
終盤の失速が響き総合7位、シード権は確保/箱根駅伝
何とか襷をつないだ。8区横手健(政経1=作新学院)から3位で襷を受け取った松井。15km地点では、結果的に同区間3位で終えた東洋大のルーキー服部と互角のタイムで通過したが、最後に試練が待ち構えていた。19kmを前に脱水症状を引き起こし急激なペースダウン。戸塚中継所では3分9秒差あった駒大に抜かれると、残り700m過ぎには早大、帝京大にも追い越され6位まで順位を落とした。最後はふらふらになりながら鶴見中継所へ。倒れこむように襷を渡し、途中棄権だけは免れたが、2年連続の総合トップ3は絶望的となった。前回大会は故障続きでメンバー落ち。今シーズンは、ロードでの好走を買われ、夢の箱根路への出走のチャンスを手に入れた松井だったが、苦しい箱根デビューとなった。
49年ぶりの総合3位を決めた昨年に続き、2年連続のトップ3を狙った「明大史上最強」のチーム。だが、箱根駅伝はそう甘くはなかった。アンカー10区北魁道(商3=世羅)も、世羅高校時代の後輩である松井の分もと前半から積極的な走りを見せたが「ふがいない走りをしてしまった」と終盤失速し順位を一つ下げ総合7位。来年の同大会の出場を決めるシード権だけは守り切り、箱根路は幕を閉じた。
敗戦の中での収穫は若い力が成長の証しを見せたこと。2年生の文元は自身でも「向いている」という1区で区間2位と確実に結果を残した。また、復路のスタート6区では廣瀬大貴(営3=洛南)が流れをつくった。3年連続の山下りを任されたスペシャリストは、前回区間8位の記録を2分短縮。駒大の千葉が持つ区間記録に8秒と迫る58分19秒の歴代3位の好タイムをたたき出した。続く7区では、出雲、全日本と2つの大学駅伝で区間最下位と区間賞を経験した有村優樹(商2=鹿児島実)が区間3位と好走。8区に配置された期待のルーキー横手も15㎞までは区間賞争いを見せ、故障明けながら底力を発揮した。来シーズンも残る戦力に加え、若い力が目立つだけに今後の活躍に期待が懸かる。「価値ある7位だったと思う。また次につながるようにやっていく」と西駅伝監督。失敗を糧に来シーズンのリベンジを誓った。
[奥村佑史]
試合後のコメント
古谷紘一監督
「本当に良くやったと思う。昨日の強風の中で苦しいところもあっただろうけど、それも経験。今日の経験もね。今回走ったのから2人4年生が抜けるけど、走っていないのも力があるし、主力の2年も3年生になるし、戦力的には落ちないと思う。また鍛え直して、チャレンジしていく」
西弘美駅伝監督
「選手たちはよく走ってくれた。最後まで襷をつなげようと走ってくれた。復路では松井が1番安定していたし、下がることはないと思っていた。松井も北も攻めた結果の7位。見ての通りいいところまではいったし、価値ある7位だったと思う。復路に関して言えば1番の収穫は山下り。廣瀬はいい順位で来るだろうから、その流れをつないでいこうと。(7、8区の区間配置については)横手は上りを上れるし、7区の重要性というのもあった。(往路、復路とスタートで流れをつくったが)いい位置で持ってきた。いい流れを持続できなかったところもあったけど、それは結果論。また次につながるように、やっていくということ。勝負の世界だし、日体大も昨年の19位から優勝したわけだから。また1年間しっかりやっていく」
山本豪コーチ
「僕らも8区終わった時点で3位確定かなと安心してしまった部分があった。そこが大きな落とし穴。油断大敵。レースは終わってみなきゃ分からない。みんなにゆるみがあったのかも。つながってシード取れたから最低限それだけは良かった。(今回の課題は)体調管理。選手たちは優勝できるだけの力は持っている。あとは1ランク力を上げて体調管理をしっかりと。それができれば優勝が見えてくる。それに尽きる。(流れについて)いい感じでこられた。ずっと上位で勝負できた。(次に向けて)僕の中では、今回と次ぐらいが優勝を狙う大きなチャンスだと思っている。次が一番チャンスあると思うから、それに向けて。優勝を念頭においてやらないと絶対に勝てない」
1区文元
「区間賞を取りたかったが、1区として最低限の仕事はできた。風が強かったので序盤は集団を風よけに使って、六郷橋の下りで勝負だと思っていた。田口(東洋大)と西池(法大)は同じ大阪だから負けたくなかったが、最後はしんどかった。総合7位はこれからにつながるものになったと思う」
