無冠に終わるも2艇が表彰台へ/全日本選手権

2012.09.18
 社会人も出場し、一段とレベルの高いレースが繰り広げられる全日本選手権。インカレを終え、4年生にとっては明大を背負って立つ最後の大会となる。明大は5年ぶりに無冠に終わったものの、男子舵手なしクォドルプル、女子エイトの2艇が表彰台入りを果たした。
 
 男子舵手なしクォドルプルは予選で敗北、敗者復活戦を経て総合3位をつかみ取った。

 決勝ではいいスタートを切り、序盤は日大に続き2位。しかし1500m地点では東経大に並ばれてしまう。最後はあと一歩及ばず3位に終わった。2位の東経大とはわずか1秒差だっただけに惜しい結果となった。予選ではインカレで優勝を収めた日大、敗者復活戦ではインカレ3位の立命大、決勝で日大と対戦。全てのレースで強豪との戦いを繰り広げた。山野剛毅(農3=西市)は「4日間ともつらいレースで、次の日に向けた駆け引きができなかった。どんな時でも4本こぎ切る体力がないと」と振り返った。冬は体力作りに重きを置いて、粘り強いレースができる土台をつくる。

 女子エイトは昨年の全日本選手権では創部初の優勝を収めた種目。それだけに連覇への期待も大きかった。決勝では、最初は出遅れ4位からのスタートとなったが、1000m地点では3位に浮上。1位の法大を追って一橋大と接戦を繰り広げた。ゴール手前までほぼ互角で競り続け、ゴール後も2位か3位かよく分からないという僅差の勝負。高島朋江(農4=坂出)は「決勝までは責任に押し潰されそうだったけれど、今日は全員を信じてこぐことができた。エイトでは連覇を狙っていたから悔しい。来年は頑張ってもらいたい」と悔しさをにじませながらも、次の代へバトンを引き継いだ。

 3艇で表彰台入りを果たした昨年に比べると、今年はあと一歩で表彰台を逃してしまうレースが多かった。角久仁夫監督は「インカレが終わってからの部内の雰囲気は緩んでいた。全日本は簡単に勝てる大会ではない。明大の本来の持ち味は1500mを越えてからの逆転だったが、最近はそれができていない」と部員に喝を入れた。新体制に代わるにあたって、今一度目的意識を共有したい。来年のインカレへ向けて、戦いは既に始まっている。

 今大会で4年生は引退という大きな節目を迎える。猪川主将(政経4=今治西)は後輩に対して「人任せにしないで、自分から動くことが大切。誰かがやってくれるだろうという気持ちではいけない」と語った。自主性を重んじる明大端艇部の主将らしい言葉だ。高木智代(法4=坂出)は「3年生は信頼できる。自分たちが良かったと思える代にしてほしい」とエールを送った。一つ一つのメッセージを大事に受け止めていきたい。4年生は口をそろえて「この代で良かった」と言う。4年間の寮生活は仲間との絆を育んだ。4年生の思いをしっかりと受け継ぎ、来年以降につなげていく。

 
 

試合後のコメント
・男子舵手付きペア
宮崎裕亮(法4=熊本学園大附)

「(今大会を振り返って)悔しいってのもあるけどなんか情けない。インカレ前にはいいこぎが出て大会本番でも結果が出たけど今回はそれができなかった。自分の持てるものを出し切れなかったのが悔しい。(今回のクルーについて)2人とも同じ高校の後輩でずっと一緒にやってきた。それだけに今回は何も与えられずに申し訳ないですね。(4年間を振り返って)ケガをして挫折したり、全日本軽量選手権で優勝したりといろんな経験ができた。それはこれからの人生にもきっと役立つと思う。引退することは春とかは早く引退したいとか思ってたけど実際に近づいてきて寂しさはあった。これで終わりって実感はまだ沸いてこない。(同期について)本当にこの学年で良かった。同期だけではなく先輩、後輩など周りのいろんな人に恵まれた。人とのつながりの重要さがここで学べた。(後輩に向けて)自分も一年上にいた立場としてうまくいくこともいかないこともあると思う。今までの良かったことは引き続きやって、うまくいかなかったことは変えていってほしい。そういうバトンを引き継いでいってほしい」

