
団体戦9位で決勝トーナメント進出を逃す 今年度最後の大会を終える/全国学生選手権
大会1日目の個人戦は出場した8人の選手全員が予選2回戦までで姿を消し、結果を残せなかった。細谷勝広(商4=東洋大牛久)が廣川(京大)に押し出しで圧勝した一番など体格に勝る相手には優位に相撲を取り勝利したが、体格が互角の相手には優位な相撲を取られて敗北するという場面が目立った。小川清彦総監督は「力を出し切れていない。自分の相撲が取れてない。取れて負けるなら大丈夫だが、物足りない」と選手に奮起を求めた。
大会2日目は団体戦。予選1回戦の駒大戦は、1年生ながら先鋒(せんぽう)に抜てきされた武政進之介(政経1=埼玉栄)が粘りの相撲で菊地(駒大)を送り出しで破って流れをつくると、その勢いのままに5連勝。全員が実力を存分に発揮して5-0で快勝し、目標である決勝トーナメント進出へ勢いづいた。しかし予選2回戦の日大戦は優勝候補筆頭の相手に圧倒された。先鋒(せんぽう)の武政は自身よりも体重が約50kg重い川端(日大)に立ち合いを変化させて対抗したが、攻略できず押し出しで敗北。小川総監督は「先鋒(せんぽう)があれでは駄目。負けてもぶつかりにいく心意気が大切だよ。ここで流れが完全に日大にいってしまったのが大きかった」と期待の1年生にあえて苦言を呈した。武政自身も「逃げの相撲をしてしまった」と反省の弁。中堅の池尻実(政経3=柳学園)が去年の高校横綱の佐々木(日大)相手にのどわを押して果敢に攻めるなど粘る場面も見られたが、結局0-5の完敗を喫した。そして予選3回戦の東洋大戦。勝てば目標の決勝トーナメント進出が決定的になるだけに絶対に落とせない戦いだった。だが二陣の西浦準樹(政経2=和歌山商)が小澤(東洋大)相手に前に出たところを突き落としで敗れるなど、東洋大の技術的な相撲に苦戦した。副将の小山貴雄(政経2=向の岡工)は体格で劣る相手に粘ってはたき込みで勝利したが、結局1-4で敗北。団体戦9位となり、予選上位8校が出られる決勝トーナメント進出は惜しくも成らなかった。
この大会で今年度の大会は全て終了し、4年生力士は引退となった。柏原匡詞主将(政経4=愛工大名電)は「あっという間だった。この4年間はケガなどつらいことばかりでうれしいことはあまりなかった。それでも大学で相撲をやって良かったと思っている」と相撲に明け暮れた4年間を振り返った。4年生で唯一今大会に出場した細谷は、選手としてだけでなく主務としても相撲部を支えてきた。試合後、細谷は「この4年間はつらいこともあったが、続けることができた。試合が終わった瞬間、自然と涙が出てきてしまった。間違いなく自分の中で財産になった。相撲は野球やサッカーに比べるとマイナーな競技。その中でもみんな熱い想いを持ってやっている。その一員になれて良かった。相撲に感謝している。他の4年生3人とはもめることもあったけど、まとまってここまで来れた。出会えたことにありがたいと感じた」と、自身がその道を突き進んだ相撲へ、そして4年間共に切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間へ、感謝の言葉を述べた。
目標の決勝トーナメント進出は逃したが、小川総監督は「今年の大会では日大戦以外は最高の大会だった」と手応えを口にした。現在の明大は下級生主体のために来年は今年以上の結果が期待できる。1年生ながら全国学生相撲個人体重別選手権大会に出場した武政、齊藤佑弥(政経1=兵庫県私立市川)のみならず、守重佳昭監督は「選手全員に期待している。みんな素質があるので」と選手全員に期待を掛ける。「後輩は今年1年でかなり経験を積んだ。このまま努力を重ねてくれれば、未来は明るいですよ」(細谷)。古豪復活へ。明大相撲部は前へ進み続ける。
[森大輔]
試合後のコメント
小川総監督
(1日目)「(個人戦について)力を出し切れていないです。自分の相撲が取れていないです。取れて負けるなら大丈夫だが、物足りないですね。明日は団体戦だが、まだまだ戦う姿勢が見えてこないです。(明日の団体戦について)みんなにチャンスを与え、8人を選抜しました。やるしかないです。勝てないことはないです。日大、東洋大は間違いなく4強に入ってきます。でも同じ大学生だし気持ちが勝敗を分けると思います。Bクラスから上がってくる大学と最初に当たるから5-0で下して、あとは日大からポイントを奪い、東洋大に勝ちます。勝てない相手ではないですよ。4年生は細谷が8人目に入りました。出る機会はあるだろうし、意地を見せてもらいたいです。柏原や山崎、長谷川もあらゆる面でサポートしてほしいです」
