7年ぶりのリーグ制覇ならず 準優勝で終える/関東大学リーグ戦
同点に追い付かれた第2ピリオド。序盤から積極的にシュートを放っていく。しかし後半16分54秒、フェイスオフからうまくカットできずにゴール前へ持ち込まれ、GK伊藤優人(商3=白樺学園)の左空いたスペースに押し込みシュート。ついに同点に追い付かれた。その後は互いに追加点を奪えず、最終第3ピリオドへ。
ここ3試合第3ピリオドで劇的逆転を決めているだけに、この日も期待が懸かった。しかし願い虚しく、逆転勝利とはならなかった。開始早々4秒、続けて2分53秒にペナルティーを取られ、相手のパワープレーが続く。攻撃のリズムをつくられ迎えた4分6秒。ブルーライン手前右サイドから相手が放ったロングシュートをGK伊藤が1度はセーブしたものの、こぼれ球を拾われた。ゴール左サイドで構えていた相手に押し込まれ、逆転を許す。追い込まれた明大は攻撃に厚みを加えるも、ここぞという場面での決定力に欠けた。しかしこのまま逆転を許し試合を終えることはできない。「最後に頑張る力はあります」(藤井監督)。止まりだしていた選手たちの足は、あと1点に向かって再び動き出した。残り時間も3分となったところで、相手は守り重視の戦いに出るのに対し、明大はパス回しから前線に走り込んでいく。残り1分2秒、上野のロングパスから牛来拓都部門主将(営4=北海)がゴール前へラストパス。ゴール前の混戦で大津が当たり負けしないフィジカルコンタクトを見せ、最後は本野亮介(商4=北海道清水)が押し込んだ。1点への執念が、点数へと結び付いたのだった。しかし時既に遅し。勝ち越しかなわず、試合終了のホイッスルは鳴った。
約2カ月に渡るリーグ戦が幕を閉じた。早大戦の黒星から始まり、一時は首位争いからも後退した。しかし2次リーグでは怒とうの追い上げ。しかし早大、東洋大との首位争いはし烈を極めるも、最後に栄冠を手にしたのは早大だった。「早大は安定していました」(藤井監督)と、手堅く勝利を重ねていったのが功を奏した。「最強世代」と謳われ、大学3冠の期待が大きく懸かっていただけに、悔しさは深く残る。しかし裏を返せば、それだけ優勝することが容易ではないことを思い知ったとも言えるだろう。「本気にやる気になる危機感が足りなかった。まだ何とかなるというところがあった。力を出し切れなかった部分がある。それが本当の力なのかもしれない」(藤井監督)。どんなに強いものでも一瞬の気の緩みは、確かな弱さとなって表れる。今回のリーグ戦を通して、勝つことの難しさを思い知ったに違いない。残るはインカレだ。「この悔しさをぶつける」時は、すぐ目の前。次こそ、真の強さを見せてほしい。
☆牛来、最優秀FW賞に輝く☆
リーグ戦最終日、今大会のベスト6の選手が発表され、明大からは牛来が最優秀FW賞に選ばれた。「優勝して選ばれたかったです。頂けたことはうれしいですが、優勝していないのでもらっていいのか分からないという感じです。インカレでも賞を頂けるように頑張りたいです」。
[長堀笙乃]
試合後のコメント
藤井匡智監督
「優勝の可能性がなくなって、モチベーションを保つのが難しくなり、苦しい試合になると思いました。やっぱり良い状態の時と比べると、FWが機能しなかったですし、守りも機能しませんでした。(その中で最後追い付きましたが)最後頑張る力はあります。しかし力があるならスタートから目一杯頑張れるはずです。そこが弱さです。(リーグ戦慶大に負けたこと)そういうところで取りこぼさないチームが勝ちます。明大は波が大きいです。連勝してもその後良い状態のまま行かなければならなかったです。2次リーグのスタートは気分一新で臨んだつもりでしたが、ああいう結果になってしまいました。逆にあそこでああいう結果になったからここまでこれたというのもあると思うので、何とも言えないです。(優勝候補の一角だったが)春は勝ちましたが、ダントツだったというわけではないというのを言い聞かせてきました。