(34th Period)インカレ後インタビュー 牛来拓都主将 (後編)

 1年間、主将としてチームを率いた牛来拓都主将(営4=北海)。最後のインカレ、明大での4年間、そしてチームへの思いを語っていただいたインタビューの模様を全2回に分けてお送りします。今回はこれまでの競技人生や来シーズンからプレーするアジアリーグへの意気込みを聞きました。

~後編~

――アイスホッケーを始めたきっかけは
牛来:
小学校2年生の時に札幌から釧路に親が転勤して、札幌にもチームはいっぱいあったんですけど、知らなくて。釧路はすごく盛んで全部の小学校にあったのでそこで出会って、兄と一緒に始めました。

――アイスホッケー以外にスポーツ経験はありますか
牛来:
アイスホッケーを始めるまでは水泳をやっていたんですけど、アイスホッケーを初めてからは何もやっていないです。

――明大を選んだ理由は
牛来:
小、中学校時代の恩師が明治大学出身で試合のDVDを見せてもらったり、苫小牧でやる試合を見に行って、やっぱりダントツで明治がかっこ良かったので。明治以外は考えてなかったです。

――競技生活の中で転機は
牛来:
明治大学に入学したことですね。今までは札幌でやっていて、北海高校は東洋のキャプテンの春田や上野(滉太・政経3=北海)、王子(イーグルス)に入った橋本だとかいい選手はいたけれど、全国的に見たら選手層も薄くて弱いチームだったと思います。それから明治に入って、周りは全国のスーパースターばっかりで、1年生の時の4年生は特に素晴らしい選手しかいなかったから、そこで学んだことは大きいし、明治大学という“勝たなきゃいけない”チームでプレーするっていうのは本当にない経験だと思うから、自分のアイスホッケー人生の中では大きなことでした。

――4年生から学んだことというのは
牛来:
私生活だったら、明治は厳しいと思って入ってきたけれどすごく優しかったです。優しい中にも厳しさはあるんだけど、自分のやるべきことは自分でやるし理不尽なことはしませんでした。それを学んで今の4年生は下級生に厳しい中にも優しさを持って接しているつもりだし、人間性を(かつての4年生から)学びました。アイスホッケーに関しては、部屋長だった田中遼さん(平21政経卒・現東北フリーブレイズ)は、小原(卓朗・政経4=白樺学園)と(自分の)2人に、練習でも間違ったプレーをしていたらすぐに教えてくれたし、見て学んだことも多いです。2年生から4年生まで明治の中心、センターとしてやってきたけれど、そうやって教えられたことを今のプレーに生かしてきました。

――ご自身も後輩へ声をかけることは多いですか
牛来:
練習中におかしなプレーや、逆に良いプレーがあったら声をかけるように心掛けています。(同じセットを組む)大津(晃介・法1=日光明峰)や上野に関しては特にコミュニケーションを取るし、特に大津は部屋っ子(同部屋)でもあるのでアイスホッケーの話はかなりしますね。

――これまでの競技人生で一番嬉しかったことは
牛来:
全国大会の優勝は高校まで一回もなかったので、大学にきてから2年目の春とインカレ、4年目の春の優勝はうれしかったです。

――アイスホッケーを辞めたくなったことはありますか
牛来:
比較的そんなに鬼のようなコーチにも出会ってないし、大きな挫折はまだ経験してないし…。ただ、U18やU20やユニバーシアード代表にずっと入ってきてるんだけど、その中で同級生が日本代表に呼ばれているのを見ると悔しいなとは思います。

――牛来選手は来シーズンから実業団へ進まれますが、ずっと実業団を目指していたんですか
牛来:
中学生くらいから、大学は明治に行って明治から実業団に行こうっていう明確な目標がありました。

――実際に実業団入りが決まっていかがですか
牛来:
実業団が決まってそこで目標達成じゃなくて活躍するのが目標です。今のままだと全然できないと思うので、1年目から試合に出られるようにトレーニングを積みたいです。

――プロになるにあたって強化したいところは
牛来:
全日本(選手権)で(実業団と)戦った中で、スピードとテクニックやパスはそんなに(差を)感じなかった。一瞬のスピード感とかパワーです。1対1のとき、相手のディフェンスが大学では考えられないくらい力があるし、日本人相手にできても外国人にも勝たなきゃいけないので、一番は筋力アップが課題です。それを克服しないと試合では絶対に活躍できないなと感じています。

