3冠獲得に黄色信号。早大に敗れまさかの黒星スタート/関東大学リーグ戦

 試合終了後の選手たちに笑みはなかった。「負けるべくして負けた」。司令塔である牛来拓都主将(営4=北海)は重い口を開いた。試合序盤から早大に積極的にゴールを攻められ、先制点を奪われてしまう。悪い流れを断ち切るべく臨んだ第2ピリオド。果敢にゴールへ立ち向かい、同点に並ぶ怒とうの追い上げを見せた。しかし、ペースをつかんだかと思われたのもつかの間、第3ピリオドもまたもや早大が主導権を握る。最後はとどめの5ポイント目を決められ試合が終了した。

 第1ピリオド開始早々、早大FW陣の激しい攻撃から始まる。パックを奪ってはゴールを目指し、奪われては厳しいプレスをかけにいく。しかし、とどまることを知らない早大の攻撃を前に、明大は守り重視の戦いを余儀なくされてしまう。11分25秒、早大FW陣の要・高橋が明大DF陣のスキを見事に突き、ついに先制点を決めた。この1点を機にさらに勢いをつけたのか、その後も続けて得点を奪われ、早大ペースのまま第1ピリオドを終えた。

 流れを引き寄せるべく臨んだ第2ピリオド。このままでは終われない。ここから明大の怒とうの反撃が始まった。山田亮太(政経4=武修館)が得意のドリブルとスティックさばきで積極的に前線へ立ち上がり、大津晃介(法1=日光明峰)や上野滉太(政経3=北海)など主力FW陣がゴールへ揺さぶりをかける。パスも通り始め、明大らしさが出てきたところでようやく待望のゴールは生まれた。4分51秒、上野が左サイドからカットインした小原卓朗(政経4=白樺学園)のパスを受け、鋭い体のキレを生かしてそのままシュート。続けて12分48秒、うれしいうれしい一打が生まれた。最上義崇(文2=八戸商業)が自身初となるゴールを決め、ガッツポーズ。ベンチの選手も最上に駆け寄り、歓喜の輪ができた。

 暗雲漂うチームの雰囲気をがらりと変え、流れを一気に引き寄せた明大。その後も早大の攻撃を前に、何度か危ないシーンがありながらも、ゴールを守り抜く。第2ピリオドを2―2の同点で終え、再び振り出しに戻した。

 こうして迎えた第3ピリオド。序盤から互いに勝ちへの思いを全面に出した、熱いぶつかり合いを見せる。1点、1点が欲しい。そんな思いが伝わってくるプレーだった。ゴールへ果敢に立ち向かいチャンスメイクをするものの、決定打が出ない。そんな中、勝負がついたのは一瞬のことだった。足が止まりかけていた明大に対し、早大が勝負を仕掛けたのだ。ノーマークの選手にうまくパスを回し、ゴールチャンスをつくり続ける。衰えを知らない早大FW陣を食い止めることはできず、1点2点そしてダメ押しの3点目。願いもむなしく、勝利の女神は早大に微笑んだ。

 「勝ち続ける気でいたし、勝てるだろうとどこか油断していた部分もあったと思う」(藤井匡智監督)。勝負において一瞬の油断は命取りとなる。やはり王者と言えども早大は簡単に勝てる相手ではなかった。この黒星が起爆剤となり、王者の闘志に火を付けたことに違いない。まだまだ戦いは始まったばかりだ。これから約3カ月間にわたって、1戦たりとて負けられない厳しい戦いが続いていく。この1敗を、次の1勝へ。王者の意地とプライドを胸に、何としても勝ちを奪いにいってもらいたい。

[長堀笙乃]

試合後のコメント
藤井監督

「試合勘が戻っていなかったと思います。練習ではいいプレーをしていましたが、試合となると難しかったです。夏の間も練習試合はしていましたが、サマーカップにも出ておらず公式戦から離れていました。第1ピリオドが終わって、試合勘が戻ったようにも見えたが、第2ピリオドで安心してしまった。勝ち続ける気でいたし、勝てるだろうとどこか油断していた部分もあったと思います。気持ちが足りないことが、体力面でも現れていました。(早大について)相手が強かったというよりも、自分たちの実力が出せなかったということに尽きると思います。気持ち以外のなにものでもないです。やれば勝てるはずだし、しっかりとした気持ちを持って日大戦に臨みたいです」

牛来主将
「足が動かなかった。負けるべくして負けました。実力が出せずに負けたのが一番悔しいです。夏の大会には出なかったですが、日頃から激しい練習をしてきました。夏合宿の仕上がりも良く、試合に標準を合わせられたと思います。ただ、帰省などから戻って気持ちが抜けていたのかもしれないです。(今日の敗因について)キーパーのミスというより、プレイヤーのミスでした。バックチェックや2対1、自分たちが攻めた後にゴールを決められることが多かったです。ターンオーバーが多かったことも挙げられます。GK伊藤優人(商3=白樺学園)は久しぶりの試合での出場にしてはよくできていたと思う。(これからの試合について)これから修正はいくらでもできます。まずはミーティングをしてみんなで話し合おうと思います」