残り3分からの大逆転劇! 早大に雪辱を果たす/関東大学リーグ戦
「気持ちでうちが勝っていた」(山田)。気持ちで圧倒し、最後まで諦めない姿勢が結果につながった。第3ピリオド、1点を追う明大だったが、ゴールが遠い。試合時間も残りわずか3分となった時だった。赤坂卓哉(営3=釧路工)が高い位置でパックを奪い小原卓朗(政経4=白樺学園)へ。右サイドでパックを受けた小原はゴール右に切れ込み、相手DFを引き付け中央の山田にパス。山田が確実に流し込み、ついに同点とする。その直後。中央でのフェースオフから上野滉太(政経3=北海)が右サイドの牛来拓都部門主将(営4=北海)へパス。「気持ちで打った」(牛来)とニュートラルゾーン近くから放ったシュートは、美しい軌跡を描きながらゴールへ吸い込まれていった。慌ててタイムアウトを要求した早大だったが、流れは変わらず。さらにその直後、ミドルレンジから山田のシュートが決まり、早大を突き放した。
「勝てると信じていました」(藤井匡智監督)と、苦しい中でも希望を捨てなかった。第1ピリオド立ち上がり、ゴール裏で大津晃介(法1=日光明峰)が残したパックを上野が詰めて先制をする。しかし反則をきっかけに流れが早大に傾き始める。10分過ぎに高橋佑輔(政経2=武修館)がスラッシングによりペナルティーを受けると、キルプレーとなり早大が襲い掛かる。相手のシュートをGKの伊藤優人(商3=白樺学園)がはじくもルーズパックを押し込まれて失点。その後ミドルシュートを決められて逆転を許し、苦しい展開となる。
突き放そうとする相手に、何とか追いすがった。第2ピリオドは早々に赤坂がペナルティーできるプレーとなると、混戦から失点。しかしすかさず小原が決め、また1点差に戻す。25分には本野亮介(商4=北海道清水)が相手選手とエキサイト。互いにペナルティーとなった後、今度は本間貴大(法3=釧路江南)がペナルティー。またしてもキルプレーとなるとまたしても失点を喫した。しかし「どんどん良くなっていった」(小原)と反撃を開始。14分過ぎにゴール前で本野が2人相手DFを引きつけ、赤坂が隙間からシュート。3度1点差とし、逆転するまで気持ちを切らさなかった。
4年生の活躍が目立った。同点ゴールとダメ押し6点目の2ゴールを決めた山田をはじめ、勝ち越し弾を放った主将の牛来、1ゴール2アシストと攻撃陣をけん引した小原、守備陣をけん引しつつ2アシストも収めた本野、皆4年生だ。4年生は他校からも「最強世代」と呼ばれ、勝者としてのメンタリティや自覚を兼ね備えた世代である。優勝へ一番の勝負どころで、そのメンタルの強さが出た。
反省も多い。監督も選手もみな「ペナルティーが多い」と口をそろえる。合計9つのペナルティーがあった。また失点4点のうち3点は、ペナルティーのせいで相手より人が少ないキルプレー時間中での失点だった。「5対5である以上どこが相手でもうちは負けない」(山田)とキルプレーにならなければもっと楽に勝てたと自信を見せる。「最後のようなプレーが最初からできれば良かった」(赤坂)と立ち上がりにも課題が残る。
しかし、優勝への道のりは厳しいままだ。明大は残り2戦、強豪の中大、東洋大相手に連勝しなくてはならない。それに加え早大に得失点差で負けている分、早大が中大か東洋大に負けるか、残りの2戦で勝ち点差を覆さなくてはならない。「この勢いのまま2戦絶対勝ちにいって優勝する、それだけ」(藤井監督)。難しいことは考えない。残りの試合に全て勝つだけだ。
[毛利允信]
監督が選ぶMVP
FW大椋舞人(法1=白樺学園)
「うーん…みんな頑張ったけど、選ぶなら大椋かな。このところ3つ目のセンターとして安定しています。 遠慮がちなプレーに見えていましたが、最近は体で当たりにいってプレーできていると思います」
試合後のコメント
藤井監督
