ラスト1分で決めた! 激闘の末、中大に勝利/関東大学リーグ戦

 ラスト1分の勝ち越し弾で激戦を制した。強豪中大を迎えた一戦は、何度も追い付かれる展開となる。それでも優勝に向けて引き分けすら許されない明大は、最後まで諦めなかった。優勝するには厳しい状況であることに変わりないが、わずかな希望をつないだ。

 諦めない気持ちが勝利を呼び込んだ。第3ピリオドあと5分というところで、キルプレーの流れから失点。同点とされ、優勝の絶対条件である勝利へ暗雲が立ち込める。その後中大がペナルティーを犯し、パワープレーとなりシュートを多く放つが、ゴールには至らない。すかさず明大はタイムアウト。攻撃陣のポジション取りを確認する。さらにフェイスオフで優位に立つためにセットを変え、牛来拓都部門主将(営4=北海)がセンターに入る。その直後だった。ゴール右をえぐった本野亮介(商4=北海道清水)が中央へパス。そこにゴール前で待っていた山田亮太(政経4=武修館)が合わせ、決勝点を挙げた。

 追い付かれたが、気持ちを切らさなかった。第1ピリオド、混戦から牛来が押し込み先制。第2ピリオドは開始すぐに赤坂卓哉(営3=釧路工)がニュートラルゾーン近くから見事なロングシュートで追加点。しかし「楽に勝てる気になった」(牛来)とここから流れが変わる。7分にメンバーの変わり目にカウンターを受けて失点。9分に梶原聡人(政経2=北海道清水)がボーディングでペナルティーを受けると、キルプレー中にまたも失点。一気に追い付かれてしまう。第3ピリオド5分にはDFの楠本剛浩(法4=苫小牧東)がドリブルでパックを運び左サイドを深くえぐると、永井遼(営1=白樺学園)がつないでシュートを放ち、勝ち越しに成功する。しかし11分からのキルプレーを何とかしのいだ明大だったが、15分に中大のミドルシュートが突き刺さり、またも同点とされてしまった。

 「負けたくないという気持ちがプレーに全面に出た」(藤井匡智監督)と気持ちで守り切った。序盤から中大は小気味良いパス回しで明大DF陣を翻弄(ほんろう)。多くのチャンスをつくられてしまう。明大はパックを奪っても前線に持っていくことができず、何度も高い位置で奪われピンチを招いた。しかし守護神・伊藤優人(商3=白樺学園)が体を張ったセーブでピンチを摘み取る。第3ピリオド11分には山田がペナルティーをすると、続けざまに大津晃介(法1=日光明峰)がペナルティー。ツーメン・アドバンテージになり失点しても仕方がない絶体絶命のピンチとなる。「DFが体を張って守ってくれた」(伊藤)と全員守備。何とかピンチを乗り越えた。4点目を挙げた後のラスト1分は中大が猛攻を仕掛ける。追い付かれるわけにはいかない明大はGK伊藤を中心に必死のディフェンス。何とか1点差を守り切った。

 7度のパワープレーを1度も得点に生かせなかった。パワープレー時の得点力不足は前々から課題として挙がっていたが、今回も改善には至らなかった。「いろんな形をつくって攻められるようにしたい」(山田)次戦の最終戦で集大成を見せられるか注目だ。

 現在首位の早大が東洋大に勝ったため、優勝はより一層厳しくなった。次戦は明大の試合の前に早大が試合をし、その勝敗が優勝に関わってくる。そのため、前回快勝している東洋大といえども「精神的にきつい試合となる」(藤井監督)と楽観視できない。しかし「勝つだけ」(牛来)と明大のすべきことははっきりしている。次戦が泣いても笑っても最終戦。有終の美を飾りたい。

[毛利允信]

