ケガ乗り越え三原が優勝!/全日本学生個人選手権

 ケガを乗り越えた三原が見事優勝を収めた。2位に7kgの差を付け貫禄の優勝となった。

<大会2日目>
 大会1日目の軽量級には明大の選手はエントリーせず、2日目からの戦いとなった。
 
2日目最初の階級は69㎏級。この階級には原亮太(法3=須磨友が丘)、中田健太郎(政経4=常翔学園)、小川翔太(政経2=能代工)が出場した。
 
 原は今大会で62㎏級から69㎏級へ階級を上げた。「体重のことを考えなくていい分楽」と新記録を樹立し5位入賞。ジャークの3本目、145㎏を挙げきった際には笑顔ものぞかせた。昨年のインカレを機に補強も強化し「結果に表れてきた」と手ごたえもつかんだ。
 
 昨年のインカレ後に腰のケガで「全く練習ができなかった」時期もあった中田。今大会で復帰を迎えた。先々週に国体予選にも出場していたため「楽な感じで、緊張は特にしなかった」という。ただ記録には納得はいっていない。「ジャークで150㎏を最低でも挙げようと思っていた」が、成功したのは140㎏のみ。集大成のインカレを迎えるために、「フォームを固める」ことがまず最初の課題となる。
 
 「今までで1番悔しい大会だった」という小川は体調管理で苦戦。「水曜日にスタート重量が挙がらなかったら、この大会の辞退も考えていた」とベストな状態で今大会に臨むことができず、記録更新もならなかった。だが「これからは成功率を上げて、体も部位ごとに強化していかなくてはいけない」と明確な課題も見つかった。

 続く77㎏級には吉川琢磨(政経2=常翔学園)が出場。得意のスナッチでトップに躍り出たが「痛かった膝を治し切れていなかった」ためジャークで苦戦を強いられた。膝の痛みはジャーク時のほうが強く、3本目は棄権。5位に入賞し、表彰台まではあと一歩だった。毎回課題だと語る「苦手なジャーク」を今度こそ克服し、スナッチから試技の流れを維持したい。

 2日目最後の94㎏級でプラットに上がったのは敦見康平(営4=明石南)。「トータルで3位以内を狙っていた」が、結果は思うようにはならなかった。スナッチでは4位に3㎏の差を付けて3位につけるが、ジャークの試技を終えてトータルの重量で4位に転落。「スナッチでもっと差を付けなければならなかった」(敦見)。課題のジャークに取り組み波の少ない安定した試技を目指す。

<大会3日目>
 105㎏級には畠山桂(政経3=能代工)、三原真吾(政経4=淡路)が出場した。畠山は思うように成功率が伸びず苦戦、悔いの残る結果に終わった。三原はスナッチ自己新記録をたたき出し、見事1位を収めた。
 
 畠山は「調子は良かった。自己新に挑戦したいなと思ってプラットに上がった」と試技に臨んだもののスナッチ1本、ジャーク1本と成功率はいまひとつ。スナッチでは5kg、ジャークでは10kg自己ベストに及ばない結果に肩を落とした。しかし「成功率を上げないと。まずは1本目を取らないと2、3本目に続かない。苦手なジャークも強化したい」と、さらなる挑戦を誓った。

 三原はスナッチで自己新記録となる135㎏を成功させ、見事スナッチ1位を獲得。ジャークでは1本目の170㎏を成功させると、他大選手はもう全試技を終えており、選手は三原のみ。この時点で三原の優勝は確定し、残る2本は三原の独壇場となった。会場の注目を一身に浴びながらも三原は2本目の175㎏も難なく成功させ、3本目の180㎏こそ失敗するも見事優勝を収めた。貫禄の優勝にも三原は「今回は選抜で1、2位だった持田(日大)、田中(九州国際大)がいなかったし、180㎏を挙げられなかった」と内容には満足していない。「ジャークでは2人に勝って1位を取れるようになることが今の目標。そのために引き出しの練習を続けていく」とさらに上を目指す。今回こそ2人は不在だったものの、インカレでの対決は避けて通れない。ジャークで1位を目指すというのは、チームに少しでも貢献したいという気持ちの表れだ。長く続いたケガを乗り越え、今は調子が良いと語る三原。94㎏級から105㎏級に変わり、新たなライバルの存在がモチベーションになりつつある。帰ってきたエース、三原の挑戦は続く。

 表彰台入りした選手は1人と、全体として結果は昨年には及ばなかった。しかし新記録を更新している選手も見受けられ、前進の勢いを感じる場面も多い。本多達雄監督も「これを続けて乗り越えていけば東日本インカレも期待できると思う」と語り、一つのヤマ場となる東日本インカレに向け希望が持てる大会となった。昨年は4位と、あと一歩で表彰台入りを逃した明大。今回の課題を克服して修正を図り、万全の体制で大会を迎えたい。

[関口詩織・鈴木千明]

