
14季ぶりの対抗戦V!早稲田相手に劇的勝利!/関東大学対抗戦
まさに伝統の一戦・明早戦にふさわしい試合だった。後半ロスタイム、スコアは26-32と、1トライ1ゴールで逆転可能。敵陣深くでのマイボールラインアウトだったが、ターンオーバーされてしまい万事休す。しかし選手たちは「全然諦めていなかった」(比果)。ラックでFWがボールを奪い返し、アタックに転じる。沸き立つ声援。「我々を奮い起たせたのは間違いなくあの声援」(細谷直ヘッドコーチ)と、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。SHからのボールを受けたSO染山茂範が果敢に突っ込む。だがタックルをもらいボールがこぼれた。このルーズボールを古屋がキャッチ。そのままインゴールへ飛び込み31-32。ゴールが決まれば逆転。「緊張しまくって早く蹴りたかった」。ゴール正面から染山の蹴ったボールは、しっかりポール間を通過し33-32の逆転に成功。その瞬間、試合終了を告げる笛が響き渡り、ノーサイド。劇的な幕切れで勝利し、対抗戦優勝と4年生が入学以来初となる公式戦で、早稲田からの勝利をもぎ取った。
昨年の雪辱
昨年の明早戦。逆の展開で明治は涙をのんだ。16-15とリードしていた後半38分。自陣でペナルティーをしてしまい、PGのチャンスを与えてしまった。無情にも早稲田のキッカーが蹴り上げたボールはポール間を通りゴール成功。16-18と土壇場で逆転を許し敗戦。勝利をつかみかけながらすり抜け、選手はピッチで泣き崩れた。
しかし今年、笑ってノーサイドを迎えたのは明治だった。「選手たちの喜ぶ顔が見たくて、どうしても国立で勝たせてあげたくて」(吉田義人監督)。指揮官も感極まった様子だった。
紫紺の国立
「ファンが最後のトライを呼び込んでくれた」(細谷ヘッドコーチ)。国立競技場に詰めかけた3万2000人の大観衆。紫が目立つスタンドからの声援が選手を後押しした。ロスタイムの逆転劇は明治ファンの眼前で、歓声を正面に受けて戦った。「最後コミュニケーションがとれないくらいの歓声で、応援してくれた人たちに感謝」(小澤和人・営3=国学院久我山)するほど、明治ファンの声援は選手に届き、確実に力となった。あの大歓声なしに勝利はなかったと言っても過言でない。
帝京大戦から2週間で、後半に失速しながらも持ち直し逆転勝利。ラグビー部も観客も全員が一体となって勝ち取った優勝だ。しかし喜びも束の間、次週から大学選手権が始まる。「気持ちの面でいい状態を切らさないように」(比果)して臨んでほしい。この勝利で得た確実な自信を胸に、明治が「前へ」動き出す。
[三用知英]
1.PR | 石原 慎太郎(政経4=国学院久我山) | 9.SH | 山口 修平(政経3=佐賀工) | 16 | 勝木 来幸(営2=常翔学園) | |
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2.HO | 石沢 敦(文4=国学院栃木) | 10.SO | 染山 茂範(政経4=佐賀工) | 17 | 須藤 元樹(文1=国学院久我山) ←3、榎(後半3分) |
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3.PR | 榎 真生(政経4=流経大柏) ←17、須藤(後半3分) |
11.WTB | 小澤 和人(営3=国学院久我山) | 18 | 梁 哲盛(営4=大阪朝鮮) | |
4.LO | 寺田 大樹(文2=秋田工) ←19、古屋(後半29分) |
12.CTB | 西村 雄大(農3=高鍋) | 19 | 古屋 直樹(商4=日川) ←4、寺田(後半29分) |
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5.LO | 比果 義稀(文3=京都成章) | 13.CTB | 猿楽 直希(政経4=東福岡) | 20 | 加納遼大(文2=常総学院) | |
6.FL | 大椙 慎也(法2=国学院久我山) | 14.WTB | 斉藤 春樹(農4=札幌山の手) | 21 | 西橋 誠人(商2=桐蔭学園) | |
7.FL | 竹内 健人(営4=天理) | 15.FB | 高平 裕輝(法3=国学院久我山) | 22 | 村井 佑太朗(政経2=秋田工) | |