しかし優勝できるチームではあるし、選手たちも自覚はしていました。やることがしっかりできて初めて勝てます。やることを繰り返してできなかったのが敗因です。リーグ戦はトーナメントと違って、良い状態のまま行けるわけではありません。1週間で変わってしまいます。早大は安定していました。ペナルティーも少なかったです。(課題としては)FWのプレッシャー、運動量です。運動量が足りない分機能しないです。気持ちの問題もあります。本気にやる気になる危機感が足りませんでした。まだ何とかなるというところがありました。力を出し切れなかった部分があります。それが本当の力なのかもしれません。(このリーグ戦で伸びた選手は)永井と北島でしょうか。まだペナルティーの対応などで先発にはできていませんが、練習から伸びています。佐々木だとかもいつ試合に出てもおかしくないです。あとは変わらず、ただリーグ戦をやったというだけですね。(セットは決まってきていますか)ころころ変えたくないです。途中から出てもできる選手、できない選手などありますし。(インカレに向けて)リーグ戦ではないので一戦一戦しっかりやらなければなりません。今のメンバーがそのままということはないです。1年がU―20で抜けるので、戻ってきてから調子を見てという感じです。(U―20は)大津、大椋、永井、大澤です。(パワープレーを生かせなかったこと)パワープレー、キルプレー修正できませんでした。パワープレーがチャンスにならず、課題です。(修正のポイントとしては)パワープレーの精度、運動量だったりというところです。(2ピリ終わるまでペナルティーがなかったこと)せっかくゼロだったのに準備不足です。(3ピリは)スタートの時パックへの反応が遅れて、インターフェアを取られてしまいました。スタートから集中しなければなりません。(ここ3試合終盤に逆転、同点というのがあるが)評価できます。しかしその力があるならスタートからしっかりやってほしいです。短期間勝負ではこのような試合を重ねるのは大変で、優勝するには厳しいです。60分間しっかりプレーができれば良いプレーができると思います。(インカレへ)勝ちたい気持ちはあります。この悔しさをぶつけたいです。しっかり練習してやっていければいい状態でインカレを迎えられるのではないかと思います」
小川貴裕メディカルコーチ
小川貴裕メディカルコーチ
「(リーグ戦を終えて)長かった。試合数も多かったです。選手自身にも自分で調整しろとは言ってきましたが、どれだけコンディションを高めてやっていけるかを気にしてやってきました。(特に心掛けていたことは)学生と一緒に戦っていくわけですし、体はもちろん学生生活にも気を配って見てきました。今の4年生が1年の時からサポートさせてもらっているので、そういう意味では思い入れはあります。(リーグ戦を終えて、欠点は)頑張る選手は自分からやります。そこで、やらない人との差が生まれている気がしますね。(インカレに向けて)選手と触れ合う時間もわずかです。その中で、個人個人に気を配ることができたらと思います」
牛来
「試合の前に早稲田の優勝が決まってモチベーションを保つのが難しい試合でしたが、勝って終わりたかったです。難しい状況の中でも良い試合ができるのがチーム力だと思います。(東伏見での最後の試合になりましたが)4年生はみんなそういう気持ちだったと思います。ただ、勝って優勝して終わりたかったです。悔いの残るリーグ戦でした。(リーグ戦を振り返って)良い試合、悪い試合の波があったことが早稲田に劣っていた部分だと思います。(インカレに向けて)1日も無駄にせず、一日一日を大切にしたいです。秋取れる力はありましたが、力を発揮できなかったことも実力ですし、それを真摯(しんし)に受け止めたいと思います。インカレは本来の力を120%出せれば勝てると思います。優勝したいです」
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