
終盤に逆転し慶応に勝利/静岡県ラグビーフェスティバル
試合開始から主導権を握った。FB田村熙(営2=国学院栃木)と右CTB高平祐輝(法4=国学院久我山)のキックを起点に、敵陣深くへ侵入。「風下の中で良くエリアが取れて、(敵陣まで)FWを運んでいけた」(山口修平・政経4=佐賀工)とBK陣の持ち味が発揮したゲームを展開した。しかしFW陣が、押し負けトライを奪えない。ペナルティーの多さも目立ち、苦戦する時間帯が続いた。徐々にペナルティーから慶応がボールキープする時間が増え始め、慶応のペースになり始める。試合が動いたのは前半25分。「連携が取れていませんでした」(高平)とCTB間のギャップを突かれ、先制トライを決められる。前半33分にもトライを決められ0-12。反撃したい明治は前半40分に、高平の突破からチャンスをつくると、敵陣22mのラックから山口から田村へと展開。最後はSO茂木直也(商4=深谷)が慶応ディフェンスを振り払ってトライを奪い7-12とし前半を折り返す。
後半、明治は風上になることで、優位に試合を進める。後半13分、ハーフウェイ付近でのターンオーバーからチャンスをつくり出す。ラックからパスを展開し、途中出場の太田が、独走トライを決め14-12と逆転に成功した。その後も、慶応オフェンスに対して必死のディフェンスを見せ失点を防いでいたが、後半27分。コラプシングからピンチをつくり、最後はラックからトライを押し込まれ逆転を許してしまう。残り時間はあとわずか。試合を決めたのは、再び太田だった。後半37分、インゴール手前のラックから、今日2本目となる値千金のトライを決め19-19。田村が落ち着いてゴールを決め、再び逆転に成功し21-19としてノーサイド。明治が息の詰まるシーソーゲームを制した。拓大戦に続くAチームでのトライに太田は「逆転につながったことが何よりうれしかった」と喜んだ。
慶応を相手に、接戦を物にした明治。前半にトライを取るチャンスが多かっただけに「3つから4つくらいはトライを取っておかないとダメかなと思う」(丹羽政彦監督)と課題が残った。しかし「自分たちのしたいことが出せているのはいい傾向だと思います」(圓生正義主将・政経4=常翔学園)と語るように、ディフェンス面やBK陣のエリア取りなど多くの収穫を得た試合となった。次戦の流経大戦では、さらに高いレベルでの試合を見せてくれるに違いない。
[阿部慎]
1.PR | 植木 悠治(政経2=常翔学園) →16.太田(後半9分) |
9.SH | 山口 修平(政経4=佐賀工) →20.田川(後半18分) |
16 | 太田 竣介(商4=明大中野) ←1.植木(後半9分) |
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2.HO | 勝木 来幸(営3=常翔学園) | 10.SO | 茂木 直也(商4=深谷) →21.村井(後半9分) |
17 | 石川 弘季(法4=国学院久我山) ←3.松波(後半40分) |
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3.PR | 松波 昭哉(政経3=東福岡) →17.石川(後半40分) |
11.WTB | 齊藤 剛希(商2=筑紫) | 18 | 近藤 雅喜(商1=東海大仰星) ←5.南(後半18分) |
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4.LO | 比果 義稀(文4=京都成章) | 12.CTB | 水野 拓人(情コミ3=東海大仰星) | 19 | 田中 健太(営2=大阪桐蔭) ←7.圓井(後半18分) |
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5.LO | 南 宗成(商3=大阪朝鮮) →18.近藤(後半18分) |
13.CTB | 高平 祐輝(法4=国学院久我山) →22.幸重(後半20分) |
20 | 田川 明洋(政経4=天理) ←9.山口(後半18分) |
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6.FL | 大椙 慎也(法3=国学院久我山) | 14.WTB | 小澤 和人(営4=国学院久我山) | 21 | 村井 佑太朗(政経3=秋田工) ←10.茂木(後半9分) |
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7.FL | 圓井 文也(商3=常翔学園) →19.田中健(後半18分) |
15.FB | 田村 煕(営2=国学院栃木) | 22 | 幸重 記(文4=大分舞鶴) ←13.高平(後半20分) |
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8.No.8 | 圓生 正義(政経4=常翔学園) |
試合後のコメント
丹羽政彦監督
「前半が残念だった。入りが良かったので、もう少し攻めた時に(点を)取りきっていれば、もう少し楽なゲームができたと思う。(慶応が)ジャッカルをしてきているのに対して、ボールをリリースするという部分で、(明治が)やろうとしているところができていなかった。ここ何試合か、ずっとそういった形でやってきているので、まだしっかりできていない。(今日の前半くらいに)攻めていれば、3つから4つくらいはトライは取っておかないとダメかなと思う。(アタック面に関しては)意図して動かしていたと思います。ディフェンスも良かったんですけど、約束事であるディフェンスラインをそろえるっていう部分でそろっていなかった時に、逆を突かれている。それ以外のところでは評価はしています。ディフェンスが良かったし、結果的には僅差だが、ボールの支配率では(慶応より)高かったと思うので、それをまた先のスコアにつなげるところまで、しっかり持っていければなと思います」