8.No.8 | 堀江 恭佑(商4=東京) |
選手のコメント
吉田義人監督
「選手たちを心の底から誇りに思います。とにかくこの4年生たちが一つ一つ努力して、積み重ねて、自分たちを信じてきた結果だと思います。早稲田さんは強いです。選手たちの喜ぶ顔が見たくて、どうしても国立で勝たせてあげたくて、喜ぶ顔が見られて感無量です。選手たちが正々堂々と真っ向勝負して戦ってくれた。明治の新しい時代が来たと強く思います」
細谷直ヘッドコーチ
「ファンが最後のトライを呼び込んでくれた。明治ファンのいるスタンドの方へ最後は攻める形になり、声援が選手たちを後押してくれた。あれがなかったら、逆転できなかったかもしれない。我々を奮い起たせたのは間違いなくあの声援。後半10分での13点差は、この間の帝京大戦と全く同じ。そこで立て続けに失点してしまい、負けてしまった。自分をしっかりコントロールできていない選手が多かった。しかし、今日は我慢し切ってしっかり逆転につなげることができた。3本トライを取られた後半に我慢強く攻めたことが、今日のポイント。練習から最後の10分について、選手には集中力を切らさないようにと言い聞かせ、スタッフもその雰囲気づくりを意識した。この流れで大学選手権でもいいスタートを切りたい」
FL竹内健人主将(営4=天理)
「早稲田に勝てて良かった。明治が接点でファイトしたから勝てたという感じ。誰が出てもベストメンバーだと思う。しっかり自分たちのポジション、自分たちのやることを全うするだけなので。結果は優勝というだけ。しっかり他のチームに勝てれば優勝なので、別に意識はしていない。それよりは次の大学選手権でどれだけ自分たちのラグビーができるかということを考えている。接点のところをもう1回詰め直さないと他のチームが勝負してきたら今日みたいな展開になるのでもう少し詰めていきたい。帝京大にはリベンジしたい。負けて悔しい思いをしたので。今年はてっぺんをとるということで始まったので、大学選手権でしっかりてっぺんを取って監督を胴上げしたい」
左PR石原慎太郎(政経4=国学院久我山)
「今日の試合は楽しかった。勝った瞬間は脳しんとうでよく覚えていない。でもみんなが騒いでたので勝ったんだな、と。みんなで喜び合った。でもこれで終わりではない。まだ続きがあるので。気持ちを切らさずに選手権に向けてやっていきたい。今日も課題がいっぱい生まれたし、そこを修正しないと選手権はもっと厳しい試合が続くと思うので。1対1のところをもう少し意識して選手権に臨んでいきたいと思う」
左LO寺田大樹(文2=秋田工)
「勝てて嬉しい。早稲田には2008年から勝てていなかったので。自分としては周りから信頼を置かれているラインアウトでこの勝利に貢献できた。正直、優勝したことの実感というのは現時点では分からない。それは帝京大に負けてしまったということもある。なので、大学選手権ではきっちりと仮を返したい。4年生中心でやってきたチームなので、やはり4年生には勝ってほしかった。14年ぶりの対抗戦優勝を意識してはいなかったが、今は素直にうれしい」
右LO比果義稀(文3=京都成章)
「最高です。個人的にはミスもあったが、忘れてしまうくらいうれしい。最後の声援は聞こえないくらい集中していた。途中個人的には焦っていたが、キャプテンがチームのメンタルコントロールをしてくれたので、最後はまとまった。一つ一つのプレーで観客の反応がすぐ伝わってきて、やりがいがありました。楽しかったです。大学選手権まで時間が1週間しかないので、ミスを直すというよりも気持ちの面でいい状態を切らさないようにしたい。ずっといけると思っていました。点数がいける範囲だったので、全然諦めていなかった。このリズムにのっていきたい。気持ちが切れずにここから上がっていけるように、練習していきたい」
左FL大椙慎也(政経2=国学院久我山)
「チームとしては14年ぶり、個人としては始めて優勝を経験することになった。そういった面では2年生という下級生の立場でその場にいることができ、国立で早稲田を倒したことはいい経験になった。この優勝に貢献できたかは分からない。ただ、最後になる4年生を早稲田戦で勝たせてあげたかった。それができたことはすごくうれしい。一つの区切りが終わったので、嬉しい反面気持ちを切り替えて。大学選手権でも優勝できるように臨みたい」
