原が優勝! 今年度初の大会で好発進/全日本ジュニア選手権

 今大会は今年度初の公式戦となる。明大からは原亮太(法2=須磨友が丘)、小川翔太(政経1=能代工)、吉川琢磨(政経1=常翔学園)、西岡翔吾(政経1=洲本実)の4人が出場。中でも原が優勝、快挙を収めた。

<1日目>
 明大選手勢のトップバッターとしてプラットに上がったのは原。選手層が厚い62kg級は高校生の強者も多く出場した。「正直3位狙い」と試合前語ったが、見事優勝を果たした。
優勝のカギを握ったのはスナッチの出来だった。苦手意識のあったスナッチで3本連続成功を見せ、自己新記録も更新。「本数が勝負だと思っていたので、3本取れたことは大きい」と強みの安定感を見せつけた。しかしジャークでは思い通りの結果にはならなかった。1本目は137kgを危なげなく挙げたが、2、3回目の試技で141kgに続けて失敗。昨シーズン、9月の東日本学生個人選手権、11月の全日本インカレと141kgに挑戦していた原。今大会も壁を越えられず「141kgがあげられなかった。それだけ」と悔しさを口にした。「優勝とスナッチ自己新はうれしいが、記録が伸びなかったので複雑な心境」と表彰台の真ん中でもあまり笑顔を見せなかった原。「切り替えて本数を取る試合をしたい」。次世代のエースはさらなる高みを目指し、歩みだす。

 つづく69㎏級には小川が出場。6本中失敗した試技はスナッチの1本のみと安定した試技を見せたが、結果は惜しくも5位。表彰台にはあと一歩届かなかった。「スナッチに自信がなかったが、今考えるとそれは思い込みだったのかなと思う」と試合後語ったように、小川のスナッチの試技は重さが上がるたびに安定感が増していた。3本目では108㎏を挙げ、試合ベスト記録を更新。さらに「最近伸び始めて、自己新が出るようになってきている」というジャークでは見事3本成功。3本目の137㎏は「嘘、やれてるって感じだった」というが、確実に実力が向上している証拠を見せた。「後輩も入ってくるし、見せなきゃって思うところもある。ここまで来たからにはインカレを目標にやっていきたい」。小川は新体制での抱負をこう述べた。今大会をきっかけに、新たなヒーローが誕生しそうだ。

 <2日目>
 77㎏級には吉川が出場した。スナッチでは130㎏を挙げ1位、ジャークでは145㎏を挙げ3位を獲得。トータルでは275㎏で2位と、好成績を収めることに成功した。事前取材ではスナッチ130㎏、ジャーク140㎏を取ることが目標と話していたが、それを上回る結果となった。トータル275㎏は、全日本選手権の規定記録タイ。念願の全日本選手権出場を決めた。見事2位を勝ち取った吉川だが、スナッチでは1、2本目の127㎏を失敗している。しかし、全日本出場の規定記録を出したかった吉川は「130kgを挙げさせてください」とセコンドの奥山俊平(法3=常翔学園)と足立賢祐(営2=常翔学園)に懇願。奥山は吉川を信じ「責任は取れよ」と押し出した。試技は見事成功。成功した瞬間、奥山は「泣きそうだった」と振り返る。吉川は「あの状況でいかせてくれた奥山先輩には本当に感謝している」と感謝の気持ちを述べた。奥山の判断がなければ、今回の記録はなかった。プラットメンバーの絆が吉川を2位に押し上げた。

 85㎏級には昨年度、1年生で唯一インカレ出場を果たした西岡が登場。スナッチで110kg、ジャークで153kgを挙げ3位入賞を果たした。以前から腰をケガしていた西岡。大会直前まで不調に悩まされ続けた。ケガのために練習が限られ、大会前の練習までデットリフトとスクワットができなかった。試合で触った重量は「思ったより軽かったのに挙がらなかった」。調子のいい時は「重いと感じるのに挙がる」ということからも、今回は不調だったということが分かる。しかし「当初狙っていた優勝に届かないのは悔しいが、入賞できたのは良かった。今の自分はこんなもんかなという感じ」とやることはやった。今回はジャークの成功率こそ高いものの、ベストより低いこともあり、満足はしていない。次回に向けて「足と腰を治して、種目に触って調子を取り戻していきたい」とさらに上を目指す。

 全体として好成績を収め、好発進だ。好調の要因は大会前まで続いた2部練習。ケガをしている選手が多かったこともあり、全体の底上げを狙ったというが、それが功を奏したようだ。今シーズン初戦での好成績から、今シーズンの活躍に期待が持てる結果となった。今後も明大ウエイトリフティング部から目が離せない。

[関口詩織・鈴木千明]

試合後のコメント
本多達雄監督

「みんな入賞して、全体的にはいい結果で今大会を終えることができた。2月から強化練をやってきていて、そこで体重も増えているからそれが結果につながったのだと思う。5月にも強化練を組むので、またここで向上を狙いたい」


