ルーキーが貢献 待望の2部昇格/関東大学女子リーグ2部3部入れ替え戦
エースが奮闘した。ファイナルセット、あと1ポイントで明大の勝利が決まる場面。森の強烈なスマッシュが相手コートに突き刺さった。相手は一歩も動けず地面に倒れ込む。その瞬間、コート横に並んだ明大の応援勢が歓喜に沸いた。明大女子が史上初の2部昇格を決めた。シングルス1としてエースの役割を果たした森は部員に囲まれ、満面の笑みを見せた。
2部昇格への道は森に託された。1セットを6―2で終え好調な出だしとなったが、迎えた2セット目。「力が入ってしまった」(森)と苦戦を喫した。さらにジャッジのことで審判や相手と揉め、悔しさのあまり涙を流す場面も。「試合中揉めて泣くのは初めて」(森)といつもの力強いプレーに陰りが見えた。そこから試合を立て直すことができず、4―5まで持ち込むも直後相手に6ゲームを先取され、全てはファイナルセットに委ねられた。「監督の指示があって気持ちを切り替えられた」(森)。普段はあまりセットとセットの間に休憩を取らないが、今回は監督に促され着替えに行った。そこで気持ちの切り替えができた森は前向きにファイナルセットに挑んだ。4ゲームを連取した後に2ゲームを取られるが、ひるむことなく果敢に挑み勝利を手にした。
ルーキーペアが圧勝した。ダブルス1を任せられた森・佐野組は何が何でも球を拾って打ち返す姿勢で攻め続け、6―2、6―0という好スコアで勝ち星を手に入れた。「1年生のパワーで押そうと思った」(森)と確実にポイントを重ねた。好調なプレーは続くと思われたが、1セットを先取し迎えた2セットは3-0としてから森の拙攻が続いた。飛んできた球をボレーで打ち返そうとするが、なかなか決まらなかった。しかし、デュースに持ち込むも1点目は佐野の強烈なサーブが決まる。2点目も佐野がコート際に落ちてきた球を確実に取って打ち返す巧妙なプレーを見せ、すぐさま得点を奪取。最終ゲームの40―15の場面、森の打ち返した球はきれいに弧を描き相手コートに入った。その球を相手は打ち返すがラインを越えアウト。森と佐野、どちらかが失敗しても助け合い勝ち取った白星だった。一方、4年生・2年生ペアの福川絵梨奈(国際4=慶風)・沼尻泰代(法2=茗渓学園)組は2―6、1―6で惜しくも敗北。1セット目は連続で2ゲームを取るが、そこから相手の展開に持っていかれ連取された。2セット目、0―5の相手が勝利を上げる危機。そこで1ゲームを奪取するが、流れは渡らず負けを喫した。
ダブルスを1―1の同点で終え、迎えたシングルス。シングルス4で出場した臼井が大健闘した。同時にコートに入ったシングルス3・川上梨緒(政経1=日大三)とシングルス5・沼尻が1セットを落とす中、6―4で1セットを先取した臼井が周りに安心感を与えた。しかし「昨日の夜から緊張していた」(臼井)と2セット目で緊張と不安からずるずると試合を引っ張りタイブレークまで持ち込まれた。それでも1ゲームを先取した相手にすぐに追いつく攻めのテニスを展開。だが、5―5でタイブレークに持ち込まれて、そのまま相手に2点を連取されファイナルセットとなった。しかし、ここから臼井の反撃は始まった。「最後は吹っ切れた」(臼井)と笑顔が戻り、自分のテニスで相手を圧倒。1ゲーム目は粘り強くラリーを続け、好機を待ちポイントを連取していく。そして、そこから一気に3ゲームを先取。1ゲームは許したが6―1で勝ち取り、歓喜の声を上げた。
安定のプレーでチームを支えた。シングルス2でコートに入った佐野は終始強気の姿勢で相手を圧倒。6―2、6―1でストレート勝ちし、チームに勝利の流れを運んだ。一歩成長した姿を見せた。リーグ初戦の上武大戦は初のリーグ戦ということもあり、非常に緊張したと言う佐野。しかし「余裕を持ってプレー出来るようになった」(佐野)と徐々にリーグ戦の雰囲気に慣れ、シングルスは全勝しチームに好機をもたらした。「周りを見たらみんな頑張っていたし、自分だけじゃないと思えて思い切りプレー出来た」(佐野)と試合を振り返った。
新星が大活躍した。2部昇格に大きく貢献したのは新しく入部した5人の1年生。「やっぱりまとまったときの力は人数が多い方が強いと感じた」と昨年同学年が自身しかいない状態を経験し、つらいときもあったという2年生の沼尻。その分、上級生と比べて人数の多い1年生は同学年同士助け合うことができる。「同期で一致団結して、朝の準備などからミス無くできるように仕事を分担してやっている」と佐野。「1年生らしく元気に」をモットーに日々躍進を続ける。
挑戦はまだまだ続く。試合後、福川は「周りの方の応援や支え、明治というチームが一つになって、達成できた」と語った。2部昇格は成し遂げたが「2部でも(1部との)入れ替え戦の権利を取りにいく気持ちでやる」(上原真吾監督)と上を見据えている。創部10年目で2部昇格を達成した明大。この日は初代部員も応援に駆けつけ、勝利の決定的瞬間を見守った。次の目標は1部昇格。明大の戦いはまだ始まったばかりだ。
[橋本杏菜]
試合後のコメント
上原監督
