
平井彬が短水路日本新で連覇/東京六大学水泳春季対抗戦
短水路日本新
タッチ後の会場のどよめきに着いていけていないのは平井彬だけだった。大喜びする応援席と目を丸くする平井彬。2度電光掲示板を見直しようやくガッツポーズが出た。昨年のこの大会で樹立した自身の短水路日本記録を約3秒更新する14分32秒71。本人もびっくりの「まさかの日本新」。今朝まで行われた日本代表合宿から参戦して、大記録を打ち出した。
200mで先頭に出ると、いつも通りの「独泳状態」に入った。100mを58秒から59秒という一定のペースで刻んでいく。1000mを過ぎた頃から会場に日本記録を期待する歓声が湧き始めたが、平井彬は日本新ペースで泳いでいることに気付かなかった。「明治の応援がやけに盛り上がっているなとは思ったが、一つ前の組で好記録を出した竹田君(法大)の記録といい勝負なんだろうと思っていた」。ラスト50mに入ると、持ち味のキックを生かした猛烈なラストスパートで日本新を確実にした。一週間前には日本選手権でこの種目を制し、夏に行われる世界選手権の代表権を勝ち取った。直後には日本代表合宿に招集され、18日からこの日の午前中までの代表合宿に参加。午前中に約3キロ程の軽い練習をこなしてからレースに臨んだ。伸び盛りの平井彬に疲れなど関係ないようだ。
「速い選手ではなく強い選手になりたい」。入学直後のこの言葉から1年が経ち、一回りも二回りも強くなった。昨年9月のインカレに始まり、今年2月の短水路日本選手権、先週まで開催されていた日本選手権と大一番の勝負で結果を出し続けている。金子洋明コーチは平井に対し「普段からトレーニングに対して積極的。長距離選手で毎回安定した結果を残すことは難しい。平井の強さは高いレベルで安定した結果を残せること」と絶賛した。
まだまだ満足はない。「あくまでも通過点」とレースを振り返る余裕がある。本番は7月に開幕する世界選手権。日本人2人目となる長水路での15分切りを目指し、スペイン・バルセロナへ。戦いの舞台は日本から世界へ変わる。
上級生も意地見せる
若手の活躍に刺激を受け、上級生も意地を見せた。安孫子拓郎(政経4=八王子)は高校3年時ぶりに100m平泳ぎで自己ベストを更新した。大学入学後はなかなかキックとプル(手のかき)が合わなくて苦戦したが、昨年11月のレースを徹底的に分析。冬場にはキックの練習量を大幅に増やすなどして鍛え直した成果が現れた。「今までは勢いに任せている泳ぎだったが、ここにきてようやく泳ぎがフィットしてきた。この泳ぎを夏につなげたい」。学生最後の夏へ向け、調子を上げてきている。
総合力では力及ばず
新チームとなり、対抗戦初戦となった今大会。強力ルーキーの加入もあったため、男子総合では昨年からの連覇が期待された。だが、終わってみれば早大に50点以上の差をつけられ完敗。インカレに向けては不安が残る結果となった。他大学に比べ人数が少ない明大だが、チームの最大目標は今年も「インカレ総合優勝」だ。入賞すれば個人種目の倍の得点がもらえるリレー種目で昨年以上の結果を出し、9月の広島では中大、中京大の2強崩しに挑む。
関連記事
RELATED ENTRIES