SH山口修平(政経3=佐賀工)
「率直に本当にうれしいです。後半、早稲田の入りがよくて、ブレイクダウンで受けてしまう部分があって、早稲田のペースに飲まれそうになってしまったんですけど、ブレイクダウンで一歩前に出ようと思った。強いのは絶対にこっちなんで、僕らはそこに自信を持ってやってるのに、そこで負けたら試合が成り立たない。なのでちゃんと一歩前に出ることが、行動に移せたのが勝利の要因」
SO染山茂範(政経4=佐賀工)
「素直に勝ててうれしい。課題も増えたがそれはまた来週からしっかり。試合もあるので修正していきたい。(最後のコンバージョンキックは)緊張しまくって早く蹴りたかった。あそこなら外さないとは思ったが、決まって良かった。対抗戦は優勝が3チームだが大学選手権は1チームしかなれない。だから絶対に1位になりたい。一戦一戦勝っていけたら良いと思う」
左WTB小澤和人(営3=國學院久我山)
「勝って素直にうれしいです。前半風上で6点差で、もうちょっと取っておきたかった。でもこのままいったら帝京大戦の二の舞になってしまうと円陣の中で言っていた。1対1のタックルからしっかりしようとチーム全体話した。1対1のタックルとリアクションスピードがまだ遅い。でも帝京大戦みたいな焦りはなかったです。大きい会場で大観衆の前で、在学中に初めて勝ったのは自信になるしうれしいです。最後コミュニケーションがとれないくらいの歓声で応援してくれた人たちに感謝です」
左CTB西村雄大(農3=高鍋)
「自分的には30点。いろいろ反省が出たがこれで終わりではないので。勝ったのは良かったが課題が残ったのでこれから修正していきたい。本当に個人的だが3回くらい抜かれてしまったのが反省点。タックルのところをもう1度、一から修正して選手権に臨みたい。一戦一戦しっかり戦っていく。相手は日大だが自分たちのラグビーをやっていけば勝利につながっていくと思うので頑張る。勝ちます」
右CTB猿楽直希(政経4=東福岡)
「ついに優勝したのか、という気持ち。強い明治を見せられたかなと。FWがスクラムで頑張ってくれたこともそうだし、BKが強い早稲田から、BKでトライを取れたことも。国立の舞台は楽しかった。100回目の早明戦で14年ぶりの対抗戦優勝と、いいことが続いてすごく気持ちがいい。明治の応援がすごくこれだけの人が来てくれる中で、負けられないなと思った」
WTB斎藤春樹(農4=札幌山の手)
「確かに優勝だけど、帝京大に負けたので悔しい。選手権でリベンジしたいですね。ロッカールームはいつも通り、早稲田だからと意識せずに臨もうとみんなで話した。こだわってきた接点で自分ちのペースに乗れた。自分のトライはいいパスをくれた染山のおかげ。トライを決めたい気持ちは強かった。早稲田も両WTBが軸のチームなので。試合後の雰囲気は、味わったことのない、何て言ったらいいか分からない気持ち。幸せでした」
FB高平裕輝(法3=国学院久我山)
「優勝だけど三校同時優勝。帝京大に負けているので。早稲田に勝てたことがうれしい。試合前は、自分たちの強みを出して、緊張せずにやれば勝てると話していました。勝つ自信はありました。前半は風上でキックを中心に攻めていましたが、後半は逆に相手が風上になって自分のやるべきことができなくなってしまった。(逆転トライの瞬間)最高でした。それだけです」
PR須藤元樹(文1=国学院久我山)
「勝って泣いてしまったんですけど、本当にうれしかったです。点差が開いて、早稲田ペースに流れかけていたところを明治のペースに戻せたことが今日の勝利の要因だと思います。明治は紫紺を着たら、早稲田に絶対負けてはいけいと言われていたので、今日はそれを実行しようと思ってチーム一丸となって頑張った」
LO古屋直樹(商4=日川)
「最後のトライを取った瞬間に、勝ったと思った。チーム、観客全員の思いをつないだトライだった。来年からも優勝が続けば、また新しい歴史のスタートになる。そういう機会をつくれたことがすごいうれしい。入学してから早稲田には負けてきたが、僕たちの代でやっと勝てた。だから、明早戦に勝つってこういうことなんだなと思った。優勝できてとてもうれしいし、勝利の一員になれた。また大学選手権もあるので、頑張りたい」
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