
逆転負けで初優勝逃す/第37回総理大臣杯全日本大学トーナメント
準決勝までは12得点無失点と圧倒的な強さで勝ち上がってきた明大。しかし「流経大は永遠のライバルだと思っている」(神川明彦監督)と油断は無かった。立ち上がりこそ相手にペースを握られるも前半9分には差波優人(政経2=青森山田)のシュートが相手DFに当たったのを小出悠太(政経1=市立船橋)が和泉竜司(政経2=市立船橋)にパス。これを和泉が冷静に決めると続く11分には梅内和磨(政経4=FC東京U-18)のミドルシュートが相手ゴールに突き刺さり早くも2点リードする展開に。しかし「今年の流経大は決して諦めないチームでこのままでは終わらないと思った」(神川監督)と、26分には1点を返されてしまう。
後半は流経大ペースで試合が展開された。開始早々の後半4分に同点とされてしまう。ペナルティエリア右での激しいボールの奪い合いの後、選手たちの動きが止まっているスキをつかれゴールを奪われた。その後も悪い流れを断ち切ることのできない明大はキーパーの三浦龍輝(商3=FC東京U―18)を中心に懸命のディフェンスを見せるも、我慢の時間帯が続いた。しかし、ついに後半13分、流経大に逆転を許してしまう。右からのクロスを頭で折り返され、相手が右足で合わせゴールを決められてしまう。選手交代で流れを変えようとした明大だったが、後半22分にアクシデントが起こる。相手の突破を止めようとした高橋諒(文2=国見)がこの日2枚目のイエローカードをもらい退場。数的不利に追い込まれた。前に出るしかない状況だったが、後半でのシュート数は3本。最後までなかなかシュートまで持っていくことができずそのまま試合は終了。笛が鳴った後、選手たちはピッチに倒れ悔しさを体全体で表した。
「悔しい」(小川)と決勝は力を出し切れず、準優勝に終わった。しかし、創部初めて決勝に進出できたことはチームが自信を持ついい機会となった。下級生が中心となっているこのチームが攻撃でも守備でも得た収穫は多い。ここからは後期のリーグ戦が始まる。残りの13試合もチーム一丸となって全勝を狙う。
[四ッ谷健太・高山舞]
試合後のコメント
神川監督
「第37回の本大会ですが我々は11回目の出場で決勝進出できたのが今回は初めてだったのでやりきった感でいっぱい。決流経大は今シーズンリーグ戦で0-0の引き分け、総理大臣杯予選では3-2で勝った相手で彼らのこの大会にかける気合いは感じていた。私は常々「運動量、球際、切り替えし」の3原則を選手たちに伝えている。今までの明大は球際で負けていたのでそこを強調してこれまでやってきた。だか決勝では流経大が運動量、球際ともに優っていた。開始10分で2-0になって、今年の流経大は絶対にあきらめないチームなのでこのままでは終わらないと思っていたが1点返されるのが早かった。あの1点で勢いが増してきて、こちらは少し後手に回った。特に後半の立ち上がりは決して悪くはなかったが相手の圧力に押されてしまったという印象。ただこうやればよかったとかはない、まっすぐぶつかって流経大に負けた。今大会は収穫だらけ。蒸し暑さの中で4試合行うことでどうやってゲームをコントロールするのか、リードしている中でどう試合を進めるのか、90分間の緩急のつけ方とかを選手が学べたと思う。今回の試合はとてもいい勉強になったのでこれから始まるリーグ戦ではインカレ出場を目指してやっていく」
小川
「悔しい。結果は準優勝だが、流経大はとてもいいサッカーをしていたし、今回は球際や運動量の違いが結果に出たのかなと思う。それでもこの大会を通じて、自信などの結果以上のものを得られた。(決勝は)早い段階で2点入ったのは良かったが、もう1点取りに行く姿勢を見せることができれば前半の失点もなかっただろうし、3失点目もなかったのかなと考えている。(リラックスがキーワードだったが)このチームは下級生が多くて、選手たちが緊張してしまって持ってる力の半分も出せないことが多かった。負けて悔しいということよりも力を発揮できないことにフラストレーションを感じていて、持っている力を出せば結果もついてくるとスタッフにも言われていたので、今回はそういうテーマを持ってやってきた。決勝まではリラックスして力を出せたと思う。ずっと無失点できていたが、決勝の前半で失点してしまったことで集中力が崩れたり脚が止まったりしてしまった。少しプレーが軽くなってしまったりしたので、そこを改善していきたい。疲労やボールが回せなくなったことで厳しいものがあった。シンプルに走り負けていた部分があったので、練習から一人ひとり意識してやっていくことが必要。(成果としては)攻撃的な部分で通用するところがあったこと。大会を通じて14点取れたことで自信もついた。あとは何よりも、みんなが自信を持ついい機会になった。これから後期のリーグ戦やインカレにもつながってくると思う」
