強力スクラムの近大相手に確実に勝ち点を積み上げる/全国大学選手権

2012.12.17
 リーグ戦王者の東海大戦の前に勝ち点を落とせない今試合。夏合宿でも苦しめられたスクラムを擁する近大を相手に、前半で4トライとボーナスポイントを早々と奪った。計3トライを奪われ「失点の形が良くない」(吉田義人監督)と課題を残しつつも、ファイナルステージ進出へ向けていい形で勝利を収めた。
 
 得意のスクラムで苦戦強風の影響でキックを使用せず自陣からボールを展開する序盤の明治。ディフェンスを崩せず敵陣に侵入できない時間が続いた。注目のスクラムもいきなり押し負けターンオーバーされるなど流れが近大に傾くと、簡単にBKラインを突破されいきなり失点を許した。厳しい立ち上がりとなったが徐々にスクラムを修正し押し負けないようになると、SO染山茂範(政経4=佐賀工)がインターセプトからトライ。ここから明治が怒とうの攻めを見せる。直後に相手の強力FWをものともせずモールトライを奪うと、負けじとBKも素早いパス回しを展開。染山、右WTB斉藤春樹(農4=札幌山の手)が連続でトライを決め26-14と近大を突き放した。

 風上に立った後半だったが、開始10分で2トライを奪って以降得点が取れない。「ゴール前まで行っても最後に仕留めることができなかった」(石原慎太郎・政経4=国学院久我山)。前半で修正していたスクラムも徐々に押し戻されたが、染山のキックが風の影響で大きく伸び大きくエリアを回復。得点が奪えない中でも、しっかりとゲームをコントロールし近大の反撃を1トライに抑え45-21で勝利した。

 試合開始前から強風が吹き荒れ、キックでエリアを奪う普段の試合運びがこの試合では困難となった。その中で「わざと風下を選び苦しい状態をつくった」(竹内健人主将・営4=天理)。そして現在の明治は「苦しい状況の中でしっかりとリードできる」(吉田監督)力が十分に備わっている。結果としては東海大との大一番に向けて万全の状態となったが、まだまだ改善点がある。「フェーズが重なる前での失点は組織的な問題」(吉田監督)と全てのトライを同様な形で取られた。東海大に勝てば、昨年は届かなかった国立競技場に進むことができる。明治の日本一への戦いがいよいよ佳境に差し迫っている。

[今野春佑]

1.PR 石原 慎太郎(政経4=国学院久我山) 9.SH 山口 修平(政経3=佐賀工)
→20.加納(後半2分)
16 勝木 来幸(営2=常翔学園)
←2.石沢(後半38分)
2.HO 石沢 敦(文4=国学院栃木)
→16.勝木(後半38分)
10.SO 染山 茂範(政経4=佐賀工) 17 山口 誠(営4=明大中野)
3.PR 須藤 元樹(文1=国学院久我山) 11.WTB 小澤 和人(営3=国学院久我山) 18 友永 恭平(政経4=常翔学園)
←8.堀江(後半38分)
4.LO 古屋 直樹(商4=日川) 12.CTB 西村 雄大(農3=高鍋)
→21.水野(後半8分)
19 前田 一平(情コミ=東海大仰星)
←7.竹内(後半8分)
5.LO 比果 義稀(文3=京都成章) 13.CTB 猿楽 直希(政経4=東福岡) 20 加納 遼大(文2=常総学院)
←9.山口修(後半2分)
6.FL 大椙 慎也(法2=国学院久我山) 14.WTB 斉藤 春樹(農4=札幌山の手) 21 水野 拓人(情コミ2=東海大仰星)
←12.西村(後半8分)
7.FL 竹内 健人(営4=天理)
→19.前田一(後半8分)
15.FB 村井 佑太朗(政経2=秋田工) 22 幸重 記(文3=大分舞鶴)
8.No.8 堀江 恭佑(商4=東京)
→18.友永(後半38分)

試合後のコメント
吉田義人監督

「日大戦では気温が低く、今回は強風と非常にグラウンドコンディションが厳しい中での試合だった。前半は風下をあえて選択した中で4トライでボーナスポイントを取れたことは大きい。そのような苦しい状況でしっかりとリードできた。フェーズが重なる前での失点は組織的な問題。崩された状態ではないだけにもっと練習を重ねないといけない。全体的にディフェンスに課題がある。しかし、しっかりと勝ち点を重ねることができたので東海大戦に向けていい形をつくることができた。東海大はFWが注目されるが、BKにも走れる選手がいてバランスのいいチーム。関東リーグ戦を優勝するべくして優勝したチームだと感じるので気を引き締めていきたい」