「ちゃんとした全日本の大会で優勝したのは始めて。嬉しい気持ちもあるけど、やっぱり記録があまり伸びなかったから微妙な心境。スナッチに関しては3本成功して自己新も出たから良かった。今大会の優勝のカギはスナッチ3本成功にあったと思う。逆にジャークで1本しか挙げられなかったのが至らなかった点。本当に141kg挙げたかったから悔しい。高校生が強かったから正直優勝は無理だと思っていたけど、思いのほか試合運びがうまくいった。新体制が始まったが、新入生が入ってくるので教えるところはきちんと教えて自分自身そこから学んで成長できたら。まずは切り替えて、今度こそ本数を取れるような試合をできるように練習していきたい」

小川
「今日のスナッチは105㎏からのスタートで、これは自分の試合ベスト記録の1kg下。高校の頃はジャークが得意だったけど、大学に入ってからはまずスナッチ、それからジャークの順番で伸びている。ジャークは最近伸び始めて、自己新が出るようになってきている。練習でもジャークは自己ベストの4kg上が出たし、スナッチもストラップを使って練習しがちだけど、素手でも2kg更新した。今日はスナッチに自信がなくて、できると思わなかったけど今考えるとそれは思い込みだったのかなと思う。2本目は確実に決めようと思いながらやった。110㎏を触れなかったのが残念ではある。でも試合ベストの106kgを更新できたしいいかという気持ち。137㎏は先輩にとりあえずやってみろと言われた。刺せるかは運だとも言われた。やれると思わなかったけどできて、『嘘、やれてる』って感じだった。ここまでの練習で130㎏を初めて触ったときは重かった。これからも足の強化のスクワットをしないと。スナッチは引き紐に頼りすぎていると感じる。素手でもできるようにならないと。ジャークは今回でだいぶ伸びた。最近は2部練習での成果が現われてきているのを感じる。今の目標は140㎏。理由は吾郷(英之・農4=出雲農林)先輩が大体140~145㎏を挙げていたから。中田(健太郎・政経3=常翔学園)先輩の記録にはあと9㎏。追い越せるように頑張っていきたい。後輩も入ってくるし、見せなきゃって思うところもある。ここまで来たからにはインカレを目標にやっていきたい。これから、スナッチはストラップよりも素手で練習すること、ジャークは今ベストが上がっているのでセット重量を上げてやっていきたい」

吉川
「最低取ろうとしていた記録は取れたのでよかった。今回はスナッチの成功率は高くなかったが、大会までのスナッチの調子は悪くなかった。もともとスナッチの方が得意だったから、最近はスナッチを置いて、ジャークの練習をしていた。これからもジャークは上げていかないといけないと思う。記録を伸ばすためにスクワットしたり、足の強化をしたりして意識して練習していた。2部練が始まって、毎日気合で挙げていた。先輩からも、とにかく挙げろと言われていたし、毎日休まずにその日の練習をやり切るという感じ。今回は高校の同期の井筒(日大)に勝ちたかった。今まで勝てたことがなくて、いつも2番目だったから。今回はスナッチで10kgくらい差を付けて、その上で、ジャークで勝負をかけるつもりだった。スナッチは自己ベストが126kgだったから、今回は記録更新。結果は2位で勝てなかったけど、同期がこうやって活躍しているのはうれしい。邪魔といえば邪魔だけど。梶田(早大)がいて同期3人で表彰台を飾れたらよかったなと思う。井筒に勝つためには倍くらい練習しないと。練習量もすごい選手だから。今回セコンドに付いてくれた奥山先輩と足立先輩には、プラットが同じでいつもお世話になっている。全日本選手権の基準記録の275㎏を取るために、スナッチ2本失敗した後に、それより高い130をいかせてくれたのには本当に感謝している。普段の自分の練習を見てくれているからこそいかせてくれたんだと思う。奥山先輩とは練習でも一緒に寮に帰ったら立てなくなるくらいの限界までスクワットしたりした。普段もよくしてもらっている。今回の出来は良くないけど、目標は達成できて満足している。これからは足とか、補強系を強化していきたい。後はやっぱり練習を真面目にやること」

西岡
「大会前まで腰をケガしていて、調子がなかなか戻らなくて、今回の大会の目標を3位入賞にした。もともとの目標だった優勝に届かなくて悔しいけど、入賞できてよかった。今の自分はこんなもんかなという感じ。今回は、腰のこともあって大会までの調子は良くなかった。当初はスナッチとジャーク、どっちも新記録を取りたいと思っていたけれど。今回試合で触ってみてスナッチもジャークも思ったより軽かったけど取れなかった。調子がいい時は重いと感じる重量も挙がるのに。スナッチの1本目は肩が甘かった。ジャークはベストより低いこともあって、成功率は高かったけどあまり納得のいく結果ではなかった。スナッチ、ジャーク、どっちも強化していかないと。大会までは2部練習が続いたけど、きつかった。ケガしたところが疲れてしまった。ケガもあったから、できる範囲のことをするしかなくて、デットとスクワットが全然できなかったと思う。今回セコンドに付いてもらった三原(真吾・政経3=淡路)先輩、片山(智裕・政経2=埼玉県立川口)先輩とは同じプラットで練習している。自分は上がり症だから、先輩たちにはびびらないようにとアドバイスしてもらった。上がり症は昔からで、競技にも影響していると感じる。これからは足と腰を治して、種目に触って調子を戻していきたい。あとは、自分は練習の内容を組み立てるのがまだまだかなと思う。練習で何をしたらいいか模索中」