「始めから負けられない試合だと分かっていました。ペナルティーからキルプレーとなり、苦しい場面が続いてしまいました。しかし1ピリが終わった時点で1点差だったし、勝てると信じていました。3ピリで早稲田を突き放せたのは、選手に勝ちに対する気持ちが最後まであったからだと思います。最後まで諦めていませんでした。勝てて本当に良かったです。(反省すべき点は)とにかくペナルティーが多過ぎました。5対5でプレーできなかった。(キルプレーについて)FWへのプレッシャーが足りませんでした。攻めが良ければ守りも良くなります。最初から、最後のような攻めと守りのバランスの良いプレーができなければなりません。(この試合に向けて)日体大に勝って勢いがつきました。しっかり準備ができたので、試合が楽しみでした。(選手に今一番伝えたいこと)今日勝てて本当に良かった。しかし、浮かれたら負けるということです。慶大戦のような試合は絶対にしてはいけないですが、ここまできたら浮かれることはないと、選手を信じています。(残り2試合について)この勢いのまま2戦絶対勝ちにいって優勝する、それだけです」
勝ち越しゴールを決めた牛来
「苦しかったですが、残り3分で逆転できて良かったです。本当は4点差をつけた方が良かったですが、今日の試合の雰囲気や立ち上がりを考えればベストゲームでした。(終盤までリードされて苦しい試合でしたが)ベンチから声も出ていましたし、なかなか点が入らなくて苦しかったが山田が決めてくれて、2セット目がいい働きをしてくれました。(ご自身の勝ち越しの得点については)同点になった後で勢いのまま決められました。フェイスオフの前から(パックを)取ったらシュートしようと思っていました。気持ちで打ちました。(残り2戦に向けて)まず中央戦に集中します。中央も東洋に勝ちましたが中央はもう優勝がない分、うちの方が勢いがあると思います。中央を圧倒したいです」
1ゴール2アシストと攻撃陣を率いた小原
「1、2ピリは厳しい展開でしたが、どんどん良くなっていきました。絶対に負けられない一戦でした。しっかり勝てて良かったです。(良かった点)バックチェックを頑張って、早稲田を疲れさせることができた点です。(反省すべき点)ペナルティーが多かったです。また1、2ピリからもっとバックチェックをしていかなければなりませんでした。(小原が選ぶ今日のMVPは)伊藤です。危ない場面を何回も助けてくれました。伊藤のお陰です。(残り2試合)もう負けられません。全部勝って優勝したいです」
守備陣を率いつつ2アシストと攻撃でも活躍した本野
「負けたら自力優勝がなくなる中で、とにかく勝てて良かったです。最後の時間帯に4年生の力で得点を奪えたことは、今後戦っていく上でも大きなことだったと思います。(一時は2点差をつけられたが)昨日のミーティングからポジティブにいこうと話していたので、前向きに試合を続けることができました。(ディフェンスは)ペナルティーをゼロにすることを目標にしてやってきましたが、4失点の内3つがキルプレーからの失点だったのは反省しています。ただ、5対5の状況下ではうまく守ることができました。(残り2試合に向けて)本当に落とせません。まだリーグ戦では優勝していないですし、死ぬ気で戦います」
同点弾を含む2ゴールの山田
「今日の出来は85点です。残りの15%は5対5である以上どこが相手でもうちは負けないのに、キルプレーを多くつくってしまったからです。2ピリから相手は足が止まっていたし、気持ちでうちが勝っていました。(6点目について)攻めきる気持ちを持って決めました」
1ゴール2アシストの活躍を見せた赤坂
「勝ち切れて良かったです。出だしが悪かったので、最後のようなプレーが最初からできれば良かったです。(苦しい試合を勝ち切れたのは)気持ちです。リーグ戦はずっと優勝してないので勝ちたかったです。(ご自身の得点については)あれはたまたま。入って良かったです。(残り2戦に向けて)まだギリギリ優勝が残っています。絶対負けないように自分たちのセットで点を決めたいです」
ビックセーブを連発し窮地を救った伊藤
「一番いいのは3点差、4点差(で勝つこと)でしたが、勝てて良かったです。(失点に関して)前半はチェックが足りなかったです。4点のうち3点はキルプレーからでした。仕方のない部分もありますが、要所要所で厳しくいけたらいいと思います。(最後のキルプレーは抑えられましたが)逆転して乗っていて、押していました。気持ちが出ていたのだと思います。(課題としては)反則を少なくすることです。キルプレーももっと守れるようにしたいです。ピリオドで波がないようにもしたいです。(今後に向けて)勝つしかないです。全力で勝ちにいきたいです」
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