右FL竹内健人主将(営4=天理)
「近大のディフェンスが縦に強いのでなかなか攻め崩すのは大変だった。1対1に関してはもっと詰めていかないといけないと実感した。スクラムに関しては自分たちの間合いで組み直そうと声を掛けたら押し返せたが、後半にまた押されたので東海大戦の前にもう少し上の段階へ持っていかないといけない」

左PR石原慎太郎(政経4=国学院久我山)
「コミュニケーションを取ることでスクラムは修正できたところがある。夏合宿でも苦戦した相手だったので対策はしてきたつもりだった。ゴール前まで行っても最後に仕留めることができなかった。今回の試合以上に、東海大戦は準決勝に進むために重要な試合になるので意識しないわけはないが、なるべく普段通りのことを出せるように練習を重ねたい」

左LO古屋直樹(商4=日川)
「風がすごく強かった。その中で前半風下で4トライを取れたのは良かった。後半は風上の中で戦い方が明確にできなかったのでそこは修正しないと。スクラムはやる前から強いと分かっていたがかなり強くて押された場面もあった。(来週の東海大戦に向けて)チームカラーが似ているし自分たちの強みで勝負したい。個人的にはセットプレーを安定させて、ブレイクダウンで激しいプレーをして貢献したい。負けたら終わりなのでそこは大学選手権に入ってからは常に意識していきたい」

右LO比果義稀(文3=京都成章)
「健人さん(竹内主将)がいなくってからふわっとしてしまい甘いプレーが出てしまった。健人さんがいなくてもコミュニケーションがちゃんと取れるようにしないといけない。プレー面ではディフェンス面の課題とセットスピードの早さを修正しないといけない。(来週の東海大戦は)相手はすごく大きいがそこに引かずに1対1のタックルをしっかりする。ブレイクダウンでも常に前へ出られるようにやっていって絶対に勝ちたい」

No.8堀江恭佑(商4=東京)
「近大のスクラムは強かった。ヒットで受けていたわけではないが、相手の方がまとまっていた。前半は風下でキックしても飛ばないので、とにかくアタックを継続していくように意識した。後半は地域を取っていく戦い方みんなで統一できて良かった。ただ相手のBKに簡単に取られてしまったので、1週間で直したい。スクラムもすごく練習してきた。後は試合の中で自分たちの一番いい組み方で戦えるようにして、東海大もFWが大きいのでしっかり練習して臨みたい」

SO染山茂範(政経4=佐賀工)
「前半は風下でしっかり辛抱して戦おうと言っていた。それでうまくボールを継続できて、トライも思った以上に取れたし良かった。後はディフェンスの1対1のところが疎かになっていたので次はそこを修正したい。(風の影響は)いつも蹴っているハイパンがあんなに戻ってくるとは思わなかった。でも逆に風上に立ったらあれだけキックが伸びて、1回流れを変えることができたので良かった。自分のプレーは70点。みんなそうだけど自分もディフェンスのところをもう少しボールを遅らせたりできれば。後はゲームプランのとこで、きついときは僕がどれだけ引っ張っていくかだと思うので、そこをもっとできれば次の東海大戦は100%いけると思う。負けたら終わりなのでしっかり今日出た反省を修正して試合に臨みたい」

左CTB西村雄大(農3=高鍋)
「前半は風下でよく我慢した。トライは取れたし、流れも相手にやらずにディフェンスできたと思う。後半は自分は交代していたが、流れが悪かった。流れをこっち側に持ってこれなかったというのが課題になってくると思う。今日の自分は30点。最近ずっと調子が悪い。まだまだやることはたくさんある。タックルがやっぱり甘い。ここ数試合、帝京戦あたりから1対1、タックルという課題が出ているがまだ克服できていないのでもう少し直していきたい。時間もないので一回一回の練習でしっかりできれば。来週は大一番なので何としても勝つ」

右CTB猿楽直希(政経4=東福岡)
「前半、BKの出来は良かった。後半は油断した部分もあったし、そこでうまくいかなくて点が伸びなかった。ただ、全体的に見ればそれほど悪い試合ではなかった。東海大のFWは重たいが、明治のFWが一番強いと信じている。あとはBK勝負でも勝てれば恐い相手ではない。勝つ、ただそれだけ」

FB村井佑太朗(政経2=秋田工)
「前回に比べて風が強かった。BKの精度は高かったので、そこは満足している。ディフェンスの1対1のタックルの精度を高くしていきたい」

SH加納遼大(文2=常総学院)
「もっといいタックルをしたかった。結構抜かれた場面があったので、もっと踏み込んでいきたい。SHとしてのトライは初めてなので、とてもうれしい」