2人が表彰台入り! 手応えつかむ/全日本学生新人選手権

 インカレへ向け最後の大会となる今大会。インカレ出場メンバー以外の部員にとっては今シーズンの締めくくりとなる。明大からは10人の1、2年生が出場し、全国の舞台でしのぎを削った。85㎏級では西岡翔吾(政経1=洲本実)が2位、69㎏級では佐藤光(政経2=宮城県立農)が3位入賞を果たした。

≪1日目≫
 明大勢の戦いは77㎏級で幕を開けた。出場選手が全階級で最も多く、それだけに毎年し烈な戦いになる階級だ。明大からは吉川琢磨(政経1=明石南)、中野雄介(農1=杵築)の1年生コンビが出場した。
 
 最初にプラットに立ったのは中野。スナッチで1本しか取れず「ジャークは自己新記録を取りたいと切り替えたつもりだった」と話したが、立ちくらみを起こしジャークも1本のみの成功に終わった。「立ちくらみが結構ひどい方で、血圧も低いので、練習ではクリーンとか補強を強くしていきたい」と課題を明確にした。
 
 一方、吉川は6本中5本を成功させ「記録は満足」。スナッチでは124㎏を挙げ、3位につけた。ジャークでは最後の1本を失敗し7位に終わり、試合後は「例年であれば3位には入れたと思う」と悔しさをにじませた。同階級2位の梶田(早大)と3位の井筒(日大)は吉川にとって高校時代の同期。「あの2人には負けたくない。食らい付いていきたい」と気持ちを新たにした。

 85㎏級にはインカレに出場が決定している西岡が出場した。セコンドの徐文平(政経4=北海道朝鮮)から「とにかく声を出せって言われた」と序盤から力強くバーベルを挙げ、2位で表彰台に上がった。西岡は直前まで腰が痛かったというが、予定していたスタート重量を上げて臨み、スナッチ、ジャークともに2回の成功。インカレに向けて好調だということを証明した。さらに「残りの調整期間を大事にして、インカレではスナッチもジャークも自己新記録を取る」と宣言した。インカレでも力強い試技を見せ、1部昇格の立役者になれるか注目だ。

≪2日目≫ 
 まずは69㎏級。明大からは5人が出場し、佐藤が見事3位入賞を果たした。しかし佐藤は「力がうまく出せなかった」と試技を振り返った。前回の東日本学生個人選手権直後にケガをしてから3週間練習ができず、大会前の2週間で追い込むしかなかったという。スナッチ1本、ジャーク1本と、決して成功率が高いとは言い難いが底力を見せた。競技後には「情けないの一言。今日はできることができていなかった」と悔しさをにじませた。しかしその後には「自分に足りないと思う足腰の強化をして、スナッチもジャークも両方伸ばしていく」と強いまなざしで語った。先を見据え、もう気持ちは走り出している。
 
 9位の二村岳周(営1=名城大附)は、スナッチ3本、ジャーク2本を成功させた。スナッチの3本目は苦しんだように見えたが決め切り、5本成功と成功率は高い。「調子は上がっていた」(二村)と言うように今回のベストのスナッチ93㎏、ジャーク122㎏は自己新記録。スナッチでは1kg、ジャークでは3kgの記録更新に成功した。セコンドに付いた中田健太郎(政経3=常翔学園)とは夏に入る前から練習を共にし、本番にも「いつも通り大きく、力を抜いて」とアドバイスをもらったという。今回の記録更新は中田の後押しのたまものと言っても過言ではないかもしれない。「次につながる結果だったと思う。これからまだ伸びる気がしている」と今大会から確かな手応えをつかんだ。来シーズン、さらに一回り成長した姿を見せてくれるに違いない。

 続く94㎏級には、片山智裕(政経2=埼玉県立川口)が出場した。スナッチ、ジャークともに1本目のみの成功。「今日はボロボロ。改めて、やらなくちゃ結果はついてこないと思った」(片山)と悔いの残る試技だった。片山は大会直前まで体調を崩しており、思うように練習できない期間が続いた。来年のシーズンに向けて「恥のない試合をしたい。体調もしっかり自己管理していきたい」と悔いを振り切るように話した。