・男子舵手なしフォア
猪川主将

「今日は順位決定戦だったんですけど、リベンジしたい相手に差を付けて勝てたのは良かったです。最後のレースでは、いいレースができたと思っています。決勝には残れなかったですけど、順位決定戦であれ1位を取って、明大のほかのクルーを勇気付けられたかなと思います。チームのことを考えながらこげたんで、それも良かったかなと。4年間苦しいこともありました。1楽しむために9苦しむような。優勝を経験することはなかったに3位までしかとったことはないけれど、4年間続けられて良かった。主将になったばかりのころは、自信がなくて、ひょっとしたらチームの足を引っ張ってるんじゃないかと思うこともあった。次の主将には背中で示して語れるリーダーになってほしいと思う。後輩には、人任せにしないで、自分から行動していってほしい」

佐々木悠(文4=清風)
「今日は自分たちの中で一番満足できたレースだった。インカレや練習でできなかったところがあって、スランプにはまったりもした。だけど今日のレース展開は良かった。今ある実力を出し切れたと思う。1~3年生のころは大変なこともあって流されるように過ごしていたこともあった。意識が変わったのは4年生になってからで、前向きにするようになった。今はこの部が大好きで、価値ある4年間だったなと感じる。人生にとっていい変化を生んだ4年間だったと思う。最高の同期に恵まれたし、同期には感謝の気持ちでいっぱい。後輩たちには4年間続けて良かったと思って終われるように、最後まで頑張ってほしい」

・男子舵手なしクォドルプル
山野

「今回の目標は日大を倒して金を取ることだったんですけど、予選では日大、敗者復活戦ではインカレ3位の立命館と、かなり組み合わせがきついレースでした。体力を消費してしまって、次の日に向けての駆け引きができなかったと思っています。自分たちの思う力が出せなかった試合でもあります。レートは上がっても、スピードはそんなに上がっていなかったんだな、と感じました。冬は走って、エルゴも強化して、4本こぎ切る体力を付けたいです。1500mから競り勝つ意地を支えられるようにするのも目標。日大から優勝を取り返したい。軽量級でリベンジしたい。まずは2種目で優勝を狙います」

・男子舵手付きフォア
栗山卓也(法3=浜松湖南)

「全日本全体としては悔しかった。それでも最後のレースは良かったと思う。インカレの予選の前に調子を崩してしまいなかなか修正できないまま全日本までズルズルと来てしまった。(今回意識したことは)基本に忠実に大きくこぐことを意識した。(今回のクルーには4年生が多かったが)自分で志願した。4年生の最後の意地みたいなものを見たかったし、自分もその中で勝てるように全力でやろうと思った。(今季はスカルからスイープに種目を変えたが)ボートを始めてからずっとスカル種目をやってきたのでどういう風にやるかなどいろいろ勉強になった。今年1年はそういう面でボートのことをさらに知れたと思う。(明日から最上級になるが)まだ不安な気持ちでいっぱい。とにかく同期と話し合いながら団結して後輩を引っ張っていきたいです」

・女子ダブルスカル
松岡結(文2=浦和一女子)

「ダブルスカルは大学に入ってからは結構乗っている。全日本でも臆することなく頂点を狙うと約束して望んだ。昨年の優勝タイムと比べてここはどうするかなど話した。3日間のオフを挟んだら、長い間船を離れたような気がして、感覚が戻らなかった。どこか頂点に向かう気持ちの準備ができていなかった。連携ミスがあってコントロールがうまくいかなかった。中盤で追い上げたが最後に出てこれるクルーばかりだった。前半の1000mをつぶしてしまったのはもったいない。力を出せば表彰台に上がる自信はあった」

冨田千愛(政経1=米子東)
「全日本に向けて切り替えてたつもりだが。オフが明けると感覚が悪くなっていて、直前まで戻らなかった。決勝は蛇行してしまったところがあった。普段から効率よく真っすぐ進められるようにしないと。オフだって練習することもあっていい。この悔しさを忘れずに新人戦に向けてやっていきたい」

