(2)自然を愛する明治の波乗り男たち サーフィン部
東京から車で約2時間。千葉県房総半島の鴨川を拠点として、日大と共同の合宿所を構える。目の前に広がるシーサイドビーチは明大サーフィン部のホームグラウンドであり、サーフィンが日本に伝わった聖地でもある。
現在部員は16名。うち6名は1年生で、若い雰囲気が漂う。学年関係なく下の名前で呼び合うほど仲が良く「家族みたいな関係」と部員は口を揃える。練習場所への移動や、合宿所での泊まり込みで絆が深まっているようだ。
それでも、「締めるとこは締める」という形は崩していない。先輩への最低限の気配り、挨拶や礼儀はもちろん、練習時には1年生が交代で浜辺に立ち、先輩たちの波乗りをビデオで撮っている。オンとオフの切り替えが効く伸び伸びとした雰囲気に、部員たちは居心地の良さを感じているという。
波が小さいなかでも約2時間の練習を行った
海との出会い
サーフィンとの出会いは様々だ。田畑啓主将(国際3=市立浦和)は入学後にフットサルサークルと、もともと興味があったサーフィン部に入ったが「楽しいだけの4年間にしたくない」と競技としてサーフィンにのめり込んだ。2年生の長谷川雅人(商2=逗子開成)は上智大でウインドサーフィンをやっていた兄の影響で、サーフィンを始めた。二人とも最初の半年ほどは波に乗れない時期を経験し、「どこが面白いのかわからなかった」と振り返るが、波に乗る気持ち良さや、スリル、技ができるようになった達成感に魅了された。今では、授業やバイトも練習時間を確保できるように組み、すっかりサーフィン中心の大学生活になっている。部員全員が「何かに打ち込むという姿勢」を大事にしていた。
唯一の女子部員である伊藤千夏(文1=三田)もまた海に魅了されている。入学後の新歓シーズンに「何か新しいことにチャレンジしたい」とサークル探しをしていた時に出会ったのがサーフィン部だった。中学まで水泳をやっていたこともあり、海は好きだった。自らのチャレンジ精神と海が好き、この気持ちで男子部員しかいないサーフィン部にも迷いなく入部できた。「水泳の経験も活きている。これからたくさん練習して、上手く乗れるようになりたい」。明大の女子サーファーの先駆けになって欲しい。
持ち前の明るさでチームをまとめる田畑主将
自然の中で
「自然」とは切っても切れない関係だ。海が無ければ、波が無ければ練習は出来ない。週末金曜日の授業後に集合し、部員の運転で合宿所に向かうが、現地の天候次第で海にも入れないことも珍しくない。取材当日も本来鴨川のシーサイドビーチでの練習が予定されていたが、波が小さかったために20分ほど車を走らせ、南房総市の砂浜で練習をした。天気予報や潮の満ち引きのチェックは欠かせない毎日だ。
たとえ海に入れたとしても、乗れる波が来るまで10分も15分も待つ。「ボケーっと、波が来るのを待っているのも結構孤独ですよ」と田畑主将は笑った。長谷川は「我慢強い人じゃないと続かないですね。他のスポーツと比べても上達が遅いですし。でも同じ波は二度と来ない。だからこそ楽しい」とサーフィンの楽しさを語った。
感謝の気持ちを忘れない。とくに拠点にしているシーサイドビーチには思い入れが強い。「この海は僕たちの原点。板にも乗れなくて浅瀬でぱちゃぱちゃしていた頃から育ててくれた海」と田畑主将。ローカル(地元)に対しても同じだ。「東京から来た、ある意味部外者の僕たちはいつでも海を使わせてもらっている立場だと思う。地元の人たちにも同じように感謝しています」。練習環境という面では他のスポーツよりも厳しい環境だ。海に来れない時はサーフィンの練習用スケボーで板に乗る感覚を確かめるが、それでは満足いかないのが本音。一人ひとりが波に乗れるということがどれだけ幸せなことかを噛み締めている。
来年に期待が懸かる2年生長谷川
明治を背負う
楽しむだけではなく結果が求められるのが競技者だ。6月16日に開催された学生選手権では藤江祥丸(政経3=千葉南)と河畠凜太郎(政経3=船橋東)の2人が全日本の出場権を獲得。部全体でも「自分たちが明治を引っ張っていきたい」という意識が浸透している。明大サーフィン部は来年で創部40周年。部としての伝統を胸に更なる競技力向上も目指す。
最後に二人に今後の目標を聞いた。田畑主将は「もっとうまくなって大会で入賞したい。主将らしい結果を残したい」と言えば、長谷川は「学年で一番になりたい」ときっぱり。明治の波乗り男たちの夏は長そうだ。今後も目が離せない。
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