梅内
「幸先よく2点取れたが、その後受け身になってしまったのは反省点。得点のシーンは正直よく覚えていない。転がってきたボールを思いっきり蹴った。(流れを失ったきっかけは)完全に受け身になってしまったこと。自分たちから攻撃せず、ただ回しているだけになってしまいリズムが取れていなかった。(後半は)流経大の気迫が凄く、それに対し受け身になってしまいポンポンとゴールを決められてしまった。(今大会の自身のプレーを振り返って)個人的にはよかった。4試合すべてで決めたのは今までになかったのでそこは自分でも評価したい。この試合は要所要所で相手のほうが上だった。そういうところは反省してリーグ戦で借りを返せるように。大臣杯で個人としてもチームとしても成長できたので、勢いに乗って13連勝したい」
西澤厚志(政経4=前橋育英)
「チームが負けてしまいここまで来て勝ちきれなくて残念という気持ちと、初めて決勝まで来て明治の歴史を変えた点は評価したいという気持ち。ただ勝ちたかったという気持ちのほうが大きい。(プレーを振り返って)サイドハーフでプレーしたが、積極的に仕掛けてクロスを上げてアシストしようという気持ちで挑んだ。最後まで何があるかわからないし自分でもどんどんやっていこうというイメージはあったし心の準備はできていた。点をとるという結果を出せなかったのは残念。(試合は)2点取ってから、勝っているのに優位な状況に持ち込めないという明治の弱点が出て、押し込まれて雰囲気的にも相手の流れになってしまった。(リーグに向けて)関東のリーグはレベルが高いし今今その中で6位で、前期は良かったところと悪かったところ半分ずつみたいな結果だったので、この大会の結果を受け止めてこれからの練習につなげて13連勝したい。個人としては試合に出てドリブルなど自分の持ち味を出して点をとったりしてアピールしていきたい。チームメイトと一丸となりつつ切磋琢磨していきたい」
矢田旭(法4=グランパスユース)
「始め2点先制して2-0という状態だったので、そこで逆転されるというのはやはり勝負弱いということを実感した。もっとうまくゲームが運べてたら勝てたかもしれない。(ハーフタイムには)2-1で勝っているので落ち着いて球際を前半のように徹底していこうということになった。(交代後は)逆転されて自分が変わってしまったのでもっと出てる間に結果を出したかった。1点差なのでまだチャンスがあると思い味方を信じて応援していた。(リーグに向けて課題は)守備がラインを下げなかったり安定してきたので、そこを続けながらチームとしてやってきたことに自信を持ちながらまた切り替えて練習して後期13連勝目指して頑張っていく」
三浦
「失点の部分で今まで0で抑えてきた分、3失点というのは課題の多く残った試合だと思う。2点を取ってから、自分たちから守備にまわってしまった部分があった。後半、1点を取られてから相手に飲み込まれてしまったかなと思う。自分たちが2点目を取ってからは蹴りすぎないで、落ち着いてまわしていこうと思った。大事に行き過ぎた部分があった。今までやってきたライン下がらないとか球際の部分で負けないというのを徹底していた。だけど、後半は明らかに流経大の方がそういう部分で上回っていた。高橋が退場してからは前に行くだけだったのでそんなに問題はなかった。だけど、やっぱり攻撃に人数が使えない分、厳しくなったと思う。今大会で良かったところは初戦から準決勝まで0で抑えたことや初めて決勝に進出したこと。悪かったことは決勝の結果だけ見ると決勝に来ただけで満足したと見られてしまうこと。これからリーグ戦13試合とインカレが4試合あるがすべて勝てるようにチーム一丸となってやっていきたい。」
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