・女子舵手なしペア
高木

「個人的にはすごいふがいない。(棄権したことについては)ずっと腰痛を抱えてて、予選でこいだ時に明らかに高島の方に負荷がかかってしまっていた。監督からは棄権しろと言われたけど正直負けてもいいから最後までレースをしたい思いはあった。それでも明治の看板を背負ってるのにふがいないレースは見せれないしそういう決断となった。(ペアの高島とは)高島がエイトも出場していて中途半端なレースで高島に余分に一本レースをさせてしまうのは申し訳なかったし、高島も納得してくれた。監督と高島が最後は自分のわがままでレースをさせてくれたのは本当に感謝してます。(4年間を振り返って)右肩上がりで成長していければ良かったんですけど、それでもいい思いをたくさんさせてもらった。インカレ、全日本連覇もあれば今日みたいな挫折もある。ここ明治でいろんな経験ができて幸せです。(同期について)いつも私を支えてくれた。特に女子2人には本当にお世話になった。高島は高校からずっとで自分が一番一緒にいた。ライバルでもあったし常に意識しながらお互いを高め合えた。長谷川は常に先を見てくれて自分をいい方向に導いてくれた。(ボート生活を振り返って)いろんな人がいて、いろんな考え方に出会って本当にたくさんの経験ができた。人間関係のつくり方、苦しい時に踏ん張らなくてはいけないこと。本当に大切なことをここ明治で学べた。(後輩に向けて)3年生は信頼できる。自分たちが良かったと思える代にしてほしい。下級生もこの夏を経て自分の課題を見つけて成長できたと思う。それを冬季の練習に生かして3年生を支えていく存在になってほしいです」

高島
「エイトでは連覇を狙っていたので、優勝できなくて悔しい。だけどもう引退なので、次の代のみんなには頑張ってもらいたい。女子キャプテンになって、同期や、下の代のみんなに助けられた。下の代のみんなには悔いなく部活を終えてほしいと思う。この4年間は忘れられない4年間になった。よく監督がボートを通しての人間形成がこの部活の目的だ、と言うのだけれど、その意味が分かるようになった。今までの自分はあまり深く考えてこなかったな、と思うくらいに自分に向き合うようになった。その点では自分も少しは成長できたと思う。決勝までは責任に押し潰されそうだったけれど、今日は全員を信じてこげた。反省は次につなげていってほしい。明大の端艇部に入って良かった。普通の大学生活に憧れたりもしたけど、端艇部で共同生活ができて良かった。もうボートなしの大学生活は考えられない。後輩には、自分でよく考えることを大切にしてほしい。自分の考えが浅いと、いろんな人の意見に振り回されてしまう。強い軸を持って。3年生ならできる」

・女子舵手付きクォドルプル
赤津杏奈(政経3=小松川)

「インカレが終わって、全日本では決勝に出ることが目標だった。全日本に向かう途中はうまく行かず、直前になってうまくいき始めて全日本にピークをもってくることができた。予選、準決勝と上がり調子だった。インカレの反省をふまえて中盤で踏ん張る力をつけることが課題であり、準決勝で克服できた。決勝では気持ちでもこぎもでき上がっていたが、実業団相手に歯が立たなかった。目標が達成できて満足したわけではなく、メダルを取りにいこうとみんなで言っていた。力が足りなかった。決勝は先に出られてしまい、そのまま見えなくなってしまった。スタートに飛び出す力はあったが、コンスタントに力を出すことがまだできていなかった。戦略不足だった。全日本の決勝は最高峰でそこに立てたことで満足はしない。頂点が手に届くところまできていると感じられた。4年生がいない船でここまでやれてまだいけると思ったのであと1年追求していきたい。(4年生の引退することについて)自分たちの代になることに不安がある。これまで先輩と乗ってきて引き継ぎを意識してきた。今回クルーリーダーをやらせてもらい、自分が成長するきっかけにもなった。先輩から学べることはたくさん学んだ。これからは3年生が強くなって引っ張っていきたい。自分たちが強くなろうとしているので新体制はある意味楽しみ。最高学年になることを最近意識し始めて今の問題を挙げて話し合いをしている。一人一人が4年生になる自覚がまだないかもしれないけど、自分たちの色があるはずなので下が迷わず付いてこれるように堂々とした4年生になりたい」