試合後のコメント
本多達雄監督

「2月から土曜日や連休時を使って強化練に取り組んできた。そのため、疲れは少なからず出ていると思うが成果も出ていると思う。自己新を出した選手もいるし。これを続けて乗り越えていけば東日本インカレも期待できると思う。練習のボリュームは増えるけど、その分力がつく。優勝した三原は、練習時から調子が良かった。105kg級に上げて体ができているから、記録が伸び出したと思う。もっと積極的に、目標を高く持って取り組んでほしい。6月の末に日中韓の大会に参加するから、刺激になればいいなと思っている」

敦見
「個人戦で戦えるのは最後だったので、トータルで3位以内を狙っていた。ジャークで4位になってしまったのでしょうがないという気持ちもあればスナッチでもっと差をつけなければならないと感じていた。スナッチはよしと思った。やはり課題はジャーク。クリーンというよりジャークが苦手なので、チーム内のジャークが苦手なメンバーに教えながら自分も成長できたらと思っている。国体の兵庫県予選からずっと兵庫に残っていたが、兵庫の仲間と話したりして学ぶところも多くあった。兵庫には強い選手がたくさんいるから、どのような意識で競技しているかなど、刺激を受けることができた。まだ体重は増やせるので、波の少ない安定した試技を目指す。チームでの最大目標は全日本インカレで優勝することなので、もっと危機感を持って取り組まなければならないと思う」

小川
「大会までの調子は良くなかった。腰をケガしたり、治ってきたと思ったらまたぶり返したり。スナッチの記録が上がると、次の日にはケガしているという感じだった。水曜日にスタート重量が挙がらなかったら、この大会の辞退も考えていた。今回はベストな状態で臨んだ大会ではなかったし、成功率も良くなかった。これからは成功率を上げて、体も部位ごとに強化していかなくてはいけないと感じる。自分としては、足を特に強化していきたい。今までで1番悔しい大会だった。せっかく規定記録を取って出場したのに、体調を整えられなかった。これからの目標は中田先輩を超すこと。ジャークを上げていく」


「先週の国体予選とこの大会が2週連続であって、2週連続の減量は体に負担がかかるからこの階級で出た。気持ち的には69㎏級の方が体重のことを考えなくていい分楽。今回良かったのは、体調も良くなくて腰が痛かったけど新記録がとれたということ。最近は高校以来の調子の良さで、昨年のインカレも機に補強を強化して、セット数を増やしたのも結果に表れたと思う。自分ではもっとできたんじゃないかと思う。スナッチ2本目の108kgはもったいなかった。東日本インカレに向けて、スナッチが最近怪しくなってきたので、補強と引きを強化していく」

畠山
「最低だった。自己ベストよりスナッチ5kg、ジャーク10kg足りない。調子は良かったが、記録が出なかった。自己新に挑戦したいなと思ってプラットに上がった。今回一番課題に感じたのは成功率が悪いということ。まずは1本目取らないと2、3本目に進めない。また、ジャークの苦手意識が高いので、まずはジャークを強化したい」

三原
「ケガの間は試合には出られないし、練習にも集中できないし、気持ちも落ち込んでいた。でも4月の大会で105kg級に出場して、持田(日大)、中田(九州国際)に差を付けられて、やる気が出た。あれが転機かなと思う。20㎏くらい差をつけられたから、今回は320㎏を出して少しでも近付きたかった。自分の感覚として、クリーンがうまくできたらジャークもできるので、この大会まで200㎏の重りを付けて引き出しの練習を重点的にやった。大会1週間前には記録も2kg更新できて、水曜にはスナッチ135㎏、ジャーク180㎏も挙げられるようになってた。180㎏は4月もやって、クリーンはできたけど、差しができなかった。今回はスナッチが自己ベストだけど、ジャークは連続試技だったのでばててしまった。180㎏も取れなかったし悔しい。持田と田中は世界ジュニア出場のために今回は出場していなかったし、今回の結果には満足していない。この大会の前にも国体予選に出て、ジャークが駄目だと思った。もっとスタミナを付けていかないと。階級を変えて、戦う相手も変わった。94㎏の時の記録では通用しないということを意識しながらやっている。今は調子もいいので田中と持田には、スナッチでは勝てないかもしれないけど、ジャークで勝ちたい。今は団体優勝ということよりも、ジャークで1位を取ることを目標にしている。自分自身が伸びないと、チームにも貢献できない」

吉川
「先日の大会時から痛かった膝を治し切れていなかった。スナッチではあまり痛みが気にならなかったが、ジャークで痛みがあった。ジャークで141㎏を挙げるのが痛くて、3本目は棄権した。トータルで3位以内を狙っていたが、スナッチの記録で並ばれたので厳しいと感じた。ふがいない試技内容だったと思う。スナッチの3本目は本当に踏ん張った。後ろに動いてしまって、範囲から出そうになってしまった。スナッチはさすがに負けられないと思っていたので、本当に焦った。今後の課題はジャークを伸ばすこと。これを一番に優先しなければいけない。毎回スナッチでは最後まで試技が残っているが、ジャークは早くプラットに上がる感じなのでアップを思うようにできない。ジャークのスタート重量を少しでも重くして、スナッチからジャークへの時間を稼ぎたい」