試合後のコメント
藤井監督

「(今日の試合を振り返って)スタートからもっともっと攻めていかなければなりませんでした。体が動かなくてFWのプレッシャーも少なかったです。それでも最後の5分はいい動きができて良かったです。早稲田の結果によって優勝の可能性が変わってきてしまうだけに、気持ち的に難しい試合だったとは思います。ただ自分たちが勝てば優勝できるというわけではないので。それでも最後に勝つことができたのは、選手の負けたくないという気持ちがプレーに全面に出たからだと思います。明日に優勝の可能性をつなげるという意味でも、勝てて良かったです。(3ピリの3対5キルプレーについて)点取られてもしょうがないという状況でしたが、守れて良かったです。FW4人で行くのではなしに3人で勝負しに行くと、強い気持ちで臨めたと思います。(残り1分でのタイムアウト)牛来にはFW3人のポジション取りについて指示を出しました。(4点目の際にセットを変えたことについて)相手との相性もあって牛来のフェイスオフに変えました。(東洋戦に向けて)早稲田の結果もあり精神的にきつい試合となることは確かです。しかしこればかりは自分たちではどうしようもないので、どうなろうともしっかり準備をして望みたいと思います。しっかり勝ちたいです。(今日のMVPについて)キーパーの伊藤は本当に良く抑えてくれたと思うけど、誰か1人が目立っているわけではないんですよね。全員が勝ちに行くんだという強い気持ちで戦えています。チーム状況はとてもいいです。逆にこういう重要な時だからこそ、誰か1人のプレーに頼るのではなくて全員が1点を取りに行くんだというに気持ちで戦えていることは大切だし、そういうチームは強いです。この気持ちのまま必ず東洋戦を勝ち切ります」

1ゴール1アシストと攻守の要となった牛来
「1ピリに先制点を取って、気持ちは入っていたけれど楽に勝てる気になったといいますか早大戦みたいな気合の入り方ではなかったです。力の差がない中でそういう気持ちが出ちゃうと駄目です。3ピリは気持ちが入っていて逆転できました。(第2ピリオドで追い付かれましたが)引き分けでも駄目だし早大にプレッシャーをかけるためにも勝たないといけなかったです。早大戦も残り3分で逆転できましたし、あとは気持ちだと思っていました。(試合終盤、セットのメンバーが変わりましたが)4年生の力が大事ということで4年生が多く出ました。結果勝ち越せたですし、守り切れて良かったです。(最終戦は)勝つだけです。早大の試合が前にありますが、結果がどうであろうと最後の一戦は悔いなくやりたいです」

安定した守備で勝利に貢献した本野
「苦しい試合でした。(2ピリで追い付かれ)勝たないと先はなかったので、守りに入らずシュートを打っていこうと話しました。(最後の得点シーン)フェースオフを絶対に取らないといけなかったので、拓都(牛来)にセンター任せました。負けられないということや、秋勝てていない執念が出たと思います。(伊藤のセーブ)今日も素晴らしかったです。気持ちを全面に出してくれるやつだし、強いですよね。(パワープレーを決め切れなかったが)課題です。なるべくシュートを打つようには心掛けているのですが…。(中1日で東洋大と当たるが)トーナメントだったら普通にある話です。今まで、そして今日悪かったことを修正して臨みます」

決勝ゴールを決めた山田
「調子がいいというわけではなかったですが、いい形で先制をすることができました。途中追い付かれて流れが悪くなってしまいました。それでも、諦めない気持ちで勝てたので良かったです。(決勝弾について)味方にゴール前にいると伝えたらパックが来ました。素直にうれしいです。(パワープレーを生かせない課題について)パワープレーは一番の課題。いろんな形をつくって攻められるようにしたいです。(2ピリ終わってから3ピリ)あとは実力と気持ち。悔いなく出してこい、と言われました。(タイムアウトは)FW2人がゴール前にいるというのを伝えました。(次戦に向けて)勝つしかないです。毎回危ない試合ばかりしているので、次戦は圧倒的な力の差で勝ちたいです」

ファインセーブを連発しチームを救った伊藤
「(今日の試合を振り返って)チームの課題としてペナルティーからの失点がありましたが、今日もこのような形で失点してしまいました。(伊藤から見たFW、DFの動き)リーグ通して良くなってきているとは思いますが、いいときと悪いときの波があるのでいいときの動きが継続できればと思います。(3ピリの3対5キルプレーについて)本間(貴大・法3=釧路江南)がゴール前でスライディングをしてくれたりと、DFが体を張って守ってくれました。失点しなくて良かったです。(試合までの1週間)特別なことはせずに、目の前の練習をこなしていきました。(東洋戦に向けて)勝つしかないです。勝って気持ち良く終わりたいです」