いやつと当たった時に勝てるようにしたい。(個人としては)講道館杯出られるので、シニアの大会で成績を残したい。目標順位とかはなくて、いけるところまでいく」