秋季リーグ戦開幕Ⅵ~「努力に勝る天才なし」――中尾泰朗~
この秋、リーグ戦初出場を飾った中尾泰朗(商3=福井商)。同級生や後輩より少し遅れたデビュー戦。だが、一歩ずつ彼らしい歩みでここまで進んできた。
転機は昨年の秋。全日本学生選手権で初のランク入り(ベスト16入り)を果たしたことで視野が大きく広がった。「それまで一度もランクに入ったことがなくて、未知の世界で上のレベルが見えました」。トップ選手の技術はもちろんその立ち振る舞い、そこで見た全てが刺激になった。さらに力をつけようと、エースの神巧也(政経2=青森山田)や平野友樹(商2=野田学園)と練習を共にし、後輩からも積極的にアドバイスを受けた。この頃から、そんな謙虚な姿勢や豊富な練習の成果がだんだんとプレーや結果に表れるようになっていた。力強いフォアハンドにスピードという武器が加わり「ボールのスピードが依然と全然違う」と周囲も驚くほどに。今年に入ってからも6月の関東学生選手権でベスト8に入りレギュラーへの道が広がった。

「自分は不器用」だと語る。そんな彼が大切にしている言葉。それは“努力に勝る天才なし”。高校時代の恩師にもらったこの言葉を部屋に飾り、今でも眺めるという。「ちょっとやればできるとかじゃなくやり込まないとできない。努力することしかできないので、練習に対する気持ちは誰にも負けないって思いはありますね」。「不器用」だからこそ、真摯(しんし)に練習に取り組んできたという自信がある。

初めてレギュラーとして迎えた団体戦は、ほろ苦いデビュー戦になった。独特の雰囲気に飲まれてかここまで思うようなプレーができず、2連敗。だが、3年目の秋にしてやっとつかんだチャンスを簡単にふいにしたくはない。最後まで全力で。中尾もチームも笑顔で戦いを終えてほしい。
◆中尾泰朗 なかおたいろう 商3 福井商高出 169㎝・66㎏
12年秋、関東大学リーグ戦初出場。
12年関東大学選手権シングルス8位。
11年全日本学生選手権シングルス16位。
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