(2日目)「今日はチームとして戦えました。駒大はBクラスで優勝していたけど、5-0で勝とうと伝えておきました。武政がしぶとく勝って流れをつくると、西浦と池尻も続いてくれました。全員自分の相撲ができていて良かったです。ただ次の対日大戦は不甲斐なかったです。5-0は避けられたはず。みんなどこかに諦めがありました。思い切って当たりにいけと言ったが、武政は変化をつけて当たりにいってしまいました。武政には言ったけど先鋒があれでは駄目です。負けてもぶつかりにいく心意気が大切です。ここで流れが完全に日大にいってしまったのが大きかったです。対東洋大戦は勝った方が上に進めました。対日大戦では悔しさが見えなかったし、初戦のつもりでやらせました。1-4で負けましたけど、戦うことはできました。今年の中では日大戦を除けば最高の大会でした。4年生は1人も出られなかったけど、サポートしてくれました。勉学の面でもしっかりしていたし、就職も決まりました。後輩たちにとっていい模範でありましたね。柏原もケガで満足ではなかったけど、ケガを押して稽古に励んだ姿は後輩にも響いたはずです。褒めてやりたいです。細谷も4年で唯一のレギュラーとしてよくやってくれました。もちろん主務としても。山崎も積極的に試合前の稽古役を務めてくれました。長谷川も部のために精力的に動いてくれました。下級生は経験を重ねました。欲を出してやってほしいです。毎日の積み重ねが大事です。目の前のことだけではなくて、先を見据えてね。小さな差が大きな差になることを分かってほしいです。小山も下から突き上げるいい相撲していたし、自分の持ち味を磨くことに努めることが大事です。基本の反復あるのみです。みんな一番を目指してやってほしいですね」
守重監督
(1日目)「(個人戦について)明大は伝統的に個人戦では結果が出ないが、今回も力はあるがその力が出し切れていないという感じでした。本来の実力を出せたのは細谷と武政ぐらいでした。(明日の団体戦について)チーム戦なので、チームのためにという気持ちを持って戦ってほしいです」
(2日目)「(団体戦について)決勝トーナメント進出は逃しましたが、試合で取る相撲はできたかなと思います。点数でいえば100点中70点です。(5-0で圧勝した)駒大戦での戦いを当たり前にやれるようにしたいです。(来年のチームについて)もっと上にいけるようにしたいです。(期待の選手は)全員です。選手全員に期待しています。みんな素質がありますので」
柏原
「(4年間を振り返って)あっという間でした。この1年間は主将としてみんなの手本になるように、レギュラーを目指してやってきました。この4年間はケガなどつらいことばかりでうれしいことはあまりなかったです。それでも大学で相撲をやって良かったと思っています」
長谷川順(政経4=足立新田)
「(4年間を振り返って)感無量です。軽量級の大会は1年に1回なので、入るときから団体戦ではチームのサポートに徹しようと覚悟していました。もうちょっと体重別の大会があればとも思いますけど。その中でモチベーションを維持するのは難しい部分もありました。(大変だったことは)1年生の時の雑用と、あとは共同生活で18人もいると、まとめることの難しさは感じましたね。感無量です。相撲は楽しいです」
細谷
(1日目)「(個人戦について)みんな実力はあるし、もっとやれたと思います。自分より強い相手でも、向かっていく姿勢が大事。気持ちを乗せ切れなかったです。(明日が大学最後の試合ですが)明日は4年間の全てが詰まった試合…早かったですね。試合に出られなくても、枯れるまで声を出して、笑って終わりたいですね」
(2日目)「(団体戦について)団体戦になると個の力の積み重ね、ということが改めて分かったと思います。(4年間を振り返って)この4年間はつらいこともあったが、続けることができました。試合が終わった瞬間、自然と涙が出てきてしまいました。間違いなく自分の中で財産になりました。相撲は野球やサッカーに比べるとマイナーな競技。その中でもみんな熱い想いを持ってやっています。その一員になれて良かったです。相撲に感謝しています。他の4年生3人とはもめることもあったけど、まとまってここまで来れました。出会えたことにありがたいと感じました。後輩は今年1年でかなり経験を積みました。このまま努力を重ねてくれれば、未来は明るいですよ」
山崎崇正(政経4=高知工)
「(4年間を振り返って)4年生になってからはみんなをまとめなければいけないというのもあって、すごく大変でした。ケガをして1年生のときしか試合に出られなかったので、4年間を振り返ると悔しいです。でもその分、裏方に回って選手として味わえないことを味わえました。試合に出るよりも、サポートの方がつらいと感じることもありました。でも今日みたいに勝ってくれると、自分のやってきたことが報われたかなと思えます。一番印象に残っているのは2年生の時の東日本学生選手権で1部に上がれたことです。(明大相撲部は)真面目で、切り替えるところは切り替えています。みんな人が良いです」
武政
(1日目)「(個人戦について)上のレベルの選手と戦ったが、もっといけたかなと思いました。(明日の団体戦について)チームのためにという気持ちを持って戦います」
(2日目)「(団体戦について)先鋒なのでいい流れで後ろに回すという気持ちで相撲を取りました。緊張はしなかったです。(対日大戦での取組について)勝ちにこだわり過ぎました。引いてしまいました。逃げの相撲をしてしまいました。(来年について)攻めの相撲を取ってチームを盛り上げていきたいです」
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