「とにかく良かった。元気に、走りまくって、声を出すことの3つをやれば勝てる。今日はただでさえ緊張しているから3部第6戦目のつもりで戦えと言った。チームで誰が欠けても勝てなかった。今日の試合も沼尻が勝たなければいけなかったが、その穴を臼井が埋めてくれた。(3年間3部にいて4年目で2部昇格の感慨は)自信がある程度あったから不思議と落ち着いている。勝因は団結力があったことと実力があったこと。1年生は入学してからも伸びてきていた。昨年まで人数がぎりぎりの中で戦ってきたが、増えると元気が違う。森はシングルスで5勝し、いろんな経験をできた。佐野はシングルス全試合勝ち切り、チームに流れをつくってくれた。彼女のおかげで森ものびのびとできたはず。新戦力をも含め、来年は1部昇格を狙う。2部死守のつもりではまた3部に落ちる。入れ替え戦の権利を取りにいく気持ちで走り込み、攻めきってポイントを取れるようにする。男女ともに、個人戦ではシングルス1、2のみが活躍しているだけでは駄目。とにかくハートの強いチームをつくる」
福川
「今日の2部昇格は、周りの方の応援や支え、明治というチームが一つになって、達成できた。本当に全員で勝ち取った勝利だと思う。私が1年生のときの入れ替え戦もここ日体大でやって負けてしまった。最後の4年生のときに運命なのか1年のときと同じ日体大と戦って、今度こそは勝つという気持ちがあった。みんなの支えもあり、4-3で勝つことができて本当にうれしい。リーグ戦から1年生メインでそこに2年生の沼尻や3、4年生の上級生も加わった。本当に1年生が多く入り戦力として活躍してくれて、仕事も大変だったと思うが、しっかり勝ってくれたので本当に頼もしい。シングルスの3、4、5は1つでも取れれば勝てると思っていたので、そこで臼井がしっかり頑張ってくれて、1、2の森と佐野もしっかり勝ってくれたので良かった。後輩には2部での戦いは3部よりも厳しいものとなると思うが、来年入ってくる1年生も戦力となるのでもっと強いチームになると思う。これから心から応援する」
沼尻
「私は今日2戦出させていただいたが、1勝も挙げることができなかった。それでもチームが勝てたので、すごくうれしい。小さいころから団体戦をやってきて、今まで自分が1勝もしなくてチームが勝ったのは初めてなので、チーム力の大切さが分かった。1人の足りないところをみんなでカバーし合って、チーム全体の勝ちにできたのですごく良かった。自分が1つ勝たないといけないという思いがあった。私がシングルスで勝てていたら、他の1年生の子たちも伸び伸びとプレーさせることができた。負けてしまって悔しい。今年から1年生がたくさん入って、全体練習を除いた個別の練習が昨年までは同期がいなくて私一人でやっていたが、今年からは1年生を誘って練習できた。気持ち的にも楽な部分が増えた。来年は1部昇格を目指して、練習内容も見直して頑張っていきたい」
臼井
「自分が勝たないといけないポジションだったので勝てて良かった。2セットで気持ちが落ち込んでしまった。勝っていたところから落としたので周りに不安な雰囲気を与えてしまった。今日は入れ替え戦ということで昨日の夜から緊張していた。コートに入っても緊張していた。今日は仕掛けるとか考えられなかった。でも、自分は攻めるテニスだったので攻めないといけないというのはあった。最後は吹っ切れて自分のテニスができるようになったので6―1という形になった。男子も応援してくれたが相手の応援がすごかったので、応援がなかったら気持ちが折れてしまっていたと思う。(今日全部取ったのは1年生だが)やっぱり森と佐野は安心感があってそこは取ってくれるというのがあった。特に佐野は隣でフェンスがあったのに声をよく出して盛り上げようとしてくれているのがすごく分かった。2部では上入れ替えを目指し1部に上がれるように頑張りたい」
佐野
「2部昇格を決めたことで安心した。本当に良かった。試合前から入れ替え戦とは意識せず、リーグの第6戦として挑もうと話していた。でも、緊張して硬くなってしまった。それでも、周りを見たらみんな頑張っていたし、自分だけじゃないと思えて思い切りプレーできた。(リーグ戦を振り返って)初戦の対上武大戦は入れ替え戦よりも緊張した。ガチガチになってプレーしていたが、徐々に余裕を持ってプレーできるようになった。冬は大会が無いので、緊張感を切らさないように練習したい。来年は2部に上がってレベルも上がると思うので、勝てるように頑張る」
森
「今回のリーグ戦で最後私に掛かることが4回目で、慣れているはずが今日はすごく緊張した。ミスも目立ってしまったが、応援をすごくしてくれて技術よりも気持ちで勝とうと思った。1セットはコートに入って緊張も取れ簡単にセットを取れたが、2セットで自分に掛かっているということが分かったとき力が入ってしまった。途中でジャッジのことで審判と相手と揉めて心が折れた。試合中揉めて泣くのは初めて。全然泣くタイプじゃない。勝たないといけない試合で相手に有利にされてしまったのが悔しい。(3セット前に気持ちの切り替えはあったか)監督に促されて着替えに行ってそこで何となく気持ちが切り替わった。監督の指示があって気持ちを切り替えられた。1年生はリーグ戦が初めてだったのでチャレンジ精神の方が強かった。1年生のパワーで押そうと思った。2部の中では部員の人数も少ないと思うが今回の経験を来年に生かしたい。2部残留ではなくて次は1部昇格に向けて入れ替え戦に臨めるように頑張りたい」
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