2区大六野
「攻めの走りができなかった。悔しい気持ちでいっぱい。途中から指示でもうタイムは気にするなと言われたが、攻めの走りをしてこそタイムがついてくるんだなと実感しました。(総合7位について)駅伝は最後まで分からないというのが改めて分かった。価値のある7位だった。(次に向けて)エース級の選手たちと競り合うにはまだまだ力が足りないということを痛感した。夏までに体しっかりつくって、駅伝シーズンに生かせたら」
3区菊地
「9区アクシデントはあったが、優勝を狙って攻めた結果。何にしても悔しい。ただ、自分たちでもやれるというのを証明できた。鎧坂さんがいなくなって弱くなったかと言われるけど、そうじゃない、というのを。出雲、全日本ではできなくて、今日やっと示せたと思う。この気持ちを忘れずに、後輩たちには頑張ってほしい。本当にチームに恵まれて、4年間走れた。これを次のステップにつなぐ。この4年間で得たものを大事にしていきたい」
4区八木沢
「2区、3区が苦しいのは分かっていたから4区、7区といったつなぎ区間で稼ぐべきだった。後ろに控える選手たちに対しても、少しでも楽をさせてあげたかったが役割は果たせなかった。今回の結果は来年へのバネにしたい。次は総合優勝したい」
5区大江
「悔いの残る結果だけど、最後は楽しく走れたんじゃないかと思う。(5区の最後は)意識がなくなりそうになっていて、他のことを考える余裕もなく、とにかく走り切ることを考えていて、走り切れて良かった。強風の中、前に全く進まなくて、山の走り、自分の走りが全然できなかった。予定していたものが全部駄目になってしまった。優勝はできなかったけど、明治に来て良かったと思う。でもやっぱり区間賞が取れなかったのは悔しかった」
6区廣瀬
「先頭との差を詰めることができて良かった。チームに貢献できた。タイム的には目標通り走ることができたので良かったが、前にまだいるというということは、まだ足りないことがあるということ。流れをつくるという面では、復路スタートとしていい流れをつくれて良かった。最後粘れなかったのと、区間賞取れなかったのは心残り。途中まで区間新の走りをしていたことは知らなかった。途中襷が渡るかどうかも危うい場面があったので、本当に帰ってこられて良かったというのが一番。優勝を目指していたので悔しいが、価値のある、次につながる7位だった。(次に向けて)チームを引っ張る存在として、率先していけたら。箱根優勝に向けて自分がいい働きができたら、と思う」
7区有村
「前半突っ込んだ分、後半に失速してしまった。早めに追い付きたいという気持ちがあった。いい流れで襷をもらったが、後半の失速で横手に負担をかけてしまった。(来年は)総合優勝を狙う。そのために個々の力を伸ばして、チームとして強くなっていく。下についてきてもらえるよう、上級生となるので引っ張っていきたい」
8区横手
「前の選手が見える位置で襷をもらったので差をじっくり詰めていこうとした。遊行寺の坂で勝負しようと力を温存していたが逆に離されてしまって駄目だった。15km以降失速してしまい情けない走りをしてしまった。故障明けということもあり、後半の失速は練習不足が主に響いてしまい、あと力不足とも感じた。もう情けない走りをしないようにしっかりやり直して来年の箱根では総合優勝したい。総合優勝目指して一生懸命頑張る」
9区松井
「みっともない走りをしてしまった。日ごろの自分に対する甘さがつけとして出てしまったのだと思う。二度と同じ過ちを繰り返さないようにまた精進していきたい」
10区北
「できるだけ前を、一つでも前を狙って走ったが、最終的には抜かれてしまい、自分がしっかり走らないといけないのに、ふがいない走りをしてしまった。前半はいいリズムで来ていたけど、18kmあたりから足が動かなくなって、前に進まなくなった。脱水症状っぽい感じになってしまい、自分が何をしているかも分からないくらいの状態になっていた。西監督にはペースとタイムを読んでもらっていたけど、最後は何を言っているのか(脱水症状で)よく分からなかった。ゴールテープが見えたので、とにかく切ろうと走り切った。今年の箱根はこうなってしまったが、次は絶対優勝する。常に勝ちにこだわっていきたい」
関連記事
RELATED ENTRIES