No.8圓生正義主将(政経4=常翔学園)
「筑波大、拓大とだんだん自分たちのしたいことが出せているのはいい傾向だと思います。スクラムが拓大戦では良くありませんでしたが、改善できましたし自分が後ろから全体を放り込めればもっと強くなると思います。(決勝トライも含めこの日2トライの太田選手について)やっと出てきてくれたなという気持ちです。1年生の時に明早戦に出ていた実力を持っているので待っていました。同じポジションの同期という存在が活躍したことは、素直にうれしいです。自分がコンバートしているので、同じポジションで活躍しているという焦りよりは、心強くて一緒に戦える喜びの方が大きいです。モールでもう少し得点につなげられるようにチームとしての精度を上げていかないと いけないですし、ボールキャリアーがもっと効果的なオフェンスをできるように意識を変えていかないといけないと思います」
左LO比果義稀(文4=京都成章)
「一回キャリアーに絡まれてボールが出てしまったので不安を感じたが、総合的には良かった。明治全体の雰囲気も、今までの筑波大戦や拓大戦に比べて良かった。しかし、もっと点数に差をつけて勝ちたかったという思いもあるので、よりチャレンジをしていきたい。(再来週の試合では)勝つのは必須。モールにこだわり、FWでトライをとることが目標」
右LO南宗成(商3=大阪朝鮮)
「試合序盤の風下だった時間帯に陣地は獲得できたものの、ブレイクダウンのミスが多く点を取ることができなかった。後半はブレイクダウンを意識してプレーし、多少修正できたがまだミスもあった。個人としてはセットプレーが良かったが、やはりブレイクダウンが甘かった。次の流経大との試合までに修正したい」
SH山口修平(政経4=佐賀工)
「あんまり良くなかった。勝ったけど、反省することが多い試合だった。ブレイクダウンが不安で、SHとしてやりにくいなという部分がある。(昨年と比べて)ブレイクダウンの質が悪い。2人目の寄りの速さ、低さであったり、ボールキャリアーのボディコントロールが良くないから、取りきれないし攻めきれない。BKとしては、風下の中で良くエリアが取れて、(敵陣まで)FWを運んでいけたというのは良い収穫だと思うけれど、そこでFWが行き詰ったのは課題だと思う。BKは筑波大戦から、エリアを取ることを意識して、もっとFWを前で戦わせようと、段々良くなってきている。BKが良くなったらFWが全然攻め切れないというのはきつい。(BK陣の中では)高平と水野は安定して前に出てくれるので、アタックのカギになってくると思う。後は随所に田村のキックであったり、小澤のランが目立ってくれれば良いなと思います。今年は他に良いSHがいるので、9番に定着できるように一生懸命頑張ります」
SO茂木直也(商4=深谷)
「久しぶりにAチームの試合に出場できたので、自分の中では楽しもうという気持ちが強くあった。前半が風下ということだったので、ゲームの入りはキックでしっかり陣地を取っていこうというようにいっていた。しかし、うまくいった部分といかなかった部分があったので、次の試合までの課題として考えていきたい。自分の技術不足が多かったので、自主練習を頑張ろうと思う。前半最後のトライは、チームが負けている状況で前半に1トライ取って終えよういう話をしていたので、後半につながるいいトライだった。SOは誰が試合に出てもおかしくないので、自分はFWとコミュニケーションが取れるようしたい。今日の良くなかったところは、SHにもっと声をかけてリードできれば楽に球出しができたというところ。あと自分自身で迷っているプレーがいくつかあったので、それをなくしていきたい。次の試合まで時間があるので練習をして、また試合に出場できるようにしたい」
右CTB高平祐輝(法4=国学院久我山)
「練習不足もあり、両CTBで連携が取れていませんでした。それが一本目のトライに直接つながってしまったのが大きな反省点です。アタックの部分に関してもまだまだ自分のやりたいような部分が出し切れず、慶応のディフェンスにもしっかり付かれてしまったのでもっと精度を上げていきたいです。トライにつなっがったプレーもまぐれに近いものだったのであまり満足はしていません。(本来のFBに比べて)CTBはタイトなプレーやタックルにいく機会が多いポジションなので練習でもっと詰めていかないといけないです。ディフェンスをしっかりさせれば、FBにしろCTBにしろ出場機会がもっともらえると思うので、今まで以上に意識を高めていきたいです」
右WTB小澤和人(営4=国学院久我山)
「今日はエリアは取れたと思うが、ボールコントロールのところがまだしっかりできていなかった。あとは2人目の寄りが甘い。次の試合で修正したい。前半風下であれだけ敵陣に入れて、取り切れなかったのが点差の開かなかった原因だと思う。そこは改善しなくてはいけないところ。BKとしてはボールがあまり出てこなかったけど、エリアをちゃんと取れたというのが収穫となった。エリアはそのまま継続して、流経大のWTBには外人がいるのでトイ面だったらしっかり止めたい。コミュニケーションも甘いところがあったのでこの1週間で修正して勝ちたいと思う」
HO太田竣介(商4=明大中野)
「勝てて良かった。チームの流れが悪かったので、リザーブとして元気よくプレーできて良かった。最後のトライは、前の選手がいいゲインをしてくれたので、そのおかげで取れた。それが逆転につながったことが何よりうれしかった。チームのみんながいいスペースに走らせてくれるので、周りのサポートのおかげかなと。スクラムは拓大戦と同じようにフロントローのまとまりがあまり良くなく、相手のやりたいようにさせてしまった部分があった。そういう課題があったので修正し、FWが強い相手にも制していければと思う。今日は家族が試合を観に来てくれていたので、いいところを見せれたかなと。これからも試合に出場できるように頑張ります」
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