エース不在の戦いで国士大に手痛い敗戦 2位争いから転落

2013.09.29
 リーグ戦も残り2戦。ここまで5勝2敗と好位置に付ける明大はこの日、2位を狙う上で絶対に落とせない国士大との対戦。前半3分に池辺大貴(政経4=藤代紫水)が失格となり開始直後から追い込まれる。その後エースを欠いたチームは「浮き足立ってしまっていた」(田中周平・商2=長崎日大)とリズムに乗れず、4点ビハインドで前半を折り返す。後半に入って修正を見せると、何度か1点差までは迫る。しかし「守りたいところで守れない」(松本勇監督)と、あと1歩のところで踏ん張り切れず1点差止まり。24-27で下位に沈む国士大相手に不本意な敗戦を喫した。

 まさかの出来事だった。前半3分に7mスローを獲得し、池辺がシュートを放つと相手キーパーの顔面に直撃。このプレーが悪質とされ、現在得点ランクトップを走る池辺は失格処分となる。開始3分というあまりにも早い時間帯でのエースの退場に「混乱した」(吉野樹・政経1=市川)とチーム全体が落ち着かない。「リズムを変えたかったけど変えきれなかった」(田中)と前半途中の田中の投入も完全に流れを取り戻すまでは至らない。後半に入って追い上げを見せたものの結局ほとんど1試合を通して不在だった池辺の影響か、チームは敗戦。「池辺さんがいないと下位の国士大にも勝てないのが現状」(堤由貴・営3=洛北)と試合後に話すように大黒柱の不在がそのまま響いた試合となってしまった。

 しかし後半の戦いには光明も見えた。いつもは池辺に集まりがちなマークもこの試合は堤に集中した。そんな厳しいマークの中、堤は10得点とチーム最多得点を記録。「点は取れたけど、もう少し冷静になれたら良かった」と、時折ヒートアップする場面も見られたが、しっかりと自分の役割を果たしエースの器であることを示した。1年生の吉野も5得点と力を見せた。前回の桐蔭横浜大との試合では精彩を欠いたがこの試合では要所で得点を挙げた。後半の追い上げの場面ではここ最近元気のなかったサイドも実力を発揮。小澤亮太(法4=富岡)が速攻で勢いを見せ、リズムをつくるなど随所に好プレーはあった。

 明日は東海大との最終戦となる。2位こそ厳しくはなったが、明日しっかりと勝利すれば4位以内となりインカレシード権も獲得できる。いいところも悪いところもでた今日の試合だったが、残す試合は1試合のみ。「明日は勝ちたい」と小澤亮太(法4=富岡)、いい形で終わってインカレへ臨みたい。

[松井嚴一郎]

試合後のコメント
松本監督

「ディフェンスの課題がどうしても治らない。試合の中でここは守りたいっていう勝負所で、ここ数試合守れていない。これは1人の問題ではなく、チーム全体としてもう一回意識し直していかないといけない。出るところ出ないところ意識して、インカレまでには立て直していく。(池辺の失格は)痛かったけど、いなくなったから負けましたではだめ。池辺がいない想定は練習していないけど。明日はシード権とか順位も関係してくるけど、とにかく勝つことが重要になってくる。切り替えてしっかり勝ちたい」

安田祥樹主将(農4=藤代紫水)
「序盤で大黒柱を欠いてみんなのモチベーションが下がってしまった。こういうときに4年生が頑張らなければならなかった。国士舘のディフェンスに対して練習はしていたが、本番で発揮できなかった。今日の結果はあり得ない。考えられない。試合中は、つらいときに声を出すようにしていた。明大はこういうときに声が出せなくなってしまう。横とのつながりがなくなってしまい、そういうことはなくそうとした。秋は楽しむことを大切にしている。自分たちのハンドボールができればそうなるし、いかに試合のなかで表現できるか」

小澤
「池辺が前半開始すぐにいなくなって、どうしよう、とはなった。前半終わるころには4点差くらいになっていた。エースがいなくなっても試合は進む。明治の力として、エースがいなくても持ち直さないといけなかった。そういうところが見えた試合だった。どうしても堤を中心に攻撃が進んでしまった。相手の123のディフェンスを崩せず、苦しいところで堤が決めるか決めないかの勝負になってきた。練習はしていたが試合ではうまくいかなかった。控えのメンバーが出てきたところで、みんなで立て直せたのはよかった。が、後一歩がでなかった。後半も決めたいとこで決められなかった。池辺がいなくても勝てるってとこを見せたかった。明日は絶対勝つ」


「池辺さんがいないと、下位の国士にも勝てないというのが今のチームの現状だったということ。個人的には、点は取れていたしもうちょっと冷静になれていたらよかったですけど、あのような感じになってしまった。(ディフェンスについて)相手が大きく回った時のフォローが遅くて、出遅れて打たれるという失点が遅すぎる。半身抜かれてそこからの対応も練習してきたんですけど、試合ではまた悪いところが出てしまった。今日のことは忘れて、明日は切り替えてしっかりラストですし、勝って終わりたい」

池田稔(農2=藤代紫水)
「シュートまでいかないミスが多かった。今日は正直ポストとしての役割を果たせなかった。池辺さんがいなくてもチームとしてできないといけなかった。勝ちたかった。明日は切り替えてオフェンス、ディフェンスで自分の役割を果たしたい」

田中
「周りが浮き足立ってリズムを戻そうと思って試合に入ったけど戻しきれずズルズルいってしまった。ハーフタイムにいつも通りやろうと話した。堤さんもサブメンバーが多いけど思い切りやろうと言ってくれた。堤さんがいて安心感があった。1点差まで追い上げたところで気を抜いてしまった。明日は池辺さんも帰ってくるので今日の分もやってほしい」

吉野
「前半池辺さんがいなくて緊張してしまった。今日はシュートミスとかよりシュートを打つことが大事だった。後半、点差が離れていたけどチームで盛り上がって追い上げられたのはよかった。今日はチームとしてはよくなかったけど、個人的には次になる試合だったので最終戦につなげたい」