――いつから実業団で練習されるんですか
牛来:
6月か7月かな。新人で一番下からスタートで、一番努力しなくちゃいけないことは自覚しているので頑張りたいと思います。

――主将になって大変だったことはなんですか
牛来:
ずっと大変だし、歴代のキャプテンにしか分からない気持ちがあると思います。その中で、(負けた)秋のリーグ戦の初戦や慶応戦の後とか、負けて雰囲気が落ち込んでいる時のチームの立て直しは大変でした。あと、2年生、3年生は自分勝手にプレーさせてもらっていたけれど、今は自分の一つのプレーでチームに影響を与えてしまうので責任感はすごくあります。

――具体的にどんなことを心掛けましたか
牛来:
練習中やベンチでは一番声を出して鼓舞しますし、試合前日の夜は絶対にミーティングをしました。調子がいい時はすごくいいから続けようって話と、負けた試合の翌週のミーティングでは自信を取り戻すために4年生が声を掛けました。

――牛来選手は負けた試合の後も冷静な印象がありますが、チームの雰囲気づくりという面で気を使っていますか
牛来:
切り替えが早いから負けちゃったら負けちゃったで、次勝つしかないし、すごい落ち込んではいるんだけど、キャプテンが落ち込んだらチームは上昇しないのですぐ切り替えています。秋リーグは優勝がある限り、最後まで戦おうって気持ちでやっていました。(早大の優勝決定後の)最後の試合はさすがにテンションは上がらなかったけど、それ以外は優勝するものだと思ってずっとやってきました。個人的にあまり良くなかった試合は落ち込むけれど、寝たらすぐに忘れるので切り替えてやるように心掛けています。

――競技中と普段の性格は違うと思いますか
牛来:
試合中もアイスホッケーは当たられるのが当たり前だからチェックされてもそんなにいらいらはしないし、あまり変わらないと思います。性格的にも気を使うタイプなので、試合中も他の選手のプレーを生かそう、ラインメイトを生かそうという気持ちでプレーしています。

――アシスタントキャプテンの2人に支えられたことは
牛来:
(本野)亮介(商4=北海道清水)はアイスホッケーに関してはすごく熱いから、ディフェンスのプレーやチームに関して、控え室やベンチで声を出してくれるのですごく助かります。小原はミーティングで声を発することはないけど、俺のことを一番分かってくれて、すごく仲がいいので愚痴も全部聞いてくれます。2人ともいないとだめですし、2人の存在はすごく助かってますね。

――この4年間で成長したことは
午来:
周りを見るようになりました。3年生の時は自分や自分のセットが活躍して勝てればいいと思ってたんですけど、今は練習中、試合中、寮生活でも、なるべく全員の選手を見るようになりました。

――春は「自分の一声で雰囲気を変えられる主将が理想」とおっしゃっていましたが、理想の主将像に近づいた実感は
牛来:
1年間やってきてキャプテンとして良かったか悪かったかは分からないけど、ミーティングや控え室を出てくる時、アップの後に一声掛けるようにして一回締めて試合に臨むということを1年間やってきたので、チームに影響を与えられたのかなとは思います。

――息抜きの方法はありますか
牛来:
高校の時の野球部の奴らと仲がいいので、飲みに行ったり遊びに行ったりするし、チームメートとも飲みに行くのが一番の息抜きです。寮ではDVDを借りてドラマを見てリラックスしていました。後期は月に4作品くらい見ていました。

――趣味は何ですか
牛来:
映画鑑賞です。一時、読書にハマっていたけど最近全然読んでないから趣味には入らないかな。買ったけど読んでない本が寮にたまってます。映画はいろいろ見るけど、どちらかというと洋画が好きですね。

――最後に、アイスホッケーのどういうところが魅力ですか。
牛来:
単純に一回観たら絶対に面白いと思うし、スピード感や体の当たり合いもありなところ。残り3、4秒あれば点数が取れるのでそこも面白いかなって思います。

――ありがとうございました。

◆牛来拓都 ごらいたくと 営4 北海高出 174cm・75kg