ラスト1秒の悲劇 慶大に3―4で敗れる/関東大学リーグ戦

 ラスト1秒が試合の明暗を分けた。第1ピリオドに明大が先制点を決めるも、慶大の積極的な攻撃を前に追加点が奪えない。その後も慶大は粘りを見せ、第3ピリオド開始早々、オウンゴールを誘い同点に追い付く。一進一退の戦いが続く中、試合終了6秒前、試合は思わぬ展開へ。慶大陣でのフェイスオフで6人攻撃を仕掛けた明大から、パックを奪った小坂(慶大)が残り1秒でエンプティーゴール。慶大陣に湧き上がる歓声と共に、試合終了のホイッスルが響き渡った。絶対目標と掲げるリーグ優勝を前に、明大は大きな痛手となる黒星をつけてしまった。

 激しいパックの奪い合いが繰り広げられ、試合は序盤から熱を帯びた。第1ピリオド開始早々22秒、佐藤光(文3=白樺学園)がトリッピングにより反則を受けてしまう。パワープレイのチャンスを生かしたい慶大は、積極的にゴールに揺さぶりをかけにいく。しかし、ここはしっかり伊藤優人(商3=白樺学園)が抑えた。幾度となく訪れるピンチにも、落ち着いた対応を見せゴールを割らせない。互いに譲らない戦いの中、試合の均衡を破ったのは明大だった。10分15秒、江口(慶大)の反則により明大のパワープレイに。佐藤、大津晃介(法1=日光明峰)が果敢にゴールへ向かう。迎えた11分52秒、右サイドから本野亮介(商4=北海道清水)のすばやいパスに、うまく反応した永井遼(営1=白樺学園)がゴール前に走り込みシュート。先制点を決めた。その後何度か決定的チャンスをつくったものの決め切れず、1点リードのまま第1ピリオドを終える。

 続く第2ピリオドは、両者ともに点の奪い合いとなる。3分10秒、明大の守備の甘さから慶大にあっさり1点を奪われてしまう。しかし、追い付かれたら取り返す。慶大の反則により、5対4で明大のパワープレイの場面。小原卓郎(政経4=白樺学園)が当たり負けしない体の強さでゴール前に走り込んだところに、奥平将斗(政経4=釧路江南)が上手くパスを合わせ、最後は小原が力強くシュート。続けて9分33秒、本野から受けたパスを佐藤光がゴール前に控える永井に回し、最後は永井が2本目となるシュートを決める。見事なパス回しからのシュートだった。これに対し慶大も意地を見せる。14分45秒、明大DF陣の乱れを見逃さず、2点目となるゴールを決める。慶大の追い上げはあったが、1点のリードを守り切り第2ピリオドを終えた。

 このまま慶大を突き放して終わりたかった第3ピリオドだったが、流れは慶大へ傾く。6分58秒、慶大ゴール前で明大のはじいたパックが安藤(慶大)の足元へ。そのまま押し込まれ同点ゴールを決められてしまった。試合を振り出しに戻されてしまった明大だったが、なかなか追加点を奪えない。試合はそのまま終盤へと突入する。そして迎えたラスト6秒。慶大の反則から悲劇は起こった。慶大陣でのフェイスオフを前に、慶大がタイムアウトを要求。明大も6人攻撃を決め、勝利へ向けた最終手段を取る。そして迎えたラスト勝負。ゴールへ向けてシュートを放ちたいところだったが、明大のパスミスからパックを奪われ、小坂(慶大)が残り1秒でエンプティーゴール。一瞬の出来事だった。劇的勝利に慶大陣はスティックを放り投げ、喜びを爆発させた。

 この敗北は大きな痛手になることは確かだが「もう勝っていくしか道はない」(藤井匡智監督)。今の明大が本来の力を発揮できれば、勝てない相手などいないはずだ。追い込まれても最後は勝つのが王者。全員で再び気持ちを一つに。勝ちに対して貪欲に、一戦一戦を大切に戦っていってもらいたい。

[長堀笙乃]

試合後のコメント
藤井監督

「(今日の試合を振り返って)東洋大に勝ったことで気の緩みが出てしまいました。気持ちの準備不足でした。軽率なプレイも目立ってしまいました。FWもプレッシャーも足りず機能していなかったため、シュートリバウンドがなかったです。シュートももっと積極的に打っていかなければなりませんでした。(次戦に向けて)絶対に負けられないです。もう勝っていくしか道はないです」

牛来拓都主将(営4=北海)
「前回良い試合をしたのに、今日は気持ちも全然駄目だったしもったいない試合でした。力の差があるといっても一生懸命やってくるチームはこちらも一生懸命やらないと勝てません。優勝がなくなったわけではないので、次に向けてみんなで頑張りたいです」

本野
「(今日の試合を振り返って)全体的に走れてなかったし、足が止まっていました。前回(東洋大戦)で良かったせいか、油断してしまったところがあったと思います。メンタル面での弱さが出てしまいました。(メンバーに一部変更がありましたが)ケガで2人抜けていましたが、誰が出ても勝たなきゃいけないのは変わりません。誰が出るからどうというのはなく、全員で勝ちに行かなければ勝てません。(次戦に向けて)本当に負けられないです。もう一回立て直します」