 大会のラストを飾る105㎏級には二宮流星(農2=神奈川県立大原)が出場。スナッチを1本成功させたが、ジャークは振るわず記録なしの結果に終わった。今回は、今年膝を手術してから初めての大会。調子は悪くなかったと言うが「結果としては全然駄目」と不本意な結果終わった。「やっぱり気持ちの面が大きいと思う。今後は練習をしっかりして、今の記録よりはるか上を目指したい」。オフシーズンで力を蓄え、来年度には万全で挑みたい。

 今回の大会はインカレメンバーこそ西岡のみの出場。しかし、来年度以降の明大ウエイトリフティング部を担うメンバーの、現時点での実力を占うという意味を持つ大会だと言えるだろう。不本意な結果に終わってしまった選手は、悔しさをバネに大きく成長してくれると信じている。

 インカレまであと10日。今年は新しい取り組みを導入してきた。練習では一緒に練習するメンバーをプラットごとに固定したり、ミーティングでは回数を増やして下級生の意見を取り入れたりという試みだ。全てインカレの舞台で1部に返り咲くため、試行錯誤を重ねた結果である。上位を狙える選手もそろい、戦力も整った。1部復活へ向け、選手は最後の調整期間を迎える。まだまだ選手は成長し続ける。結果はきっと付いてくる。

[関口詩織・鈴木千明]

試合後のコメント
中野
「今日は成功率が低かった。練習の調子は普通に良かった。目標重量はスナッチ106kg、ジャーク123kgだった。スナッチの2本目で失敗して触れなかったので、ジャークは自己新記録取りたいと切り替えたつもりだった。体重を増やしていたのでないかなと思ってたけどジャークの時に立ちくらみしちゃった。自分は立ちくらみが結構ひどい方で、血圧も低いので、練習ではクリーンとか補強を強くしていきたい。あとは練習の1本1本を大事にして成功率を上げていきたい。(インカレに向けて)先輩たち選手のサポートをしてちょっとでもいい結果につながればいいと思う」

西岡
「悔しい。調整から腰が痛かったけど気にせんと試合に出た。アップでは軽かったんでスナッチもジャークも両方ともスタート重量を上げた。試合は徐先輩にとにかく声を出せって言われて、落ち着いて臨んだ。(インカレに向けて)この大会で調子が悪くないってことが分かったし、ちょっと自信も出てきた。残りの調整期間を大事にして、インカレではスナッチもジャークも自己新記録を取る」

佐藤
「前回の試合後すぐにケガをして、3週間は練習できなかったし、練習できるようになったのはここ2週間くらい。今日は力をうまく出せなかった。ジャークの3本目ができてたら良かった。できることができてなかった。情けないとしか言えない。オフシーズンは足腰の強化をして記録を伸ばしたい。インカレは補欠として、レギュラーができるだけ多く点を取れるように支えていきたい」

二村
「大会までジャークは調子が上がってたけど、スナッチは良くなかった。でも今回はスナッチで1kg、ジャークで3kg自己記録を更新できて、次につながる結果になったと思っている。夏前から一緒に練習してもらっている中田先輩にセコンドについてもらったのも良かった。普段からもいろいろ良くしてもらっている。入寮時に立てた目標はスナッチ100㎏、ジャーク130㎏。今年中に達成できるように練習を続けていきたい」

大皿
「大会まで調子は悪くなかった。スナッチは取れても肘が決まらなかった。決めができてなくて、次につながっていかなかったと感じている。フォーム、足の強化から練習していきたい。同期に負けるのはやっぱり悔しい。焦る部分もあるが、来シーズンでは自己新を取りたいし、戦える選手になりたい。明治の選手に食い込んでいきたい」

片山
「やっぱりやらなくちゃ結果はついて来ないと感じた。今日はボロボロだった。記録なしにはなることはなかったけど、最悪の結果になってしまった。今日の結果は情けない。来年は恥のないような、胸を張れるような新記録を出したい。そのためには体調もしっかり管理していく。ジャークを重点的に強化したい」