
男子舵手なしフォアと女子舵手なしペアがV/全日本大学選手権
男子舵手なしフォア
優勝にクルーが、端艇部が沸いた。拳を突き上げ、応援していたチームメートの声援に応えた。最後まで相手に背中を見せることはなかった。決勝はスタートでトップに立つと「日大が追い上げてきたところでもう1回スパートをかけること」(吉岡慧・商4=若狭)で優勝をつかみ取った。このレースがクルーリーダーの吉岡にとって引退レース。有終の美を飾り「感無量です。本当にうれしかった」と笑顔が絶えなかった。
女子舵手なしペア
スタートで飛び出し、最後まで逃げ切った。勝因は1250mにある。2000mのレースの中でも特にきつくなるこの区間でスピードを上げた。ここで上げることで、他との差を広げ、攻め切る姿勢を崩さなかった。舵手なしペアは明大が得意とする種目。優勝への期待も高かったが、それに見事に応えて見せた。「先輩たちから優勝でつないできたバトンを渡すことができた」(今井智子・商4=美方)とほっとした表情を浮かべた。
優勝の壁を破れなかった艇も多い。男子舵手なしクォドルプルは優勝候補とされながらも、日大に敗れた。男子舵手付きフォアはわずか0.2秒の差で中大に惜敗。表彰台の上でも、涙がこぼれ落ちた。「1位しか勝ちじゃない」(斉藤大樹・文4=熊本学園大付)という悔しさと「今日の390秒は本当に楽しかった」(角南淳・法4=関西)という充実感があふれ出た。
またも総合2位。男子は日大に、女子は早大に優勝を譲ってしまった。だが、端艇部は確実に成長している。シングルスカルでは星遼(政経4=会津)が準決勝敗退から4位へ、久保奈津美(法3=坂出)が昨年の総合5位から3位入賞とランクアップ。「去年は準決勝で負けてチームに点が入らず悔しい思いをした。今年は準決勝の壁を越えてやろう」(久保)と決意し、宣言通りインカレで結果を残した。
悔しさを力に変えてきた選手たち。10月の全日本選手権をもって全ての4年生が引退を迎える。「もっともっと強くなりたい」(赤津杏奈・政経4=小松川)という思いとともに最後までこぎ続ける。
[伊藤理恵]
試合後のコメント
男子舵手なしフォアクルー
吉岡
「感無量です。本当にうれしかった。僕は今日が最後のレースだし、そのレースで高校から初めての優勝ができてよかったです。スタート前はできるだけいつも通りにレースを楽しむことを心掛けて臨むようにした。(レースを振り返ると)作戦通りにスタートから出て、日大が追い上げてきたところでもう1回スパートをかけることができた。表彰台の一番上に立った時はやっとここにきたという感じ。優勝した瞬間にはみんなでありがとうと言いながら抱き合った。ここまでつらいことも多くあったけど日本一になるためにやってきたことで報われたのでよかった。クルーを組んだころはうまくいかない部分も多くあったけど、シートの位置を変えたりして試行錯誤して成長できた。そしてレース一本一本ごとにすごく成長が実感できるクルーだった。このクルーの僕以外は3年生。来年はさらにいい成績が部に出せるようにこの優勝からさらに上を目指してほしい」
荒木祐介(政経3=熊本学園大付)
「思い通りのレースとなった。最初に出て相手の背中を見ながらこいだ。思っていた以上の展開で、これだなという思い。残り250mで勝利を確信した。自分たちはまだあるが、4年生に勝たせたいというプレッシャーがあった。ゴールした時はやっちまったなという思い。大会前は完成度がどうなるのか分からなかったが、レースごとに仕上げていくことができた。やっと男子が表彰台の一番上に立った。これでチームの勢いをつけてこの勢いを途切れることなくつなげたい。来年は自分の学年がベースとなる。今も強いが、黄金世代を作りたい」
女子舵手なしペア
今井
「正直なところほっとした。先輩たちから優勝でつないできたバトンを渡すことができた。役割を果たせたかなと思う。スタートから出て、それからはもう詰められたくなかった。予選は守りの姿勢だったが、決勝は攻め切れた。周りが落ちてくる第3クォーター、上げて伸びることがよかった。3年生までは自分が勝てればという思いだったけど、並べてくれたりした人がいたからこそ、ここまで来られた。勝ちたいって希望が勝たなきゃって使命感に変わって、相方を信頼してこげた。レース前はとにかく信じてと伝えた。どこがとははっきり言えないけど、まだ十分に伸びしろはある。相方には感謝している」
大久保早紀(営1=熊本学園大付)
「智子さん(今井)は私の憧れの先輩。自分にストイックで、みんなには優しく気配りができる人。ボートを本当に考えてる人で、一生懸命さとか、いい影響を与えてもらった。オールが一本になった時、どれだけ信じることができるか、オールを託すのは信じないとできない、と教えてもらった。今まで信じるって言葉を使ってきたけどレベルが違って、自分が抜いても相方が抜いてもいけない。『私は早紀を信じるから、早紀を信じる私を信じて』と声を掛けてもらって、死ぬ気で燃え尽きたいと思えた。一緒にこぐのは本当に楽しかった。優勝にほっとしている。ここからがスタート。智子さんは今年で抜けるので、ペアを引っ張っていけるような存在になりたい」
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